教員の職務経歴書は、どのように記載すればよいのでしょうか。魅力的な内容にする方法を知っていれば、採用される可能性が高まるでしょう。教員の経歴がある人や未経験から教員に転職する人など、それぞれの書き方のポイントと例文を紹介します。
この記事のポイント
- 教員の職務経歴書の書き方
- 教員の職務経歴書は「職務要約」「職務経歴」「生かせるスキルや資格など」「自己PR」で構成します。
- 教員未経験者がアピールすべきスキル・能力
- 教員未経験者は指導力やプレゼンテーションスキルなど、教員と関わりのあるスキル・能力をアピールします。
- 教員の職務経歴書での自己PRの書き方
- 自己PRではこれまでの経験や実績を交えながら強みをアピールし、応募先でどのように活躍できるかをイメージできる内容にします。
教員の職務経歴書の書き方
教員の職務経歴書の基本的な構成や、盛り込むべき内容を紹介します。教員に転職する際も、一般企業に転職する際と同様に、職務経歴書の内容を充実させることが必要です。
一般企業での経歴が中心で、教員が未経験の人向けの書き方のポイントも併せて見ていきましょう。
基本的なルールと構成
職務経歴書に、決まった書式はありません。採用担当者は応募者が今までの経験を生かして、どのように貢献してくれるのかを知りたいと思っています。
これまでに、どこで何をやってきたのかを分かりやすくまとめるには、以下の要素で構成するのが基本です。
- 職務要約:これまでの経歴を3~5行程度で記載し、教員としての活躍をイメージできる内容にする
- 職務経歴:職歴を順番に記載。転職が多く経歴を書ききれない場合は、教員として評価される職歴をピックアップする
- 生かせるスキルや資格:教員として評価されやすい経験やスキルを中心に書く
自己PR:これまでの実績や経験とひも付けてアピールする
文章量が少なすぎると、経歴や自己PRを十分に伝えられない可能性があります。しかし、あまりに多すぎても読みづらいため、A4サイズの紙1~2枚程度にまとめるとよいでしょう。
指導経験や管理者としての経験を中心に
教員経験者は、教育経験や専門分野を記載し、具体的に何をしてきたのかを伝えましょう。業務内容を羅列するだけでなく、客観的な事実や具体的な行動を盛り込みます。
例えば、「どのような工夫をしたのか」「学校全体や生徒たちの変化」などを記載するとよいでしょう。
未経験者は、他者への指導経験や管理者の経験など、これまでの経験の中から教育分野に生かせそうなものをアピールするのがおすすめです。
一般企業で部下を指導した経験や、チームをまとめた経験などは強みになります。内容に説得力を持たせるためには、できるだけエピソードを交えて伝えることが大切です。
教員に転職したい人向け職務経歴書の例文3つ
例文を見ると、具体的な書き方をイメージしやすくなります。教員に転職したい人向けに、職務経歴書の例文を紹介するのでぜひ参考にしましょう。
小学校教員から中学校教員を目指す場合
【職務要約】
○○大学を卒業後、公立小学校の教員として生活指導や学習指導に従事してきました。学力の格差が大きい学校のため、幅広い児童が関心を持てるような指導に注力しています。
タブレット端末やスライドなどを利用して生徒に授業内容を分かりやすく伝え、学習効率の高さを意識した授業に取り組んできた結果、生徒たちが自ら学ぶ姿勢を引き出し、学力テストの平均点数が30点上がりました。
【職務経歴】
- 事業内容:公立小学校
- 生徒数:○○人
- 20××年××月~現在:○○県立○○小学校
- 正規職員として、学級担任と教科指導を担当
■職務内容
- ○年生の児童の生活指導、学習指導
- 保護者との連絡調整、面談
- 国語、算数を中心とした教科指導(授業計画の作成、テスト作成、採点、タブレット端末の活用)
- 運動会や学習発表会など学校行事の企画、指導、会場設営
- 校内研修の企画、講師の選出や資料準備
■主な取り組み
- 学級での課題を児童自身に発見させ、考える時間を確保。児童同士が話し合う機会を設けた。「忘れ物を減らすにはどうしたらよいか」など、児童にとって身近なテーマを与え、考えさせた結果、忘れ物の回数が半減した。
- 保護者や児童への対応、学級の様子は小まめに記録し、必要なときに取り出せるようにデータベースを作成・管理し、保護者との連携や協力をしやすい環境を整えた。
- 学習指導では学習ログを活用し、児童の能力に合わせた学びを提供できるように工夫。
