ポテンシャル採用とは?中途・新卒採用との違いやメリットを解説

ポテンシャル採用とは、やる気や向上心を評価して採用する方法です。しかし、中途採用や新卒採用との違いがよく分からないという人もいるかもしれません。ポテンシャル採用の特徴や、応募するメリットなどについて詳しく解説します。

ポテンシャル採用の意味は?

採用面接

(出典) pixta.jp

ポテンシャル採用という言葉を聞いたことはあっても、正しい意味について知らない人も多いのではないでしょうか。どのような採用方法のことを指すのか、詳しく解説します。

潜在的な能力を重視した採用方法

ポテンシャル採用とは、スキルや経験より、その人の潜在的な能力や将来の可能性を重視した採用方法のことをいいます。職務経歴を問われないため、社会人経験の浅い人でも応募しやすいのが特徴です。

ポテンシャル採用を行う理由には、労働力の減少に伴い、即戦力となる人材の確保が難しくなったことなどが考えられます。特に、慢性的な人手不足に悩む業界などで、多く見られる採用方法です。

既にスキルや経験を身に付けた人材ではなく、中長期的に見て活躍できる若手を採用し、育成する企業が増えています。

中途採用や新卒採用との違い

中途採用は、キャリア採用ともいわれることがある方法で、スキルや経験を重視するのが一般的です。多くの場合、即戦力となる人材の確保を目的としており、募集する職種に見合ったノウハウを持っていることが評価の対象となります。

ポテンシャル採用・中途採用のどちらの場合も、採用を実施する時期は不定期です。しかし、ポテンシャル採用が通年で実施されているのに対し、中途採用は必要なときに随時行われるという違いがあります。

新卒採用との違いはターゲットとなる層です。ただし、新卒採用においてもやる気を重視するケースがあるため、広義ではポテンシャル採用に含まれることがあります。

対象となる年齢は主に20~30代

ポテンシャル採用の対象となるのは、第二新卒や20代半ばごろまでといわれています。第二新卒に明確な定義はありませんが、新卒で入社後2~3年以内に退職して転職する人を指すのが一般的です。

主に20代を中心としてはいるものの、ニーズにマッチしていれば30代を対象としている企業もあります。逆にいえば、年齢が若いからといって誰もが採用されるわけではありません。スキルや経験は重視されないとはいえ、基本的なビジネススキルや社会人としてのマナーは必要となります。

企業がポテンシャル採用を導入する目的

採用面接をする女性

(出典) pixta.jp

ポテンシャル採用を導入する目的は、労働力の減少による人手不足の解消だけではありません。企業側がどのようなことに期待しているか把握しておきましょう。

若い世代を採用し組織を活性化させる

20代を中心とした若手を採用することになるため、組織の若返りや活性化が可能です。特に、新卒採用があまりなく、従業員の高齢化が課題となっている企業では、若手社員の入社によって世代交代を進められます。

若い世代の考え方を取り入れることで、既存のスタイルに固執せず、時代に沿ったビジネスモデルの導入なども可能になるでしょう。古くからいるベテランにとっては、若くてバイタリティー溢れる社員の存在が良い刺激になります。

将来の幹部候補生を確保する

将来的な活躍が期待できる人材を採用し、幹部候補生を確保したいという目的もあります。組織にとって、優れたリーダーや管理職は重要な存在です。しかし、既に管理職としてのスキルを身に付けている人材を採用するのは、簡単なことではありません。

ポテンシャル採用の対象となる若手の人材は、専門的なスキルを持ち合わせていない分、新しいノウハウや技術を吸収しやすいともいえます。また、経験のある人材の場合、既に身に付けた専門的なスキルを生かせるような配置が必要です。

一方、ポテンシャル採用の場合は、オールラウンドで活躍するジェネラリスト型の人材として育成できるというメリットがあります。

多種多様な人材を採用したい

スキル重視だけでは出会えない、多種多様な人材を採用したいという目的もあるようです。ポテンシャル採用では潜在的な能力を重視しているため、育て方次第で将来大きく活躍できる人材の確保が可能だと考える企業が少なくありません。

実務経験や実績がなくても、入社後にスキルを身に付けていくことで本来持っている能力を伸ばし、期待以上に貢献してくれる可能性があるからです。多種多様な人材が集まることによって個々のモチベーションが向上するなど、相乗効果に期待する企業もあるでしょう。

