養護教諭とはどんな仕事?仕事内容や向いている人、なる方法を紹介

学校の保健室で「保健の先生」と呼ばれて生徒に対応するのは養護教諭です。養護教諭になるには、資格やスキルが必要なのでしょうか?目指すための方法や仕事内容、向いている人の特徴を紹介します。主な勤務先についても確認しましょう。

養護教諭とは

保健室

(出典) pixta.jp

学校には生徒の授業を担当する教諭以外に、特定の目的・役割を持った教諭がいます。一般の教員とは何が違うのでしょうか?養護教諭の役割と特徴を紹介します。

保健室に常駐する「保健の先生」

学校の保健室に常駐し、生徒に対応する教諭が養護教諭です。保健の分野に特化し、応急処置や判断、心身のサポートを行います。

基本的には保健室での待機や学校保健に関する仕事を担当しますが、保健の授業を兼務する教諭がいるのも特徴です。一般の教諭とは担当範囲が異なりますが、保健分野の専門家として学校内でリーダーシップを発揮します。

一般の教員免許と養護教諭の免許は異なるものです。専門的な知識を学び、免許を得ている人のみが養護教諭として働けます。

養護教諭の役割

保健室にはけがや病気で訪れる生徒が多く、保健の知識を生かして対応するのが養護教諭の主な役割です。休息が必要であれば保健室のベッドで休ませ、受診や帰宅の必要性についても判断します。

保健室で対応するのは、身体面のトラブルだけではありません。メンタルヘルスの問題や、友人・家族・担任の先生に相談しにくい内容に対応するなど、生徒の心のケアも求められます。

学校での人間関係のトラブルや家庭でのストレスなど、生徒のさまざまな訴えに耳を傾けるのも仕事です。

近年では臨床心理学の知見を持つ「スクールカウンセラー」が学校に配置されているケースも多く、専門家と連携して心のケアを担うのが一般的でしょう。

参考:2スクールカウンセラーについて:文部科学省

養護教諭の仕事内容

けがの治療

(出典) pixta.jp

学校の保健室には、主にどのような仕事があるのでしょうか?養護教諭が携わる仕事内容と、特徴を解説します。

けがや体調不良に対する応急処置

学校内でけがをした生徒や、病気で体調が悪い生徒は保健室を訪れます。明らかな大けがや重篤な病気であれば、救急車が到着するまでの応急処置を任されるケースもあるでしょう。

ほとんどの場合は、すり傷・切り傷の処置や、貧血・突発的な発熱などで体調不良を起こした生徒を休息させるなど、簡単な医療判断を行います。

養護教諭は医師ではないため、状況に応じて病院への通院について判断が必要です。自身の判断や家族の了承に応じて、生徒の通院に付き添う場合もあります。

学校内での健康診断

学校内で行われる健康診断のスケジュール設定や準備は、養護教諭の仕事です。提携している医療機関や医師と連携し、日程調整を行います。健康診断のお知らせや問診票の配布など、必要事項の周知も行わなければなりません。

健康診断の当日は、医師・看護師のサポート役として付き添うケースも多いでしょう。書類の記入や生徒の誘導、トラブル時の対応など、細かい仕事を任されます。

健康診断で問題があった生徒に対しては、健康相談の実施や経過観察を担当することになるでしょう。

保健指導や健康相談

学校内での感染症対策や熱中症予防などの保健指導を行うのも、役割の1つです。手洗い・うがいの推奨、流行の兆候を見せている感染症に対する注意喚起など、生徒の心身を守るため、校内の掲示や各教諭への伝達を担当します。

本人や他の教員からの申し出があれば、該当する生徒の体調に関する相談に乗り、アドバイスを行うのも養護教諭ならではの仕事です。自分では判断が難しい場合には、適切な医療機関や専門家へつなげ、体調悪化の予防に努めます。

養護教諭に向いている人

保健室

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保健室で子どもと向き合うには、教諭としての適性が求められます。目指すにあたって持っておきたい資質を確認しましょう。資格やスキル以外で、養護教諭に向いている人の特徴を紹介します。

