測量士補とはどのような仕事?測量士との違いや必要な資格を紹介

測量士補は土地の測量を専門に担当する職業で、国家資格の一種でもあります。測量は、あらゆる工事に欠かせないため、有資格者は活躍フィールドが広がるでしょう。測量士との違いやキャリアパス、測量士補試験の概要について解説します。

測量士補とは?

測量士

(出典) pixta.jp

建築工事や土木工事は、土地の測量から始まります。測量士補は測量のプロフェッショナルである測量士を補佐する役割があり、空港・鉄道の建設から上下水道工事まで、あらゆる工事に携わります。測量士補が担う役割や、測量士との違いについて理解を深めましょう。

土地の測量を行う仕事

公共事業の工事にしても、住宅を建てるにしても、工事予定地の地形や建物の位置が正確に分からなければ、工事は進みません。測量士補の役目は、測量士が作成した測量計画に従い、土地の面積・距離・高低差・角度などを正確に測量することです。

測量にはミスが許されないため、測量に関する専門的な知識・スキルを備えた人のみが作業に携われると決められています。測量士補を名乗るには、測量士補の資格を取得した上で、国土地理院が備える測量士補名簿に登録の申請をしなければなりません。

測量士との違い

土地の測量に関わる資格には、測量士と測量士補があります。測量士は現場の主任者を務めるポジションで、測量計画の作成から実測まで、測量に関するあらゆる業務を担えるのが特徴です。

一方、測量士補のメイン業務は土地の測量の実施で、測量計画の作成は行わないのが通常です。それぞれの役割分担は職場によって異なりますが、測量士が指示を出し、測量士補が測量を行うのが一般的でしょう。

測量法第48条には、以下のような記載があります。

第四十八条 技術者として基本測量又は公共測量に従事する者は、第四十九条の規定に従い登録された測量士又は測量士補でなければならない。
2 測量士は、測量に関する計画を作製し、又は実施する。
3 測量士補は、測量士の作製した計画に従い測量に従事する。

出典:測量法 | e-Gov法令検索

測量士補の仕事内容

測量機器

(出典) pixta.jp

測量士補は、測量士をサポートする立場として、測量以外にもさまざまな業務を担当します。具体的な仕事内容を見ていきましょう。

測量の実作業がメイン

測量士補のメイン業務は、測量計画に基づいた土地の測量です。作業員が道路に三脚を立て、カメラのような測量器具をのぞいている様子を目にしたことがある人は多いでしょう。

測量を実施する際は、専門的な測量機器や技術を使用し、土地の距離・高低差・角度などを正確に測ります。

現況測量では、角度(鉛直角・水平角)と距離の同時測量が可能な「トータルステーション」が用いられるケースも多いものです。三脚に乗せて使用するため、はたから見れば写真を撮っているように見えるかもしれません。

そのほかにも、GPS・関数電卓・光波測距儀などの専門的な機器を扱います。

事務仕事も担当する

測量士補の仕事は、屋外の現場で測量を行う「外業」と、事務所で行う「内業」に大別されます。内業はデスクワークが中心で、以下のような作業が含まれます。

  • 測量データの解析
  • 地図計測や地積調査
  • 機器の調達をはじめとする外業の準備
  • その他、測量士のサポート

データの解析や地図計測を行うには、一定のパソコンスキルが必要です。正確に仕事がこなせる人や地道な作業が苦にならない人に向いています。

働きながら測量士補になれる?

測量士

(出典) pixta.jp

測量士補になるには、測量士補試験に合格する必要があります。社会人がゼロから測量士補を目指すには、どのような方法があるのでしょうか?

測量士補になる方法

測量士補として仕事をするには、測量士補になる資格を取得した上で、国土地理院に備えられた測量士補名簿への登録申請をしなければなりません。資格を取得する方法は以下の通りです。

  • 文部科学大臣が認定した大学・短期大学・高等専門学校で、測量に関する科目を修めて卒業する
  • 国土交通大臣の登録を受けた測量に関する専門の養成施設で、測量士補になるのに必要な知識・技能を1年以上学び修得する
  • 国土地理院が行う測量士補試験に合格する

参考:公益社団法人日本測量協会 測量士・測量士補の資格のページ

参考:測量士及び測量士補登録に関する案内 | 国土地理院

測量士補試験の難易度

測量士補試験は、測量法・測量法施行令に基づき、国土地理院が実施しています。年齢・性別・学歴・実務経験などの制限はなく、誰でも受験が可能です。

国土地理院が公開しているデータによると、2023年の受験者数は1万3,480人でした。合格者数は4,342人で、合格率は32.2%です。国家試験としての難易度はそれほど高くなく、測量士補の受験者数・合格者数は増加傾向にあります。

試験は択一式の筆記試験のみで、700点満点中450点以上を取れば合格です(1問当たり25点)。

参考:令和5年測量士・測量士補試験の実施状況等について | 国土地理院

独学で勉強するのは可能?

