MDとはどんな仕事?バイヤーとの違いや求められるスキルを解説

「MD」にはさまざまな意味が存在しますが、アパレル業界では「マーチャンダイザー」の略語として使われている用語です。アパレル業界のMDは、商品企画・販売計画などに携わります。MDの具体的な仕事内容や、求められるスキルについて確認しましょう。

MD(マーチャンダイザー)の仕事とは?

アパレル業界の女性

(出典) pixta.jp

MDは、業界によってさまざまな意味を持つ言葉です。ここでは、アパレル業界におけるMD(マーチャンダイザー)の仕事について解説します。

商品開発から販売戦略まで担う仕事

アパレル業界においてのMDは、「マーチャンダイザー」という言葉の略称です。MDは、市場調査から商品の企画・生産・販売プロモーションまでの流れを、一貫して担います。

市場・トレンドの動きを調査し、消費者のニーズや競合他社について分析する仕事です。調査・分析の結果を踏まえて、新商品の開発・既存商品の改善を提案したり、販売計画を立てたりするのもMDの役割といえます。

さらに、広告制作・PRなど、開発した商品の販売プロモーション活動を担当するケースもあるでしょう。MDにはファッションセンスだけでなく、マーケティングから経理までの幅広い知識・経験が必要とされます。

バイヤーとの違い

バイヤーは、店舗で販売する商品の買い付けを専門に担当する仕事です。アパレルだけでなく、さまざまな業界で商品を買い付ける人をバイヤーと呼びます。商品の企画から販売促進まで管理するのがMD、商品を仕入れるのがバイヤーといってよいでしょう。

市場調査・トレンドの分析を行い、自社で扱う商品を選定して買い付けるのがバイヤーの具体的な仕事です。MDが立てた商品企画に基づいて買い付ける場合もあります。

買い付けから販売までのプロセスも担当するため、MDと並んで重要な存在といえるでしょう。中小企業など人手が少ない職場では、バイヤーとMDを兼業しているケースもあります。

MDが意識すべき5つのポイント

アパレル店員

(出典) pixta.jp

MDは、アパレルメーカーの売上に直接影響を及ぼす重要な仕事です。MDが仕事をするにあたって、意識すべきポイントを5つ紹介します。

適切な商品を販売する

何よりも、購買層に合った適切な商品を販売することが重要です。自社の顧客が求める商品を販売しなければ、売上につなげることはできません。

例えば、購買層が20代後半のブランドで、10代向けのカジュアルな商品を開発してしまっては、顧客の求めるものを販売できず顧客離れにつながる可能性があります。

適切な商品を販売するためには、自社の顧客が求めるブランドコンセプト・クオリティを十分に理解し、魅力を感じてもらえるような商品を開発・販売することが必要です。

適切な価格で販売する

商品の価格は、顧客にとって適切な金額を見極めて設定する必要があります。メインターゲットとなる顧客が手を出せないような価格に設定してしまうと、いくら商品に魅力を感じても購入へのハードルが高くなり、売上にはつながりません。

逆に、価格を下げすぎてもブランドイメージを損なうこととなり、顧客離れを引き起こす原因になる可能性もあります。

「品質と価格」「コストと利益」「顧客層と価格帯」のそれぞれのバランスを常に意識し、顧客が手に取りやすくブランドイメージも保てるような価格で販売することが重要です。

適切な数量を販売する

需要と供給のバランスも意識して、適切な数量を生産・販売することが必要です。需要を大きく上回る数量を販売してしまうと、結果的に大量の在庫を抱えることとなり、大きな損失につながります。

例えば、需要が高いと見込まれたアイテムでも、トレンドの移り変わりが早く、予想したほど売れずに残ってしまうケースも少なくありません。

在庫を抱えないように値引きして販売しても、最終的には赤字になったり、ブランドイメージを損なう結果につながったりする可能性があります。商品を企画・開発する際は、需要を的確に予測し、適切な数量を売るための販売計画を立てることが大切です。

適切なタイミングで販売する

商品の売り時を逃さないという点も重要です。MDには、商品の発売時期を決定する役割もあります。

適切なタイミングで商品を販売するためには、季節・トレンド・購買者の心理・経済情勢などを考慮して、発売時期を選定することが必要です。例えば、冬物のコートを販売するなら、需要が高まる頃合いを見計らって市場に出す必要があります。

セール期間など、消費者の購買意欲が高まっているタイミングを把握して、販売スケジュールを調整することも大事です。売り時を見極め、適切なタイミングで販売することによって、売上を拡大していけるでしょう。

適切な場所で販売する

商品を売るのにふさわしい場所を選んで販売促進することも、MDが意識すべき点です。全国展開しているショップの場合、同じ商品でも販売する地域によって売れ行きが異なるケースは少なくありません。

地域・立地によって売れ筋商品が異なる場合は、そのエリアの顧客が求める商品を選定・販売することが必要です。

また、売り場のレイアウトが商品の販売数に影響するケースもあります。地域・店舗・売り場を総合的に考えて、商品を販売するのにふさわしい場所を決めることが肝心です。

MDに求められるスキルとは?

