ハローワークで適職診断は受けられる?種類や受ける流れなどを紹介

ハローワークでは、いくつかの適職診断を無料で受けられます。仕事を探している人は利用してみると、自分の適性を知る上で役立つでしょう。適職診断を受けるメリットとデメリットのほか、診断がおすすめな人や活用方法なども詳しく解説します。

ハローワークの適職診断の種類

資料に書き込む男性

(出典) pixta.jp

ハローワークでは以下のように、一般職業適性検査をはじめ、さまざまな適職診断を無料で利用できます。それぞれどういった特徴があるのか理解した上で、自分に合ったものを受けてみましょう。

一般職業適性検査(GATB)

一般職業適性検査(GATB)は、就労に必要な9つの能力を測定・診断する検査です。筆記による検査と器具を使った検査により、知的能力をはじめ言語能力・数理能力・空間判断力・書記的知覚・形態知覚・運動共応・手腕の器用さ・指先の器用さを測ります。

被検者の対象年齢は13歳以上45歳未満で、仕事を探している人だけでなく、子どもの適性を把握するのにも役立つでしょう。被検者それぞれの個性と職業を結び付ける上で有効と、厚生労働省も評価しています。

検査自体は1時間程度で終了するので、まずは時間を確保して受けてみるとよいでしょう。

職業レディネス・テスト

職業レディネス・テストは、職業興味・基礎的志向性・職務遂行の自信度という3つの診断結果が得られる検査です。それぞれの結果はA検査・B検査・C検査を通じて測定でき、特定の職業に対してどの程度の興味があるか判断できるようになります。

全て質問に回答していく形で測定できるため、誰でも取り組みやすいのが特徴です。主な検査対象者は中学生と高校生ですが、大学生にもおすすめといえます。検査の所要時間は40~50分程度です。

職業興味検査

職業興味検査はその名の通り、自分がどういった職業に興味を持っているのか、さまざまな指標から判断できる検査です。

現実的・社会的・企業的・芸術的・研究的・慣習的という6つの興味領域に対して、どの程度関心があるのか把握でき、適性のある仕事がどういうものか判断できるようになります。

対象者は大学生(短大含む)以上で、検査は20分程度で終了します。忙しくてなかなか時間を確保できない人でも、すきま時間に気軽に受けられるのがメリットです。

キャリア・インサイト

キャリア・インサイトは、能力・興味・価値観・行動特性という4つの側面から、適性がある仕事を診断する検査です。職業経験が少ない若年層(18~34歳)を対象とした「ECコース」と、職業経験のある35歳以上が対象の「MCコース」に分かれています。

所要時間は90~120分程度と長めですが、個人の適性やそれに合った職業リスト、具体的なキャリアプランなどを明らかにできます。

パソコンで分割して受けられるので、時間がない人は何度かに分けて検査することも可能です。制限時間も特に設けられていないものの、ハローワークを利用するならば、まとめて受けられるようにしておきましょう。

ハローワークの適職診断を受けるメリット

面談の様子

(出典) pixta.jp

ハローワークで適職診断を受けるメリットとしては、無料で利用できる点はもちろん、自分の視野を広げるきっかけになる点、就職・転職に生かせる点などが挙げられます。それぞれ確認しましょう。

無料で利用できる

予約をすれば誰でも無料で診断を受けられるのが、ハローワークの適職診断を利用する大きなメリットです。ハローワークは国が運営する公的機関なので、無料で仕事の紹介を受けられるだけではなく、適職診断や就職・転職に役立つ情報の収集ができます。

また一部の適職診断は、利用することで求職活動の一環として認められます。失業中の場合は、求職者給付(失業手当)を受給するための要件として活用できるのも、1つのメリットといえるでしょう。

視野を広げるきっかけになる

適職診断を受けることで、自分の適性や強み、能力を客観的に把握できるだけではなく、未知の仕事に興味を持つきっかけを得られます。

それまで応募をまったく検討しなかったような仕事にも注目するようになり、応募する求人案件を広い視野で考えられるでしょう。

自分の適性を前提に仕事を選べるようになるので、就職・転職後も長きにわたり働ける可能性が高まります。

正確に診断できる

診断後、相談員に仕事に関する相談もできるため、自分の適性をより正確に把握できるのも、ハローワークの適職診断を利用するメリットです。

診断結果を確認しただけでは不明な点も、多くの求職者の相談に乗っているハローワークのスタッフならば、その情報・経験を生かして、有益なアドバイスをしてくれるでしょう。

そもそもハローワークの適職診断は、多くの求職者に有益だと判断されたものばかりなので、民間企業で受ける適性検査よりも正確性が高い傾向にあります。相談員のアドバイスを含めて、自分の適性を客観的に把握できる可能性が高いでしょう。

