スポーツトレーナーになるには?代表的なルートや必要なスキルを確認

トレーニングブームともいわれる昨今、スポーツトレーナーになりたい人も増えているようです。これからスポーツトレーナーを目指す人に向けて、代表的なルートや求められるスキルなどを解説します。教育機関で学ぶメリットなども押さえておきましょう。

スポーツトレーナーに資格は必要?

女性とトレーナー

(出典) pixta.jp

スポーツトレーナーはスポーツ選手がそれぞれの競技において、最高のパフォーマンスを発揮できるようにサポートする仕事です。トレーニングの指導や体のメンテナンスなど、さまざまな支援を担当します

近年注目されている職種ですが、仕事をする上で資格の取得は必要なのでしょうか?

必須資格・免許は存在しない

結論をいえば、スポーツトレーナーとして活動するために、必須とされる資格や免許はありません。

何の資格を有していなくても、スポーツ選手を専門的な見地からサポートすることは可能です。ただし、専門的な知識は一朝一夕で身に付けられるものではなく、仕事内容によっては特定の資格が求められる場合もあります。

例えば、けがの予防や応急処置・リハビリ指導などは、後述する柔道整復師やあん摩マッサージ指圧師、理学療法士の分野の知見が求められるでしょう。

これらの資格を有していると、専門的な施術やアドバイスが可能になるので、トレーナーとしても重宝されます。いずれにしても、実力の伴ったスポーツトレーナーになるには、勉強や経験が必要になるのです。

取得しておきたい資格

スポーツトレーナーにおすすめの資格としては、次のものが挙げられます。

  • NSCA-CSCS(認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)
  • 柔道整復師
  • あん摩マッサージ指圧師
  • 理学療法士
  • はり師・きゅう師

NSCA-CSCSは、アメリカのコロラド州に本部がある全米ストレングス&コンディショニング協会(NSCA)が認定する資格で、公式サイトによれば「傷害予防とスポーツパフォーマンス向上を目的とした、安全で効果的なトレーニングプログラムを計画・実行する知識と技能を有する人材を認定する資格」です。

スポーツトレーナーの最初のステップともいわれる資格なので、スポーツ選手やスポーツチームを指導対象とするトレーナーを目指すならば、まずはこの資格の取得を目指すとよいでしょう。

また、骨折・脱臼・打撲・捻挫などの施術を行う柔道整復師や、主に指圧・マッサージにより症状の改善・体力回復・健康増進を図るあん摩マッサージ指圧師などの国家資格もおすすめです。選手のリハビリをサポートする上では、理学療法士の資格も役立ちます。

参考:NSCA認定資格とは|NSCAジャパン

参考:柔道整復師・整骨院・接骨院について | 公益社団法人 日本柔道整復師会

参考:一般向け情報|公益社団法人 日本あん摩マッサージ指圧師会

参考:理学療法士とは|理学療法士を知る|公益社団法人 日本理学療法士協会

参考: 鍼灸の基礎知識 - 公益社団法人 日本鍼灸師会

スポーツトレーナーになるには?

筋トレ

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スポーツトレーナーとして活躍するためには、特定の教育機関で学ぶ方法をはじめ、独学で学んだり海外で専門知識を習得したりする方法があります。それぞれ確認しましょう。

教育機関で学ぶ

大学や専門学校などで身体機能やトレーニング理論、スポーツ医学などの分野を基礎から学び、卒業後にジムなどに就職して、スポーツトレーナーとして活動する方法があります。

大学などで専門知識を体系的に学んでいれば、就職・転職の際に役立つのは間違いありません。スポーツ関連の学科や専門学校のスポーツトレーナーコースなどがあるので、これからスポーツトレーナーを目指す人は調べてみるとよいでしょう。

さらに前述のように、トレーナーに役立つ資格を取得しておけば、実務経験が少なくても専門家として評価してもらいやすくなります。

独学で学ぶ

スポーツトレーナーになる上で学歴は必須ではなく、特定の学校を卒業する必要はありません。学校には行かず独学で専門知識を学ぶ方法もあります。

スポーツジムには学歴不問で就職できる場合もあるので、働きながら専門知識を学び、トレーナーとして活動を始めることも可能です。

ただし、専門知識を広く認めてもらうには、やはり資格の取得が有効です。スポーツトレーナーに関する資格には、独学で取得可能なものもあるので、まずは資格を取得して、ジムなどに就職・転職を目指すのもよいでしょう。

