救急救命士に向いている人の特徴は?必要なスキルもチェックしよう

救急救命士とは、傷病者に救急救命処置を施すスペシャリストです。厚生労働大臣の免許を受ける国家資格ですが、資格を取得すれば誰にでも務まる仕事というわけではありません。救急救命士に向いている人の特徴や、必要なスキルについて解説します。

救急救命士に向いている人の特徴は?

救急車と救命士

(出典) pixta.jp

救急救命士には、どのような人が向いているのでしょうか?向いている人の特徴を3つ挙げて紹介します。

人助けに対する使命感や責任感のある人

救急救命士は、人の命を左右する重大な仕事です。人助けをしたいという気持ちや責任感の強い人でなければ、務まらないといっても過言ではありません。

医師の指示に従って救急救命処置をしますが、自身の責任でさまざまな判断をしなければならない場面も多々あります。

傷病者の中には、一刻の猶予も許さないほど緊急な状態の人もいるため、医療に関わる仕事の中でも特に責任が重い職種といってもよいでしょう。

「何となく医療に興味がある」「人助けに貢献してみたい」といった漠然とした動機ではなく、人の命を救いたいという強い使命感を持っていることが必要です。

体力に自信がある人

救急救命士として働くには、体力も必要です。救急救命士の仕事は、原則的に仮眠を取りながらの24時間勤務となります。仮眠中でも、急病人・けが人の救急通報があれば、要請に応じて出動しなければなりません。

そのため、勤務中は常に緊張感を持っていなければならず、体力的・精神的に過酷な仕事といえるでしょう。また、当番日・非番日・公休を繰り返す勤務パターンになるので、生活が不規則になりがちです。

非番日は緊急の呼び出しがあれば出勤しなければならないため、完全な休日とはいえません。このように厳しい労働条件の中で、体調を崩さずに仕事をこなすには、強靱な体力が求められます。

勤勉で向上心のある人

勤勉さや向上心のある人も、救急救命士に向いています。救急救命士は、就業した後も日々の訓練・勉強が欠かせません。訓練などは出動の合間の待機中に行うこともあるため、1日のスケジュールはとてもハードです。

出動回数が多い日もあり、疲労が蓄積してしまうことも少なくありません。そのような状況の中でも日々の鍛錬を続けるには、体力があるだけでなく、勤勉な性格の人でなければ苦痛に感じてしまうでしょう。

医療機器・医療技術も常に進歩し続けるので、新しい知識を習得しようとする向上心も必要です。

救急救命士に向いていない人の特徴は?

救急車と救命隊員

(出典) pixta.jp

救急救命士は体力的・精神的にハードなため、仕事に対する考え方や性格によっては向かない人もいます。救急救命士に向いていない人の特徴も確認しておきましょう。

土日は休みたい人

一般企業に勤務する会社員のように、土日に休みを取りたい人には救急救命士の仕事は向きません。救急救命士は、年中無休の業務体制で勤務にあたる仕事です。

24時間ごとに当番・非番・公休を繰り返すサイクルを、複数の班に分かれて回すシフトが組まれています。サイクル的には2日おきに公休日がくる計算ですが、必ずしも土日が休みになるわけではありません。

救急救命士にももちろん休みはありますが、家族と土日にゆっくり過ごしたいなど、休日の条件を優先させたい人には向かないでしょう。

公務員の福利厚生だけを期待している人

民間の救急会社や病院などで働くケースもありますが、基本的に救急救命士は、自治体の消防署や海上保安庁・自衛隊に勤務する公務員です。

公務員は民間の企業に比べて福利厚生が手厚く、さらに救急救命士は一般行政職より高水準の給与が支給されます。しかし、そういった待遇面だけが目的で救急救命士になった人は、長く仕事を続けていけないことが多いでしょう。

たとえ高い給与・手厚い福利厚生を受けていても、人の命を預かる責任の重さや、24時間体制の労働条件に耐えられず離職してしまう人も少なくありません。

福利厚生ももちろん大切な条件の1つですが、何よりも人の命を救いたいという強い気持ちが求められます。

そもそも救急救命士とはどういう資格?

救急車

(出典) pixta.jp

救急救命士とはどのような資格なのか、具体的に分からない人もいるかもしれません。救急救命士の資格について、詳しく見ていきましょう。

救急救命士法による国家資格

救急救命士になるには、国家試験に合格して免許を取得しなければなりません。消防署で救急業務にあたるためには、高校・大学・短大・専門学校を卒業後、消防官採用試験に合格し、消防士として採用される必要があります。

その後、救急救命士の養成課程を修了し、実務経験を積み専門知識を身に付けた上で受験するのが一般的です。大学・専門学校で救急救命士養成コース等を修了してから、卒業後に国家試験を受験するケースもあります。

なお、救急救命士が働いているのは消防署だけではありません。病院・ドクターヘリ・ドクターカーなど、さまざまな場所で活躍しています。

参考:救急救命士 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))

