通関士に将来性はある?活躍できる場所や必須スキル、なり方も紹介

通関士の仕事に興味を持っている人の中には、将来性が気になる人もいるのではないでしょうか。通関士は需要が高い職業であるため、将来性を気にせず転職を目指すとよいでしょう。通関士の将来性や働ける場所、求められる能力を紹介します。

通関士に将来性がある理由

コンサルタントのイメージ

(出典) pixta.jp

通関士は税関に貨物を通すために必要な業務を代行する仕事です。通関士になるためには、国家試験に合格する必要があります。通関士には将来性がないといわれる場合もありますが、通関士は十分に将来性がある仕事です。その主な理由を見ていきましょう。

輸出入の件数が増えている

通関士に将来性がある大きな理由として、輸出入の件数が増加中である点が挙げられます。通関士は輸出入に関する税関への申告業務を担うため、輸出入の件数の増加は通関士の将来性の高さにつながります。

財務省が公表する貿易統計では、年別輸出入総額を把握することが可能です。近年のグローバル化の流れを受け、輸入・輸出のいずれも右肩上がりで増えていることが分かります。

企業取引の国際化は今後もますます進んでいくと予想されるため、通関士のニーズも高まり続けるでしょう。輸出入の件数だけを見ても、将来性を危惧する必要はないといえます。

参考:年別輸出入総額の推移表(1950年以降) : 財務省貿易統計 Trade Statistics of Japan

資格の難易度が高く人材が不足している

通関士は、取得のハードルが高い難関国家資格です。試験の合格率は10%台で推移しており、通関士の担い手になる人が増加しにくい傾向があります。

通関士が扱う関税業務は貿易業務の中で最も専門性が高く、同じ難関資格に位置づけられる税理士でも取り扱えません。業務の専門性が高いため、さまざまな分野で一定のニーズがあります。

しかし、需要が拡大しているにもかかわらず、資格の難易度が高いため人材が不足しているのです。このことからも、通関士の将来は明るいといえるでしょう。

参考:第56回通関士試験の結果について

AIに取って代わられる仕事ではない

AIの台頭により、多くの職業が将来的に仕事を奪われるのではないかといわれています。AIはルーティンワークの自動化が得意であり、書類作成業務が多い通関士も、AIに取って代わられることが危惧されている職業の1つです。

しかし、通関士が担うのは法律が絡む複雑な業務であるため、簡単にはAIに代替されないでしょう。一部の仕事がAIで賄えるようになるとしても、全ての仕事がAIによりなくなる可能性は極めて低いといえます。

輸出入の現場ではアクシデントが発生するケースも多く、そのような状況では人間の判断が求められます。通関士としての専門性を高めておけば、AIにより業務が効率化された後も、人間が関与できる部分で活躍していけるでしょう。

さまざまな場所で働ける

通関士が活躍できる業界は多岐にわたります。さまざまな場所で働けるため、仕事探しに困りにくい点も、通関士に将来性があるといえる理由の1つです。

通関士が活躍できる場所としては、倉庫業・商社・メーカーといった貿易に携わる業界や、国際的にネット販売を行う業者などが挙げられます。貿易が絡む職場なら、どこでも働ける可能性があるのです。

海外で事業を展開している企業に転職すれば、海外駐在員として外国の拠点でも働けます。グローバルに活躍したい人は、語学力を鍛えて海外勤務を目指すのもおすすめです。

コンサルタントとしての役割が期待される

通関士にはコンサルタントとしての役割も期待されています。通関業務を通して培ったスキルや経験を生かし、企業のアドバイザーとして働く仕事です。

現在日本で働いている通関士は、事務的な仕事をメインとしています。しかし、グローバル化が進む中で貿易のノウハウを望む企業が増えていけば、コンサルタントとして活躍する通関士も増えていくでしょう。

知識や経験を生かして早いうちに独立すれば、先行者利益を得られる可能性もあります。コンサルタントは通関士の新しい働き方になり得ることを覚えておきましょう。

通関士が活躍できる場所

ビジネスミーティング

(出典) pixta.jp

活躍できる業界が多岐にわたるのが、通関士の大きな魅力です。通関士が働ける代表的な場を見ていきましょう。

通関業者

通関士が働く場所として最も多いのが通関業者です。日本には通関業のみを扱う企業が少なく、通関業者という場合は倉庫会社・運送会社・貿易会社のことを指します。

大手の倉庫会社や運送会社では輸出入を行っているため、通関士の配置が必須です。それぞれの業務に応じて通関業の許可を取得し、通関業務を行うことになります。

例えば大手運送会社では、物品の輸送に限らず、保管も含めたトータルサービスを提供しています。これらの業務では通関手続きが行われるため、通関業の許可を取得する必要があるのです。

メーカー・商社

通関士が活躍できる場所としては、メーカーや商社も挙げられます。いずれも輸出入の業務を行っている場合は、通関士による通関業務が必要です。

メーカーでは海外から材料を輸入したり、自社製品を輸出したりしています。通関部は企業における重要な部署であり、語学力があれば通関士として海外支社への転勤もできるでしょう。

