銀行員に必要な資格とは?業務に必須の資格や出世に必要な資格を紹介

銀行への就職・転職を目指す場合、資格は必要なのでしょうか?銀行員に求められる資格について、ケース別に紹介します。特定の業務に関する必須資格や、昇格の際に求められやすい資格も覚えておきましょう。状況によっては、採用前の取得も検討できます。

銀行員を目指す上で資格は必要?

銀行の窓口

(出典) pixta.jp

これから銀行への就職・転職を希望する場合、何らかの資格は求められるのでしょうか?銀行員の求人に応募する際に、必要になるものがあるのか解説します。

必須資格はない

銀行への就職・転職にあたり、「この資格がなければ銀行員として採用されない」というような必須資格は、基本的にありません。銀行の業務は多岐にわたり、入行後に必要な資格があれば都度取得していくのが一般的なためです。

銀行の新卒採用サイトでも、複数の金融機関で「持っているだけで有利になる資格はない」と回答されています。資格取得そのものではなく、取得に向けた努力や経験が評価されるケースはあるでしょう。

転職の場合に限り、経験者・有資格者を求めている可能性はありますが、新卒や経験・資格を問わない募集であれば、資格がなくても応募は可能です。

これから銀行員を目指すのであれば、現時点で資格を持っていないとしてもチャンスはあるでしょう。

持っていると有利になる資格はある

必須資格はないにしても、銀行員として働く上でいずれ必要になる資格はいくつもあります。採用前に勉強し、持っておくと評価につながる資格がある点は覚えておきましょう。

転職の場合は、資格が必要なポジションの募集である可能性も考えられます。業務に必要な資格がある場合は、経験者を想定しているケースもあるため注意しましょう。

金融関連の資格を持っていると、採用が有利に働く可能性もあります。入行後に役立つ資格については、積極的に勉強しておくとよいでしょう。

銀行員の業務によって必須の資格

資格の勉強

(出典) pixta.jp

銀行入行後に対応する業務によっては、必須となる資格があります。採用時点で取得しておく必要はない資格ばかりですが、転職に限っては経験者・有資格者の募集も考えられるでしょう。業務上、必須となる可能性がある資格を紹介します。

外務員資格

「外務員資格」は、金融商品の販売に欠かせない資格です。投資信託・株式のような、金融商品を販売する業務に就く場合は、必須とされます。

一般的に、一通りの基本業務を覚えた後、窓口での金融商品販売に携わると決まれば、資格取得が求められるでしょう。

銀行員以外の受験が可能となっているものもあるため、いずれ外務員として勤務したいと考えているなら、採用前に取得しておいても損はありません。銀行だけでなく、証券会社・金融関連の企業でも役立つ資格です。

外務員資格・基礎試験 | 日本証券業協会

生命保険・損害保険募集人資格

銀行では、生命保険・損害保険の販売を行うケースもあります。住宅関連の生命保険・損害保険、海外旅行の傷害保険などが一般的です。

「生命保険募集人資格」「損害保険募集人資格」は、保険販売に欠かせない資格とされています。主に保険を販売する営業や、窓口担当者には必須です。

業務に就く場合は、銀行から研修や受験の指示があります。生命保険・損害保険を扱う企業からの転職であれば、すでに取得しているかもしれませんが、それ以外のケースでは入行後の取得が基本です。

すぐに必要になるとは限りませんが、入行後に取得を促される可能性は高いと考えておきましょう。

業界共通試験 | 生命保険協会

日本損害保険協会 損保代理店試験公式ホームページ

内部管理責任者資格

「内部管理責任者」は、銀行の管理職に必要な資格です。昇進を視野に入れている場合は、タイミングを見て取得を目指します。

管理職として働く機会がなければ原則不要なので、銀行員全員が取得するわけではありません。

ある程度業務に慣れ、多くの仕事をこなせるようになってから、取得を促されるものと考えておきましょう。また転職の場合、管理職の募集であれば、内部管理責任者の資格保有者を求めていると判断できます。

内部管理責任者 | 日本証券業協会

入行後に取得を推奨される資格

簿記のイメージ

(出典) pixta.jp

業務遂行や採用には関係がないものの、入行後に取得を推奨される資格もあります。採用前に取得できる資格については、先に勉強しておいてもよいでしょう。銀行業務に役立つ資格を紹介します。

銀行業務検定試験

「銀行業務検定」は、銀行業務におけるスキルを証明するための検定です。業務に必要なわけではありませんが、多くの銀行で受験を推奨されています。

昇格の判断基準として設定されているケースも多く、銀行側が指定する検定の合格はほぼ必須と考えておきましょう。

銀行業務検定には、22系統・37種目の試験があり、担当する業務に応じて受験する項目を決める形です。

コンプライアンスの系統では、「金融コンプライアンス・オフィサー」を昇格の条件としている金融機関もあります。多くは業務の理解度・遂行能力を確認するための検定であり、採用時点ではなく入行後に受験するのが基本です。

銀行業務検定協会

ファイナンシャル・プランナー技能士

金融商品の販売や案内を担当する上で、専門家としての資格を取得していると説得力が増します。「ファイナンシャル・プランナー技能士」は、生活とお金に関するプランニングを担う専門資格です。

