准看護師とはどんな仕事?看護師との違いや給料、免許取得までの流れ

准看護師への転職を目指すなら、仕事内容やなり方を理解しておくのがおすすめです。やるべきことや働き方をイメージしやすくなるため、転職活動を進めやすくなるでしょう。准看護師とはどのような仕事なのか、詳しく解説します。

准看護師とは

看護師

(出典) pixta.jp

准看護師になりたい人のために、まずは准看護師の概要について解説します。看護師との違いも押さえておきましょう。

看護や診療をサポートする専門職

准看護師とは、医師や看護師の指示を受けながら、診療や看護をサポートする専門職です。保健師・助産師・看護師と並び、保健師助産師看護師法で定められています。

准看護師になるためには、都道府県知事が発行する免許を取得しなければなりません。准看護師の養成学校で2年間教育を受ければ、免許を取得するための試験に挑戦できます。

准看護師として働ける代表的な場所は、病院・診療所・クリニックです。介護施設や保育園でも働けるため、免許を取得しておけば活躍の幅を広げられます。

参考:保健師助産師看護師法 | e-Gov法令検索

看護師との違い

看護師と准看護師はまったく別の資格です。看護師に正看護師と准看護師が存在するわけではありません。

准看護師と看護師の仕事内容はほとんど同じです。ただし、看護師ができて准看護師にはできない仕事もあります。

准看護師免許は都道府県知事が発行するのに対し、看護師は厚生労働大臣が発行する免許です。免許取得のハードルは看護師の方が高くなります。

看護師になる場合は、実務経験が必要となり高校を卒業しなければ免許試験を受けるための養成学校に入学できません。一方、准看護師免許を受けるための養成学校には、中学卒業後に入学できます。

受験資格を得るまでに必要な最低年数も異なります。准看護師の教育課程は最短2年、看護師の教育課程は最短3年です。

准看護師の給料

給料袋と明細

(出典) pixta.jp

転職を検討する際、給料が気になる人も多いのではないでしょうか。2022年における准看護師と看護師の平均年収を紹介します。

2022年の平均年収は約418万円

2022年における准看護師の平均年収は、厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」のデータを用いて、以下のように計算できます。

  • 29万6,200円×12カ月+62万7,300円=418万1,700円

なお、2022年における看護師の平均年収は以下の通りです。

  • 35万1,600円×12カ月+6万2,100円=508万1,300円

看護師の平均年収は、准看護師より90万円ほど高くなっています。

※平均年収は「きまって支給する現金給与額×12カ月+年間賞与その他特別給与額」で計算

参考:賃金構造基本統計調査 / 令和4年賃金構造基本統計調査(順次掲載予定) 一般労働者 職種(エクセル内) | 厚生労働省

准看護師の仕事内容

患者の手を取る看護師の女性

(出典) pixta.jp

准看護師と看護師の仕事内容はほとんど変わりませんが、准看護師には認められていない仕事もあります。准看護師ができることとできないことを確認しましょう。

准看護師ができること

准看護師は看護に関するさまざまな業務に従事します。准看護師の主な仕事内容は、次の通りです。

  • 注射・点滴・採血
  • 血圧や体温のバイタルチェック
  • 手術・診療の補助
  • 食事・排せつ・入浴の介助
  • 体位変換
  • カルテの記入
  • カンファレンスへの参加
  • 夜勤巡回
  • 患者の移送

看護師と准看護師の仕事内容に大きな違いはありません。上記の業務は看護師も行うため、准看護師は看護師と同等の業務スキルを身に付ける必要があります。

ただし、准看護師がこれらの業務を行う際には、医師や看護師の指示を受けなければなりません。

准看護師ができないこと

准看護師は、自らの判断で業務を行うことが認められていません。どのような仕事を行うにしても、医師・看護師の指示の下で動く必要があります。

何かしてほしいことを患者からお願いされた場合も、准看護師は指示を受けるまで動けないのです。業務効率の面では、看護師に比べて准看護師の方が劣ります。

准看護師ができないことの1つに、看護師に指示を出すことも挙げられます。経験豊富な准看護師が新人の看護師に指示を出したくても、立場上はできないのです。

また、看護師は患者の看護計画を立案できますが、准看護師は看護計画を立案できません。准看護師の養成課程では看護計画の立案を学ばないためです。

准看護師が働ける場所

医療機関

(出典) pixta.jp

准看護師の大半は、病院・診療所・クリニックで働いています。それに加えて、介護施設や保育園で働ける点も覚えておきましょう。

病院・診療所・クリニック

病院勤務は外来勤務と病棟勤務に大きく分けられます。外来勤務では基本的に夜勤はありませんが、病棟勤務では夜勤があるため、給料アップを図ることが可能です。

診療所やクリニックでは基本的に外来勤務となり、夜勤業務はありません。休日も固定されているケースが多く、仕事とプライベートを両立しやすいでしょう。

病院は看護師の自立を求めているケースが多いため、指示がなければ動けない准看護師の求人を出していない場合もあります。一方、診療所やクリニックは医師からの指示を直接仰ぎやすいため、准看護師の求人が病院より多い傾向があります。

介護施設

病院・診療所・クリニックに勤務しない大半の准看護師は、介護施設で働いています。医師や看護師の指示を受けて利用者の健康管理を行うのが、介護施設に勤務する准看護師の主な仕事です。

