第二新卒による転職の面接では、新卒の面接とは違うポイントがたくさんあります。第二新卒向けの面接でよく聞かれる質問と、その答え方のコツを詳しく解説します。質問の裏にある企業の意図を把握し、面接に臨む自信を付けましょう。
この記事のポイント
- 第二新卒と新卒の就職面接の違い
- 第二新卒の面接は、3つの理由により新卒の就職面接と異なります。
- 第二新卒の面接での質問
- 面接でよく聞かれる質問の意図と、適切な回答例を把握することが大切です。
- 第二新卒の面接準備
- 面接準備のポイントは、自己分析・企業研究・自分と企業の接点探しの3ステップです。
第二新卒と新卒の面接内容が違う3つの理由
面接の準備をする際、新卒と第二新卒では求められるものが大きく異なります。第二新卒の面接において、気にかけておきたい3つの点について見ていきましょう。
社会人としての実績を求められる
新卒は初めて社会に出るケースが一般的であるため、業務経験がない状態で面接を受けることがほとんどです。対して、第二新卒には多少なりとも社会人としての経験があります。
面接では、間違いなく前職または現在の仕事内容について尋ねられるでしょう。これは、応募者が過去の業務でどのような役割を果たし、どのように貢献したのかを理解するためです。
企業は「応募者が組織の中で活躍していける人材であるかを判断したい」と考えているため、第二新卒の面接では前職での達成事項や学んだこと、身に付けたスキルを具体的に説明する必要があります。
早期退職の不安がある
新卒との最も大きな違いは、早期退職への不安があることです。新卒と比較した場合、第二新卒はすでに「会社を辞めた経験がある」または「会社を辞めようとしている」という状況にあります。
基本的に企業は、長期的な視点で人材を育成し、戦力として活躍してもらうことを期待しています。そのため、採用に際しては、早期退職の背景・理由について慎重に評価しなければいけません。
転職を繰り返している場合には特に、具体的なキャリアパスの希望や、前の職場の環境が自分には合わなかった具体的な理由など、面接官が納得するような説明が必要です。
入社後の配属先が決まっている
新卒の面接では、人事部が中心となって行うことが一般的です。人事が面接を行う理由は、どの部署に配属されるかが面接の時点では決まっておらず、各学生の適性を幅広い視点で評価する必要があるためです。
一方、第二新卒の場合は通常、特定の部署への配属を前提とした求人に応募します。面接は応募者1人に対して行われ、その配属先の部署の上司が面接官を担当しているでしょう。
これは、配属予定の部署のニーズや環境に合致するかどうかを、詳細に評価する必要があるためです。募集ポジションに合わせた人材が必要であるため、面接もより具体的かつ実務的な内容になります。
第二新卒の面接向け質問集とその回答例
面接官がどのような質問をし、その背後に何を期待しているのかを理解することは、確実に内定をつかむための鍵となります。以下で、よく聞かれる質問と、印象のよい回答例を確認しておきましょう。
質問:「志望動機は何ですか?」
この質問の裏には、「第一に候補者の志望度の高さを確認したい」という意図があります。志望動機は、どれだけ企業や業界に関心を持っているか、その職場で働くことにどれほどの熱意を持っているかを測る重要な指標です。
企業は、採用に非常に多くのコストと時間をかけています。志望度が低い候補者を採用してしまうと、内定辞退や早期離職につながる可能性が高く、結果的に採用コストをさらに増大させるリスクがあるのです。
そのため、面接官は志望動機を聞くことにより、候補者が本当に自社で働きたいのか、それとも単なる選択肢の1つとして考えているだけなのかを、見極めようとしています。
回答:オリジナルの志望動機で熱意を表す
社会人としての経験を積んだ第二新卒の場合、単に「興味があるから」「業界に憧れているから」といった回答では、説得力がありません。志望動機を述べる際には、「なぜこの企業を選んだのか」に焦点を当てることが重要です。
【例文】
「私は前職で〇〇業界において〇〇の経験を積みました。その中で、チームで協力して問題解決を行う力を磨きました。御社は〇〇業界でも特にチームワークを重視されていると伺いましたので、私の強みを生かして貢献できると考えています。」
このように、具体的な経験や企業の特徴に触れることで、志望動機に一貫性と熱意を持たせられます。
質問:「自己紹介をしてください」
企業が応募者に自己紹介をさせるのは、性格・考え方など応募者の内面を知るため、つまりその企業や職種にフィットする人材であるかを見極めるためです。
企業は、社員に協調性・柔軟性・積極性などを求めることが多く、これらの特性が応募者の経験・スキルにも表れているかを確認しようとしています。
さらに、この質問を通じて伝える力も評価されています。伝える力とは、「自分自身の意見を論理的に整理して伝えられる」「相手に分かりやすく話せる」能力のことです。
言葉の選び方だけではなく、話し方・表情・全体的な態度からも、ビジネスパーソンとしてのコミュニケーション能力がチェックされていると考えておきましょう。
