臨床検査技師に向いている人の特徴は?なり方や仕事内容、年収も解説

臨床検査技師の仕事に興味があるならば、どんな人が向いているのか、またどうすればなれるのか知っておくと役立ちます。臨床検査技師に向いている人の特徴やなり方、仕事内容や活躍の場について確認しましょう。

臨床検査技師に向いている人の特徴は?

臨床技師

(出典) pixta.jp

臨床検査技師の仕事に興味があるものの、自分が向いているのかどうかが分からないという人もいるでしょう。臨床検査技師に向いている人の特徴を解説します。

黙々と作業するのが好き・得意な人

臨床検査技師に向いている人の特徴の1つが、黙々と作業するのが好きという点です。

検体検査室に配属された臨床検査技師には、患者と接する機会はほとんどありません。病理検査担当は顕微鏡を長時間のぞき込んで仕事を進め、血液検査担当は機械を相手に作業するケースが多くなります。

そのため、細かい作業を黙々と継続できる人は臨床検査技師への適性があるといえるでしょう。

ただし、生理検査を担当する場合は、患者と対面して接するケースが多くなります。さまざまな検査を担当する可能性があるため、自分の職務に応じて臨機応変に対応する能力も求められるでしょう。

手先が器用で細かい作業を苦にしない人

手先が器用な人や細かい作業が得意な人も、臨床検査技師に向いているといえます。臨床検査技師が担当する業務の中には、機器が導入されているものもありますが、人の手によって行うものがいまだに多い状況です。

例えば採血では、患者の腕などの細い血管を探して、適切に針を刺す必要があります。血液塗抹標本や病理標本の作製、ピペットという道具を使った業務などは、かなり細かい作業です。

このような業務が多いため、手先が器用な人は臨床検査技師に向いているといえるでしょう。

また、臨床検査技師が担当する検査の中でも、顕微鏡検査は機械化が難しい検査とされます。尿沈渣や生検などの検体を顕微鏡で観察しながら、正常ではない結晶や細胞の有無を確認する検査ですが、細かい作業のため機械では対応できません。

このような細かい作業を苦もなく地道に継続できる人は、臨床検査技師への適性が高いでしょう。

向上心・探究心がある人

向上心や探究心がある人も、臨床検査技師に向いています。

新しい検査方法や検査機器が開発されるなど、臨床検査の世界は日進月歩です。検査結果を正しく判断するには常に勉強する姿勢が求められるため、向上心や探求心がある人は臨床検査技師への適性が高いでしょう。

また、細胞検査士や超音波検査士、緊急臨床検査士など、臨床検査技師になってから目指せる認定資格があり、取得することでスキルアップやキャリアアップにつながる可能性があります。

そのため、新しいことを学ぼうとする姿勢や、挑戦したいという意欲がある人も、臨床検査技師に向いているでしょう。

コミュニケーション能力が高い人

コミュニケーション能力の高さも、臨床検査技師に向いている人の特徴の1つです。

臨床検査技師の業務の多くは黙々と進めるものですが、医療現場では医師や看護師などのチームメンバーと連携しながら、患者の治療にあたる必要があります。

近年ではチーム体制で医療に取り組む病院が多いため、コミュニケーション能力や協調性は欠かせません。

また、生体検査では患者と接する機会もあるため、病院などの医療機関に勤務する場合は、コミュニケーション能力や対人スキルも必要です。

臨床検査技師になる方法

臨床技師

(出典) pixta.jp

臨床検査技師に適性があると分かれば、どうやったらなれるのか気になる人もいるでしょう。臨床検査技師になる方法について解説します。

国家試験に合格して免許を取得する

臨床検査技師になるためには、国家試験の合格と臨床検査技師免許の取得が必要です。

国家資格の受験資格は医療系の4年生大学や3年制の短大、専門学校の臨床検査技師養成課程などを修了・卒業する必要があります。ほかにも、大学の獣医学系・薬学系・保健衛生学系学部で必要科目を履修し、卒業した場合も受験資格が得られます。

国家試験は、毎年2月に北海道・宮城県・東京都・愛知県・大阪府・広島県・香川県・福岡県・沖縄県で実施され、合格率は例年70~80%程度です。

筆記試験では、医用工学概論・公衆衛生学・臨床検査医学総論・病理組織細胞学など、合計10科目から1問1点で200問が出題され、120問以上の正答が合格基準とされています。

受験資格が得られる学校は?

受験資格を得られる学校は、大学・短大・専門学校の3択のため、各学校の特色を比較・検討した上で進学先を選択することが重要です。

大学や短大で学ぶメリットは、附属病院やクリニックを持つ大学が多く、充実した実習を受けられる点です。

医療機関がある大学なら、先端医療機器に触れられるほか、医療機関以外の大学の研究室や研究所に就職できるケースもあり、キャリアが広がる可能性があります。

一方、大学によっては国家試験の合格率が低いケースがあるほか、4年制大学の場合は短大や専門学校よりも現場に出るまでに時間がかかる点がデメリットです。

専門学校で学ぶメリットは、3年で卒業して国家試験をストレートにパスすれば、4年制大学進学者よりも早く働ける点や、大学に進学するよりも入学しやすいケースが多い点です。

一方、専門学校や短大は就学期間が短いため、学習スケジュールが過密になりやすいのがデメリットといえるでしょう。

臨床検査技師の仕事内容

検体検査

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臨床検査技師を目指すのであれば、どのような仕事をするのか把握しておくと役立つでしょう。臨床検査技師の具体的な仕事内容を解説します。

