ロジカルハラスメントが起こりやすい場面とは?具体的な対策を解説

職場で起こるハラスメントは多種多様で、その1つにロジカルハラスメントがあります。ロジカルハラスメントとはどのようなもので、防ぐためには何ができるのでしょうか。日々の業務を進める中でロジカルハラスメントが起きる原因と対処法を紹介します。

ロジカルハラスメントの例を紹介

叱責するイメージ

(出典) pixta.jp

ロジカルハラスメントとは、正論を威圧的な態度で伝えることで相手を萎縮させるタイプのハラスメントです。具体的な内容には、どのようなものがあるのでしょうか。よくある2つのパターンを紹介します。

完璧さを求めて過剰に叱責する

チームメンバーや部下が失敗したときに、必要に応じて指導するのは普通のことです。しかし完璧さを求めるあまり、過剰に叱責するなど、指導の仕方に問題があるとロジカルハラスメントになりかねません。

たとえ内容が正しかったとしても、伝え方に問題があって相手を萎縮させれば、ハラスメントになり得ます。行き過ぎた指導も同様です。

社内で誰かを指導するときには、何を伝えるかだけでなく、どのように伝えるかという点にも注意を払いましょう。

ミーティングで自分の意見を曲げない

会議やミーティングの場において、相手の意見を聞こうとせず自分の意見を押し通すのも、ロジカルハラスメントのよくある形です。自分の意見が論理的に矛盾がないと考えている場合に発生しやすいといえます。

どれだけ筋が通っていたとしても、相手の話も聞かずに自分の意見に固執するのは、建設的な議論を進める態度とはいえません。

また、自分の意見が論理的に正しいからといって、相手の意見が間違っているとも限りません。多数の正解が存在するケースもあるためです。そのため、ミーティングの場では、まずは相手の話を聞くという姿勢を忘れないようにしましょう。

ロジカルハラスメントが起こる主な原因

怒る男性社員

(出典) pixta.jp

具体的な対策を考える上では、なぜロジカルハラスメントが起きるのかを理解することが欠かせません。職場でロジカルハラスメントが起きる、主な3つの原因を紹介します。

相手の意見を尊重する意識の欠如

自分の意見を通そうとするあまり、相手の意見を尊重しないようになると危険です。場合によっては、最初から相手が間違っていると結論付け、そもそも話を聞こうとしない場合もあります。

上記のような状況に陥ると、相手の意見や気持ちを理解できなくなってしまいます。さらに、自分の意見を主張することのみに意識が向き、コミュニケーションを取ろうとしなくなるケースもありがちです。

コミュニケーションにおいては、自分の意見を主張することと相手の話を聞くことは同じくらい大切です。その点を忘れないようにし、相手が話しているときにはきちんと耳を傾けましょう。

自分の優位性を示そうとする

自分が相手よりも優れていると思い込み、それを主張しようとする傾向がある人も、注意が必要です。相手よりも優位な立場にいると思っていて、そのことを議論の場を通じて論理で示そうとすると、ロジカルハラスメントにつながりかねません。

プライドが高すぎると上記のような状況に陥りやすいため、注意が必要です。ビジネスにおいてプライドを持つことは必要ですが、過剰なプライドは悪影響を及ぼす可能性があると知っておきましょう。

相手も同じ企業で働くビジネスパートナーであると認識し、尊重することが大切です。

正解が1つしかないという思い込み

何らかの課題に直面したときに、正解が1つしかないと考えていると、他者の意見を受け入れられなくなります。例えば、自社製品が思ったように売れないといった課題に対して、マーケティングのやり方が悪いという意見を持っていた場合を考えましょう。

自分の考えのみが正しいと思っていると、製品がユーザーの求めている機能を搭載していないと相手が主張しても、そこに注意を払えません。

しかしデータを検証した結果、どちらの主張も正しかったという事実が判明する場合もあります。ビジネスにおいては正解が1つであるとは限らないため、自分の考えのみが正しいと思い込まないようにする意識が大切です。

ロジカルハラスメントを防ぐための対策

雑談をする男性社員

(出典) pixta.jp

ロジカルハラスメントに限らず、職場で発生するさまざまなハラスメントを防ぐには、きちんとした対策が求められます。具体的にどのような対策が必要なのか、確認しましょう。

コミュニケーションの機会を設ける

多くのハラスメントは、自分と相手との間に強固な信頼関係を構築できていないことが原因で発生します。信頼関係を構築するには、互いを正確に理解するという姿勢が大切です。