回答:これまでの経験を簡潔に伝える
自己紹介は、自分自身を効果的にアピールする絶好の機会です。重要なのは、自分の人間性やスキルをポジティブに伝え、採用担当者に好印象を与えることです。
【例文】
「はじめまして、山田太郎と申します。前職では、マーケティングアシスタントとしてチームのサポートを行い、SNSキャンペーンの企画で〇〇の成果を上げることができました。
学生時代には、大学のサッカー部でキャプテンに抜擢され、チームワークとリーダーシップの重要性を学びました。御社ではこれらの経験を生かし、新しい仕事にも前向きにチャレンジしたいと思っております。」
第二新卒は、まだまだフレッシュな人材です。前職の経験が1年未満と短い場合、学生時代に打ち込んだエピソードも例に挙げて構いません。
質問:「転職理由は何ですか?」
転職理由を尋ねる質問の背後には、2つの重要な意図があります。まず、企業は将来的に安定して働いてくれる社員を望んでいます。
そのため、転職理由を確かめることで、その人がすぐに退職する可能性が低いかどうか、また新しい職場で献身的に働いてくれるかどうかを見極めたいのです。
さらに、前職での経験・スキルが、自社でどのように生かせるのかを確認する狙いもあります。応募者が、前職での問題点・改善点を認識しているのか、次の職場でどのように成長していけるのかを知ることも、採用の決め手となります。
回答:不満もポジティブに言い換える
不満をポジティブに言い換えることが重要なのは、面接官に対して「前向きかつ建設的にキャリアを考えている」という印象を与えるためです。
例えば、前職で「自分のキャリアの成長があまり望めない」と感じた場合、以下のように言い換えることができます。
【例文】
「前職では基礎的なスキルを十分に習得できましたが、より専門的なスキルを身に付けて貢献できる環境を求めています。」
これなら成長意欲や未来志向の考え方、そして新しい職場でどのように貢献できるかをはっきりと伝えられます。単にポジティブな印象を与えるだけでなく、転職を志望する動機が一貫していることを示す上でも重要なポイントです。
質問:「将来のビジョンはありますか?」
将来のビジョンを聞く意図は、その応募者が何を目指しているのか、仕事に対する長期的なモチベーションがどれだけあるのかを探るためです。
企業は、応募者の能力を評価するだけでなく、その能力を長期間にわたって生かし続けられるかを重視しています。スキルが優れていても、情熱・意欲がなければ長期にわたって力を発揮し続けられません。
しかし、応募者が目指す将来の姿と、その企業で働くことで得られるものに合致する部分があれば、困難に直面した際にもそれを乗り越えて成長できるでしょう。
そのため、面接官は応募者が持つ長期的な目標を通じて、将来的に企業の成長に貢献する人材であるかどうかを判断しようとしています。
回答:目標設定力と実行力を示す
目標設定力を持っていることを示すためには、応募する企業でどのようなことを実現したいか、そして将来的にどうなっていたいかを、具体的に描写することが必要です。
例えば、次のような具体的かつ明確なキャリアビジョンを示すことで、目標に対して真剣であると伝えられます。
【例文】
「私は御社での営業経験を通じて、顧客のニーズを深く理解し、それに基づいた提案力を高めたいと考えています。将来的には、より大きなプロジェクトをマネジメントし、チームをリードしていく立場になりたいです。」
また、次のような回答を付け加えると、目標に到達するための具体的な努力方法や、将来の計画が単なる口約束でないことを訴求できます。
【例文】
「〇〇の資格を取るため、目標達成に向けて毎週小さな目標を設定し、達成度合いをチェックしています。」
「業界のトレンドを常に追い続けるために、関連する講演会やセミナーに積極的に参加しています。」
質問:「他社の選考を受けていますか?」
他社への応募状況を聞く理由の1つは、その企業が募集する職種に対して、応募者がどれほどの興味を持っているのかを確認するためです。
複数の企業や職種に応募している場合、その応募先を知ることで、応募者にとって自社の優先順位がどの程度であるか判断する材料になります。
また、応募者が魅力的な人材であった場合、みすみす他の企業に取られたくはありません。他社への応募状況を知ることで、採用プロセスを調整し、早めに内定を出すなどの対策を講じる可能性を考慮するケースもあります。
回答:応募業種の一貫性を持たせる
応募状況に関する質問に対して、特定の会社名を明かす必要はありません。面接官が本当に知りたいのは、応募者がどの方向性に進もうとしているのか、その選択がどれほど一貫しているかです。
選ぶ業界や職種に不一致・矛盾があると、「ただ単に内定が欲しいだけなのでは?」といった印象を与えかねません。一例として、以下のように答えると、志望動機と将来のビジョンが結び付いていることを示せます。
【例文】
「現在、同じ業界内で数社の選考を進めています。具体的には〇〇職に関心を持ち、その中で自分のスキルを生かせる環境を探しています。」
「何か質問はありますか」逆質問のOK・NG例
