公認心理師とは?臨床心理士との違いや主な仕事内容、必要なスキル

公認心理師は、心理職のスペシャリストとしてさまざまな業務に携わります。資格を取得して転職しようと考えているなら、仕事内容や活躍する主な職場をチェックしておきましょう。資格を取得するための主なルートについても解説します。

公認心理師とはどのような職?

女性医師と患者

(出典) pixta.jp

国家資格を有する心理職の専門家として、公認心理師はさまざまな仕事に携わります。主な仕事内容を知り、自分が思い描いているキャリアプランに合致しているか検討しましょう。

2023年時点で唯一の心理職向け国家資格

公認心理師は、日本における心理職に関する唯一の国家資格で、2017年に制定されました。新たに資格を取得するには、一定の学歴と実務経験、心理学に関する深い知識が求められます。

日々の学習と実務経験を通じて培った知識・スキル・経験を生かして、心理面に問題を抱えるクライエントをサポートする仕事です。国家資格を有する心理職として、高い専門性と十分な知識が求められる職種といえます。

参考:公認心理師 |厚生労働省

心理職として広範な業務に携わる

公認心理師は心理学のエキスパートとして、以下のような業務に携わります。

  • クライエントの心理状態を把握するために観察する
  • 観察によって得られた結果を分析して状態を見極める
  • 心理面に関する相談を担当し、指導・助言などのサポートを行う
  • メンタルケアに関する教育・情報提供活動に携わる

心理アセスメントやサポートを通じてクライエントの心理面に向き合うだけではなく、教育・情報提供も担当するのが、公認心理師の特徴です。

公認心理師と混同しやすい職種

カルテを持っている白衣の女性

(出典) pixta.jp

同じ心理職の専門家で公認心理師と混同しやすい職に、認定心理士と臨床心理士があります。それぞれが担当する領域には、公認心理師と共通する部分と相違する部分があるため、ここでチェックしておきましょう。

認定心理士

心理職向けに設定されている資格の中で、登竜門として位置付けられているのが認定心理士です。認定心理士資格を取得することで、心理学の基本をマスターしていることを証明できますが、心理職の専門家として働くためには不十分といえます。

資格を取得するには、大学で心理学に関する所定のカリキュラムを修了する必要があるため、大学を卒業して最初に取得する資格としておすすめです。

ただし、認定心理士の資格だけでは心理職としてのキャリアアップにつなげにくいため、さらに勉強を重ねて公認心理師資格の取得を目指すとよいでしょう。

臨床心理士

臨床心理士の資格を取得するには、大学を卒業してから指定大学院に進学し、臨床心理学に関するより深い知識を学ぶ必要があります。

実務においては、公認心理師と同様にカウンセリングを通じてクライエントの心理状態を知り、必要なサポートを提供します。上記に加えて、臨床心理学に関する調査・研究を担当するのが臨床心理士の特徴です。

公認心理師が教育・情報提供活動に携わる仕事、臨床心理士が調査・研究に携わる仕事と考えるとイメージしやすいでしょう。

公認心理師資格を取得する主なルート

資格の勉強

(出典) pixta.jp

これから公認心理師の資格を取得しようと考えている場合、取得までのルートはいくつかあります。中でも主流といえるのが、以下で紹介する2パターンです。どちらのルートが適しているかは人によって異なるため、自分の状況に合った方を選びましょう。

大学を卒業して2年以上の実務経験を積む

公認心理師試験の受験資格を取得するルートの1つが、大学で心理学に関する所定科目を修めてから、2年以上の実務経験を積む方法です。実務経験の対象になる指定施設は公認心理師法によって少年鑑別所や指定医療機関など9施設に定められています。

参考:公認心理師法 | e-Gov法令検索

大学院で必要な科目を履修する

実務経験の有無を問わず、公認心理師を目指せるルートもあります。代表的な方法は、大学で心理学に関する所定のカリキュラムを修めた後に大学院に進学するというものです。

大学院で心理学に関する所定の10科目を修了すると、受験資格を得られます。大学院修了後に公認心理師試験を受験して合格し、登録すれば公認心理師として活動できるでしょう。