【生かせるスキルや資格】
■PCスキル
- Word:教育委員会への報告書作成のほか、「学習だより」「学級通信」を作成
- Excel:生徒や教員を対象にしたアンケートの集計、分析、管理に使用
- PowerPoint:授業や学校行事のガイダンスで使うスライドの作成
■資格
- 中学校教諭第一種免許状(数学)
- 高等学校教諭第一種免許状(数学)
- 小学校教諭第一種免許状
- 普通自動車第一種免許
【自己PR】
■ICT教材を積極的に活用した学習指導
現職の教育現場では、タブレット端末の十分な活用ができていませんでしたが、校内研修を企画し、ICT教育のメリットや具体的な活用法を伝えるように努めたところ、授業での使用率が上がり、学力テストにおいては平均点数が30点改善されました。また、児童と教員を対象にしたアンケートを実施し、改善点を発見することで教育環境の構築に貢献しました。
このような経験を通じ、学校全体が抱える課題を解決する力を養えたと感じております。今後も課題解決力や指導力を生かし、○○中学校の生徒たちにも効率的な学びを提供し、学ぶことの楽しさを伝えていく所存です。
【この例文のポイント】
自己PRでは、これまでの経験や実績を交えながら、応募先でどのように貢献していくかをアピールしましょう。
応募先とのマッチングを考えながら、今後取り組んでいきたいことを記載するのも効果的です。志望動機は履歴書に記載するので、職務経歴書では職務内容を中心に書きます。
近年は、教育現場にICT教材やタブレットなどの機器が取り入れられ始めたため、ICTを活用できることは強みになります。ICTを活用した指導の経験があれば、実績として評価されやすいでしょう。
中学校教員から高等学校教員を目指す場合
【職務要約】
大学を卒業後、母校である学校法人○○学園中学高等学校に採用され、英語科目の教員として○年間教育に従事してきました。教員として生徒たちや保護者方、先生方などと関わる中で培ってきた傾聴力を強みにしています。
また、バスケットボール部の顧問を務め、部員たちのやる気を引き出す練習メニューの作成や、メンタル面のケアなどにも力を入れてきました。○○高等学校の教員になってからも、これらの経験を生かして指導に当たりたいと考えています。
【職務経歴】
20××年××月~現在:学校法人○○学園中学高等学校
■担当業務
- 学級運営(担任3回)
- 年生の英語科目指導(授業計画作成・実施、ICTツールを活用した授業の実施、テスト作成、採点、補習対応など)
- 生活指導
- 部活指導(活動計画作成、事務処理、引率など)
■業務内で工夫した点
- クラスによって学力のばらつきが大きい点に注目し、習熟度に応じた教材を作成し、確実にステップアップするための工夫をした。
- 連絡の用途に使用するのが中心だったタブレット端末を積極活用し、生徒が復習しやすい環境づくりをした。
- 不登校やいじめの問題に対応するため、素早い対処とタイミングの良い介入を心がけた。
- 生活指導・部活指導では、情緒が不安定になりがちな時期の生徒たちの自尊心を育むため、個々の意思を尊重し「聴くこと」に注力した指導を行った。
- 部活指導において、地域の大学バスケットボールチームとの合同練習を実施。練習メニューやチームワークの構築に関するアドバイスをもらい、部員の成長を後押しした。
【生かせるスキルや資格】
■資格
- 中学校教諭第一種免許状(英語)
- 高等学校教諭第一種免許状(英語)
- OEICスコア860点
■PCスキル
- Word:報告書や議事録などの文書作成が可能
- Excel:表作成、関数の活用、四則演算が可能
- PowerPoint:データ挿入、グラフィック機能、アニメーションの追加などが可能
【自己PR】
■生徒の心を開き、良好な人間関係を築く傾聴力
生徒の価値観を肯定し、興味を持って接する傾聴力が強みです。不安定な時期の生徒たちを指導するには、1人1人に真摯に接し、問題が大きくなる前に課題を見つけて対処する方法を考えることが大切だと考えます。不登校の問題が起きた際は、週に1度の家庭訪問を実施し、保護者と生徒双方の面談を行いました。指導の結果、不登校になった生徒の8割が、保健室登校および通常の授業に参加できるまでになっています。
意識した点は、生徒自身が自己解決をする手助けをし、授業や部活への積極的な参加を促すことです。生徒とのコミュニケーションでは、本音を引き出すための質問を投げかけるようにしています。
