臨床検査技師とは?仕事内容ややりがい、なるためのルートを解説

医師の診療に伴い、さまざまな検査を行う臨床検査技師は、医療現場に欠かせない職種です。具体的な仕事内容や向いている人の特徴、臨床検査技師になるためのルートなどを解説します。医療分野への転職を考えている人は参考にしてみましょう。

臨床検査技師とは?

臨床検査

(出典) pixta.jp

臨床検査技師は医師の指示に従い、患者の血液や尿の検査、心電図の検査などを行う仕事です。まずはどういった仕事なのか、概要を押さえておきましょう。

病気の診断や治療に必要な検査を行う職業

医療現場において、医師のもとで必要な臨床検査を担当する専門家が、臨床検査技師と呼ばれます。患者の病気の診断や必要な治療を明らかにするため、さまざまな検査を行うのが仕事であり、検査の結果をもとに医師が患者の健康状態を評価します。

病院に行くと、看護師に病状を伝えて医師の診察を受けるのが一般的なので、医療分野に関わる人でなければ、臨床検査技師について知らないケースは珍しくありません。

しかし、血液検査や心電図を取る際などには臨床検査技師が担当する場合が多いので、病院で一度は顔を合わせたことのある人は多いでしょう。

臨床検査技師のやりがい

臨床検査技師は患者の検査を通じて、病気の治療に貢献できます。実際に医療行為を担当するのは医師ですが、臨床検査技師による検査がなければ、患者の状態を正確に把握することはできません。

検査を通じて、医師が適切な治療を行うために必要な情報を提供することで、多くの人の健康に寄与できるのが魅力です。

医師や看護師と比べて患者とじかに接する機会は多くないものの、患者によっては病気の早期発見にもつながるので、やりがいのある仕事といえるでしょう。患者から感謝の言葉を直接もらえる機会もあります。

臨床検査技師の仕事内容

臨床検査

(出典) pixta.jp

臨床検査技師の具体的な仕事内容は以下の通りです。その名の通り「臨床検査」を実施するのが業務ですが、情報をまとめて医師に報告するのも大事な仕事といえます。具体的に確認しましょう。

検体検査

臨床検査技師の仕事には、大きく分けて検体検査と後述する生理機能検査があり、これらがまとめて臨床検査と呼ばれています。検体検査は患者の血液や尿などを採取して、細菌やウイルスの存在を確認するもので、病気の原因を導き出すのに役立ちます。

つまり、患者の体から組織の一部を取り出して検査をすることで、病気の原因となる微生物を探し出すアプローチです。さらに、血液中の酵素や脂質などを分析し、健康状態を探る意味も持っています。

近年は、遺伝子の領域にまで踏み込んで調べる方法も徐々に広まっています。

生理機能検査(生体検査)

生理機能検査(生体検査)とは、患者の人体の生理機能や生体反応を確認するための検査です。具体的には患者の脳波や心電図などを確認し、体の状態を計測してデータを取ります。

患者の症状により実施される検査は異なりますが、設備の整った規模の大きな病院では、より専門的で緻密な検査が可能です。

大病院には複数の臨床検査技師が勤務しており、それぞれの専門領域が分かれているケースも珍しくありません。一方、規模の小さい病院の場合、1人の臨床検査技師が複数の検査を掛け持ちで担当する場合もあります。

検査に必要な機器の準備やメンテナンス、検査結果の報告書の作成なども、臨床検査技師が担当する重要な仕事です。

臨床検査技師に向いている人

研究者

(出典) pixta.jp

臨床検査技師として活躍するには、以下の資質を備えていることが望ましいといえます。医療分野への興味はもちろん、医師や看護師と日常的に協力体制を構築する必要があるので、コミュニケーション能力や協調性も求められます。

手先が器用で地道な作業ができる

臨床検査技師には、検査機器の取り扱いはもちろん、血液塗抹標本や病理標本の作製、検査で使用するピペットの操作など、多くの細かい作業が求められます。

作業自体は機械化・自動化が進んでいる側面もあるものの、採血を担当するケースもあるので、ある程度は手先の器用さが求められるでしょう。また、細かい作業も多いため、黙々と作業を行うのが苦ではない人にも向いています。

医学や科学に対しての探求心がある

医療分野は常に技術が進歩する世界であり、さらに臨床検査技師はさまざまな検査機器を取り扱う必要があります。そのため、新しい知識や技術、科学に対して探究心のある人が活躍しやすい傾向にあります。

国家資格であるため、臨床検査技師になるには、まず資格の取得を目指さなければいけませんが、資格の取得後も継続して技術を積極的に身に付けることが重要です。

さらに、臨床検査技師で目指す人が多い認定資格もあるので、常に新たな知識の獲得を目指す気質のある人に向いているでしょう。

コミュニケーション能力や協調性がある

生体検査の際に患者と接する機会もあるため、臨床検査技師にはコミュニケーション能力も必要です。検査の際に不安を抱く患者もいるので、うまく意思疎通を図りながら、リラックスして検査に臨んでもらえるように配慮しなければいけません。

また、医師や看護師に加えて、臨床検査技師がチームを組んで治療方針を決定するため、協調性も求められます。互いに理解し合いながら、正確に検査を進められる人が向いています。

臨床検査技師になるには

資格の勉強をする女性

(出典) pixta.jp

臨床検査技師になるには、まずは資格の取得を目指す必要があります。国家試験の概要や受験資格について押さえておきましょう。

臨床検査技師国家試験に合格する

臨床検査技師国家試験は毎年1回、2月に実施されるので、臨床検査技師として仕事をするならば、試験の合格を目指しましょう。

試験の実施場所は東京都と大阪府を中心に、愛知県や広島県、北海道など9都市です。問題数は全部で200問あり、120点以上取れれば合格とされます。

医用工学の分野をはじめ、公衆衛生学や臨床生理学、臨床血液学などの分野から出題されるので、しっかり準備して試験に臨む必要があります。具体的な試験期日や詳しい試験分野は、厚生労働省のWebサイトを確認しましょう。

臨床検査技師国家試験の施行|厚生労働省

臨床検査技師国家試験の受験資格

臨床検査技師の国家試験を受けるには、以下の条件のいずれかを満たしていなければいけません。

  • 大学や短大、専門学校などの臨床検査技師養成所で、所定の専門課程を修了している
  • 大学で医学あるいは歯学の課程を修めて卒業している
  • 大学で獣医学・薬学・保健衛生学の課程を修了し、臨床検査技師の養成学校で所定の科目を修了する

臨床検査技師の養成校か、大学などで医学・歯学分野の課程を修了する必要があります。現時点でいずれにも該当していない場合は、まずは受験資格を取得することを考えましょう。

参考:臨床検査技師 - 職業詳細|job tag(職業情報提供サイト)

臨床検査技師が活躍する職場

病院をはじめ、各地の診療所や健診センター、臨床検査センターなど、臨床検査技師が活躍できるフィールドは多岐にわたります。さらに製薬会社、医療機器メーカーなどで仕事をしている人もいます。

特に病院では必ず臨床検査技師が求められるので、資格を有していれば転職はしやすいでしょう。勤務形態は勤め先によって異なるので、転職する際には、自分に合った職場を慎重に選択することが大事です。

医療の現場を支える臨床検査技師

研究室

(出典) pixta.jp

患者の血液検査や心電図をとるなど、さまざまな検査を担う臨床検査技師は、医療現場に欠かせない職種です。

病院や診療所、製薬会社など、多分野で活躍できますが、まずは国家資格の取得を目指さなければいけません。これから目指す人は受験資格を確認した上で、目指すべきルートを選択しましょう。

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