映画監督になるにはどんなルートがある?必要とされるスキルも紹介

映画が好きな人ならば、映画監督になりたいと考えた経験が一度はあるでしょう。映画監督として活躍するのに資格は不要ですが、映像業界でキャリアを積んだり、自主制作作品で認められたりすることが重要です。映画監督の仕事内容や求められる資質について解説します。

映画監督になる方法とは?

映画撮影のカチンコ

(出典) pixta.jp

映画監督になるためには、映画の制作会社に転職したり、映像関連の会社から転身したりする方法があります。また、自ら制作した作品で有名になる人も少なくありません。それぞれのルートについて、詳しく見ていきましょう。

映画制作会社に転職

映画の制作会社に就職・転職して、制作スタッフとして経験を積んでから監督としてデビューするのは、映画監督になる一般的なルートです。有名な映画監督の中にも、まずは制作スタッフとして入社し、助監督を経て監督になった人は数多くいます。

制作会社で働きながら映画制作の基本から学べるのに加えて、業界内の人脈もつくりやすいので、しっかりと経験と実績を積み上げていけば、将来的に監督として声がかかる可能性があります。

撮影助手や照明助手を経て助監督になったり、編集に携わった後に撮影側に回ったりなど、制作会社内でも監督までのルートはさまざまです。

映像関連の制作会社から転身

映像関連の会社などで、映像制作のノウハウを身に付けた後、映画監督に転身するという道もあります。

例えば、テレビ番組やCGなどの映像作品の制作を手掛けた後、映画監督としてデビューする人は少なくありません。あるいはCM制作で有名になった後に、映画監督として成功した人もいます。

最初から映画制作に携わってきた人に比べて、他分野から映画監督に転身した人は、それまで培ってきた経験や強みを生かし、独自色の強い作品を制作して評価される傾向にあります。

自主制作から賞を目指す

映画監督になる上で資格や免許は不要です。経験がなくても資金さえあれば、自分で機材を購入し、キャストを集めて映画を制作することも可能です。

自主制作映画で賞に応募したり、YouTubeなどで発表したりすることで注目されれば、映画監督として本格的にキャリアをスタートできる可能性もあります。

たとえ低予算でも高く評価されている映画は多々あるので、独学で制作方法を学びながら、できるだけお金をかけずに制作する方法を模索するのもよいでしょう。映画制作について学べる学校やワークショップなどに参加する方法もあります。

映画監督の仕事内容

絵コンテ

(出典) pixta.jp

映画監督は映画の企画から完成まで全てのプロセスに関わり、スタッフの仕事を指揮するのが役割です。具体的な仕事内容は以下の通りです。

作品を作り上げる準備

作品の企画から脚本・キャスティングの決定、絵コンテの用意など、監督は作品を作り上げる準備段階からさまざまな役割を担います。

会議に参加して企画をまとめたり、キャスティングや撮影場所を選定したりなど、撮影担当者や美術担当者などと協力しながら、撮影の準備を進めなければいけません。

監督によっては自ら制作した脚本を映画化する場合もあるので、準備段階における作品への関わり方は人によって異なります。ただし、どういった立ち位置で準備を進めるにせよ、スタッフの中心として、周りを指揮監督するのが仕事です。

撮影現場の指揮

映画の撮影に入ると、監督は現場でキャストやカメラマン、照明・音声・美術など、それぞれのスタッフに指示を出さなければいけません。監督の指示によって撮影が進んでいくので、事前によく段取りを理解した上で、的確に指示を出す必要があります。

適宜キャストに演技指導をしたり、撮影方法をカメラマンに指示したりして、撮影内容の全てを決めるのが映画監督の役割です。監督の指示や進め方によって作品の質が左右されるので、現場で最も責任の重い仕事といえるでしょう。

撮影後の仕上げ

撮影が終わっても、監督は編集作業に立ち会う必要があります。編集は、撮影された映像や音楽などの素材をもとに、1つの作品に仕上げる工程です。監督はどのように場面をつなぐのか、どのタイミングで音楽を挿入するのかといった点を決めなければいけません。