子どもの気持ちに寄り添える

生徒と接する機会が多く、体やメンタルのケアを担当する養護教諭には、子どもの気持ちを理解し、寄り添う能力が求められます。

体や心の悩みを打ち明けてもらうには、普段から生徒に信頼されるよう心掛けなければなりません。何かあれば話を聞くという姿勢を見せ、コミュニケーションを取る力も必要になるでしょう。

大人であれば気にならないような内容であっても、思春期の子どもにとっては重大な悩みであるケースもあります。子どもの意思や心情をくみ取り、適切な回答ができるかという点もポイントです。

適切な応急処置が行える

学校内でのけが・病気には、近くにいる養護教諭が対応するケースが多くなります。適切な処置や判断をするために、応急処置の知識が求められるでしょう。

一定の知識や資格がなければ養護教諭にはなれませんが、医師や看護師と異なり普段から医療行為に携わるわけではありません。大きなけがや急病であっても慌てない冷静さと、判断力が求められます。

学校での勉強だけで養護教諭になる場合は、応急処置の手順やマニュアルについてしっかり確認する必要があるでしょう。

臨機応変な対応力がある

基本的に、受診や休息の判断をするのは養護教諭です。生徒の様子を見て、臨機応変な対応が求められます。

保健室での手当てだけで問題ないのか、すぐに病院へ向かうべきなのか判断しなければなりません。

年齢が低いほど、けがや体調不良でパニックを起こすなど、応急処置が難しいケースもあります。予想とは異なる反応や出来事があっても、その都度の状況に合わせて対応できるかという点がポイントになるでしょう。

養護教諭になるには

白衣の女性

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養護教諭になるには、他の教諭と同様に免許が必要です。取得方法や、主な勤務先について解説します。これから免許を取得しようと考えている場合は、取得までの年数の把握や、学業と仕事の両立についても検討しなければなりません。

養護教諭免許を取得する

養護教諭として働くには、免許が必要です。文部科学省で定められた大学・短大・養成機関で学び、単位を取得した上で卒業すると免許が交付されます。

保健師・看護師の資格を持っている場合は、状況に応じて必要単位や在籍年数の軽減が可能です。詳しくは免許を受けようとする都道府県の教育委員会や、養護教諭の養成機関へ問い合わせましょう。

大学や養成機関の規程では、保健師・看護師資格を持っている場合に限り、半年から1年の履修で養護教諭の免許を取得できる例が多いようです。

何らかの資格があり、単位の軽減ができる場合を除いて、養護教諭になるには最低2年間は専門の養成施設で学ばなければなりません。

参考:教員免許状に関するQ&A:文部科学省

養護教諭の勤務先

養護教諭の勤務先となるのは、公立学校または私立学校です。小学校・中学校・高等学校・特別支援学校など、保健室を設けている施設が対象になります。

免許を取得後、勤務先となる学校の採用試験を受けましょう。公立学校の場合は都道府県ごとに採用試験があり、採用されると対象エリアの学校に配属されます。

公立学校の採用試験は学科試験・論文提出・面接が一般的です。一般教員の学科試験とは異なり、保健に関する専門分野のテストが中心になります。

私立学校の場合は、求人サイトでも募集を見つけられるでしょう。一般の求人と同様に、採用面接や試験に受かると養護教諭として働けます。公立・私立を問わず、基本的に養護教諭免許は必須です。

参考:実施要綱|採用情報

子どもたちの心身を支える養護教諭

保健室

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養護教諭を目指すには、学校や養成機関に通い免許を取得しなければなりません。看護師・保健師の資格があれば、短期間で養護教諭の免許を取得できます。

公立学校の採用試験か私立学校の求人に応募し、採用されると学校で働けます。スタンバイでは私立学校の養護教諭の求人を探せます。ただし、ほとんどの場合1つの学校に1~2人の採用となり、求人数はそれほど多くありません。

転職の場合は、公立・私立を問わず、中途採用の試験情報や求人が出ていないか頻繁にチェックしましょう。

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