報道番組の進行役はニュースキャスターと呼ばれます。用意された原稿を読むだけでなく、ニュース背景を分かりやすく解説する役目も担います。ニュースキャスターになるには、どのような方法があるのでしょうか?就職・転職に役立つ資格も確認しましょう。
ニュースキャスターになるには
ニュースキャスターは報道番組に出演し、進行役を務めながらニュースを分かりやすく視聴者に伝える存在です。誰もがすぐに就けるポジションではないため、キャリアを一歩ずつ積み重ねる必要があります。
ニュースキャスターになるまでのルートをチェックしましょう。
テレビ・ラジオ局への入社が一般的
テレビ局やラジオ局に就職するのが最初のステップです。未経験者がいきなりニュースキャスターを任されるケースはほぼなく、アナウンサーや報道記者として経験を積んでいくのが一般的でしょう。
単にニュースを伝えるだけでなく、独自の解説や論評を加えるポジションでもあるため、高い教養と幅広い知識が求められるのは言うまでもありません。大手放送局の多くは、採用試験の学歴要件を大卒以上としています。
ニュースキャスターを目指して勉強するなら、自分の専門分野を持つことをおすすめします。例えば経済分野に詳しい場合は、経済番組を任されるチャンスが巡ってくるかもしれません。
入念な準備と早めの行動が必要
ニュースキャスターを目指す人は、キャリアプランを立てた上で早めに行動しましょう。アナウンサーからスタートする場合、アナウンサーの採用試験に合格する必要があります。
採用試験にはさまざまな要件があり、「新卒採用のみ」「4年制大学またはそれに相当する学校を卒業した人」「〇歳以下」など、年齢や学歴の要件が設けられているケースが少なくありません。
新卒採用と違い、経験者採用は不定期に行われています。求人検索サイト「スタンバイ」を活用し、情報を小まめにチェックしておくことをおすすめします。
そもそもニュースキャスターとは
ニュースキャスターはアナウンサーと混同されやすい職業の1つです。どちらも放送局の花形とされる職種ですが、仕事内容には相違点があります。
仕事内容
ニュースキャスターは主に報道番組に出演し、解説・論評を加えながら番組を進行させます。看板番組を担当すれば放送局の顔として認識され、ニュースキャスターによって、番組の視聴率が変わるケースもあるほどです。
主な仕事内容は、番組の進行とニュースを伝えることですが、ただ単に原稿を読み上げるだけでなく、客観的な立場から解説や論評を加える役割も担っています。ジャーナリストに近いポジションといってよいでしょう。
実際、日本ではキャスター兼ジャーナリストとして活躍している人が少なくありません。
アナウンサーとの違い
アナウンサーの仕事内容は多岐にわたります。テレビ・ラジオの番組でニュースを伝えるほかに、司会・ナレーション・実況放送なども担当する仕事です。
ニュースキャスターとアナウンサーの大きな違いは、「解説や論評を加えるかどうか」という点です。
アナウンサーの役割は、用意された原稿を正しい発音で正確に読み上げることが大前提であり、内容を分析したりかみ砕いて説明したりといった行為はあまり求められません。
他方、ニュースキャスターは番組の進行役を務めながら、ニュースの背景や社会的意味などを解説し、時には自分なりのコメントを加えます。
取得しておきたい資格はある?
ニュースキャスターになる上で必須の資格はありませんが、関連資格があると、放送局への就職・転職が有利になる可能性があります。取得しておきたい資格を確認しましょう。
アナウンス力検定
アナウンス力検定は、一般社団法人話しことば研究機構が認定する民間資格です。日本語アナウンス力検定の2級・3級は、年齢や学歴に関係なく誰でも受検できます。
アナウンステストには、60~90秒で特定のテーマについて話す「事前課題」のほか、以下の能力を判断する「当日課題」もあります。
- 共通語での発声・発音
- ストレートに読む
- 朗読作品を読む
- 即答スピーチ力
試験は年2回(春検定・秋検定)で、会場は東京と大阪です。資格を取得すれば、日本語を正しく話すスキルがあることを証明できるでしょう。
日本漢字能力検定
日本漢字能力検定は、公益財団法人日本漢字能力検定協会が主催しています。漢字の意味を理解し、文章や会話の中で正しい日本語を使えるようにするための試験で、「言葉を理解する力」や「物事を考える力」を身に付けるのに役立ちます。
アナウンサーやニュースキャスターは、言葉のプロフェッショナルです。ニュース原稿を滞りなく読むためにも、漢字の能力は磨いておくべきでしょう。漢字能力が高い人ほど語彙力が豊富で、豊かな表現ができます。
等級は10級から1級まで12段階あり、どの級からでも受検ができます。最上級の1級は、常用漢字に常用漢字表外のものも含む約6,000字の漢字が出題対象で、四字熟語・故事・古典的な文章なども出題されます。
ニュース時事能力検定
ニュース時事能力検定は、特定非営利活動法人日本ニュース時事能力検定協会などが主催する検定です。ニュース報道を読み解く力と活用する力(時事力)を測るもので、ニュースキャスターを目指す人はぜひとも受けておきたい検定の1つです。
等級は5級から1級までの6段階です。検定日の約1カ月前までのニュースが「政治」「経済」「暮らし」「社会・環境」「国際」の5つの分野から出題されるため、普段から新聞やニュースをチェックしておく必要があります。
公式テキスト・問題集からの出題も多く、計画的な学習と日々の積み重ねが合格の鍵です。
ニュースキャスターへの道は自己研さんも大切
ニュースキャスターになるためには、テレビ局やラジオ局に入社し、アナウンサーや報道記者としてキャリアを積むルートが王道です。望むポジションを手に入れるには、日々努力を重ね、自分自身を高めていかなければなりません。
アナウンサーの採用試験は狭き門で、必ずしも経験者採用が行われるとは限りません。求人情報を小まめにチェックし、チャンスを逃さないようにする必要があります。就職・転職を少しでも有利に進められるように、関連資格の取得にも力を入れましょう。