「30歳職歴なしは就職できない」といわれるのは本当でしょうか。30歳になって就職を考えている人に向けて、正社員を目指す方法を解説します。就活のコツや目指しやすい職種も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
30歳職歴なしでも就職できる?
30歳まで職歴がないと、就職できないのではないかと考える人もいるでしょう。しかし、実際には30歳までに正社員の経験がなくても就職は可能です。就職できないといわれる理由も含めて、詳しく見ていきましょう。
難易度は高いが就職は可能
転職の場合も含め、一般的に30歳を超えると就職の難易度は高くなるといわれています。確かに、職歴なしから正社員を目指すのは困難といえるでしょう。しかし、ハードルは高くなるものの、就職できないということはありません。
理由の1つには、現在の日本の人材不足が挙げられます。2022年7~8月に日本商工会議所と東京商工会議所が行った「人手不足の状況および新卒採用・インターンシップの実施状況に関する調査」によると、全体の64.9%の企業が人手不足と回答しました。
中でも、「建設業」「運輸業」「介護・看護業」「宿泊・飲食業」「情報通信・情報サービス業」では7割を超える企業が人手不足を訴えています。
これらの業界を狙えば、30歳で職歴がない人でも就職できる可能性が高まるでしょう。ほかに、30代の中堅社員がいない企業なども比較的就職しやすいといえます。
出典:「人手不足の状況および新卒採用・インターンシップの実施状況に関する調査」調査結果 |日本・東京商工会議所
就職が難しいといわれる理由
30歳職歴なしの人の就職が難しいといわれる理由として、未経験者可を含む求人数が、20代に比べて少なくなることが考えられます。20代のうちは社会人としての経験が少なくても、やる気を重視するポテンシャル採用などによる求人も少なくありません。
しかし30代になると、マネジメントなどの専門的なスキルが期待されることも多くなります。そのため、職歴がある人でも管理職やリーダーの経験がなければ就職しにくくなるのが一般的です。
また、職歴なしの経歴自体が就職へのハードルを高くしていることもあります。企業側が、「働く気がないのではないか」「早期退職するのではないか」「社会人としてのコミュニケーションが取れないのでは?」などと考え、採用をためらってしまうためです。
30歳職歴なしで就職する方法
30歳職歴なしで就職する方法は、主に3つあります。どのような方法なのか具体的に見ていきましょう。
求人サイトを活用する
一般的な民間の求人サイトを活用する方法です。求人サイトには転職者向けの求人も多くありますが、職歴なしの人でも応募できます。
求人を探すときは、「未経験可」「30代可」などの条件を入れて検索するとよいでしょう。職種・勤務体系・勤務地など、希望する条件を入れた検索も可能です。求人サイトを活用するメリットには、掲載されている求人数の多さが挙げられます。
アルバイトの経験から身に付けたスキルや資格などを入力して検索すれば、自分の強みを生かした職種が見つかる可能性もあるでしょう。
また、アルバイトをしながら、隙間時間を使って求人を探せるという利点もあります。求人サイトのスタンバイにも全国の求人が掲載されています。スマホからの検索も可能なので、ぜひチェックしてみてください。
アルバイトから正社員になる
アルバイトから正社員になる方法もあります。現在のアルバイト先に正社員登用制度があれば、打診してみるのもよいでしょう。アルバイト先の正社員になるメリットは、すでに業務内容や職場環境などを知っているため、ミスマッチが少ないという点です。
新しい職種に就職する場合などは、一から業務内容を覚えなければなりません。慣れている職場なら、新しい環境になじむためのストレスも少ないといえるでしょう。
もし現在の職場に正社員登用制度がない場合は、制度のあるアルバイト先に変えるのも1つの手です。いきなり正社員として就職するのが難しくても、アルバイトから始めれば採用へのハードルは低くなります。
ハローワークを利用する
ハローワークには、正社員を希望するおおむね35歳未満の求職者を対象とした「わかものハローワーク」というサービスがあります。
わかものハローワークは、厚生労働省による「フリーター支援事業」として行われているもので、一般的なハローワークとは独立した施設として全国22カ所に設置されています(2022年4月時点)。
就職支援ナビゲーターからのマンツーマンのサポートにより、職業相談・職業紹介・応募書類の作成などの支援を無料で受けられるのが特徴です。
わかものハローワークが近くにない場合は、全国195カ所にある(2022年4月時点)、一般的なハローワーク内の「わかもの支援コーナー」「わかもの支援窓口」を利用してみるのもよいでしょう。
