診療情報管理士とはどのような仕事?必要な資格や仕事内容を解説

医療機関でデータベースを扱う診療情報管理士は、近年注目されている職種です。診療情報管理士に興味のある人に向け、具体的な仕事内容や、向いている人の特徴などを解説します。診療情報管理士になるための条件についても確認しましょう。

診療情報管理士とは

資料を記入する男性

(出典) pixta.jp

診療情報管理士は、診療情報のスペシャリストです。まずは診療情報管理士の主な役割から確認していきましょう。

診療情報を扱うスペシャリスト

患者のカルテの内容をデータベース化したり、医療に関わる統計資料を作成・整理したりするのが、診療情報管理士の主な役割です。診療情報を取り扱うスペシャリストであり、医師や看護師の仕事を情報面からサポートする重要な仕事といえます。

近年はさまざまな業界・業種でDXが広まっており、病院をはじめとした医療機関でも、IT化の需要が高まっています。それに伴い、診療情報の専門家である診療情報管理士が注目されており、今後さらに人材ニーズが高まると考えられるでしょう。

参考:診療情報管理士 - 職業詳細 | job tag 職業情報提供サイト(日本版O-NET)

医療事務とは業務内容が異なる

診療情報管理士と混同されがちな職種に、医療事務があります。医療事務は医療機関を訪れる患者の応対や、医療費の計算などに従事する仕事です。患者のデータベースに触れる機会はあるものの、診療情報管理士とは担当する業務内容が異なります。

診療情報管理士は基本的に裏方の役割であり、データベースに関する仕事が大半です。一方で医療事務は、一般事務や診療報酬明細書の作成のほかに、受付業務など患者とじかに接する機会も多く、求められるスキルも異なるので注意しましょう。

参考:医療事務 - 職業詳細 | job tag 職業情報提供サイト(日本版O-NET)

診療情報管理士の主な仕事内容

カルテに書き込む

(出典) pixta.jp

診療情報管理士の主な仕事内容は、以下の通りです。これから診療情報管理士を目指す人は、どういった仕事に携わるのかしっかり押さえておきましょう。

診療記録の点検・管理・データベース化

医師の記した患者の診療記録や手術記録・検査記録など、一般的にカルテに記載される情報をはじめ、看護師が作成した看護記録などの確認・保管管理は診療情報管理士の代表的な仕事です。

適切な医療行為を提供するには、必要な情報を正しく管理し、いつでも活用できる体制にしておかなければいけません。

これまでは紙ベースで情報を管理していた医療機関も数多くありましたが、近年のDXに向けた流れもあり、IT技術を駆使してデジタル管理するケースが増えてきました。

診療情報管理士は医療機関のIT化の要となる存在であり、情報の点検や管理・データベース化と、重要な役割を担います。

なお、医療機関のカルテや診療記録には、一定期間の保管義務があります。診療情報管理士は医療情報を体系的に保管・管理し、漏えいが起こらないように細心の注意を払わなければいけません。

参考:3)診療情報を点検・管理する業務|診療情報管理士業務指針2021|JHIM(日本診療情報管理学会)

国際疾病分類(ICD)に基づくコーディング

カルテに記載されている病名を、世界共通の分類に従ってコード化する仕事(ICDコーディング)も、診療情報管理士の重要な仕事の1つです。

世界には非常に多くの病名があるので、コード化して整理しておかなければ、必要な場面で情報をうまく活用できません。

病名をコード化しておけばデータの収集・分析もしやすくなり、情報の統廃合もスムーズにできます。医療記録のデータベース化を進める上でも、診療情報管理士にコーディングは必須の業務といえるでしょう。

参考:5)診療情報の「コード化」の進展への対応|診療情報管理士業務指針2021|JHIM(日本診療情報管理学会)

個人情報・診療情報の保護

患者の診療情報は個人情報の塊とも呼べるものなので、徹底した保護が求められます。

診療情報管理士にとって個人情報の安全な管理は、最も重要な仕事といっても過言ではありません。万が一、情報が外部に漏えいすると、情報の管理者としての信用だけではなく、勤め先の医療機関の社会的評判も落ちてしまいます。

