カスタマーサポートには、さまざまなキャリアの選択肢があります。理想の働き方を実現する上で、キャリアプランを描くことが重要です。描き方のポイントや、企業の採用面接でプランを聞かれた際の上手な伝え方について解説します。
カスタマーサポートにキャリアプランが必要な理由
カスタマーサポートとは、顧客からの問い合わせに電話・メール・チャットなどで対応し、疑問・不安の解消に導くポジションです。
採用面接やキャリア面談で「あなたのキャリアプランは何ですか」と聞かれても、すぐに思い浮かばない人は多いのではないでしょうか?まずは、キャリアプランを描く重要性を理解しましょう。
今やるべきことがクリアになる
キャリアプランとは、自分が将来的にどのようなキャリア(職歴)を積んでいくかに関する計画です。一昔前までは、企業が用意したキャリアパスに従っていれば、順調に昇給・昇進ができました。
しかし終身雇用が崩壊しつつある近年において、キャリアを着実に積んでいくためには、自分で明確なゴールを設定し、ゴールにたどり着くために何をすべきかについて考える必要があります。
キャリアプランを描くと、今やるべきことがクリアになるのがメリットです。「〇年後にSVを目指す」などのゴールを決めて中間目標を設定すれば、現在の自分に必要な項目・やるべき項目が明らかになるでしょう。
「今のままでいいのだろうか」と思い悩むことがなくなり、業務へのモチベーションも向上します。
キャリア選択時の行動指針になる
カスタマーサポートには、複数のキャリアがあります。キャリアプランは、転職時の企業選びやキャリア選びの判断基準となるため、自分の選択に自信が持てるようになるでしょう。
キャリアプランに照らし合わせ、「今のままでは目標が達成できないから、転職しよう」「〇〇が足りないからもっとスキルを伸ばそう」と主体的に判断していけば、後悔のない結果につながります。
キャリアプランがない場合、何となく今の仕事を続けてしまったり、自分に合わない職場を選択してしまったりする可能性が高まります。
カスタマーサポートの代表的なキャリアは?
キャリアプランを描くにあたって、カスタマーサポートにはどのようなキャリアが想定できるのかを確認しておきましょう。選択肢としては、「社内で昇進を目指す」「専門職に就く」「カスタマーサポート以外の部署で活躍する」の3つに大別されます。
社内で昇進を目指す
企業が従業員に示す昇進の道筋(職務・職位)は、キャリアパスと呼ばれます。カスタマーサポートの部署内で昇進を目指す場合、以下のようなキャリアパスをたどるのが一般的です。
- オペレーター
- LD(リーダー)
- SV(スーパーバイザー)
- センター長
SVは、オペレーターの教育・マネジメントに携わる管理職の一種です。数年間のオペレーター業務を経験した後、オペレーターをサポートするリーダーになり、SVに昇進するのが通例でしょう。
センター長は、コールセンター全体を統括する最高責任者です。SVから昇進する人もいれば、他部署でマネジメント経験を積んだ人が任命される場合もあります。
専門職に就く
社内で昇進を目指すには、マネジメントスキルが必須ですが、すべての人が管理職に向いているとは限りません。オペレーターとして経験を積んだ後、管理職を目指さずに専門職に就くキャリアもあります。
カスタマーサポートの専門職として代表的なのが、QA(品質管理者)や研修トレーナーです。どちらのポジションも、カスタマーサポート全体の品質向上には欠かせません。
QAは、オペレーターの対応をモニタリングし、第三者の視点で顧客満足度を評価するのが主な業務です。研修トレーナーは、言葉遣い・話し方などの研修を通じ、企業の顔としてふさわしいオペレーターを育てます。
カスタマーサポート以外の部署で活躍する
カスタマーサポートを経験すると、コミュニケーションスキルや問題解決能力、商材に関する知識などが身に付きます。
これらの知識・スキルを生かし、以下のようなカスタマーサポート以外の部署で活躍する選択肢もあるでしょう。業界・業種を変え、新たなスタートを切る人も少なくありません。
- 営業・販売
- 企画
- マーケティング
- カスタマーサクセス
カスタマーサクセスは、直訳すると「顧客の成功」です。自社の商品・サービスを通じて顧客が目的を達成できるように、導入支援・実装後のアフターフォローなどを行います。
キャリアプランを描く3つのステップ
キャリアプランの描き方にルールはありませんが、いくつかのポイントを押さえるだけで、実現可能性の高いプランが完成します。フレームワークやツールを活用すると、情報・考えをわかりやすくまとめられるでしょう。
キャリアプランの描き方を3つのステップで紹介します。
