測量士の将来性は期待できる?活躍できる職場や転職までの流れを紹介

測量士は、特定の土地の正確な位置や面積、ポイント同士の距離を測量する専門家です。測量士を目指して勉強している人は、転職するにあたって将来性が気になるでしょう。測量士の将来性や向いている人の特徴、報酬の水準を紹介します。

測量士の将来性に期待できる理由

測量機器

(出典) pixta.jp

測量士は、将来性がある職種の1つとされています。なぜそのようにいえるのでしょうか。測量士の将来性に期待できる主な理由を3点紹介します。

人手不足の傾向が今後も続くと考えられる

国土交通省が実施した調査によると、測量士を必要としている測量会社(団体)のうち、測量士や測量士補が不足していると回答した件数が数多く存在しました。具体的な結果は以下の通りです。

  • 測量士・測量士補双方が不足している: 23.4%
  • 測量士が不足している:20.9%
  • 測量士補が不足している:2.9%

上記の結果より、測量士の需要は高いといえるでしょう。急速に需要を満たすほど測量士が増える可能性は考えにくいため、しばらくは人手不足の傾向が続くと考えられます。

参考:平成30年度測量業における測量士・測量士補に関する実態調査報告書

建設・土木現場において欠かせない存在

住宅・マンション・ビルなどの建設現場や、道路工事・橋梁工事などの土木工事現場において、測量士は欠かせない存在です。測量業務が不可欠な業務で、測量業務を実施するときには測量士の配置が求められるのが、主な理由として挙げられます。

上下水道管やガス管・電線管の敷設など、公共事業の工事の際にも測量が必要です。自然災害が発生したときの復旧や市街地再開発事業などでも活躍しており、幅広い現場で必要とされる仕事であることが分かるでしょう。

最新テクノロジーと共存しやすい

AIを搭載したシステムやドローン、IoTの技術が進展することで、測量業務の一部が機械化される可能性は十分にあります。しかし、一部が機械化されたからといって、測量士の需要が消滅するわけではありません。

機械化できない場所の測量やデータの分析、事前の打ち合わせをはじめとして、人間でなければできない業務は今後も測量士が担当することになるでしょう。

そのため、機械化できる業務は機械化を進め、測量士は人間の力が必要な分野で活躍し続けると考えられます。将来のことを確実に予測する方法はないものの、過度に心配する必要はないでしょう。

測量士に向いている人の特徴

測量士

(出典) pixta.jp

測量士に向いている人に共通する特徴を2つ紹介します。自分に向いている仕事なのか判断できず、本当に転職してもよいのか迷っている人は、以下のポイントについて自分を振り返ってみましょう。

細かい作業を正確かつ丁寧にできる人

特定地点の緯度・経度や地点間の距離、土地の面積などを測定するには、十分な精度が求められます。測量に狂いがあると、その後に続く作業に大きな影響を及ぼすためです。

そのため、常に正確さを追い求めて丁寧に作業できる人が、測量士に向いているといえるでしょう。

測量業務は、長時間にわたり同じ作業を何度も繰り返す仕事です。そのため、単純作業を飽きずに続けられる人にも向いています。丁寧さ、正確さ、辛抱強さが求められる職業です。

体力があってコミュニケーションが得意な人

屋外で長い時間作業するのも、測量士の特徴です。場合によっては、山間部や沿岸部など人里から遠く離れた場所で測量するケースもあります。僻地で測量機器を移動させながら長期間作業することも多い点を考えると、十分な体力が必要です。

さらに、複数人のチームを編成して測量を進めるのも一般的です。正確な測量結果を得るためには、チームで協力して進めることが欠かせません。円滑に業務を進めるためには、コミュニケーションスキルが必要です。

測量士を目指す基本的なプロセス

測量士

(出典) pixta.jp

転職で測量士を目指すには、必要な資格を取得した上で求人を探すことが欠かせません。基本的な転職プロセスとして、資格を取得する方法と求人を探す方法を解説します。

測量士国家試験に合格する

測量士の資格を得る方法には複数のルートがありますが、転職を目指す場合に現実的なのは、測量士国家試験に合格する方法です。ただし、測量士国家試験の合格率は例年10%前後で、簡単な試験ではありません。