編集によって作品のイメージが大きく変わる場合もあるので、細かい点も見逃さず、的確に指示を出すことが重要です。

さらに監督には、作品が完成した後も、プロモーションに関わる仕事が残っています。映画館で上映される作品の場合は、上映前後の宣伝にも参加する必要があるでしょう。

どういった方法であれ、作品のプロモーションは売上につなげるために必要なので、監督は全面的に協力しなければいけません。

映画監督に求められる資質

監督イスとカチンコ

(出典) pixta.jp

映画監督に求められる資質としては、スタッフに的確な指示を出すためのリーダーシップや、コミュニケーション能力が挙げられます。さらに、過酷な撮影日程を乗り切る必要もあるので、精神的・肉体的にタフでなければ務まりません。

リーダーシップ

脚本に従いつつ、自分のイメージ通りに映画作品を作り上げるため、監督には強いリーダーシップが求められます。作品の方向性をしっかりと決め、キャストやスタッフに的確に指示を出さなければいけません。

ただし単に上から指示を出すだけでなく、それぞれのスタッフが置かれた状況を把握し、全体のスケジュールを調整したり、撮影現場の雰囲気を盛り上げたりする役割もあります。

監督が優柔不断な態度では撮影に支障が出てしまうので、たとえ迷う場面があっても、思い切った決断を下す力が必要です。

コミュニケーション能力

監督は多くの人たちをまとめる立場なので、高いコミュニケーション能力も求められます。作品をイメージやコンセプト通りに仕上げるには、スタッフと密にやりとりしながら、演技指導をしたり撮影に関するフィードバックをしたりする必要があります。

また、自分の持っているイメージが周りに伝わらなければ、コンセプト通りの作品にはならないでしょう。撮影を成功させるためには、イメージをうまく言語化して伝える力も重要です。

精神的・肉体的にタフであること

映画の制作には基本的に大きな金額が動くので、注目される作品になるほど、監督にはプレッシャーがかかります。監督自身も世間から期待される人ほど、負担は大きいでしょう。

商業的な責任に加えて、映画制作全体の責任も負うため、精神的なタフさは必須といえます。

また、撮影は長期間に及ぶケースも多く、身体的な負担も大きいでしょう。映画の規模や内容によっては移動時間も長くなるので、過酷な環境でも体調を崩さない身体的なタフさも必要です。

映画監督の働き方は?

映画撮影の現場

(出典) pixta.jp

制作会社に所属して作品を撮影する人もいれば、フリーランスとして映画撮影をなりわいにする人もいます。それぞれの働き方の違いも確認しておきましょう。

映画製作会社に所属

映画の制作会社に就職し、制作スタッフから映画監督になった場合は、そのまま会社に所属して監督を務める働き方が考えられます。

仕事をしながら、映画制作に関する知識や専門技術を身に付けられるのに加えて、映画の制作資金を企業が提供してくれる可能性もあります。

一方、作品の方向性やコンセプトなど、スポンサーや会社の都合に従わなければならないケースは少なくありません。自分の作家性を十分に作品に反映させたいという人は、不満を感じる場面も出てくるでしょう。

フリーランスとして働く

映画監督の多くはフリーランスとして活動しており、制作会社から依頼を受けて作品を作るのが一般的です。

会社側の都合に縛られることなく、自由に映画を撮影できる可能性が高く、作品が商業的に成功すれば、大きな収入を得られるケースも珍しくありません。

ただし、映画監督としての収入は、どれだけ規模の大きな案件に出会えるか、さらに作品がどの程度ヒットするかによるので、経済的に安定しないリスクがあります。

映画監督の夢をかなえるために動き出そう

カメラとカチンコ

(出典) pixta.jp

映画監督になるには、制作会社に就職・転職したり、映像制作の分野で経験を積み、監督に転身したりするのが一般的なルートです。あるいは自主制作で映画を撮影し、作品が評価されて本格的にデビューする人もいます。

いずれの道を目指すにせよ、映画監督は映画制作に必要な知識・技能を身に付けるのはもちろん、リーダーシップやコミュニケーション能力に加えて、精神的・肉体的なタフさが必要です。

これから映画監督を目指す人は、まずは本当に自分に向いているか慎重に考えてみましょう。早い段階で自分の進むべき道を決め、計画的に行動することが大事です。

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