バス運転手になるには?必要な資格や取得方法、種類なども紹介

バス運転手を目指す場合、どのような資格やスキルが必要なのでしょうか?バスといっても、路線バスや観光バス、高速バスなどさまざまな種類があります。バスの種類ごとの仕事内容や、バス運転手に向いている人の特徴を紹介します。

バス運転手になるには

バス

(出典) pixta.jp

バス運転手の仕事は、乗客を目的地まで安全に送り届けることです。近年は、高齢化による運転手不足が深刻化しており、若手運転手の確保に力を入れる事業者が少なくありません。将来性があり、長く安定して働ける職業の1つともいえるでしょう。

業界未経験者は、どのようなルートでバス運転手を目指せばよいのでしょうか?

大型自動車第二種運転免許が必要

道路交通法第86条には、旅客自動車である大型自動車を旅客運送のために運転する場合には、大型自動車第二種運転免許(以下、大型二種免許)を受けなければならない旨が記載されています。

「旅客自動車である大型自動車」とは、有償で旅客を運送するバスを指します。バス運転手を目指す人は、大型二種免許を取得し、バスの運行事業者に就職するのが一般的です。

免許には、「第一種運転免許」「第二種運転免許」があることも押さえておきましょう。両者の違いは以下の通りです。

  • 第一種運転免許:日本の公道で自動車を運転するために必要
  • 第二種運転免許:旅客運送を目的に旅客自動車を運転するために必要

バスの運行事業者の中には、運転手の養成制度を設けているケースもあります。この場合、採用された後に自動車学校へ通い、免許を取得する流れとなるでしょう。

参考:道路交通法 | e-Gov法令検索

大型自動車第二種運転免許を取得する方法

大型二種免許を取得できるのは、21歳以上が原則です。普通免許・中型免許などを取得していて、かつ免許を受けていた期間が通算3年以上の場合に、大型二種免許の受験資格が得られます。

道路交通法の一部を改正する法律などにより、2022年5月13日からは受験資格が緩和されています。一定の教習(受験資格特例教習)を受けた人は、19歳以上で、かつ普通免許などを受けていた期間が1年以上あれば受験が可能です。

自分で免許を取得する方法は以下の通りです。

  • 運転免許試験場で直接試験を受ける
  • 自動車教習所に通う

自動車教習所に通わず、運転免許試験場で直接試験を受けるためには、大型一種免許もしくは大型仮免許を取得している必要があります。

自動車教習所に通う場合、適性検査を受けた上で、運転に必要な知識と技術を学びます。修了検定(学科・技能)と卒業検定(技能)を受けて自動車教習所を卒業した後、運転免許試験場で学科試験(本免試験)と適性試験を受ける流れです。

参考:受験資格 警視庁

バス運転手の仕事の種類

バスの運転手

(出典) pixta.jp

バスは、「路線バス」「観光バス」「高速バス」「送迎バス」に大別されます。バスの種類によって、運転手の業務内容が異なるので、それぞれ確認しましょう。

路線バス

路線バスとは、あらかじめ決められた路線を時刻通りに走行するバスを指します。運転手は運行系統の各停留所および起終点で停車し、乗客を乗り降りさせます。

観光バスや高速バスに比べると移動距離は短く、ルートを何度も循環するバスもあります。バス運転手は歩行者や自転車、ほかの車などに気を付けながら、安全運転を心掛けなければなりません。

かつては路線バスに車掌が乗務していましたが、現在は運賃の授受・ドアの開閉・案内・運転を運転手が全て1人で担います。

観光バス

観光バスとは、観光を目的として走行するバスを指します。修学旅行・社員旅行・団体ツアーなどで利用され、ほとんどは貸し切りです。路線バスよりも車体が一回り大きく、走行距離も長くなるのが通常です。