検体検査

臨床検査技師が行う検査の1つが検体検査です。検体検査とは、患者の体から血液や尿、組織の一部を取り出し、それらに含まれる細菌やウイルスを調べたり、病気の要因となる微生物を探したりする検査です。

検体検査はさまざまな分野に分かれており、血液検査や生化学検査、微生物検査、病理検査などがあります。検査機器を使った検体の測定や顕微鏡による細胞の観察などを通して、医師が患者を診療する上で必要なデータを収集・分析します。

生理機能検査

臨床検査技師が担うもう1つの検査が、生理機能検査(生体検査)です。患者の体の表面や内部の状態を測定器を使って計測し、データを取ります。心電図検査や脳波検査、肺機能検査、超音波検査など、患者の体を直接的に調べるのが特徴です。

生理機能検査は、担当者のスキルや知識によって結果が左右される傾向にあるため、臨床検査技師として経験を積み、スキルアップすることが求められます。

また、患者に直接対応することになるため、コミュニケーション能力も必要です。

臨床検査技師の立ち位置

病院に勤務する臨床検査技師は、患者の病気を診断するための検査を担当します。心電図検査や血液検査などを実施して、医師に検査結果を報告するほか、病院によっては外来患者の採血を臨床検査技師が担当するケースもあるでしょう。

医療現場では、かつては医師の意見が絶対視されていたこともあり、臨床検査技師が医師の診療に対して意見するのは難しい状況にありました。

しかし近年では、チーム医療が重要視されており、患者にとってより適した医療の提供が求められるようになってからは、検査の専門家である臨床検査技師が意見を求められる機会も増えているのが実情です。

患者の病気を診断するには臨床検査が不可欠のため、臨床検査技師は医療チーム内でも重宝される存在といえます。

臨床検査技師の年収は?

採血

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臨床検査技師の仕事に興味がある場合、収入面も気になるものです。臨床検査技師の年収について確認しましょう。

平均年収は約500万円

厚生労働省が運営する職業情報提供サイト「job tag」によれば、臨床検査技師の平均年収は508.9万円です。臨床検査技師の平均年齢は39.8歳で、30代後半の平均年収は526万円程度とされます。

年齢が上がるにつれて収入は高くなる傾向にあり、給与水準のピークを迎える50代後半では、平均年収は約711万円です。

また、所定内給与額(きまって支給する給与のうち、所定外労働給与以外のもの)の比較では、月額26.0~27.9万円を支給される臨床検査技師の割合が最も高くなっています。

参考:臨床検査技師 - 職業詳細 _ job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))

臨床検査技師が活躍する場は?

白衣姿の女性

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臨床検査技師の資格を取得した場合、どのような職場で仕事をすることになるのでしょうか。臨床検査技師が活躍できる場について確認しましょう。

病院や診療所などの医療機関

臨床検査技師は、病院や診療所などの医療機関に勤務するのが一般的です。

大学病院や総合病院といった規模の大きな病院では、検体検査と生体検査で担当が分かれるケースや、1つの大きな検査室を設置して、病院での診療に必要な検査を全て担当するケースがあります。

いずれの場合でも、担当する検査数は多く、所属する臨床検査技師が分担して業務を遂行します。

夜勤が発生する場合もあるほか、土日に外来診療がない病院でも、入院患者の検査に備えて土日出勤が必要になる場合があるなど、所属する勤務先によって勤務体制が異なるのが特徴です。

また、規模の小さな診療所に在籍する場合、臨床検査をすべて担当するケースもあるでしょう。

検査専門の臨床検査センター

臨床検査のみを専門的に引き受ける、臨床検査センターに勤務するケースもあるでしょう。検査の種類や数が多い場合、病院に在籍している臨床検査技師だけでは対応できないため、臨床検査センターに臨床検査を委託する場合があります。

臨床検査センターでは検査のみを行うため、患者と接する機会はありません。臨床検査センターの中には24時間体制で稼働している施設もあり、生活が不規則になりやすいでしょう。また、検体量が多い場合は残業が増えるケースもある点に注意が必要です。

製薬会社

中には製薬会社に勤務する臨床検査技師もいます。臨床開発モニター(CRA)として治験の企画や治験を実施する医療機関の選定、治験実施計画書の作成、契約、モニタリング、進捗管理などを担当し、医薬品の開発研究に携わります。

部署内で連携しながら業務を進める必要があるため、治験に関する知識に加えて、高いコミュニケーション能力が問われる職種です。

病院での業務と比較して携わる範囲が広くなりやすいほか、出張や外出が多くなるのが特徴といえます。

適性も考えて臨床検査技士を目指そう

臨床検査技師

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臨床検査技師には、細かい作業が得意で手先が器用な人、コミュニケーション能力が高い人が向いています。

臨床検査技師になるためには国家資格が必要ですが、病院などの医療機関、臨床検査センター、製薬会社など、さまざまなフィールドで活躍できる仕事です。臨床検査技師への適性がある場合は、目指してみるといいでしょう。

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木山美佳
【監修者】キャリアコンサルタント・人材育成コンサルタント木山美佳

株式会社キャリ・ソフィア代表取締役一般社団法人ダイバーシティ人材育成協会代表理事大手総合人材サービス会社、JAL系研修会社を経て2011年に株式会社キャリ・ソフィアを設立。人材育成事業を通して5万人以上のキャリア形成に携わってきた。Career Elements CardⓇなどのキャリア教材考案者。大阪府立大学大学院人間科学修士(博士後期課程単位取得退学)。国家資格キャリアコンサルタント。

著書:
自分から動く部下が育つ8つのパワーフレーズ(同文舘出版)