大学卒業後もさらに学習を続け、高度な専門知識を習得した上で公認心理師を目指したい人におすすめのルートです。

参考: 厚生労働省 令和2年度障害者総合福祉推進事業 公認心理師の活動状況等に関する調査

公認心理師が求められている職場

カウンセリング

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保健医療分野や福祉分野・教育分野をはじめとした多種多様な職場で、公認心理師が活躍しています。公認心理師資格取得後の就職先候補になる、3つの分野を紹介します。

医療機関・保健所のカウンセラー

2021年3月に日本公認心理師協会が発表した「公認心理師の活動状況等に関する調査」によると、約30%の公認心理師が保険医療分野で活躍しています。この分野への就職を目指す場合は、精神科や診療内科を置いている病院やクリニック・保健所などが検討の対象になるでしょう。

主な仕事内容は、精神面に問題を抱えた患者のカウンセリングを担当し、状況に応じて適切なアドバイスを与えたり支援したりすることです。心理職と聞いてイメージする仕事内容に近いといえるでしょう。

参考:公認心理師の活動状況等に関する調査|一般社団法人 日本公認心理師協会

教育機関のスクールカウンセラー

学校や教育委員会など、教育機関で働く公認心理師も多数存在します。教育分野で活躍している人の割合は約29%で、保険分野に次いで多いのが特徴です。

教育分野への就職を目指す場合、スクールカウンセラーがメインの選択肢といえます。スクールカウンセラーは、いじめや不登校といった学校でありがちな問題に対処するのが主な仕事です。

精神面に不調を抱えた生徒だけでなく、保護者や教職員のメンタルケアを担当する場合もあります。

児童福祉施設・障害者福祉施設のカウンセラー

公認心理師の約21%は、福祉分野で活躍しています。福祉分野を目指すのであれば、児童福祉施設や児童相談所・精神保健福祉センターなどを就職先として選ぶことになるでしょう。

児童福祉施設や老人福祉施設で働く場合は、入所者のメンタルケアを担当します。児童相談所では何らかの問題を抱えた地域住民からの相談を受けたり、犯罪被害者をサポートしたりすることもあります。

公認心理師として働く上で求められるスキル

白衣姿の女性

(出典) pixta.jp

カウンセリングや教育活動など、公認心理師としての職務を果たすには、心理職の専門家としての十分なスキルが求められます。実務で求められる主なスキルを2つ見ていきましょう。

心理アセスメントに関連するスキル

クライエントが抱えている心理面の問題を可視化し、適切な助言を与えるには、心理アセスメントを適切に行うスキルが欠かせません。クライエントの心理状態を正しく把握して必要な援助を与えるスキル全般を指し、具体的には以下が含まれます。

  • 面談を通じて心理状態を把握するスキル
  • 挙動を観察して真意や問題を推測するスキル
  • 知りたいことに応じて適切な検査手法を用いるスキル
  • 検査で得たデータを分析するスキル

知りたいことに応じた適切な手法を用いてクライエントの心理にアプローチしなければならないため、さまざまな技法に精通していなければなりません。

カウンセリングを効果的に行うスキル

どのような分野に携わるにしても、公認心理師として重要な仕事の1つがカウンセリングです。そのため、カウンセリングを通じてクライエントの心理状態をつかむためのスキルが求められます。具体的なスキルの一例は以下の通りです。

  • 相手の発言から真意をくみ取るヒアリングスキル
  • 適切な助言を与える提案スキル
  • 知りたいことを引き出すための質問スキル

カウンセリングには上記に掲載したもの以外にも、複数のスキルが求められます。いずれもすぐに習得できるものではないため、日々トレーニングを重ねてスキルアップに励みましょう。

公認心理師は心理に関する専門職

カウンセリング

(出典) pixta.jp

公認心理師は心理職向けとして唯一の国家資格です。実務では保健医療分野・教育分野・福祉分野など、さまざまな場所でカウンセラーとして働くのがメインになるでしょう。

それだけでなく、メンタルケアに関する教育・情報開示活動に携わる場合もあります。多くの場面で活躍するため、メンタルケアのスペシャリストとしてキャリアアップするのにおすすめの資格です。

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