作曲家になるには。必要なスキルから働き方まで詳しく解説

作曲家として生計を立てるには、レコード会社や音楽事務所などに才能を認められる必要があります。趣味で終わらせないためには、どのような行動を取ればよいのでしょうか?作曲家としてチャンスをつかむ方法や働き方、収入事情を解説します。

作曲家になるには

ピアノを弾く女性

(出典) pixta.jp

作曲家になるのに必須の資格はなく、作曲をすれば誰でも作曲家を名乗れます。プロとして活躍したい人は、音楽系の大学や短大、専門学校に通い、音楽や曲作りに関する知識・技術・センスを磨きましょう。卒業後は、以下のように作曲家を目指す方法があります。

オーディションやコンクールに応募する

アイドルやアーティストの作曲を手掛けたい場合は、レコード会社が主催するオーディションやコンクールに応募しましょう。

プロデビューを応援するオーディションでは、選考を勝ち進むことで作曲家デビューのきっかけをつかめます。「アーティストのツアーで楽曲を採用」「ライセンス販売が可能」「賞金〇万円」など、勝者に与えられるチャンスはさまざまです。

また、自分の作品を売り込むために、レコード会社に作品を送る手もあります。直接の持ち込みを受け付けていないケースもあるため、各社のホームページで応募方法を確認しましょう。

アーティストとして活動する

作曲家を目指すには、音楽業界に入るのが近道です。スタジオミュージシャンやシンガーソングライター、バックバンドなどのアーティストとして音楽活動を続けるうちに認知度が上がり、周囲に作曲家としての才能を認められる人もいます。

例えば、ライブで演奏した楽曲が好評だった場合、評判が音楽関係者の耳に入り、作曲依頼が来る可能性があります。クライアントや他のミュージシャンに自分が手掛けた楽曲を譲渡すれば、著作権の譲渡対価として、まとまった報酬を得られるでしょう。

SNSや動画サイトへ投稿する

SNSや動画サイト、音楽配信サイトに自分の作品を投稿し、作曲家デビューのチャンスをつかむ人もいます。近年は、音声合成ソフトの技術が進歩しており、以前より比較的簡単に楽曲制作が可能になっています。

SNSが普及した現代、よいものは瞬く間にシェアされる可能性があります。作品が音楽関係者の目に留まれば、作曲家としてスカウトされたり、制作を依頼されたりすることもあるでしょう。

ただし、相手からのスカウトを待つという受け身の方法なので、いつデビューできるかは楽曲次第です。ネット上には日々数えきれないほどのコンテンツが投稿されているため、注目されなければ、趣味で終わってしまう恐れがあります。

作曲家の種類や働き方

ピアノを弾く女性

(出典) pixta.jp

これから作曲家を目指す人は「何を作りたいのか」「どのような働き方をしたいのか」を明確にしましょう。作曲家の種類と働き方を解説します。

作曲家の主な種類

作曲家は、ソングライターとコンポーザーに大別されます。ソングライターとは、歌謡曲のメロディラインを作ったり、曲のアレンジを手掛けたりする作曲家です。自分が作詞・作曲した音楽を、自分で歌うのはシンガーソングライターと呼ばれます。

コンポーザーは、主にクライアントの依頼を受け、映画やラジオ、CMなどに使用する楽曲を作成します。楽器を演奏する場合もありますが、近年はパソコンを使って音楽を制作・編集する「DTM(Desk Top Music)」の手法を用いるケースが多いようです。

作曲家の働き方は、大きく「音楽関連の企業に就職する」「フリーランスとして活動する」の2パターンがあります。

音楽関連の企業に就職する

作曲家として就職をする場合、以下のような企業に勤務します。

  • 音楽事務所
  • 芸能プロダクション
  • ゲーム制作会社

企業に社員として就職すると、フリーランスに比べて安定した収入が得られるのがメリットです。ただ、自分の作品が大ヒットしても莫大な報酬が入るわけではないため、一定のキャリアを積むとフリーランスを検討する人もいます。

なお、音楽事務所や芸能プロダクションの中には、社員としての雇用ではなく、業務委託で契約するところもあります。報酬は完全出来高制になる場合が多いでしょう。

フリーランスとして活動する

特定の音楽事務所や芸能プロダクションに所属せず、フリーランスとして活動する作曲家もいます。

仕事の方式は、クライアントから提示されたテーマや企画に沿って作曲をする「コンペ形式」がメインとなるでしょう。楽曲が採用された場合にのみ報酬が入るので、人によっては収入が不安定になるかもしれません。