そのためには、日頃から綿密にコミュニケーションを取るように意識するとよいでしょう。コミュニケーションを通じて互いについてよく知れば、信頼関係の構築につながるためです。

普段のコミュニケーションでは、自分の考えを伝えることと相手の意見を聞くことを同じくらい重要視しましょう。そのような意識を持てば、自分の意見のみに固執する事態を防げます。

より深く相手について理解することを目的として、1on1ミーティングを実施するのも効果的です。定期的に1on1で話す機会を確保してコミュニケーションの機会を増やせば、より強固な信頼関係を築けます。

話す前によく考える

思い付きで話すのではなく、よく考えてから話す意識も大切です。相手に何かを伝える際には、以下のポイントを考えてみましょう。

  • 本当に今伝えなければいけない内容か
  • 自分が伝えようとしていることは適切かつ建設的な内容か
  • 他にもっとよい伝え方はないか
  • 自分が同じような伝え方をされたらどのように思うか

発言する前に上記のような点を意識すれば、無思慮に話してしまう事態を防げます。自分がしてほしいと思うことを他人にもするように意識すると、ロジカルハラスメントの加害者になる事態を防げるでしょう。

相手の意見をきちんと聞くことを意識する

相手について正しく理解し、自分の視野を広げるためにも、話をきちんと聞く姿勢が重要です。相手が何かを話しているときには、最後まで聞くように意識しましょう。

話を最後まで聞かなければ、相手が何を伝えたいのか、どのような根拠でそのように思っているのか理解するのは不可能です。場合によっては、自分の考えが間違っているという事実に気付くケースもあるでしょう。

良好なコミュニケーションを実現するためにも、まずは自分が話すことより相手の話を聞くことを優先するのがおすすめです。

管理者のマネジメントスキルを高める

チームメンバーが失敗したり思ったより業務を進められなかったりする背後には、管理者のスキル不足が隠れているケースがあります。

例えば、開発中のシステムに機能Aと機能Bを実装するという目標を掲げていたものの、プロジェクト完了日までに機能Aしか実装できなかった場合を考えてみましょう。

原因を探ってみると、開発期間の見積もりが現実的ではないために、機能Aと機能Bを両立させるのは不可能であったという点が判明します。

プロジェクトの達成が現実的か判断するのは、マネージャーをはじめとした管理者の責任です。そのため、上記のような事象が発生した場合は、マネージャーのマネジメントスキルが不足していたのが原因といえるでしょう。

そのような状況で、進め方が遅く予定通りに進められなかったことが失敗の原因であるとしてチームメンバーの責任にすると、ロジカルハラスメントになります。

そもそも開発期間の設定に無理があったことを知らないチームメンバーにとっては、一見すると正しい指摘であるかのように思えるためです。

上記のような状況は、管理者のマネジメントスキルを高めれば防げる内容であるため、そちらに注力することが必要です。

ロジカルハラスメントを改善する手順

窓口

(出典) pixta.jp

職場でロジカルハラスメントを受けている場合、その状況を改善するためにできる対策を見ていきましょう。多くの人ができる2つの施策を紹介します。

早めに相談窓口に相談する

さまざまなハラスメントが社会問題になっているため、多くの企業では社内に相談窓口を設けています。

自分と相手との間で話し合って解決するのが難しい場合は、できるだけ早く相談するのがおすすめです。社内の窓口に相談した結果、企業側が動き、速やかに解決するケースもあります。

相談を受けた企業側は、ロジカルハラスメントを放置していると従業員のモチベーションが低下するだけでなく、精神的な疾患に至るリスクもあるため、早めに対処することが大切です。

改善が見込めないなら転職する

加害者に改善の兆候が見られなかったり、企業側が対応してくれなかったりする場合は転職するのも1つの選択肢です。ハラスメントを防ぐ意識が低い企業であれば、早急な改善は見込めないかもしれません。

自分が精神的な疾患を抱える結果に陥らないためにも、できるだけ早く転職することをおすすめします。これまでのスキルや経験を評価してくれる企業を探せば、ロジカルハラスメントから解放されるだけでなく、待遇の改善を実現することも可能です。

ロジカルハラスメントには適切な対処を

説教

(出典) pixta.jp

自分の主張が論理的であることを盾にし、相手のことを考えないために起きるのがロジカルハラスメントです。ロジカルハラスメントを防ぐには、綿密なコミュニケーションを取って信頼関係を築く意識が欠かせません。

努力してもロジカルハラスメントの改善が見込めない場合は、転職するのも1つの選択肢です。転職を検討するのであれば、自分のスキルや経験を可視化し、転職の目的を実現できる企業を探しましょう。

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