面接の最後によく聞かれるのが、「何か質問はありますか?」という逆質問です。これを、ただの形式的なやりとりだと油断してはいけません。ここでは、逆質問で企業に好印象を与えるための「OK」な例と、避けるべき「NG」な例を紹介します。
【OK】応募先企業や職種への関心の高さを示す
逆質問は、応募先の企業や職種に、どれだけの関心を持っているかを示す絶好の機会となります。そのため、採用担当者に強い印象を残し、自分の積極性と熱意をアピールする場として活用すべきです。
例えば、以下のような質問をすると、具体的にどのようなスキル・経験が求められているかを、理解しようとしている姿勢が伝わります。
【例文】
「このポジションで期待される最も重要なスキルは何でしょうか?」
また、次のような質問なら、その企業での自分の役割を考慮し、どのように貢献するかを意識していることを示せるでしょう。
【例文】
「新しいメンバーが入ることで、チームにどのような変化をもたらすことを期待されていますか?」
【NG】自信のなさや準備不足は評価を下げる
NG例として挙げられるのは、以下のような質問です。
【例文】
「御社の事業内容について、もう少し教えていただけますか?」
「休日や勤務時間について、もう少し詳しく教えていただけますか?」
「入社したら何かサポートしてもらえますか?」
企業の事業内容や勤務条件は、公式Webサイト・会社案内を調べれば事前に分かる情報であり、調べずに面接に臨んでいるという姿勢が透けて見えてしまいます。また、自身の条件や時間が優先されている印象を、相手に与えてしまいかねません。
また、入社後のサポートについての質問も、よくない例として挙げられます。自信のなさが強調され、企業に対して依存的な印象を与えてしまいます。
応募者はむしろ、自ら企業に貢献できる点をアピールすべきであり、サポートを求める姿勢は避けなければなりません。
第二新卒の面接準備に必要な3ステップ
第二新卒という立場を最大限に生かすためには、どのように面接準備を進めればよいのでしょうか?最後に、面接準備における重要な3つのステップについて、詳しく解説します。
徹底的に自己分析する
転職市場で自分を効果的にアピールするためには、自分自身を深く理解することが不可欠です。そこでまずは、スキルの棚卸しを行っていきましょう。
これまでの仕事で習得した技術・知識だけでなく、研修で学んだことや雑用とされるタスクを通じて得た経験も含めて、全てノートに書き出します。身に付けたビジネスマナーも、その1つです。
これらは他の場所で簡単に学べるわけではなく、職場での経験を通して自然に身に付いていくものであり、特に第二新卒という立場では貴重なアピールポイントになります。
また、自分の好きなことを突き詰めるのも、自己分析の一環です。好きなことや、興味を持っている分野に対する情熱を探ることで、新しい職場での活力源・やりがいを見つける手助けとなります。
企業研究を行う
企業研究が不足したまま面接に臨むと、企業が応募者に向ける期待値を下回ってしまう可能性があります。これを避けるためには、まずその企業の事業内容をしっかりと把握することが欠かせません。
企業が提供している商品・サービス、どのような市場にアプローチしているのか、そしてその中でどのような強みを持っているのかを理解することが、企業研究の第一歩となります。
さらに、企業の強みだけでなく、弱み・課題点も視野に入れることが重要です。これにより、企業がどのような人物を採用したがっているのか、想像できるようになるでしょう。
こうした情報を得るためには、企業のホームページや企業情報をまとめた書籍、業界誌などを利用するのが有効です。
企業と自分の接点を探す
このステップは、自分が企業にとってどれほど適した人物であるかを示すだけでなく、その企業で働くことにどれほどの魅力を感じているかを、自分自身で確かめるプロセスでもあります。
企業研究を通じて見当を付けた「その企業の求める人物像」と照らし合わせて、自分自身の希望や持っているスキル・経験・価値観を確認しましょう。
自分の希望や強みが、企業の求める人物像と合致する部分があれば、それこそが「その会社でなければいけない理由」となるのです。
このステップまでしっかり準備することで、その企業で働くことが自分にとって最も自然で満足のいく選択であると、自信を持って面接官に伝えられるようになります。
第二新卒でもしっかり準備をして面接へ臨もう
第二新卒の面接は、新卒とは異なり、これまでの社会人経験や実績に注目されます。そのため、過去の具体的なエピソードを盛り込み、自分の強みをアピールすることが大切です。
早期退職は、決してマイナスイメージばかりではありません。転職を考えるに至った背景・理由を前向きに説明し、次のステップに向けた意欲を示せば、かえってその真摯な姿勢が評価されることもあります。
そのためには、自己分析や企業研究をしっかり行い、自分と企業の接点を見つけなければいけません。しっかりと面接の準備をして、新たなキャリアを築くための一歩を踏み出しましょう。
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