管理者自身が適切に情報を取り扱うのはもちろん、データベースを活用する医師や看護師など、医療従事者が情報を活用するための適切なサポートも求められるでしょう。

国が定めている「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に準拠し、情報の運用ルールを定めた上で、利用者に順守させなければいけません。

参考:2)診療情報を安全に保存・管理する業務|診療情報管理士業務指針2021|JHIM(日本診療情報管理学会)

診療情報管理士になるために必要なこと

資料に書き込む

(出典) pixta.jp

診療情報管理士になるには、まずは資格を取得するのがおすすめですが、それ以外にも目指す方法があります。診療情報管理士として活躍するための条件を確認しておきましょう。

診療情報管理士資格の取得がおすすめ

診療情報管理士として仕事をするために、資格は必須ではありません。しかし現状において、資格取得者でなければ、診療情報管理士として就職・転職するのは難しいのが実態です。

無資格で就業を目指す場合には、情報処理関連の実務経験や、データベースに関する資格などをアピールするとよいでしょう。ただし、求人の応募に診療情報管理士の資格が求められる案件が多いので、未経験者はまず資格の取得を目指すのがおすすめです。

診療情報管理士資格の目指し方

診療情報管理士資格の取得を目指すには、一般社団法人日本病院会による診療情報管理士の通信教育を修了するか、同法人が指定する大学や専門学校で指定の単位を取得し、卒業(卒業見込み含む)、認定試験に合格することが必要です。

ただし、上記の通信教育を受ける上でも資格が必要で、2年制以上の短期大学や専門学校以上の学歴が求められますが、病院に勤務している人は高卒でも通信教育を受けられます(2023年時点)。

また、医師や歯科医師、看護師などの資格を有している人は、無条件で通信教育の専門課程に編入が可能です。受験資格や受験内容について、詳しくは一般社団法人日本病院会の公式サイトを確認しましょう。

参考:日本病院会|診療情報管理士通信教育

診療情報管理士に向いている人の特徴は?

カルテの並んだ棚

(出典) pixta.jp

診療情報管理士に向いている人の特徴としては、細かい業務を丁寧に進められる人や、責任感の強い人、国語・外国語が得意な人などが挙げられます。それぞれ確認しましょう。

細かい業務を丁寧に進められる

診療情報のみならず、データベースの管理に関わる仕事には、細かい作業をコツコツと丁寧に進められる人が向いています。膨大な量の診療記録を確認し、データとして正確に登録しなければならないので、地道に作業をこなせる人でなければ務まりません。

長時間にわたる作業を苦手としない性格で、ミスなく仕事を続けられる人であれば、診療情報管理士として活躍できるでしょう。

責任感がある

前述の通り、診療記録は個人情報の塊でもあるので、意識的にはもちろん、無意識でも外部に漏らさないよう、情報リテラシーや責任感のある人でなければいけません。

万が一にも外部に情報が流出すると、診療情報管理士だけの責任では手に負えない問題に発展してしまいます。

データを適正に扱い、安全に情報を管理できる体制を構築するとともに、データの利用者にも正しく運用を促す姿勢が必要です。

国語・外国語が得意

医師が作成するカルテは英語やドイツ語などで記載されるケースもあるので、外国語に関する知識もある程度は必要です。また、人によって文章の書き方に癖があるため、記載された診療内容を正確に読み取らなければいけません。

読み取った内容を分かりやすく整理し、データとして転記する必要もあるので、基本的な国語力に加えて、分かりやすく文章を作成できる人に向いています。

求められる能力を高めて診療情報管理士に!

カルテを持っている白衣の男性

(出典) pixta.jp

医療機関において情報管理のスペシャリストとして活躍している診療情報管理士は、今後さらに人材ニーズが増すと考えられます。

医療記録の管理やデータベース化は、これから多くの医療機関で本格的に必要になるので、目指すにはベストなタイミングともいえるでしょう。

無資格でも活動はできますが、スムーズに就職・転職を進めるには、まず資格の取得を目指すのがおすすめです。受験資格をよく確認し、計画的に学習を進めましょう。

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