理想の自分を設定する
キャリアプランを描く最初のステップは、理想の自分を設定することです。
カスタマーサポートのキャリアプランというと、オペレーターからチームリーダーを経て、SVに昇進していくルートを描きがちですが、これらはあくまでも会社が提示するキャリアパスの一例にすぎません。
自己分析を進めながら、どんな自分になりたいか・どんな人生を歩みたいかを自由にイメージします。キャリアの選択肢を狭めないためにも、さまざまな角度から自分を見つめてみましょう。
現状とのギャップを把握する
理想の自分を設定したら、理想と現状のギャップを把握します。キャリアの棚卸しをした上で、今の自分には何が足りないのか・どのようなスキルを身に付けるべきかを洗い出しましょう。
「〇〇を実現したい→そのためには〇〇が必要→今〇〇をすべき」という形に落とし込んでいくのがポイントです。
自己分析やキャリアの棚卸しをする際は、厚生労働省がオンライン上で公開する「マイジョブ・カード」を活用しましょう。自分の職業能力が見える化されるので、キャリアプランを描きやすくなります。
中間目標・アクションプランを考える
モチベーションを維持するためにも、中間目標と具体的なアクションプランを設定しましょう。目標・タスクをクリアするごとに成功体験が増えていくため、自信につながります。
目標を設定する際には、以下の5つの要素を意識しましょう(SMARTの法則)。
- Specific:具体的でわかりやすい
- Measurable:進歩・結果の測定が可能
- Achievable:達成が可能
- Relevant:関連性が高い
- Time-bound:期限が明確
キャリアプランを相手に伝えるコツ
カスタマーサポートの採用面接では、「あなたのキャリアプランは何ですか?」「5年後・10年後はどうなっていたいですか?」という質問をされる場合があります。思いつきで答えるのではなく、事前に準備しておくのが望ましいでしょう。
採用面接では志望動機に関連付ける
採用担当者が面接でキャリアプランを聞く理由は、「自社が提供できるキャリアパスと、応募者の描く理想が合致しているか」を確かめるためです。同時に、応募者の価値観と組織風土のマッチ度を測る意味合いもあります。
面接でキャリアプランを伝える際には、志望動機に関連付ける必要があります。内容に一貫性がないと、「なぜうちを志望したのか」「キャリアプランの実現と応募ポジションは何の関係があるのか」と矛盾を指摘されかねません。
志望動機とキャリアプランを関連付けるためには、企業研究や事前のリサーチが不可欠です。
具体的な数字を用いる
キャリアプランの描き方に厳密な決まりはありませんが、相手に伝えるときはできるだけ数字を用いるようにしましょう。
「将来、QAとして活躍したい」とだけ伝えると、採用担当者は「将来とはいつなのか?」「1年後なのか3年後なのか?」と疑問を抱きます。入社後に活躍する姿をイメージしてもらうためにも、具体的な数字を盛り込むようにしましょう。
ただし、あまりにも目標が大きすぎると、評価されるどころか、自分の能力を客観視できていないとみなされる可能性があります。数字を用いる場合は、実現可能性をよく見極めることが重要です。
相手に伝わるキャリアプランの例文
カスタマーサポートの採用面接では、以下のように質問されるケースが多いでしょう。
- あなたのキャリアプランを教えてください
- 〇年後は、どうなっていたいですか?
- 入社したら、何を実現したいと考えていますか?
目標を示した上で、具体的な計画と達成に向けて取り組んでいることを述べるのがポイントです。例文を確認しましょう。
1年間のオペレーター業務を通じ、お客様目線に立った電話応対の重要性を実感しました。オペレーターからQAへのキャリアパスがある御社でなら、「顧客応対の品質を向上させる」という自分の目標が実現できると感じて志望いたしました。
まずは、御社のオペレーターとして率先して受電をし、より多くの対応経験を積みたいです。3年後には、カスタマーサポートの品質管理を担うQAのポジションで活躍するのが目標です。
QAに必要な観察力や課題形成能力を磨くため、普段から自分の通話録音を聞き返し、客観的な視点での振り返りを行っています。
キャリアプランを描いたら行動を!
キャリアプランは、自分の人生の道しるべとなるものです。具体的な期限・目標を定めることで、今やるべきことがクリアになり、仕事へのモチベーションが維持されます。実際に行動し、軌道修正を加えながら、自分の人生をクリエイトしていきましょう。
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