保険・資産運用・住宅資金・教育資金など、ファイナンシャル・プランナー技能士が対応する相談分野は幅広く、銀行で扱う商品・資金も増えています。

ファイナンシャル・プランナー技能士の取得を、昇格の条件として設定している金融機関もあるため、取得しておくと役立つでしょう。

業務遂行・昇格に必要となる目安は、2級以上です。まずは難易度の低い3級からステップアップし、その先にAFP・CFPなどの上位資格を目指すのもよいでしょう。

日本FP協会

日商簿記検定

銀行ではお金の管理・計算が主な仕事のため、お金の動き・計算を学べる「日商簿記検定」は取得しておくと役に立ちます。

簿記の資格は、事務処理・経理全般で役立つため、銀行員として働く前に取得しておくと、評価につながる可能性も高いでしょう。

日商簿記検定には3〜1級がありますが、仕事に生かしたいと考えるのであれば、2級以上の取得がおすすめです。初心者は3級から受け、2級・1級とステップアップするのもよいでしょう。

受験料が安く、試験が行われる回数も多いため、短期間で取得しやすい資格です。

簿記 | 商工会議所の検定試験

銀行員の昇格・出世に必要な資格

宅地建物取引

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銀行員の業務の中には、資格を要するものも多数あります。投資・不動産・企業年金など、顧客の要望に合わせて適切な案内を行わなければなりません。

昇格・出世を視野に入れた場合、どんな資格を持っていると役立つのでしょうか?一部の資格をピックアップして紹介します。

CMA(日本証券アナリスト協会認定アナリスト)

「CMA」は、日本証券アナリスト協会が認定するアナリストの資格です。2023年9月末時点で全国に2万8,000人以上の会員がおり、そのうち13%は銀行に所属しています。

財務や投資運用、コンサルティングなど幅広い分野で生かされ、銀行員としてのキャリアアップに適した資格です。

投資商品の販売やファンド・マネージャーとしての業務遂行、証券会社へのキャリアチェンジなど、CMAの資格・知識を生かしたステップアップが可能になるでしょう。

参考:CMAとは|日本証券アナリスト協会

公益社団法人 日本証券アナリスト協会

宅地建物取引士

銀行では、住宅ローンの提案をはじめ、不動産に関する商品を扱うケースも多いものです。所属する銀行が不動産に関する業務を扱っている場合は、「宅地建物取引士」の資格が役立ちます。

専門的な知識を証明できれば、取引先である不動産会社・顧客からの信頼度も高まるでしょう。不動産関連の商品を扱う企業への転職や、キャリアチェンジにも適しています。

グループ会社との提携を含め、住宅ローン以外の不動産業務を扱う銀行もあり、所属先によっては幅広い分野で不動産の知識を生かせるはずです。

一般財団法人 不動産適正取引推進機構

アクチュアリー

「アクチュアリー」は、生命保険・損害保険・企業年金の分野で活躍する専門資格です。銀行で取り扱っている商品が多く、資産運用・投資の面でも知識を生かして、顧客の課題解決に尽力します。

アクチュアリーは、確率・統計を用いて将来的な評価を行い、企業評価・リスクマネジメントに携わるのが特徴です。銀行で活躍するアクチュアリーの例として、年金分野で企業年金・退職金制度の設計を提案する業務があります。

国内の資格保有者は、2022年3月末時点で5,497人と少なく、求められる場面は多いでしょう。世界には約9万人の会員がおり、グローバルな活躍を視野に入れている人にもおすすめの資格です。

参考:5分でわかるアクチュアリー | アクチュアリー会

アクチュアリー会

金融関連以外で取得が推奨される資格

運転手

(出典) pixta.jp

金融関連以外の資格も、銀行員の業務に役立ちます。採用前に取得しておくと、評価の対象となる可能性もあるでしょう。

普通自動車免許

「普通自動車免許」は、営業や外回りの業務で求められます。銀行員は、取引先・顧客とのやりとりのために外に出るケースも少なくありません。

免許を持っていると業務の範囲が広がり、対応できる仕事も多くなるでしょう。ペーパードライバーではなく、業務上の運転に支障がない程度の経験も求められますが、車が運転できるのは強みです。

また、車の免許は時間があるときに取得しておく方がよいでしょう。働き始めて忙しくなると、免許の取得に必要な時間を確保できなくなる可能性もあります。就職・転職前に余裕があれば、取得を検討するのがおすすめです。

普通免許試験 警視庁

TOEIC

銀行の中には、語学力を重視しているところもあります。「TOEIC」は、英語のスキルを証明できるテストです。

研修を設け、TOEICで一定以上の点数を目標としているメガバンクもあるため、採用前に勉強しておくと評価につながる可能性が高くなるでしょう。

特に海外部門を設けている銀行の場合は、現地赴任も考えられます。赴任が前提となっているポジションでは、必須のスキルといえそうです。

目安として、700点以上を取っていれば英語力の証明につながります。銀行によっては800点以上を提示しているケースもあり、必要な点数は応募する銀行によってさまざまです。

点数が高いだけで採用が有利になるとは限りませんが、能力・努力の証明として高得点を狙うのもよいでしょう。

【公式】TOEIC Program|IIBC

銀行員に必要な資格を把握しておこう

銀行の窓口

(出典) pixta.jp

銀行員は業務の幅が広く、投資や保険商品の販売・案内にも対応します。銀行によっては、不動産関連の業務を担当するケースもあるでしょう。

採用時点における必須資格はないものの、入行後は携わる業務によって必要な資格を取得しなければなりません。昇格・出世に求められる資格も多く、業務の合間を縫って勉強を続けるのが基本です。

入行後に必要となる資格・推奨される資格を把握したら、実際の求人を見てみましょう。「スタンバイ」でも、銀行員の求人を探せます。自分のスキル・能力に合う仕事を見つけて、就職・転職を検討しましょう。

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