未経験からタクシードライバーになるには?転職の流れと難易度を紹介

長期的に働ける仕事を探している人の中には、タクシードライバーを目指す人もいるでしょう。しかし、未経験からでも、タクシードライバーへの転職は可能なのでしょうか?タクシードライバーの仕事内容や求められるスキル、資格取得の流れを解説します。

タクシードライバーには2種類ある

ハンドルを握るタクシードライバー

(出典) pixta.jp

一言でタクシーといっても、営業形態によって法人タクシーと個人タクシーに分類されます。まずは、それぞれの営業形態の特徴を確認しましょう。

【法人タクシー】タクシー会社に所属

タクシー会社に所属するドライバーを、総称して「法人タクシー」と呼ぶのが一般的です。未経験からタクシー運転手を目指す場合、基本的にはタクシー会社に入社することとなるでしょう。

法人タクシーは、転職の難易度が比較的低く、労働時間がきちんと管理されていたり、給与保証があったりするのがメリットです。一般的な会社員と同じような働き方といえます。

一方、売上をドライバーと会社で分割するシステムになっているため、大きく稼ぎにくいのがデメリットです。

【個人タクシー】個人事業主として営業

どこのタクシー会社にも在籍せず、個人事業主としてタクシーを運行しているドライバーを「個人タクシー」と呼びます。

個人タクシーとして新規開業するには、国土交通省が定めた条件を満たしていなければなりません。具体的な条件の一例は、以下の通りです。

  • 乗務経験が10年以上ある
  • 65歳未満である
  • 3年間無事故無違反である

許可を受けるには一定の乗務経験が求められるため、法人タクシーで経験を積んでキャリアアップするのが通常です。

開業の難易度が高い反面、自分のペースで働けて稼ぎやすいのがメリットといえます。長期的にタクシードライバーとして活躍したいなら、将来的に個人タクシーを目指してもよいでしょう。

参考:新規許可・譲渡譲受等、個人タクシー開業の申請に係る資格要件 | 日個連東京都営業協同組合

タクシードライバーに必要な資格

タクシー乗り場

(出典) pixta.jp

実際にタクシードライバーとして乗客を乗せて運行するためには、特定の資格を取得しなければなりません。タクシードライバーに欠かせない、2つの資格を紹介します。

第二種運転免許の取得

乗客を乗せた旅客自動車を運行するためには、第二種運転免許を取得しなければならないことが、道路交通法により定められています。2023年10月時点で、第二種運転免許は以下の5種類に分けられています。

  • 普通第二種
  • 中型第二種
  • 大型第二種
  • 大型特殊第二種
  • けん引第二種

タクシーで使用される車が該当するのは、上記のうち「普通第二種運転免許」です。上位免許を取得している人は、下位の車両を運転できるため、新たに免許を取得する必要はありません。

なお、2022年には第二種運転免許の受験資格に関しての、見直しが行われています。

  • 受験資格特別教習を修了した19歳以上
  • 免許を受けていた期間が1年以上ある

受験資格特別教習を修了しない場合は、免許を受けていた期間が「3年以上」かつ「21歳以上」で、視力・聴力などの適性もクリアしていれば第二種運転免許の受験資格を満たせます。

参考:道路交通法 第86条 | e-Gov法令検索

参考:大型二種・中型二種・普通二種免許試験(直接試験場で受験される方) 警視庁

参考:第二種免許等の受験資格の見直しについて(令和4年5月13日)|警察庁Webサイト

地理試験への合格

タクシードライバーとして活躍するには、第二種運転免許を取得するだけでなく、地理試験(輸送の安全及び利用者の利便の確保に関する試験)に合格する必要もあります。

地理試験は国家資格ではなく、タクシーセンターが実施している試験です。試験は、以下の2種類に区分されています。

  • 営業地域に関する地理
  • タクシー事業に関する法令、安全及び接遇

地理試験に合格するには、2つの試験それぞれの得点が合格基準以上に達することが必要です。どちらか一方のみが合格基準以上に達した人は科目合格となり、合格日から2年間は申請することで合格した試験が免除されます。

参考:輸送の安全及び利用者の利便の確保に関する試験 | 公益財団法人 東京タクシーセンター

未経験でもタクシードライバーになれる?

タクシー運転手

(出典) pixta.jp

タクシードライバーは、未経験者の転職難易度がそこまで高くはない仕事です。なぜ未経験者でもタクシードライバーに転職しやすいのか、その理由を解説します。

資格取得をサポートしてくれる企業も多い

第一種運転免許しか取得していない人を積極的に採用し、第二種運転免許の取得と地理試験への合格をサポートしている企業も数多く存在します。

そのため、資格取得をサポートしているタクシー会社への就職を目指せば、あらかじめ第二種運転免許を取得しておく必要はありません。

免許の取得には一定の時間とコストがかかるため、転職後にサポートを受けながら取得を目指せるのは、大きな魅力といえるでしょう。

未経験からタクシードライバーを目指すなら、資格取得制度を設けているタクシー会社を選ぶのがおすすめです。

一定期間の給与保証がある企業なら安心

一般的なタクシー会社は、営業成績に応じたインセンティブを基本給に上乗せして、支給額を決定します。売上を伸ばせば伸ばすほど、給与もアップするシステムですが、経験が浅いうちは思ったように収入アップしにくいでしょう。