施設によっては通常の看護業務以外に、介護スタッフと協力して介護の仕事を行うケースもあります。オンコール対応や夜勤業務をしなければならない場合もあるでしょう。

社会の高齢化により介護施設は増えており、准看護師を求めている施設も少なくありません。働き方や仕事内容は施設ごとに大きく異なるため、求人票や面接で詳細を確認しましょう。

保育園

保育園に勤務する准看護師の主な仕事は、園児の健康管理です。日々の業務として検温・体調確認・与薬・保健指導などを行うほか、保育の補助として内科・歯科検診の診察補助や身体測定も行います。

乳児が4人以上いる保育園では、以前までは保健師または看護師が1人まで保育士と見なされることになっていました。しかし2015年4月からは、准看護師も保育士として見なされるように変更されています。

准看護師が保育園で働く場合、園によっては仕事のほとんどを保育業務で占めるケースもあります。働き方が気になる場合は、具体的な業務内容を事前に確かめておくとよいでしょう。

参考:・保育所等における准看護師の配置に係る特例について(通知)(◆平成27年03月31日雇児発第331017号)

准看護師の魅力

看護師の女性

(出典) pixta.jp

准看護師の免許を取得するメリットを紹介します。短期間で免許を取得できる点や、同年内に複数回受験できる点も覚えておきましょう。

転職に困りにくい

病院・診療所・クリニックでは、看護師や准看護師が慢性的に不足しています。准看護師の免許を持っていれば、基本的には仕事探しで困ることはないでしょう。

介護の現場でも同様に、人材不足が深刻な問題となっています。医療機関や介護施設で働く人は生活が不規則になりやすく、欠員が出やすいことも転職に困りにくい理由の1つです。

また、准看護師の仕事は景気や社会情勢の影響をあまり受けません。長期にわたり安定した収入を得やすいことも、准看護師として働くメリットです。

短期間での免許取得が可能

准看護師の免許取得までの期間は最短で2年です。看護師になるためには、養成所で最低3年間基礎教育を受けなければならないため、准看護師の方が早く免許を取得できます。期間が短い分、免許取得までの費用も安く抑えられます。

養成所の通学スタイルを2パターンから選べる点も、准看護師の特徴です。朝から夕方まで授業を受ける全日制と、夜間に授業を受ける定時制が用意されているため、自分に合ったスタイルで通えます。

養成所の入学試験の難易度は中学卒業レベルです。働きながら准看護師を目指す場合は、定時制の通学スタイルを選択すれば、無理なく養成所に通えるでしょう。

同年内に複数回受験できる

看護師試験は年1回、全国の試験会場で同一日に実施されます。一方、准看護師試験は各都道府県で年1回実施されますが、全ての都道府県の試験が同一日に行われるわけではありません。

仮に不合格になったとしても、別の日に実施されている他の都道府県の試験を受けられるため、同年内に複数回受験できることになります。

なお、准看護師試験は難易度が低く、2022年度の合格率は97.9%です。事前にしっかりと勉強しておけば、不合格になる可能性は低いでしょう。

参考:令和4年度准看護師試験の実施状況を公表します

准看護師になるには

勉強をする女性

(出典) pixta.jp

准看護師になるためには、各都道府県で実施される試験に合格しなければなりません。試験の概要と免許取得までの大まかな流れを解説します。

准看護師は都道府県知事発行の免許

准看護師試験は2月上旬から中旬にかけて、各都道府県で年1回実施されます。合格発表の時期は3月上旬から中旬です。

試験を受けるためには、各都道府県知事の認定を受けなければなりません。

東京都の場合は、5月1日から9月30日までの間に、本人持参による書類申請を行う必要があります。認定審査を通過したら、11月ごろに認定書が交付されます。12月ごろには願書の提出が必要です。

参考:東京都准看護師試験 東京都福祉保健局

免許取得までの流れ

准看護師免許の取得ルートには、中学卒業ルートと高校卒業ルートの2種類があります。

中学卒業ルートの場合、准看護師の養成所(2年制)または高校の衛生看護科(3年制)を修了すれば、准看護師試験を受けることが可能です。高校卒業ルートの場合は、准看護師養成所(2年制)の課程を修了後に受験できます。

社会人が准看護師への転職を目指すなら、准看護師養成所に入学し、2年の課程を修了して免許試験を受けるのが一般的なルートです。

なお、高校卒業ルートで准看護師免許を取得した場合は、実務経験なしで看護師養成所への入学資格を得られます。一方、中学卒業ルートで准看護師免許を取得した人は、看護師養成所への入学資格を得るために、一定期間の実務経験が必要です。

准看護師を目指すなら仕事を理解しよう

男女の看護師

(出典) pixta.jp

准看護師は診療や看護をサポートする専門職です。業務内容は看護師とほとんど同じですが、看護師への指示や看護計画の立案など、准看護師にはできない仕事もあります。

准看護師が活躍できる主な職場は医療機関や介護施設です。准看護師になるためには免許を取得する必要があるため、転職を目指すならまずは養成所に入学しましょう。

准看護師の免許を取得した後は、スタンバイで仕事を探すのがおすすめです。豊富な求人が掲載されているため、医療機関や介護施設の求人がすぐに見つかるでしょう。

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