海外を視野に入れる道も

スポーツ選手を身体面・技術面でサポートするトレーナーの仕事は、アメリカが本場といわれており、知名度も日本に比べて高いのが特徴です。

アメリカでは最先端の知識や技術を学べるので、有名なスポーツ選手や大規模なスポーツチームなどを支援したい人は、海外で本格的に学ぶ道もあります。

トレーナーとしての専門技能を集中的に学べる大学のコースもあるので、留学を検討するのもよいでしょう。近年はスポーツトレーナーを目指す留学生も増えてきています。

教育機関で学ぶメリット・デメリット

トレーナー

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大学や専門学校など、教育機関でトレーナーとしての専門技術を学ぶメリットやデメリットも、ここで押さえておきましょう。大学と専門学校、それぞれの場合を解説します。

大学の場合

大学で学ぶ場合、幅広い分野の知識を身に付けられるのがメリットです。トレーナーとして仕事をするために必要な知識に加えて、それを補強する関連分野の知識も学べます。

また、在学中に学習する分野を変更したり、トレーナー以外の道を模索したりすることも可能なので、将来の選択肢を広げるのに役立つでしょう。

ただし、大学は専門学校よりも学費が高いケースがほとんどで、私立大学の場合、年間で100万円程度はかかります。大学を経由してスポーツトレーナーを目指すならば、資金を計画的に用意しておかなければいけません。

専門学校の場合

専門学校で学ぶ場合、2~3年間で必要な知識を効率的に身に付けられるのがメリットで、大学に比べて学費を抑えられます。

後述するアスレティックトレーナーやメディカルトレーナーなど、専門のコースを開設している専門学校もあるので、進むべき道を決めている人におすすめです。

一方で、専門学校は大学に比べて身に付けられる知識の幅が狭く、時間の余裕が少ないケースも多いので、働きながら通うのが難しい場合もあります。

スポーツトレーナーの種類

スポーツトレーナー

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一言でスポーツトレーナーといっても、以下のように専門分野が細分化されています。代表的な役割を紹介するので、具体的にどの道を目指すべきか考えてみましょう。

アスレティックトレーナー

アスレティックトレーナーは主に、スポーツ活動中のスポーツ選手の外傷や障害を予防するトレーナーです。

基本的にスポーツ選手を専門にサポートする仕事で、けがをしないためのトレーニング法の提案やサポートはもちろん、練習中・競技中にけがを負ってしまった場合の対応も重要な役割といえます。

アスレティックトレーナーは、応急処置をはじめとした専門知識を幅広く有していなければいけません。

公認アスレティックトレーナー(日本スポーツ協会)やJATAC-ATC(ジャパン・アスレチック・トレーナーズ協会)をはじめ、柔道整復師や理学療法士などの資格を持っていると重宝されるでしょう。

参考:アスレティックトレーナー - スポーツ指導者|JSPO

参考:JATAC-ATCについて:NPO法人ジャパン・アスレチック・トレーナーズ協会(JATAC)

コンディショニングトレーナー

コンディショニングトレーナーは、主にスポーツ選手を対象として、大会に向けて選手の状態を整えたり、集中力を高めたりするのが仕事です。その名の通り選手のコンディションを維持・向上させるため、さまざまなサポートを提供する役割を担っています。