しかし、多くのタクシー会社には、入社から一定期間の給与を保証する制度があります。そのため、入社直後で思ったように売上を伸ばせない場合でも、一定の給与を受け取れます。

タクシードライバーとしてのキャリアをスタートして、すぐにたくさんの売上を上げるのは難しいため、給与保証は大きなメリットといえるでしょう。

給与保証がある間に、乗客が多いエリアや効率的な運行方法を学ぶことで、給与保証がなくなった後もしっかり稼げるようになります。

タクシードライバーに必要な3つのスキル

ハンドルを握る

(出典) pixta.jp

未経験からでも挑戦できるタクシードライバーですが、長期的に活躍するには十分なスキルを習得することが必要です。タクシードライバーとして働く上で欠かせない、3つのスキルを解説します。

十分なドライビングスキル

タクシードライバーは、運転することで報酬を得るプロであるため、十分なドライビングスキルが欠かせません。安全に運行するためのスキルだけでなく、乗客の快適性を確保するためのスキルも求められます。

タクシードライバーとして乗務する際には、スムーズに停車・発車したり、頻繁なブレーキを避けたりなど、乗客の快適性を意識した運転を心掛けましょう。「自分が乗客だったらどのように運転してほしいか」を、意識する必要があります。

接客関連のスキル

タクシードライバーとして活躍する上では、接客スキルも必要です。乗客を目的地に輸送することが目的ですが、運転スキルだけでなく、接客スキルも乗客の満足度に大きな影響を及ぼすためです。

具体的な接客スキルの一例として、以下のものが挙げられます。

  • 目的地に応じて適切なルートを提案する
  • 車内環境に気を配って細かく調整する
  • 乗客と適切にコミュニケーションを取る

乗客が乗車した段階で、さりげなく声をかけて車内の空調を調整したり、道路状況を考慮して適切なルートを提案したりなど、細かく気を配るのが満足度を高めるコツです。

観光地に行く乗客に対し、軽く地元の名所を案内するなど、それぞれのニーズに応えることも大切です。

情報を収集するスキル

給与制度にインセンティブが採用されているため、収入アップを目指すには、乗客が多いエリアで効率的に営業することが求められます。そのためには、情報を収集・分析するスキルが欠かせません。

営業エリア内で、タクシーのニーズが高いエリアはどこか、大規模なイベントの実施予定があるか、主な乗客の属性はどのようなものかなど、さまざまな情報を総合的に判断しましょう。

例えば、大規模なイベントが実施される場合は、最寄駅からイベント会場までの輸送ニーズが高まると考えられます。地元住民の利用が多いエリアであれば、駅・商業施設から自宅に帰るユーザーが多く利用すると予想できるでしょう。

ドライバーとしての経験を積みながら、ニーズやユーザー層を細かく分析することが重要です。

タクシードライバーの主なスケジュール

タクシー乗り場

(出典) pixta.jp

タクシーは、24時間年中無休で運行しているため、一般的な企業とは異なるスケジュールで働くのが通常です。タクシー会社入社後の主な勤務スケジュールを、2パターン紹介します。

【隔日勤務】勤務時間が長めで休みが多い

1勤務あたりの労働時間が長く、2日にわたって働くのが隔日勤務です。8:00~翌5:00の21時間勤務など、長時間勤務が多い半面、休日も多いのが特徴です。勤務明けと休日が続く場合は、2連休に近い休息時間を確保できるでしょう。

2回出勤して1回休みというスケジュール編成のケースが多く、1カ月あたりの出勤日数は12~13日程度になるのが一般的です。なお、隔日勤務で働くドライバーの拘束時間は、1カ月に262時間までと定められています。

参考:労働基準部 監督課 自動車運転者の労働時間改善基準 タクシー | 静岡労働局

【日勤】一般的な企業の労働時間に近い

隔日勤務だけでなく、日勤を併用しているタクシー会社もあります。日勤は「昼日勤」と「夜日勤」に分けられ、勤務時間の例はそれぞれ以下の通りです。

  • 昼日勤:9:00~17:00
  • 夜日勤:19:00~翌4:00

一般的な企業の日勤に相当するのが昼日勤、夜勤に相当するのが夜日勤といえます。時間帯によってタクシーの需要に差があるため、併用しているタクシー会社は日勤と隔日勤務を組み合わせて必要な台数を確保しています。

日勤は1勤務あたりの勤務時間が短い分、出勤日数が月に20~23日と多めなのが特徴です。

積極的にタクシードライバーに挑戦しよう

女性タクシー運転手

(出典) pixta.jp

タクシー会社は、運転免許を持っていれば未経験者でも入社しやすく、長期的に働ける職場を探している人におすすめです。

第二種運転免許の取得をサポートしているタクシー会社も多いため、まだ取得していない人は取得サポートのあるところを選びましょう。

「スタンバイ」でも、全国各地にあるタクシー会社の求人を取り扱っています。資格取得をサポートしている会社も見つけられるため、未経験からタクシードライバーを目指す人もぜひチェックしてみましょう。

スタンバイ|国内最大級の仕事・求人探しサイトなら