行政書士に向いている人の特徴は?仕事内容や主な転職先を解説

行政書士は独占業務を有する代表的な資格職の1つです。これから行政書士を目指す人に向けて、向いている人の特徴や具体的な仕事内容、転職のポイントなどを解説します。自分に向いた仕事か確認した上で、本格的に資格試験に臨むか検討しましょう。

行政書士に向いている人の特徴は?

書類作成の様子

(出典) pixta.jp

行政書士は官公署への書類の作成をするのが仕事で、独占業務を有する職種でもあります。国家資格であり毎年多くの人が受験しますが、必ずしも行政書士の実務に向いている人ばかりとは限りません。まずは、行政書士に向いている人の特徴を押さえておきましょう。

仕事に責任感を持って臨める

官公署に提出する重要な書類を作成する仕事なので、行政書士には強い責任感が求められます。裁判関連の書類など、クライアントの人生に関わる重要な手続きを代行するケースも多く、相手の話をよく聞いた上で、期限までに該当する書類の作成・提出をしなければいけません。

作成する書類には、とりわけ秘匿性の高い内容が含まれる場合もあるので、万が一にも流出しないように責任を持って管理する必要があります。クライアントの要望を満たせるように、責任を持って仕事をこなす姿勢が重要です。

事務処理能力が高い

さまざまな種類の書類を記入漏れや誤字・脱字がなく、正確かつスムーズに作成する必要がある行政書士は、高い事務処理能力を有する人が向いている仕事です。

クライアントや官公署の事情により、当初のスケジュールが大きく変わる可能性もあり、期限が差し迫っている状況でも、正確さを失わずに処理しなければいけません。

行政書士としての報酬は処理した書類の数で決まるといっても過言ではないため、事務処理能力の高さはそのまま収入に直結します。

その点からも、正確かつスピーディーに書類を処理できる能力を持つ人は、行政書士に向いているといえるでしょう。

勉強熱心で新しい知識を取り入れられる

行政書士には、書類の作成手続きに関するさまざまな知識が必要です。資格の取得にも豊富な知識が求められるため、勉強熱心な人が向いています。

特に、業務に関する法律は改正される可能性があるので、素早く知識をアップデートする勤勉さもなくてはいけません。

業務は法的に認められた範囲に限られるものの、ほかの行政書士にはできない専門的なアドバイスができれば、継続的な案件の獲得にもつながるでしょう。仕事の付加価値を増すためにも、勤勉さは欠かせない素質といえます。

コミュニケーション能力がある

行政書士には高いコミュニケーション能力も求められます。相手の要望を正確に理解し、どういった書類をいつまでに用意しなければならないか把握するのに加えて、クライアントの不安を解消する助言をする必要があるからです。

さらに、なぜその手続きをするのか、クライアント自身は何をすべきなのかを正確に伝えるには、相手の立場で分かりやすく説明する力が欠かせません。

また、独立して活動する場合、案件を取るために自ら営業をしなければならないので、相手と良好な関係を築く能力も必要です。たとえ事務処理能力が高くても、クライアントに信頼されなければ、継続的な仕事の獲得にはつながりません。

行政書士の仕事内容

書類を作成する女性

(出典) pixta.jp

行政書士の具体的な仕事内容も、整理しておきましょう。行政書士の仕事は簡単にいえば、官公署に提出する書類の作成ですが、以下のようにさまざまな書類を担当します。

許認可に関する書類の作成・提出

賃貸借契約や営業の許認可に関する書類の作成と提出、申請などが行政書士の代表的な仕事です。何らかの許認可を得るための書類は1万種類を超えるといわれており、その多くが行政書士の仕事の範囲です。

例えば、建設業者が営業を始める際に必要な建設業許可申請書や、宅地建物取引業や運送業などの事業に関する許認可申請の書類などが挙げられます。これらの書類をクライアントに代わり作成し、しかるべき官公署に提出します。

法人関連の書類の作成・提出

会社の設立手続きやNPO法人の設立・運営に関する業務なども、行政書士の業務領域です。一般的な法人の設立手続きをはじめとして、学校法人や宗教法人・一般社団法人・NPO法人などの設立に関して、書類を作成したり相談に乗ったりするケースもあります。