30歳職歴なしの就活ポイント
就活の際に押さえておきたいポイントについても確認しておきましょう。主なポイントを3つ挙げて解説します。
職歴を問われない求人に応募する
職歴を問われない求人に応募するのがポイントです。職歴を問われない求人は、未経験者可や人手不足の業界などに多くあります。
やる気を重視されたり、コミュニケーションスキルのような基本的なスキルがアピールポイントになったりすることも多いため、採用される可能性は高くなるでしょう。とはいえ、経験のない業界で働くことに不安を感じる人もいるかもしれません。
しかし、未経験者可の企業では研修などの教育体制が整っていることも多いので、面接時などに確認しておくとよいでしょう。
面接対策を万全にする
面接対策をしっかり講じておきましょう。たとえ未経験者可や職歴を問われない求人でも、面接での印象によっては採用の可能性が低くなることもあるためです。
面接を受けるためには、まず書類選考に通らなければなりません。そのため、履歴書の書き方のコツを知っておく必要があります。履歴書には、アルバイトだけでなく、ボランティアや学生時代などの経験を通じて得たことをできる限り書くのがポイントです。
身に付けたスキルや資格があれば、しっかりアピールしましょう。面接では、質問に対してハキハキと答えることが大切です。就職しなかった理由を聞かれたときは、できるだけポジティブに答えられるよう準備しておきましょう。併せて、基本的な面接マナーを確認しておく必要もあります。
資格を取得しておく
資格を取得しておくのもおすすめです。資格は、スキルを客観的に示すために役立ちます。企業によっては、資格手当などの制度を導入しているところもあるので、収入アップも期待できるでしょう。
また、仕事をしていなかった期間について聞かれた場合に、資格取得を目指して勉強していたことを理由にできます。スキルとしてアピールできる資格には、IT関連や介護関連、簿記などさまざまな種類がありますが、応募する職種に生かせるものを選ぶのがポイントです。
職歴なしでも正社員を目指しやすい職種
職歴がなくても正社員を目指しやすいのは、未経験者可や人手不足が叫ばれている職種です。ここでは「営業職」「福祉・介護職」「製造職」の3つの職種を紹介します。
営業職
営業職は、さまざまな業界で募集されている職種のため、求人数も多くなるのが特徴です。営業経験がない人でも採用されやすく、職歴のない人でも応募しやすいといえるでしょう。
営業職には大きく分けて法人営業と個人営業の2種類があり、扱う商材も業界によって異なります。職歴なしの人には、取引額が高くなる法人営業より、個人向けの営業の方がおすすめです。
基本的に売り上げなどの目標数字を掲げるため、ノルマを設定されることも多くありますが、達成したときにはやりがいを感じられる職種といえます。ただし、経験を重視されない傾向にはあるものの、基本的なコミュニケーションスキルは必要とされるでしょう。
福祉・介護職
福祉や介護業界は常に人手不足が叫ばれていることから、未経験者でも採用されやすい傾向にあります。高齢者が利用する施設で、入浴・排せつ・食事などの手伝いをしたり、掃除や洗濯などを行ったりするのが主な仕事です。
福祉・介護職の働き手の多くは40代以上であることも珍しくないため、30代は若手スタッフとして重宝されるでしょう。資格を保有していない場合は、働きながら取得を目指すことも可能です。
努力次第では、ケアマネージャーなどの専門職も目指せます。ただし、人との関わりが多い仕事のため、営業職と同様に基本的なコミュニケーションスキルはあった方がよいでしょう。
製造職
製造職は、工場のベルトコンベヤーでのライン作業や、倉庫でのピッキング業務などを行う職種です。製造業にも経験不問の求人が多く、職歴なしでも採用されやすい職種に含まれます。
ほとんどの職場が教育体制を整えているため、未経験でも働きやすいのが特徴です。契約社員やアルバイトを募集しているところもあるので、そこから始めて正社員を目指してみるのもよいでしょう。
また、寮が完備されているなど、福利厚生が整っている工場もあります。ものづくりが好きな人や、1人で黙々と作業するのが得意な人に向いている職種です。
30歳職歴なしから正社員を目指そう
30歳職歴なしからの就職は、ハードルが高いものの不可能ではありません。未経験者を採用することが多い企業や、人手不足に悩む業界を狙えば、職歴がなくても正社員を目指せる可能性は十分あります。
求人サイトやハローワークの利用などさまざまな就活方法があるので、自分に合った探し方をするのがおすすめです。応募したい求人を見つけたら、応募書類や面接対策を万全にして正社員を目指しましょう。