問題解決能力とは?問題の種類や解決手順、能力を高める方法を紹介

仕事やビジネスには、問題・トラブルが付きものです。問題解決能力を高めれば、スピーディーな解決が可能となるほか、表面化していない問題も未然に回避できます。問題の種類や解決手順、能力を高める方法を解説します。

問題解決能力とは何か?

パソコンに向かう男性

(出典) pixta.jp

仕事ができる人の共通点として、「問題解決能力の高さ」が挙げられます。能力を構成する要素と、問題の3つのパターンについて理解を深めましょう。

問題の本質を見極めて解決に導くスキル

問題を解決に導くスキル「問題解決能力」に明確な定義はありませんが、以下のようなスキルによって構成されています。

  • 問題を認識し、原因を見極めるスキル
  • 原因への解決方法を考えるスキル
  • 解決方法を実行に移すスキル

ここでいう「問題」とは、あるべき姿と現状の間に生じる差です。これらを認識する力には個人差があり、同じ事象に遭遇しても、それを問題として捉える人と捉えない人に分かれます。

例えば、「売上が伸びない」という事実は、表面上の問題にすぎません。水面下に潜む真因を見極め、現実に即した具体的な解決策を実行することが肝心です。

問題の3つのパターン

仕事やプロジェクトは、常に順調に進むわけではありません。むしろ、トラブルが生じるケースの方が多く、仕事は問題解決の連続であるともいえます。よく起こる問題は、以下の3つのパターンに大別されます。

  • 発生型
  • 潜在型
  • 設定型

発生型は、既に問題が表面化しているのが特徴です。異常が目に見える形となって表れるため、見逃すことはほとんどないでしょう。

潜在型は、問題が発生する可能性がある状態です。発生型と違って表面化しておらず、人によっては認識が難しいといえます。発見が遅れると、手が付けられない状態にまで深刻化する恐れがあります。

設定型は、目標・理想を打ち立てることで生まれる「理想と現状の差」に対する問題が発生することです。組織が成長し続けるには、起きていることに対処するだけでは不十分といえます。

問題解決の基本的な手順

笑顔で働く男性

(出典) pixta.jp

問題が発生した際、どのように解決すればよいのでしょうか?問題解決のプロセスを「問題の把握」「原因の特定」「解決策の立案・実行」の3段階に分け、それぞれのポイントを解説します。

問題の把握

問題に気付けなければ、プロセスは前に進みません。問題とは、「あるべき姿と現状の間に生じるギャップ」を指します。

従って、問題解決の基本は「あるべき姿(理想)」「現状」「両者のギャップ」の3つを、正しく把握することといえるでしょう。問題を発見できるかどうかは、本人の洞察力・観察力・情報収集能力などに左右されます。

また、あるべき姿(理想)が明確にイメージできていなかったり、物事を自分事として捉えきれていなかったりすると、問題に気付けない可能性があります。

原因の特定

状況を把握した後は、いつ・どこで・何が生じているかを分析し、その真因を突き止める必要があります。問題解決能力がないと、ささいな事柄にばかり目が行き、物事の本質をなかなか見極められません。

本質に対する解決策を講じない限り、アプローチは全て場当たり的なものになってしまいます。再発するトラブルへの対処に追われ、本当にやるべきことに手が回らなくなる可能性があるでしょう。

例えば、「問い合わせが多すぎて対応しきれない」という状況が生じているとします。問題解決能力の高い人は、安易に人員を増やすことを考えず、まずは「なぜ問い合わせが多いのか」という根本原因に着目します。

解決策の立案・実行

原因を突き止めた後は、解決策を立案します。メンバーと話し合いを重ねながら、複数の打ち手を模索しましょう。実行に移すにあたり、以下のポイントに着目して優先順位を付けます。

  • 成果が出るまでにどのくらいの時間がかかるか
  • コスト(時間・費用・人員)はいくらかかるか
  • 解決策によって、どれほどの効果が見込めるか

優先度の高いものから実行に移し、成果が出なければ他の解決策を試します。誰が・いつ・どこで・何をすればよいのかが分かるように、具体的な行動プランに落とし込みましょう。

問題解決能力を高めるメリット

考え事をする男性

(出典) pixta.jp

問題解決能力は、社会人が身に付けておくべきスキルの1つです。能力を高めると、仕事やビジネスではどのようなメリットがあるのでしょうか?