面接に生かすことも可能

ハローワークの適職診断によって自分の強み・苦手分野が明確になれば、面接や応募書類の自己アピールに役立てられます。

自分自身が想定していた強みだけでなく、客観的な診断によって得られた結果を反映できるので、より説得力のあるアピールが可能になるでしょう。

ただし、適性診断そのものを就職・転職の場で生かせるわけではないので、注意が必要です。あくまでも自分の適性・強みを把握した上で、何をどういった形でアピールするかという点は、自分でしっかりと考えなければいけません。

ハローワークの適職診断のデメリット

バインダーに記入する手元

(出典) pixta.jp

ハローワークで適職診断を受けると、多くのメリットを享受できますが、以下の点には注意が必要です。診断結果が必ず正解とは限らないので、ハローワークのスタッフなどに相談しながら、自分に合った仕事を慎重に選びましょう。

診断結果にとらわれすぎる可能性

適職診断は、自分に向いた仕事・職種を見つけるのに役立ちますが、結果をうのみにしてしまうと、逆に自分に合った仕事を見つけられない可能性もあります。

結果の受け取り方は人によって異なるので、結果を重視しすぎるあまり、自分の希望を考慮せずに仕事を決めてしまう人もいるでしょう。

しかし、診断結果だけが常に正解とは限らないので、自分のやりたい仕事がある程度決まっているならば、まずは自分の意思を尊重することが重要です。ハローワークのスタッフとも相談しながら、就職・転職すべき業界を決めていきましょう。

検査項目が多く時間がかかる

適職診断は、20分程度で終了する比較的短いものもありますが、90分以上の時間を要する検査もあります。検査時間が長い調査ほど、正確な診断結果を得られる傾向にあるものの、検査項目が多く気軽に受けるのが難しい点はデメリットといえるでしょう。

200個程度の質問に連続で答えなければならない検査もあり、途中で飽きてしまう人は少なくありません。

また忙しい人は、検査の時間をなかなか確保できない場合もあるでしょう。それでも適職診断には多くのメリットがあるので、事前に計画を立てて、スケジュールを空けるという姿勢が大事です。

ハローワークの適職診断がおすすめな人

考え事をする男性

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ハローワークの適職診断は、基本的にどのような人にも役立ちますが、とりわけ以下のような特徴を持つ人におすすめです。自分の新しい可能性を見つけて挑戦したい人や、やりたいことが見つからない人などは、積極的に利用しましょう。

新しいことにチャレンジしたい人

新しい仕事・職種にチャレンジしたい人は、まず適職診断で自分の適性を理解し、どの方向に進むべきか考える姿勢が重要です。自分の強みを知り、それを生かせる仕事に就くことで、他の分野よりも活躍できる可能性が高いでしょう。

また、これまで働いた経験が少ない人は、自分がどのような仕事に向いているのか、把握できていないケースがほとんどです。自分に向いている業界・業種を知るためにも、まずはハローワークで適職診断を受けてみましょう。

やりたいことが分からない人

やりたいことが分からず、就職活動がうまく進んでいない人にも、適職診断はおすすめです。

自分の適性を知ることで、パフォーマンスを発揮しやすい仕事に的を絞って、就職活動ができます。人によっては、適職診断を通じて意外な仕事に適性があることを知るケースも珍しくありません。

適性のある仕事に就けば仕事の生産性が上がりやすく、キャリアアップもしやすいので、就職活動に行き詰まった場合には適職診断が有効です。

さらに、現在の仕事が自分に合っていないと感じているものの、何が本当にやりたいのか分からないという状態の人も、診断をきっかけに道が開ける可能性があります。

ハローワークの適職診断の活用方法

手帳に書き込む男性

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ハローワークで受けられる適職診断は、自分の適性を理解する上で役立つだけでなく、求職活動の実績にすることも可能です。それぞれの点について、もう少し掘り下げて解説します。

自分の特性を理解する

適職診断を通じて自分の特性を理解すれば、就職・転職先を選ぶ上で有用な情報として活用できます。

自らの強み・弱みを考慮して、今後のキャリアプランを立てる際にも役立つでしょう。これから本格的に就職活動をする人はもちろん、現在の仕事に行き詰まりを感じており、転職を考えている人にも有効です。

多くの場合、適職診断を通じて自分では気付かなかった適性を把握できるため、これから目指す仕事の方向性を決める指針にできます。また改善すべき点も明らかになるので、今後のキャリアに必要なスキルアップを図るきっかけにもなるでしょう。

求職活動実績にする

ハローワークでの適職診断は、失業給付を受給する上で必要な求職活動実績として利用が可能です。失業中の場合、一定の条件を満たしていれば、ハローワークを通じて雇用保険の失業給付を受けられますが、一定の求職活動実績が求められます。