法人の税務関係は税理士の仕事の範ちゅうですが、取引について記録する帳簿をまとめる業務を、行政書士が担当する場合もあります。

相続関連の書類の作成・提出

遺言書の作成に関する相談を受けたり、相続人の調査をしたりなど、相続に関する業務も少なくありません。従来、相続に関する相談や遺言書の作成支援に関しては、弁護士に依頼する人が多い傾向にありましたが、近年は行政書士に相談を持ちかける人もいます。

遺言書の作成をサポートしつつ、遺産相続権のある者の確認や法定相続人による協議書の作成などを通じて、スムーズに遺産分割が進むように支援します。

行政書士として活動するには?

タイピングする手元

(出典) pixta.jp

行政書士として活動するためには、まず資格の取得を目指す必要があります。行政書士の資格試験の概要とともに、ここで基本的な知識を押さえておきましょう。

まずは資格を取得する

官公署が定める各種書類を作成・提出する行政書士は国家資格であり、仕事を始めるには資格を取得しなければいけません。資格を有していない状態で、行政書士事務所などに転職するのは困難です。

働きながら資格の取得をあっせんしてくれる企業はまず考えられないため、行政書士として転職を考えているなら、先に資格の取得を目指しましょう。

逆に資格があればすぐに働けますので、取得直後に独立開業する人も少なくありません。

行政書士の資格試験について

行政書士の資格試験は年に1度、11月の第2日曜日に実施されています。受験資格に年齢や学歴、国籍などの条件はないため、基本的に誰でも受験が可能です。

試験は大きく分けて、法令に関する知識を問うものと、一般的な知識を問うものに分かれています。前者は基礎的な法学・憲法・民法・行政法・商法などの分野から出題され、後者は政治・経済・情報通信・個人情報保護などの分野に加えて、簡単な文章理解を問うものが出題されます。

特に民法や行政法の問題が大半を占めるので、これらを中心に学習することが大切です。合格基準の一例としては法令科目で122点以上、一般知識で24点以上の取得が必要で、合計で180点以上を取らなければいけません。

参考:令和5年度行政書士試験のご案内 | 行政書士試験研究センター

行政書士の転職のポイント

資料をチェックする男性

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行政書士として転職する場合、以下のように独立開業するか、資格を生かせる企業への就職を考えるのが一般的です。自分に合った道はどれか慎重に判断しましょう。

行政書士は独立開業が多い

行政書士の資格取得後、多くの人が目指すのが独立開業です。実際、資格を取得してすぐに開業する人が多いので、他の資格に比べて転職案件自体が少なめです。資格を生かして転職を考えている人は注意しましょう。

個人開業の場合、当然ながら自分で営業活動する必要があります。行政書士の資格取得者は比較的多いので、営業活動に力を入れなければ、案件獲得は困難でしょう。しっかりと計画を立てて、自分を売り込む姿勢が重要です。

なお会社員として働きながら、副業で行政書士の活動をする人も少なくありません。いきなり独立しても十分な収入があるとは限らないため、まずは副業からスタートすることも検討してみましょう。

行政書士の資格を生かせる転職先は?

行政書士の資格を生かせる転職先としては、既存の行政書士事務所や弁護士事務所などが考えられます。こうした事務所に雇ってもらえれば、行政書士として初めから安定した収入を得られるでしょう。

ただし上記のとおり、弁護士や司法書士などに比べて、行政書士の転職案件は決して多くはありません。独立開業や行政書士事務所への転職が難しい場合は、少し視野を広げ、一般企業の法務部を目指す手もあります。

一般企業の場合は行政書士として雇われるわけではありませんが、法律の知識があるため転職活動を有利に進められるでしょう。

自分が行政書士に向いているか確認しよう

書類作成する女性

(出典) pixta.jp

行政書士に向いている人の特徴や仕事内容、資格試験について解説しました。行政書士はクライアントに代わり、官公署に提出する書類を作成するのが主な仕事です。高い事務処理能力や責任感が求められるので、まずは自分に向いている仕事か考えてみましょう。

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