傾聴力を生かすことで、保護者や先生方とも良好な関係を築いてきました。これからもこの能力を生かし、さまざまな問題に対し能動的に取り組んでいける生徒の育成に取り組んでまいります。
【この例文のポイント】
職務経歴や自己PRの中に工夫した点を盛り込み、どのような指導をしていたのかをより具体的にイメージできる内容になっています。スキルについて記載する際は、何ができるかを分かりやすく伝えることが大切です。
教育現場の重大な課題である不登校の問題にどう対応し、どのような結果になったかを記載しているところもポイントです。
教員としての指導力やコミュニケーション能力を発揮し、問題解決に当たっている点が評価の対象になるでしょう。
一般企業から小学校教員を目指す場合
【職務要約】
- ○○株式会社の人事部門で、○年ほど人材教育に携わっています。人材採用や人材教育に関する幅広い業務をこなす中で、個々に合った教育プログラムの必要性を学び、人材育成やキャリア開発におけるアドバイスのコツなどを習得しました。
- 教員になってからも、これまで培ってきた教育に関する知識やノウハウを生かし、児童の成長を後押ししていきたいと考えています。
【職務経歴】
■20××年××月~現在: ○○株式会社 人事部配属
主な業務
- 新入社員研修の企画および資料作成
- 新人向けPC研修の講師を担当
- 管理者向け研修の運営アシスタント
- 新卒採用の一次面接を担当
実績
- 20××年新卒採用7名
- 20××年新卒採用10名
- リファラル採用(社員紹介採用)の導入により、中途採用の費用を2割削減
■20××年××月~20××年××月:○○学習塾(アルバイト)
主な業務
- 学習指導、受験指導、教材準備
- 日報・月報の作成など
- 実績
- 指導生徒数50名
- 担当生徒の第一志望合格率90%
【生かせるスキルや資格】
■小学校教諭第一種免許状
■プレゼンテーション技能検定試験2級 合格
■英語スキル
- TOEIC800点
- ビジネス英会話および英文でのメールのやりとりが可能
■PCスキル
- Word・Excel・PowerPointの基本操作
- PowerPointによる資料作成
【自己PR】
■人事部の教育ノウハウを生かした指導
私が人事部門の業務を通じて身に付けたことは、物事を分かりやすく伝えるためのスキルです。プレゼンテーションに関する社外の講座にも積極的に参加し、相手の立場に立って、考えを伝える技術を磨いてきました。また、学生時代に、小学生・中学生向けの学習塾でのアルバイト経験があり、その際にどうすれば生徒の理解を深められるのか、楽しく学んでもらうにはどう接すればよいのかなど、教員として必要な姿勢も学んでおります。
これらの経験を存分に生かして、多くの子どもたちに勉強の楽しさを伝えていきたいと考えております。
【この例文のポイント】
主な業務内容に実績を加えることでより具体性が増し、職務遂行能力の高さも伝えられます。成果を客観的に示すには、数字で表すことがポイントです。
職務経歴書には、アルバイト経験を書いても構いません。教員の仕事に関連するものがあれば記載しましょう。学習塾・家庭教師・インストラクターなどのアルバイト経験は、教員としての適性を伝えるのに効果的です。
教員は、生徒に物事を分かりやすく伝えることが仕事なので、プレゼンテーションスキルを持っているなら有利に働く可能性があります。即戦力として活躍してくれそうなイメージを持てるため、積極的にアピールしましょう。
職務経歴書の書き方を押さえて教員に転職しよう
教員向けの職務経歴書には、これまでの指導経験や具体的な業務内容、工夫した点などを記載しましょう。箇条書きや数字を用いて、分かりやすい内容にすることが大切です。
また、適宜句読点や改行を入れ、読みやすくしましょう。職務経歴が長くなる場合、表などを使って情報を見やすく整理する方法もおすすめです。
一般企業に勤務した経験であっても、教員の仕事に通じる部分を見つけてアピールすれば、良い結果につながるかもしれません。
他者への指導経験やコミュニケーションスキル、プレゼンテーションスキルなどがあれば、有利になります。魅力的な職務経歴書を作成し、教員への転職を成功させましょう。
国内最大級の求人情報一括検索サイト「スタンバイ」では、全国の求人情報を取り扱っています。理想の仕事探しに、ぜひお役立てください。