測量士補試験は、毎年約70%の人が不合格となっています。独学も可能ですが、十分な試験対策を行わなければ、合格は難しいでしょう。独学にチャレンジする人は、以下のような勉強方法を試すことをおすすめします。

  • 1週間単位や1日単位で学習計画を立てる
  • テキスト学習と問題演習を繰り返す
  • 計算問題を重視する
  • 過去問を研究する

測量士補試験は、過去問の焼き直しが多い傾向があるため、過去問には必ず目を通しましょう。出題の約半分を占める計算問題は難易度が高く、反復練習が必要です。独学が難しい人は、スクールや通信講座を活用しましょう。

測量士補のキャリアパス

測量カメラ

(出典) pixta.jp

測量士補として経験を積むと、さまざまなキャリアの道が開かれます。代表的なのは測量士へのキャリアアップですが、資格を生かしてキャリアチェンジをする人も少なくありません。

測量士へキャリアアップ

測量士補の主な就職先は、測量会社・地図作成会社・不動産会社・建設コンサルティング会社などです。国土地理院や官公庁(土木課や上下水道課など)に所属する人もいます。

測量士補として経験を積んだ後は、測量士を目指す人が多い傾向があります。測量士を名乗るには、測量士になる資格を取得した上で、測量士名簿への登録申請を行わなければなりません。

「文部科学大臣が認定した大学・短期大学・高等専門学校で、測量に関する科目を修めて卒業した人」や「国土交通大臣の登録を受けた測量に関する専門の養成施設で専門的な知識・技能を1年以上学んだ人」は、一定の実務経験を積めば、測量士名簿への登録申請が行えます。

最短で測量士になりたい人は、測量士試験の合格を目指しましょう。年齢・性別・学歴・実務経験などの制限はなく、誰でも受験が可能です。

参考:測量士及び測量士補登録に関する案内 | 国土地理院

参考:測量法 | e-Gov法令検索

測量士試験の難易度

国土地理院のデータによると、2023年の測量士試験の受験者数は3,667人で、合格者は379人でした。合格率は10.3%と低く、十分な勉強時間を確保する必要があります。

内容は筆記試験のみで、午前は択一式、午後は記述式の出題です。択一式の点数が400点以上で、かつ午前と午後の合計点数が910点以上の場合に合格となります。記述式の必須問題(1題)の配点は300点なので、確実に点数につなげましょう。

試験勉強のコツは、測量士補試験とほぼ変わりません。測量士補試験を経験した人であれば、ポイントを押さえながら勉強を進められるでしょう。

参考:令和5年測量士・測量士補試験の実施状況等について | 国土地理院

資格を生かしてキャリアチェンジも

測量士補や測量士の中には、土地家屋調査士にキャリアチェンジをする人もいます。土地家屋調査士とは、不動産の状況を登記記録へ正確に反映させるために、土地・家屋に関する調査や測量を行う専門家です。

土地家屋調査士になるには、土地家屋調査士試験に合格し、日本土地家屋調査士会連合会の土地家屋調査士名簿に登録されなければなりません。

試験は、筆記試験と口述試験で、筆記試験は「午前の部」と「午後の部」に分かれています。測量士補または測量士の資格があると、午前の部(平面測量10問・作図1問)が免除される点に注目しましょう。

2022年の合格率は9.63%と、難易度は高めです。

参考:土地家屋調査士を目指す方へ | 土地家屋調査士とは | 日本土地家屋調査士会連合会

測量士補の資格で新しい仕事への道も

測量士

(出典) pixta.jp

測量士補は未経験者でも比較的目指しやすく、ポイントを押さえて勉強を進めれば、仕事で忙しい社会人でも測量士補試験に合格できる可能性は十分にあります。

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