ケースワーカーとはどんな仕事?種類や勤務先、必要な資格なども紹介

ケースワーカーになりたいと考えているのなら、どのような仕事なのかを理解しておくのがおすすめです。転職後の自分の姿をイメージでき、目指す際の計画を立てやすいでしょう。ケースワーカーの仕事内容や勤務先、必要な資格について解説します。

ケースワーカーとは?

相談員の女性

(出典) pixta.jp

ケースワーカーは、どのような仕事をする人なのでしょうか。ソーシャルワーカーとの違いや、社会的なニーズも合わせて見ていきましょう。

困難を抱える人を支援する仕事

ケースワーカーとは、病気・障害・貧困などを抱えている当事者や家族の相談を受け、支援する職業のことです。厳密には自治体が運営する福祉事務所や児童相談所の職員を指す言葉で、家族相談員や生活相談員などと呼ばれることもあります。

似ている言葉としてよく使われるソーシャルワーカーは、社会福祉士などの国家資格を有する人や、病院・介護施設・福祉施設など民間で相談・支援業務に携わる人を指します。

役割の違いは特になく、民間の職員をケースワーカーと呼ぶことも珍しくありません。ケースワーカーは、ソーシャルワーカーの1種と考えてよいでしょう。

ニーズが高まるケースワーカー

ケースワーカーのニーズが近年高まっている背景には、高齢化による高齢者世帯の増加や生活保護世帯の増加があります。ライフスタイルが多様化し、社会が複雑化していることも一因です。

高齢者が増えると病気や障害に関する悩みが増え、生活困窮者が増えると生活保護に関する相談が増えます。また、社会が複雑化すると依頼者の属性や悩みの種類も多様化します。

これらの問題は今後ますます大きくなることが予想されますから、社会がケースワーカーを求めている状況といってもよいでしょう。このため経験豊富なケースワーカーを1人でも多く増やし、さまざまな問題に対し社会として柔軟に対応できる体制を整える必要があるのです。

ケースワーカーの仕事内容

高齢者と面談する女性

(出典) pixta.jp

ケースワーカーの主な仕事は、依頼者との面談を通して支援を検討することと、支援活動を実施することの2つです。それぞれの具体的な内容を見ていきましょう。

面談をして支援を検討

ケースワーカーの仕事は、相談に来た依頼者との面談から始まります。社会的な困難を抱える人の悩み事を聞き、まずはその人に支援が必要かどうかを、判断しなければなりません。

例えば生活保護の受給相談で福祉事務所に来た人に対しては、収入・資産・家庭環境・健康状態などについて詳しい調査が必要です。本人の家族にも、経済的な援助ができるかどうかの問い合わせを実施します。

支援が必要と判断された場合は、具体的な支援策を検討します。依頼者の状況に合わせた支援計画を作成し、福祉機関との調整等を行うのも、ケースワーカーの重要な仕事です。

支援活動を実施

支援内容が決まったら、支援機関や制度を活用して、実際の支援活動を開始します。生活困窮者なら生活保護や貸し付け、高齢者の場合は施設や福祉サービスを利用することになるでしょう。

支援活動が開始された後も、ケースワーカーは状況を確認する必要があります。例えば生活保護受給者に対しては、定期的な家庭訪問や収入・健康状態の確認を行わなければなりません。

面接記録の整理や報告書の作成など、各種事務仕事もこなす必要があります。支援の内容を変更する場合は、変更手続きもケースワーカーが行います。

ケースワーカーの勤務先

医療事務の女性

(出典) pixta.jp

ケースワーカーは主に公的機関で働きますが、民間の施設で働くこともあります。ケースワーカーの主な勤務先と役割を把握しましょう。

福祉事務所

ケースワーカーの代表的な勤務先は、都道府県や市などに設置が義務付けられている福祉事務所です。地域の状況に応じて、福祉事務所に配置する人数が決められています。

福祉事務所とは、福祉六法と呼ばれる法律で規定されている行政機関です。福祉事務所で働くケースワーカーも、福祉六法に基づいた業務を行います。

老人福祉指導主事や身体障害者福祉司など、福祉事務所には福祉の専門職が在籍しています。こうした専門職や各種支援機関と連携を取りながら、依頼者の問題解決に取り組むのが、福祉事務所で働くケースワーカーの役割です。

参考:福祉事務所 |厚生労働省

医療機関

ケースワーカーは、医療機関や保健所に勤務することもあります。主に医療や介護についての問題解決を図るのが、医療機関や保健所に在籍するケースワーカーの仕事です。

例えば、病院で働く場合は、入院・通院に関する相談や保険の利用方法についてサポートします。患者本人ではなく、家族から相談を受けるケースもあるでしょう。

充実した支援体制を整え、問題を解決するために、医師・介護士・介護支援専門員などと連携を取る必要もあります。外部機関や、各種福祉サービスの活用を検討することも重要な役割です。