車体の大きさと衝撃力は比例するため、走行時は一層の安全運転を心掛ける必要があります。運転手には、大きな車体を自由に扱える高い運転技術が求められるでしょう。

運転手1名と車掌(バスガイド)1名が乗務するのが一般的ですが、運転手が1人で対応するバスや、2名の運転手が乗務するバスもあります。

高速バス

高速バスとは、主に高速道路を走行するバスです。高速道路を走る観光バスも高速バスの一種といえますが、ここでは都市間をつなぐ乗合バスについて説明します。

車体の大きさは、観光バスと同程度です。新幹線よりも料金が安価なことから、移動費用を抑えて旅行をしたい人に人気があります。

途中停車はほとんどなく、運転手には体力と集中力が求められるでしょう。長距離の夜間走行では、眠気や疲れに注意しなければなりません。

1日に運転できる距離や時間が決まっており、2名の運転手が乗務して交代で運転する「ツーマン運行」を行うケースもあります。

送迎バス

送迎バスは、特定の施設を利用する人を送迎するバスです。路線バスよりも走行エリアが限定的で、地域住民の足として利用されています。以下は、送迎バスの一例です。

  • 幼稚園の送迎
  • 病院の送迎
  • 旅館・ホテルの送迎
  • イベントの送迎
  • 介護施設の送迎

大型二種免許が必要になるのは、送迎先から業務を委託されている、または運賃を徴収している場合です。施設運営の一環として送迎サービスを提供している場合は、営利目的の旅客輸送に該当しないため、大型二種免許は不要です。

また、小型のマイクロバスやミニバン、ワンボックスカーであれば、大型免許を取る必要はなく、中型免許で十分な場合もあります。

バス運転手に向いている人

バスの運転手の後姿

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バス運転手の役目は、乗客を目的地まで安全に送り届けることです。運転の技術はもちろん、さまざまな能力や資質が求められます。バス運転手に向いている人の2つの特徴を紹介します。

自己管理能力がある

バス運転手には、体力と気力が求められます。体調不良のまま乗務すれば、乗客を命の危険にさらす恐れがあるため、自分の健康や体調を管理できる「自己管理能力」が欠かせません。

特に専属の運転手は、欠勤すると代わりの運転手がなかなか見つからず、勤め先に迷惑をかけてしまいます。

勤務形態上、運動不足になりやすいため、生活習慣病にも注意しましょう。夜行バスの運転手は、寝不足や疲れにも気を付ける必要があります。

責任感がある

自分の任務を全うできる責任感が強い人でなければ、バス運転手は務まらないといってもよいでしょう。ほとんどのバスには、あらかじめ決められたルートと時刻表があり、可能な限り時刻通りに運行しなければなりません。

バスの安全点検や車内の忘れ物チェック、清掃など、日常の定型業務を手抜きせずに行うことも重要です。

乗客の安全を最優先し、ルールや時間をきちんと守れる人でなければ、人々に信頼される運転手にはなれないでしょう。

バス運転手のキャリアプラン

バス

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バス運転手が活躍できる場所は、都道府県や市区町村が運営する公営バスや民間のバス会社などです。運転手としての経験を積んだ後は、どのようなキャリアプランがあるのでしょうか?

路線バス運転手からキャリアアップ

未経験者の場合、路線バスの運転手からスタートするケースが多いようです。就職後は、安全運転の方法や接客マナーなど、バスを運転する上での基本をしっかりと身に付けます。

路線バスで経験を積んだ後に、観光バスや高速バスの運転手に転身する人は少なくありません。路線バスよりも車体が大きい上、高速道路を走行する機会が増えるため、より高い運転技術を身に付ける必要があります。

近年は、高齢化によるバス運転手の人材不足が全国的に深刻化しています。ベテラン運転手は、就職・転職に困らないといってもよいでしょう。

指導職や管理職へ転身

運転手として経験を積んだ人は、運転手の育成・指導に関わる指導員になる選択肢もあります。

大型二種免許を取得したばかりの新人は、バス運転手としての心得やマナーがまだ身に付いていません。社内で研修を行った後、指導員による現場研修を行います。

指導員になれるのは、キャリアを積んだベテランの運転手です。運転のコツを伝授しながら、注意が必要な道を1つずつ教えていきます。

マネジメントに興味がある人は、管理職を目指しましょう。運行管理者を目指し、運行管理者試験を受ける人もいます。

参考:公益財団法人 運行管理者試験センター

必要な項目を押さえてバス運転手を目指そう

運転手の女性

(出典) pixta.jp

バス運転手になるには、大型二種免許を取得するのが最初のステップです。バスにはさまざまな種類があり、運行の目的や利用者が変われば、運転手の業務内容も変わります。どのような運転手を目指したいのか明確にし、キャリアプランを立てましょう。

近年は、運転手の養成に力を入れる事業者が増えています。免許の取得費用を事業者が負担するケースもあるため、求人情報をチェックしてみてはいかがでしょうか?求人検索サイト「スタンバイ」をぜひご活用ください。

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