商社も海外取引を数多く行っています。輸入商品を海外から直接買い付ける場合は、通関業務が必要になるため、輸出入の専門知識を持つ通関士は重宝されるでしょう。

インターネット販売業者

近年は、インターネット販売業者からも通関士の求人が出ているケースがあります。自社で取り扱う商品について独自に輸出入を行う場合、通関業務が必要になるためです。

インターネット販売は今後もますます拡大することが予想されており、市場の拡大に伴って通関士のニーズも高まっていくでしょう。通関士の新しい働き方の1つといえます。

特定のインターネット販売業者で働く以外に、ネット販売を行う個人や企業に対して業務サービスを提供する仕事もあります。国際取引について分からない人をサポートする仕事です。

通関士に求められる能力

対面での打ち合わせ

(出典) pixta.jp

活躍できる通関士になるために必要な能力を紹介します。自分の向き不向きを確認するための判断材料にしましょう。

語学力

通関士は海外とやりとりする仕事であるため、語学力は必須です。英語で書かれた仕入書を確認したり、輸出入する商品の情報を調べたりする際は、英語力が求められます。

英語だけでなく中国語を磨いておくのもおすすめです。その他の言語にも強くなっておけば、特定の国とのやりとりに強くなるため、希少価値の高い通関士になれるでしょう。

高い語学力を生かすために通関士を目指すという道もあります。語学力が身に付いていることは、大きなアドバンテージになるためです。語学力が高ければ海外で働ける可能性も高まるでしょう。

コミュニケーション能力

通関士の主な仕事は書類作成を中心としたデスクワークですが、クライアントや税関との交渉業務も発生します。スムーズに業務を進めるためには、コミュニケーション能力も必要です。

輸出入業者や税関職員とのやりとりでは、高い交渉力も求められます。相手が求めていることを推測し、物事を論理的に解釈して適切な対応を取らなければなりません。

人と関わるのが好きな人や、営業職・販売職でコミュニケーションを取る機会が多かった人は、通関士になった後もスキルを存分に生かせるでしょう。

事務処理能力

通関士に求められる能力としては、高い事務処理能力も挙げられます。通関士の仕事はミスが大きな影響を与えかねないため、ミスを極力抑えられる事務処理能力が必要です。

例えば、税関への申請書類に間違いがあった場合、商品の到着が遅延する恐れがあります。商品によっては売り物にならなくなる可能性もあるのです。

高額な商品を取り扱う場合、申請する価格や税率にミスがあると、関税だけで数百万円の損害が発生しかねません。このように、通関士の事務作業には大きな責任が伴います。

通関士になる方法

試験勉強

(出典) pixta.jp

通関士は難関資格であり、資格を取得するためには国家試験に合格しなければなりません。試験の概要や資格取得後の仕事の探し方を紹介します。

国家試験に合格する

通関士試験に受験資格はありません。学歴・年齢・経歴・国籍に関係なく、誰でも受験が可能です。

試験が行われるタイミングは年1回、通常は10月上旬に実施されます。マークシート形式の試験です。

試験は全国13カ所で実施され、それぞれを管轄する税関に受験願書を提出します。全ての都道府県で受験できるわけではない点に注意しましょう。

通関士試験は難易度が高いため、スクールや通信講座で勉強を進めるのがおすすめです。試験日から逆算し、計画を立てて学習しましょう。

参考:通関士試験受験案内 | 公益財団法人 日本関税協会

求人案件を探す

通関士の資格を取得できたら、求人案件を探しましょう。通関士を名乗ることができるのは、基本的に通関業の許可を受けた企業などに所属して、「登録通関士」として税関に届け出をしてからになります。

倉庫業・商社・メーカーといった貿易業界では、通関・貿易部門に配属される場合が多いでしょう。税務事務所やコンサルティング会社が求人を出しているケースもあります。

未経験者が通関士として働く場合、最初は貿易事務で経験を積むのもおすすめです。貿易事務能力を証明できる貿易実務検定を取得しておけば、転職で有利に働くでしょう。

貿易実務検定|貿易実務のエキスパートの証明

将来性が高い通関士を目指そう

税理士のイメージ

(出典) pixta.jp

輸出入の件数が増えていることや、資格の難易度が高く人材が不足していることなどから、通関士は将来性が高い職業だといえます。AIに全ての仕事を奪われる可能性も低いでしょう。

活躍できる通関士になるためには、語学力・コミュニケーション力・事務処理能力を磨くのがおすすめです。万全な準備を整え、難関資格にチャレンジしてみましょう。

通関士の仕事を探すなら、スタンバイを活用するのがおすすめです。全国の求人が豊富に掲載されているため、自分に合った仕事を見つけやすいでしょう。

スタンバイ|国内最大級の仕事・求人探しサイトなら