適職診断を受ける行為も求職活動の一環とみなされるため、スムーズに失業給付を受けたい人は、まずは適職診断を受けるのもおすすめです。特に実績の申請に困っている人は検討してみましょう。

参考:求職活動実績について|厚生労働省

ハローワークの適職診断を受ける流れ

ハローワークの看板

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ハローワークの適職診断は、以下の流れで受けられます。最寄りのハローワークで受けられる適職診断をチェックした上で、都合のよい日程で予約を取りましょう。

ハローワークに予約する

適職診断を受けるには、まずはハローワークに予約する必要があります。

電話はもちろん、現地での予約も可能なので、まずは最寄りのハローワークの公式サイトにアクセスし、受けられる適職診断の内容と予約の取り方を確認しましょう。場所によっては予約が不要で、すぐに適職診断を受けられるケースもあります。

なお、数ある適職診断の中でも「キャリア・インサイト」は、専用のパソコンがある施設でしか受けられません。キャリア・インサイトを受検したい場合は、どのハローワークで受けられるのか、事前にチェックしておきましょう。

ハローワークで診断を実施

ハローワークで適職診断を予約したら、当該日時にハローワークに出向き、担当者の指示に従って受検します。

日常的に利用者の多い地域のハローワークは、適職診断も順番待ちが発生している可能性が高いので、他の利用者に迷惑をかけないためにも、予約時間に遅れないように注意しましょう。

パソコンで受けられる適職診断は、基本的に結果の持ち帰りが即日可能ですが、結果が出るまでに時間を要するものに関しては、後から受け取ることになります。

診断結果をもとに職業相談へ

適職診断の結果をもとに、ハローワークで就職・転職に関して相談することもできます。

適職診断は、受検者の適性をさまざまな観点から測るものですが、人によって結果の受け取り方は異なるものです。必ずしも、受検者の特性を完全に明らかにできるとは限りません。

また、たとえ適職診断の結果が正しくても、それをどのように求職活動に生かすべきか、分からない人もいるでしょう。

そこで、求職者の相談に数多く応じてきたハローワークのスタッフに、その後についてアドバイスをもらうことにより、効率的で無駄のない求職活動が可能になります。

ハローワークの適職診断の注意点

資料を見ている男性

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ハローワークで適職診断を受ける際には、以下のポイントにも注意しましょう。応募先へのアピールにそのまま使用しないのはもちろん、実際に就職・転職をするにあたっては、適職診断では分からない点についてもよく考慮しなければいけません。

応募先へのアピールには使用しない

適職診断は、あくまでも自己分析などに使用するものなので、診断結果を応募先へのアピール材料として使わないように注意しましょう。

例えば、営業職に向いているといった結果を得た人が、面接でそれを話したところで、採用担当者にとっては魅力的なアピールとは感じられません。

面接時に重要なのは、自分の経験や実績、スキルなどが応募先で生かせるかどうかという点であり、採用担当者もその部分を評価します。適職診断はあくまでも指標の1つであり、自己評価の一環にすぎないと考える採用担当者がほとんどです。

面接や応募書類でアピールしても効果は期待できないので、求職活動にあたって自分の適性・特性を理解するためのものと考えましょう。

実際に働いてみないと分からない点も多い

適職とはいえ、職場の環境や仕事内容、人間関係などは、実際に働いてみないと分かりません。診断の結果、向いていると分かった職種でも、職場の雰囲気・社風などによっては合わない可能性も考えられます。

同じ職種でも、企業によって位置付けが異なったり、仕事のやり方が大きく変わったりするケースも珍しくありません。適職診断の結果だけで考えず、自分の性格や価値観、希望するライフスタイルなどを考慮した上で、応募する企業を選択しましょう。

ハローワークの開庁時間も要確認

適職診断を受ける場合には、ハローワークの開庁時間にも注意しましょう。一般的には午前8時半から午後5時くらいまでが開庁時間とされますが、施設によっては午後7時まで利用できたり、土日も開庁していたりというケースもあります。

ハローワークによって開庁時間が異なるので、特に朝夕に適職診断を受けたいという場合は、事前によく確認しておきましょう。

ハローワークの適職診断を活用しよう

ビジネスウーマン

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ハローワークでは無料で適職診断の受検が可能で、その後スタッフに求職に関して相談もできます。自分の適性・強みなどを客観的に把握でき、面接時の自己アピールを考える上でも役立ちます。

ただし、適職診断の結果そのものがアピール材料にはなりません。あくまでも、自己分析を助けるツールとして捉えることが大事です。

面接を受ける際には、応募先の情報をよく調べた上で、自分の経験や実績、スキルなどがどのように役立つか、説明できるようにしておきましょう。

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