選手の疲労回復を促すストレッチやマッサージの技術が求められる仕事であり、身体面のみならず精神面もケアするため、メンタルサポートに関する知識や技能も必要です。

おすすめの資格としては、あん摩マッサージ指圧師や健康運動指導士、栄養管理士などが挙げられます。

参考:健康運動指導士とは|公益財団法人 健康・体力づくり事業財団

参考:管理栄養士・栄養士とは|公益社団法人 日本栄養士会

メディカルトレーナー

メディカルトレーナーは、生活に支障が出るほどの大けがを負ってしまったスポーツ選手や一般の患者に対して、生活上の運動機能を回復させる役割を担うトレーナーです。

整形外科をはじめとした医療機関に所属するケースが多く、一流選手のケアを担当している人や、学生・高齢者と関わる人も数多くいます。

他のトレーナーと比べても専門性が高く、必要とされる知識・スキルの幅が広いのが特徴であり、医療系の国家資格を有している人がほとんどです。

例えば、柔道整復師やはり師・きゅう師・理学療法士・作業療法士などの資格取得がおすすめです。

参考:柔道整復師・整骨院・接骨院について | 公益社団法人 日本柔道整復師会

参考:はり師・きゅう師 - 職業詳細|job tag【職業情報提供サイト(日本版O-NET)】

参考:理学療法士とは|理学療法士を知る|公益社団法人 日本理学療法士協会

参考:作業療法士ってどんな仕事?|日本作業療法士協会

ストレングストレーナー

ストレングストレーナーとは、プロ・アマを問わず、スポーツ選手に対して身体能力向上のためのサポートを担当するトレーナーです。トレーニングメニューの作成や日々の食事指導などを通じて、スポーツ選手が良い結果を残せるようにサポートします。

スポーツトレーナーといえば、ストレングストレーナーの仕事内容をイメージする人も多いでしょう。体の機能や仕組みはもちろん、栄養学などにも精通している必要があります。

ストレングストレーナーにおすすめの資格としては、NSCA-CSCSやJATI-ATIなどが挙げられるでしょう。いずれも科学的な根拠をベースに、スポーツ選手から一般人まで、適切な運動計画や指導を提供できる資格です。

参考:NSCA認定資格とは|NSCAジャパン

参考:JATI-日本トレーニング指導者協会-

フィットネストレーナー

フィットネストレーナーは、ジムやフィットネスクラブの利用者に対して、基本的な運動の仕方や器具の使い方を教えたり、運動のサポートをしたりする仕事です。日頃ジムに通っている人にとっては、身近な存在といえるでしょう。

多くは特定のジムやフィットネスクラブに所属していますが、フリーランスで特定のスポーツ選手などと契約している場合もあります。

トレーナー関連の資格を取得して活動している人もいますが、未経験からジムに就職・転職し、経験を積んでトレーナーになる人も少なくありません。

おすすめの資格としては、全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会が主宰する「パーソナルトレーナー(NESTA PFT)」や、NSCA-CPT(NSCA認定パーソナルトレーナー)などがあります。

参考:NESTA PFT認定|NESTA(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会)

参考:NSCA認定資格とは|NSCAジャパン

スポーツトレーナーに求められるものは?

女性と話す事務のインストラクター

(出典) pixta.jp

これまで説明してきた専門的な知識やスキルに加えて、以下の要素もスポーツトレーナーには求められます。さまざまなタイプのスポーツ選手をサポートするので、コミュニケーション能力が必須なのに加えて、スポーツに対する情熱も欠かせません。

コミュニケーション能力

技術面はもちろん、精神面や生活スタイルに至るまで、幅広く選手や顧客をサポートするのがスポーツトレーナーの役割です。さまざまなタイプの人と直接やりとりする必要があるため、一定のコミュニケーション能力は欠かせません。

良質なコミュニケーションを通じて信頼関係を築き、より高いパフォーマンスを引き出せるように、日々努める必要があります。相手と良好な関係を構築できれば、選手も結果を出しやすくなり、トレーナーとしての評価も高まるでしょう。

スポーツに対する情熱

スポーツトレーナーは、サポートする選手の競技に精通している必要があり、身体面や技術面の探究が求められる仕事です。スポーツそのものが好きであり、学びのモチベーションにできる人でなければ務まりません。

その競技に関する知識だけでなく、身体の構造やメンタル面、けがの予防や治療に至るまで、幅広い知識や経験が求められます。さらに、新しい知識を日々学び続ける情熱のある人ならば、長く活躍できるでしょう。

スポーツトレーナーとして一流のサポートを

ジムインストラクター

(出典) pixta.jp

スポーツトレーナーを名乗るのに資格は必須ではありませんが、幅広い技能が求められるので、大学や専門学校などで基礎を学ぶか、独学でしっかり素養を磨かなければいけません。

トレーナー向けの資格も多いので、まずは資格の取得を目指すのもよいでしょう。施術を伴うサポートに関しては、特定の資格が必要なケースもあるので、その点は注意が必要です。

長く活躍を続けるには、選手や顧客との間に信頼関係を構築しなければならないので、コミュニケーション能力も磨くようにしましょう。

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