仕事の質と効率が向上する

1つ目のメリットは、仕事の質と効率がアップすることです。問題解決能力の高い人は、原因をスピーディーに把握し、根本的な解決策を考えます。

潜在的な問題に対しては予防策を講じるので、トラブルに振り回されることなく、効率的に業務を遂行できるでしょう。精神的にも時間的にも余裕が生まれるため、仕事の質も向上します。

一方で問題解決能力の低い人は、根本からの解決ができず、再発防止に追われやすくなります。もぐら叩きのような状態からいつまでも抜け出せず、仕事がつらいと感じるかもしれません。

同じ失敗・ミスを繰り返さなくなる

2つ目のメリットは、同じ失敗・ミスを繰り返さなくなることです。問題解決能力が低いと、失敗する根本原因を見極められなかったり、思い込みで作業を進めてしまったりして、失敗を成功につなげられません。

問題解決能力を高めると、ボトルネックに対する実現可能な対策を立てられるようになります。同じ失敗・ミスを繰り返さないだけでなく、類似した問題の発生も減少するのがメリットです。

さらに、問題解決のプロセスを繰り返すうちに思考力が向上するため、より大きな問題の解決にも取り組めるようになるでしょう。

問題解決能力を高めるポイントは?

頭を抱える男性

(出典) pixta.jp

問題解決能力は先天的なものというよりも、日々の過ごし方や仕事への向き合い方、トレーニングなどによって徐々に身に付くものです。能力を高めるポイントと具体的な方法を紹介します。

自分の思考の癖に気付く

問題を解決するには、客観的な視点で物事を観察する必要があります。思い込みやバイアスがかかると、物事の本質を見誤る可能性が高くなる傾向にあります。どのような人にも思考の癖があるため、まずはそれらに気付くことが大切です。

客観的な視点を身に付けるのに有効なのが、「クリティカルシンキング(批判思考)」です。物事や情報を無条件に受け入れるのではなく、多様な角度から精査・検証する思考法を指します。

「本当にそうなのだろうか?」「これでよいのだろうか?」と、自分自身に矢印を向けることを習慣にしましょう。

問題を目に見える形にする

頭の中で考えるだけでなく、自分の考えや状況、起きている問題などを紙・ホワイトボードに書き出してみましょう。複雑に絡み合った問題でも、「見える化」すると本質が一段と明らかになり、解決の糸口を導き出せる可能性も高まります。

文章でまとめるのもよいですが、情報を「図解」にすると、物事の相関関係や全体像、重要ポイントが分かりやすくなります。論理の抜け漏れや矛盾点が発見しやすい上、アイデア・解決方法の展開も容易です。

ロジカルシンキングを実践する

問題の本質を捉えるには、物事を体系的に整理し、因果関係を明らかにする必要があります。このプロセスは、まさに「ロジカルシンキング(論理的思考)」そのものです。

ロジカルシンキングは、直感・主観によって物事を判断するのではなく、事実やデータに基づきながら、論理的に物事を理解する思考法です。

ロジカルシンキングが身に付くと、問題の原因を特定したり、解決方法を見いだしたりするのが容易になるでしょう。

ロジカルシンキングを実践するフレームワークには、「ロジックツリー」や「MECE」などがあります。結論から述べ、その後に根拠・具体例を述べる話し方を心掛けるのも有効です。

問題解決能力を高めるには日々のトレーニングが鍵

パソコンを手にしている男性

(出典) pixta.jp

問題解決能力が高まれば、根本原因への適切なアプローチが可能になります。作業効率がアップするほか、不測の事態にも落ち着いて対処できるため、周囲からの信頼も高まるでしょう。仕事やビジネスはもちろん、生活のあらゆるシーンで役立ちます。

ただし、問題解決能力は一朝一夕で身に付くものではないため、日々の心掛けと地道なトレーニングが欠かせません。普段からロジカルシンキングを意識したり、問題を見える化する習慣を付けたりして、能力を少しずつ鍛えていきましょう。