ただし、クライアントと印税契約を結んだ場合は、契約内容に応じた「印税」が入ります。印税は継続的に得られる収入のため、作曲家の中には印税のみで悠々と生活を送っている人もいるほどです。

作曲家に求められるスキル

パソコンで作曲する女性

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作曲家にはさまざまなスキルが求められますが、業界で長く活躍するには、「音楽に対する好奇心」と「DTMの技術」は備えておきたいところです。

幅広いジャンルの音楽に対する好奇心

作曲家になる人の多くは、「幅広いジャンルの音楽に対する好奇心」を備えています。

作曲には一定の知識や技術が必要ですが、それ以上にクリエイティブな発想やセンスが求められます。これらは座学では身に付きにくく、あらゆるジャンルの音楽に触れることで徐々に磨かれていくものです。

映画やミュージカル、ゲームなど、幅広いジャンルで活躍できる作曲家になるためにも、多くの音楽と積極的に関わることが大切です。

また、ヒットを生み出すには、変化し続ける音楽のトレンドに敏感でなければなりません。音楽はもちろん、時代の流れやカルチャーにもアンテナを張りましょう。

DTM(デスクトップミュージック)の技術

これから作曲家を目指す人は、DTMの技術を身に付けましょう。DTMとは、音楽ソフトなどを使い、パソコン上で曲を制作する手法です。楽器が扱えなくても、パソコン操作のみでさまざまな楽器が演奏できるため、近年は音楽制作の主流となっています。

DTMで作曲する上では、DAW(Digital Audio Workstation)と呼ばれるソフトの扱い方やシステムセッティング方法を理解し、自由自在に使いこなせるようになる必要があるでしょう。編集の技術を磨くことで、プロのようなクオリティーが実現します。

作曲家の気になる収入も紹介

作曲作業用のテーブル

(出典) pixta.jp

作曲家の収入は、働き方や所属先によって変わります。「企業に勤める作曲家」と「フリーランスの作曲家」の収入事情を紹介します。

企業に勤める作曲家の収入

企業に勤める作曲家の収入は、勤め先によって差があります。ただ、会社員として雇用されている限り、一般企業の会社員の収入と大きく変わらないと考えてよいでしょう。

国税庁の「令和4年分民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の平均給与は2022年の場合、458万円です。従って、正社員の作曲家であれば、450万円前後が一般的と考えられます。

なお、業務委託は完全出来高制となるケースが多いため、人によって収入が変動します。企業勤めでも、年俸制や成果主義が導入されていれば、給与所得者の平均給与とかけ離れる可能性があるでしょう。

参考:令和4年分 民間給与実態統計調査|国税庁

フリーランスとして働く作曲家の収入

フリーランスとして働く作曲家の収入は、一概にいくらとはいえません。収入ゼロの日々が続く人もいれば、安定した印税を得る人もいます。

フリーランスや業務委託で働く人の場合、収入は「印税」と「買い取りによる収入」に大別されます。

印税とは、楽曲を使用する人から著作権者(作曲家)に対して支払われる金銭です。具体的には、日本音楽著作権協会(JASRAC)が使用者から著作権使用料を徴収し、レコード会社や音楽出版社に分配します。分配された金銭の中から、作曲家に著作権印税が支払われる仕組みです。

買い取りによる収入とは、作曲家が楽曲の著作権をクライアントに譲渡することで生じる金銭です。印税は入りませんが、クライアントから継続的な依頼が入る場合があります。収入を増やすにはできるだけ多くの楽曲を手掛ける必要があります。

聴く人の心を動かす作曲家

作曲家の女性

(出典) pixta.jp

プロの作曲家として生計を立てるには、音楽関連の企業に就職するか、フリーランスとして独立する方法が一般的です。どちらにしても才能が認められなければ活躍は厳しく、フリーランスの場合は収入が全く入らない可能性もゼロではありません。

まずは、作曲家に必要なスキルや感性を磨くところからスタートしましょう。音楽や作曲についての知識やスキルが少ない人は、大学や短大、専門学校で学ぶことをおすすめします。

オーディションやコンクールに積極的に参加し、作曲家デビューのチャンスをつかみましょう。