勉強を始めてから合格するまでには500時間程度の学習が必要ともいわれているため、十分な学習時間を確保して準備を整えましょう。

測量士国家試験に合格したら、国土地理院に必要書類を送付して測量士として登録します。登録が完了することで、測量士の資格を得て実務に携われるようになります。

求人を探して転職する

無事に資格を取得したら、求人を探して転職しましょう。測量士は人手不足の傾向にあるため、未経験者を対象にした求人も数多く存在します。

資格取得後初めて測量士として転職する場合は、未経験者にも広く門戸を開いている求人を選ぶことで、転職できる確率を高められるでしょう。

まずは自分が希望するエリアに、どのような求人があるのかチェックし、条件や具体的な業務内容を確認して、自分に合ったところを選ぶのがおすすめです、

測量士試験の範囲と対処法

測量士と測量補佐

(出典) pixta.jp

これから測量士を目指す人にとって、最初の関門になるのが測量士国家試験です。測量に必要な知識全般から出題され難易度が比較的高いため、試験の傾向を把握した上で正しい対策が求められます。試験対策として有効な対策の一例を紹介します。

【午前】5肢択一式試験

午前の試験は5肢択一式試験です。この試験では、測量士としての業務に必要とされる、基礎的な知識に関する問題や計算問題が出題されます。

試験範囲が広いため、効率的な学習が欠かせません。おすすめの学習方法の一例は以下の通りです。

  • テキストを購入して全体を学習する
  • 過去問に取り組みながら、分からない部分をテキストで復習する
  • 何度も過去問を反復する

最初に全体を学習することで、必要な知識や測量の手順を網羅的に学びます。その後は過去問を活用して学習を進め、出題傾向をつかんだ上で反復学習するとよいでしょう。

【午後】記述式試験

午後に実施される記述試験は必須問題1題と選択問題2題で構成されます。選択問題は、基準点測量、地形、写真測量、地図編集、応用測量の中から2題を選びます。

択一式試験に比べて高度な知識が求められるため、より集中して実際的な知識を学ぶことが必要です。基本的には、以下のように学習を進めるとよいでしょう。

  • 最初の段階で全分野の問題にチャレンジする
  • 本番でどの分野の問題を選択するか決める
  • 分野ごとに集中して学習する

最初のうちに学習範囲を網羅して十分な知識を付け、それから選択した分野に注力して学習するのがおすすめです。

学習の段階で選択問題の分野を決めることで集中して対策できるため、合格するのに必要な知識を習得しやすくなるでしょう。

測量士の報酬水準は?

現金と給与明細

(出典) pixta.jp

これから転職する人にとって、報酬水準は気になる情報です。厚生労働省が発表している資料に基づいて、測量士の報酬水準を確認しましょう。

平均年収は487万2,000円

2022年時点の調査によると、測量士の平均年収は487万2,000円です。また、年齢別の平均年収を以下にまとめました。

  • 20代後半:407万3,900円
  • 30代前半:429万3,100円
  • 30代後半:467万5,500円
  • 40代前半:546万2,800円
  • 40代後半:551万6,000円
  • 50代前半:572万8,500円
  • 50代後半:583万2,900円
  • 60代前半:530万9,200円

年齢が上昇するほど平均年収も上昇しているため、経験を積んでスキルアップするに伴い高い年収を目指せる職といえるでしょう。

参考:測量士 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))

給与水準には3つのピークがある

厚生労働省の調査から、月額給与の分布も詳しく見ていきましょう。2022年時点の所定内給与額別の人数割合をチェックすると、以下のポイントにピークがあります。

  • 10万円台後半
  • 20万円台後半~30万円台前半
  • 40万円台前半

月額20万円以下で働いている人もいれば、40万円以上の人もいます。測量士としてフルタイムで働く場合、資格を取得したばかりであれば20万円台後半を、十分な経験を積んでいれば40万円以上を目安にするとよいでしょう。

測量士は将来性も有望な仕事

測量をする男性

(出典) pixta.jp

建設現場や土木工事現場、公共事業などで測量を担当する測量士は、今後も一定の需要が予測される職業です。将来性にも期待できるため、これから資格を取得して転職しようと考えている人も、ちゅうちょする理由は少ないでしょう。

測量士として長期的に活躍するには、資格取得後の転職で自分に合った企業を探すことが欠かせません。ミスマッチを防ぐためにも、多くの求人を比較・検討して、自分に合ったところを選ぶことが大切です。

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