エリア社員とはどんな雇用形態?概要やメリット・デメリットを解説

多様な働き方が広まっている近年、エリア社員という働き方が注目を集めています。具体的に、どのような働き方を指すのでしょうか?エリア社員の特徴や、働く上でのメリット・デメリットを解説します。企業が制度を導入する目的についても確認しましょう。

エリア社員とは?

デスクワーク

(出典) pixta.jp

求人案件の中には、「エリア社員」「エリア限定社員」としての募集も見られます。この「エリア社員」とは、どのような雇用形態なのでしょうか?働き方の特徴を解説します。

勤務地を限定して働く社員の総称

「エリア社員」という存在は企業によって名称が異なり、「地域限定社員」「地域社員」「勤務地限定正社員」のように呼ばれる場合もある雇用形態です。

どの名称であったとしても、「地域を限定して働く」という点に変わりはありません。転勤をしない前提で、特定のエリアに限定して働く正社員の総称です。

厚生労働省が推進している多様な働き方の制度には、勤務地限定正社員だけでなく「職務限定正社員」や「短時間正社員」も挙げられます。それぞれ条件が限定されていることから、まとめて「限定正社員」とも呼ばれる制度です。

基本的な福利厚生は正社員とほぼ同じ

エリア社員と通常の正社員を比較すると、仕事内容や勤務時間に大きな違いはありません。あくまでもエリアを限定して働くだけであり、福利厚生は正社員とほぼ同じです。

有給休暇・施設利用・キャリアアップの支援制度など、基本的な福利厚生は使えると考えておいて問題はないでしょう。

ただし一部には、契約社員の雇用形態で「エリア社員」が募集されているケースもあるため、応募時に確認しておく必要があります。

また「転勤がない」ことから、給与・昇給・昇格の面では、制限のない正社員に比べて差が出る場合も少なくありません。広いエリアを統括するマネージャーや本社勤務への異動など、一部の役職に就けないケースも考えられるためです。

エリア社員として働くメリット

屋外の男性社員

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エリア社員には、その働き方から得られるメリットがあります。自分が求める条件に合っているかどうか確認するためにも、メリットを把握しておきましょう。主な魅力を紹介します。

転勤・転居の心配がない

エリア社員は、転勤がない前提で働く社員のため、原則的に転居を命じられる心配はありません。子どもの転校を避けたい人や配偶者の都合で転居が難しい人、実家から職場に通いたい人など、転勤が難しい人にとってメリットの大きい働き方です。

自宅を購入したため同じ土地で働き続けたい人にとっても、転勤がない働き方は魅力的です。

転勤・転居を受け入れられず、通常の正社員として働くのが難しい人は、エリア限定社員として働く道を検討するのがよいでしょう。

働きたい地域を選んで勤務できる

エリア社員の求人は、地域を限定して募集をかけているケースと、入社後にエリアを選択できるケースに分類されます。働きたい地域を選び、応募できるのが特徴です。

地域を限定して募集されている場合は、その地域で働きたい人だけが応募するため、全国区の募集よりも競争率が低くなるメリットもあるでしょう。

入社後にエリアを選択できるケースでは、新卒者の募集や多数の事務所・店舗を持つ企業が多くなっています。まずは求人の内容を確認し、該当エリアや条件を見た上で応募するのが基本です。

エリア社員として働くデメリット

給与明細

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エリア社員という雇用形態を選択すると、デメリットも生まれます。一般的な問題と注意点を確認しましょう。

給与が低いケースがある

一般的な正社員は、転勤の際にかかるコスト・負担をあらかじめ加味して、給与が定められています。エリア社員は、転勤のない条件で雇用されるため、一般社員よりも給与が低いケースが多いと考えましょう。

できるだけ給与を増やしたいと考えるなら、転勤の可能性もある雇用形態の方が有利です。

もちろん、給与は能力や本人の働きに応じて定められるのが一般的です。エリア社員であっても、能力・実績があれば給与が低くなるとは限りません。

求人で提示されている給与を確認し、一般社員とどのような違いがあるのかを確認するのも大切です。

事業の廃止・撤退に伴う解雇が起きやすい

エリアを限定して働く場合、一部地域の事業廃止・撤退に伴い、解雇されるケースも考えられます。

十分な説明・話し合いは求められるものの、必ずしも雇用を継続する申し出があるとは限りません。もし雇用継続の申し出があったとしても、転勤・転居が難しい場合は、退職となる可能性もあるでしょう。

近隣エリアに複数の店舗・事業所を展開する企業であれば、リスクは軽減できます。地域一帯からの撤退でなければ、近隣の店舗・事業所への異動も打診されやすくなるはずです。

企業がエリア社員制度を導入する目的

はたらく女性社員

(出典) pixta.jp

エリア社員制度は、なぜ導入されているのでしょうか?労働者にとっては魅力的ですが、条件に制限がある雇用の方法は、企業にとってデメリットもあるはずです。企業側の主な目的についても、把握しておきましょう。

スキルを持つ人材を確保するため

転勤・転居が難しい人の中にも、高いスキルを持つ人材はいます。エリア社員制度を導入していなければ、企業が求めるスキルを有する人材を確保するチャンスを逃す結果につながるでしょう。

たとえ制限があったとしても、求めるスキル・資質を持っている人材であれば有効に活用できます。優秀な人材を幅広く集めるため、エリア社員制度を導入している企業も多いのです。

企業価値や魅力を高めるため

多様な働き方を認めている企業は、労働者にとって魅力的です。働きやすい環境づくりにも貢献できるでしょう。

従業員の満足度が上がれば企業価値・魅力が高まり、より多くの人材を集める効果が期待できます。多くの応募者の中から、自社にとって必要な人材を採用できるのは、企業にとっても無視できないメリットです。

特に大企業や企業価値を重視する企業は、エリア社員を含む限定正社員を募集しているケースが増えています。

転勤・転居が難しい人はエリア社員を目指そう

はたらく男性社員

(出典) pixta.jp

エリア社員は、さまざまな理由から転勤ができない人におすすめの雇用形態です。多くの企業が導入しているため、現在住んでいる場所を離れずに働きたい人は検討してみましょう。

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