救急車内などでの救護行為が主な仕事

傷病者を医療機関に搬送する間、救急車の車内などで救護行為をするのが救急救命士の主な仕事です。

出動の要請が入ると救急車などに乗って現場に急行し、心電計や聴診器などで傷病者の状態を確認したり、必要があればAEDなどを使った救急処置を施したりします。

遠隔地にいる医師から専用の端末を通して指示を受け、点滴や気管の確保などの特定医療行為を行うことも少なくありません。

また、適切な搬送先を探すのも救急救命士の仕事です。搬送先に到着してからの引き継ぎや、消防署に戻ってからの報告書作成なども救急救命士の仕事に含まれます。

救急救命士に求められるスキル・適性

救命士の訓練

(出典) pixta.jp

救急救命士を目指すなら、身に付けておきたいスキルも確認しておきましょう。救急救命士に必要なスキルや、求められる適性を4つ紹介します。

高いコミュニケーション能力

救急救命士にとって、コミュニケーション能力は重要なスキルの1つです。傷病者の中には、急な体調の変化やケガなどでパニックになっている人もいます。そのような状態の人からも、詳しい症状などを聞き出さなければなりません。

医師の指示を受けて医療行為を行うには、傷病者の状態を的確に伝えることが必要です。搬送先の病院に引き継ぐ際も、現場に駆け付けたときの状態や、救急車内での処置などについて伝える説明能力は欠かせません。

また、病気・ケガを負った本人や家族を落ち着かせたり、安心させたりするために、思いやりのある声がけができる人材が求められます。

瞬発力・集中力

救急救命士は、病院に着くまでの短時間で適切な処置をしなければならないため、迅速な行動が必要です。救急の現場では傷病者本人や家族に心理的余裕が少なく、緊急性の高い症状の場合には時間的な猶予もありません。

短時間で的確な情報を収集し、適切な判断の下に緊急処置を施さなければならないため、他の医療職よりさらに素早い判断力・瞬発力が求められます。

重症度が高いと、わずかな間でも症状が急変するケースもあるので、些細な変化も見逃さないよう集中力も必要です。

冷静な判断力

救急救命士には、瞬発力とともに冷静な判断力も必要です。救急救命士の判断が、命を左右するケースも少なくありません。救急の現場では、誰もが冷静さを失いがちです。

大きな事故の現場などでは、傷病者がパニックを起こしている場合もあり、冷静沈着でいることが何よりも求められます。また、AEDなどの医療機器を使う場合もあるので、慌てず落ち着いて操作することが必要です。

経験が浅いうちは、事故現場などの凄惨な状態を見たときに、気が動転してしまうこともあるかもしれません。しかし、少しずつ経験を積んで、どんなときでも冷静に対処できるようになることが大切です。

医療に関する知識

傷病者の救護をするためには、医療に関する知識が必須です。救急救命士は、症状の重い傷病者に対し、医療機器を使用して心音・呼吸音の確認や心拍動の観察、酸素投与などを行います。

そのため、さまざまな医療機器の操作方法をマスターしていなければなりません。生命の危険がある傷病者には、医師の指示を受けて気道・静脈路の確保のほか、輸液・薬剤の投与なども行うため、医療に関する知識・技術が必要です。

医療機器・医療技術は日々進歩し続けているため、積極的に新しい知識を習得することも求められます。今後も、傷病者の生存率を上げるために、高度な救急医療の知識・技術を持った救急救命士の活躍が期待されるでしょう。

救急救命士がやりがいを感じるとき

AEDを運ぶ救命士

(出典) pixta.jp

救急救命士は人の命を預かる責任の重い仕事ですが、大きなやりがいを感じられる場面も数多くあります。救急救命士が感じるやりがいについても確認してみましょう。

人の命を救えたとき

救急救命士が活躍するのは、誰かが病気・ケガに見舞われて命の危険に関わる緊張感のある場面です。適切な処置をしたにもかかわらず、命を救えないというケースも少なくありません。

そのような中で、自分の判断や救護行為によって命を救えたときは、何物にも代えがたいやりがいを感じられます。判断が間違っていなかったという自信や、達成感にもつながるでしょう。

また、豪雨などの自然災害が増えている近年では、災害救急医療の重要性も増しています。救急医療の最前線に立つ責任は重いですが、責務を果たしたときに得られるやりがいは大きなものでしょう。

「ありがとう」と言われたとき

傷病者の命を救えたときに、患者やその家族から「ありがとう」と感謝の言葉をかけられることもあります。救急救命士にとっては数多く対応した傷病者の1人だとしても、家族や友達、恋人などからすればかけがえのない大切な存在です。

命が失われるかもしれないという不安な状況から一転、救急救命士の処置によって一命を取り留めたときは、心の底から感謝の気持ちでいっぱいになっているでしょう。

救急救命士にとっても、職務を全うしたという実感につながり、どんなに過酷な仕事でも続けていける原動力となるのです。

救急救命士に向いていたら資格取得を目指そう

救急隊

(出典) pixta.jp

救急救命士は、何より人助けをしたいという強い思いを持っている人に向いています。24時間体制で勤務にあたらなければならないので、体力も必要です。

人の命に関わるため責任の重い仕事ですが、その分責務を果たしたときには大きなやりがいを得られます。憧れだけでは務まらない職業ですが、向いていると思ったら資格取得を目指しましょう。

救急救命士の職場は、消防署ばかりではありません。民間の救急会社や病院などで活躍している救急救命士も数多くいるため、自分に合った勤務先を選ぶのがおすすめです。

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