ビジネスミーティング

(出典) pixta.jp

MDの仕事には、どのようなスキルが求められるのでしょうか?代表的なスキルを4つ紹介します。

分析力

MDには分析力が求められます。分析力には「トレンドを分析するスキル」と、販売データなどの「数字を分析するスキル」の2種類が必要です。

トレンドの分析では、市場の動向・トレンドを把握し、次に流行する可能性のあるアイテム・スタイルを予測します。次のシーズンのテーマ・コンセプトを決めるためにも、トレンドの分析は重要です。

数字の分析では、売上データなどに基づき、商品の選定・仕入れの数量などを計画します。追加で商品を仕入れる際にも、過去の売上データの分析から、どのくらい仕入れれば売り切れるかといった予測を立てていきます。

企画力

商品の企画から担当するMDにとって、企画力は必須です。シーズンごとにブランドのテーマ・販売する商品を提案しつつ、営業担当者・上層部などと話し合い、企画全体をまとめていかなければなりません。

会社の利益を生み出す主力商品の企画では、MDが主導権を握っているケースがほとんどです。市場調査の結果を踏まえて、素材の選定から価格まで具体的に決めていきます。

また、バイヤーが仕入れた商品の販売戦略を練るのもMDの役割です。アパレルメーカーがどのような商品を販売するのかは、MDの企画力によってほぼ決まるといっても過言ではないでしょう。

マネジメント力

MDには、経営に関する総合的なマネジメント力が必要とされます。商品開発・仕入れだけでなく、生産・販売の計画もMDの仕事です。商品を生産し販売を開始した後も、売上予測・販売促進計画を立てていきます。

MDは、最終的に企業の利益を拡大することを期待されている重要な役割です。スケジュール管理やチーム内のメンバーへの指導、市場変動に対するリスク管理など、あらゆる工程においてさまざまなマネジメント力が求められます。

コミュニケーションスキル

コミュニケーションスキルも、MDにとって欠かせないスキルの1つです。企画した商品が販売に至るまでには、社内外を含めて数多くの関係者と連携しなければなりません。

社内ではデザイナー・営業と商品について打ち合わせたり、上層部へ報告・プレゼンテーションを行ったりする必要があります。販売計画が決まれば、店舗のスタッフなどにも伝えなければなりません。

取引先への値段交渉や、納期・品質の指示などのやりとりもMDが担当します。業務を滞りなく進めていくために、コミュニケーションスキルは不可欠といってよいでしょう。

MDのやりがいは?

アパレル業界の女性

(出典) pixta.jp

アパレルメーカーにとって重要な役割を果たすMDは、やりがいも感じられる仕事です。MDのやりがいを2つ紹介します。

アイデアを形にできる

アイデアを商品という形にして販売できるのが、MDにとっての大きなやりがいといえるでしょう。MDは商品の企画・開発に携わり、市場に受け入れられる魅力的な商品を生み出す役割を果たす仕事です。

商品の企画・開発に関わる中で、自分の考えやセンスを生かしたコンセプト・デザインを提案し、商品化されるケースもあります。MDの仕事の中でも、特にこのようなクリエイティブな部分にやりがいを感じる人は多いでしょう。

自分のアイデアから商品化されたアイテムが多くの人に受け入れられ、会社の売上にも貢献できたときには、さらに大きなやりがいを得られます。

トレンド作りに関われる

ファッション業界のトレンド作りに関われるのも、MDの仕事で得られるやりがいの1つです。ファッション・アパレル業界においてトレンドは重要な要素であり、トレンドを正しく捉えることによって、顧客から愛される魅力的な商品を提供できます。

MDは、市場の動向などを分析しながら商品を企画するので、常に最新のトレンドに触れている仕事です。

自社が次のトレンドを作りファッション業界に影響を与える場合もあるため、ファッション・アパレルが好きな人にとっては大きなやりがいになるでしょう。

MDはアパレルメーカーにとって重要な仕事

アパレル業界の打ち合わせ

(出典) pixta.jp

MDは、アパレルメーカーの存続にとって重要な役割を果たす仕事です。アパレルメーカーが売上を拡大するには、市場の動向・顧客のニーズを分析し、トレンドが反映された商品を企画・開発しなければなりません。

また、需要と供給のバランスを取りながら商品の販売計画を立て、企業の売上・利益を最大化していく必要もあります。アパレルメーカーが市場競争に勝ち抜くためには、MDの的確な判断・マネジメントスキルが不可欠です。

MDになるには、ファッションブランド・百貨店などの店舗で経験を積むことが必須です。販売員として就職し、優秀な実績を残すことで、MDに抜擢される可能性もあります。

「スタンバイ」は、アパレルメーカー・ファッションブランドの求人も豊富です。ファッション業界で経験を積み、MDへの道を目指しましょう。

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