児童相談所

児童相談所に勤務する場合は、問題を抱える親子の相談受付・支援業務を行います。非行や不登校、子育ての悩みなど、児童相談所への相談内容はさまざまです。

ケースワーカーは依頼者と面談し、親子にとって最適な支援策を探ります。年齢やきょうだいの有無、通学先はもちろん、それぞれの家族ごとに異なる背景があるため、子どもや親との接し方にも工夫が必要です。

なお児童相談所は、福祉事務所と同じ公的機関です。児童相談所で働きたい場合は、所定の資格を取得したうえで、公務員試験に合格しなければなりません。

介護施設や福祉施設

ケースワーカーは、介護施設や福祉施設で働くことも可能です。主な勤務先には、老人ホーム・老人福祉施設・デイサービス・精神保健福祉センター・障害者就労施設などがあります。

介護施設や福祉施設に勤務する場合は、依頼者やその家族からの相談内容に応じた支援業務を行います。介護サービスの相談・提案やサービス利用者のアセスメント作成、家庭訪問などが代表的な仕事です。

介護施設に勤務すると、介護にかかわる事務作業を任されるケースもあります。入居者の安全をチェックし、問題がある入居者については介護スタッフや看護スタッフと情報を共有することが重要です。

ケースワーカーに必要な資格

資格の勉強をする女性の手元

(出典) pixta.jp

ケースワーカーとして働く場合、勤務先によっては資格が必要になることがあります。持っておくと役立つ資格と併せてチェックしておきましょう。

社会福祉主事任用資格

福祉事務所で働くためには、社会福祉主事の任用資格が必要です。任用資格とは、特定の仕事に就く際に必要な資格のことを指します。

単に取得するだけでは効力を発揮しない点が、任用資格の特徴です。社会福祉主事の任用資格を取得し、公務員試験に合格して福祉事務所に配属されることで、初めて効力を発揮するものです。

社会福祉主事任用資格には、試験がありません。所定の大学や通信教育などの科目を履修すれば、取得できます。社会人が取得する場合は、専門学校や通信教育を利用するのがおすすめです。

参考:ページ8:社会福祉主事について |厚生労働省

社会福祉士

社会福祉士は、身体的・精神的・経済的に問題を抱えた人を支援するのに役立つ国家資格です。社会福祉士の資格を持っていれば、公的機関はもちろん、老人福祉関係施設や社会福祉事務所などさまざまな職場で活躍できます。

民間の求人では、社会福祉士の資格が必須となっているケースもあるほどです。資格不要な求人でも、社会福祉士を持っている人は歓迎されやすいでしょう。

ただし国家試験は年に1回しかないため、計画的に学習することが重要です。社会人が取得する場合は、養成施設を修了し実務経験を経てから試験を受けるのが現実的なルートになります。

参考:社会福祉士・介護福祉士等 |厚生労働省

児童福祉司

児童相談所で働くためには、児童福祉司の資格が必要です。児童福祉司は社会福祉主事と同じ任用資格であるため、取得後公務員試験に合格し、児童相談所に配属されることで名乗れます。

児童福祉司は児童相談所への設置が義務づけられており、5年以上の実務経験を積めば、児童福祉司スーパーバイザーとして他の職員の指導や教育を行えるようになります。

資格取得方法はいくつかありますが、社会福祉士や精神保健福祉士などの国家資格を取得すれば、同時に児童福祉司の任用資格を得ることが可能です。

参考:1.児童福祉司の概要等について | 厚生労働省

ケースワーカーになるには

公務員の女性

(出典) pixta.jp

ケースワーカーの働き方には、公務員として働く形と民間の施設で働く形に大きく分けられます。それぞれのなり方を確認し、自分に合った方法で転職を検討しましょう。

公務員として働く場合

公務員として働くなら、社会福祉主事や児童福祉司の任用資格を取得し、地方公務員試験に合格して福祉事務所または児童相談所に配属される必要があります。

公務員は基本的に土日祝日が休みとなるため、プライベートも重視したい人に向いています。収入・雇用が安定していることや、福利厚生が充実していることもメリットです。

ただし地方公務員は数年おきに異動があることや、ケースワーカーとは無関係な部署に配属されるケースがあることを理解しておきましょう。

民間の施設で働く場合

ケースワーカーの求人は、病院やデイサービス施設、福祉事務所といった民間施設がよく出しています。求められる資格は施設によりさまざまです。

社会福祉士や精神保健福祉士といった国家資格を取得しておけば、転職で有利に働くうえに、収入アップも目指せるでしょう。

ケースワーカーの中には、フリーランスとして働く人もいます。高収入も狙える働き方ですが、フリーランスとして活躍するためには、病院や施設との深いつながりを持つことが重要です。

多くの人を支えるケースワーカー

相談員の女性

(出典) pixta.jp

ケースワーカーは、病気・障害・貧困などを抱える人を支援する仕事です。依頼者と面談して支援を検討し、支援が必要な人には支援活動を実施します。

代表的な勤務先は福祉事務所ですが、児童相談所や、病院・介護施設といった民間の施設でも働けます。子どもに寄り添いたい、病気で困っている人の力になりたいなど、自分の目標に合う働き方を目指すとよいでしょう。

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