ポテンシャル採用に応募するメリット

履歴書とペン

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ポテンシャル採用は、企業にとってだけでなく、応募する側にもメリットがある方法です。ここでは2つのメリットについて解説します。

未経験の業種でも採用されやすい

スキルや経験は重視されないため、未経験の業種でも採用されやすいというメリットがあります。一般的な中途採用で異なる業界に転職する場合、スキルや知識のある人に比べて、未経験者は不利になりがちです。

しかし、ポテンシャル採用ではある程度の社会人経験と仕事への向上心が評価されるので、採用される確率がぐんと高まります。転職先の候補が広がることから、大きなキャリアチェンジやスキルアップも可能です。

また、大手企業でもポテンシャル採用を導入しているところは増えています。未経験から大企業へ転職できるチャンスもあるでしょう。

成長が期待できる

将来的に活躍する人材の育成を見込んだ採用方法であるため、入社後の教育制度が充実しているなど、成長しやすい環境が整っています。未経験の職種への転職でも、効率良くスキルを身に付けていけるでしょう。

キャリア採用のように即戦力を求められることはないため、精神的に余裕を持って経験を積んでいけます。また、幹部候補生の育成を目的としてポテンシャル採用に取り組んでいる企業も少なくありません。

そういった企業では、管理職やリーダーに必要なスキルや知識を身に付けられるというメリットもあります。

ポテンシャル採用でのチェックポイント

採用面接

(出典) pixta.jp

若手を対象とはしているものの、年齢が若いというだけでは採用されません。面接でチェックされるポイントについても確認しておきましょう。

学ぶ姿勢や成長意欲があるか

ポテンシャル採用で重視されるのは、やる気や仕事への熱意です。そのため、積極的に学ぶ姿勢や成長意欲をアピールする必要があります。

面接では、希望する職種に関して何か勉強しているかなど、応募者の学習意欲や向上心を確認するための質問をされることも少なくありません。

仕事で壁にぶつかったらどうするかなどの質問で、人間性や人物像を確認されることもあります。仕事に関するもの以外にも、スキルアップのために学んでいることなどがあれば、積極的にアピールし意欲の高さを伝えましょう。

目標やキャリアビジョンを持っているか

入社後にどのような仕事をしたいか、将来どういうキャリアビジョンを描いているかなどの質問を受けることもあります。企業側が仕事の目標やキャリアビジョンについて確認するのは、採用後のミスマッチを防ぐためです。

明確な目標を持っているほど、ポテンシャルが高いという評価にもつながります。ただ、仕事を頑張りたいと伝えるのではなく、具体的な目標を示すことが大切です。そのためにも、まず自分が目指す将来像についてしっかり考えておく必要があるでしょう。

自社にマッチしているか

価値観がマッチしているかどうかもチェックされます。たとえポテンシャルは高くても、企業の風土に合った人材でない場合、早期退職につながる可能性があるからです。

応募者にとっても、採用後にミスマッチが起きてしまうと、転職を繰り返す恐れがあるでしょう。面接では、応募者の価値観を確認するために、仕事に対する考え方などを質問されることもあります。

採用されることだけを考えて相手の価値観に合わせるのではなく、事前にしっかり企業研究を行い、経営理念や社風などに共感できるか確認しておくことが大切です。

ポテンシャル採用を導入している企業の特徴

採用面接

(出典) pixta.jp

ポテンシャル採用は、どのような企業で行われているのでしょうか。導入している企業の主な特徴を3つ紹介します。

教育体制がしっかり整備されている

ポテンシャル採用を導入している企業は、入社後の教育体制が整っていると考えられます。ポテンシャル採用の最終的な目的は、将来的に活躍が期待できる人材の育成であるため、教育体制の整備は必須です。

しかし中には、ある程度の社会人経験があると思われて、育成に手をかけてもらえないケースもあります。教育体制が整っている企業なら、OJTなどの育成カリキュラムを用意して、1人1人の特性に合わせた指導をしてもらえるでしょう。

ポテンシャル採用に成功しているのは、若手を育成する意識が高い企業ともいえます。

キャリア採用だけでは人材不足解消が困難

スキルや経験を重視したキャリア採用だけでは人材不足を解消しきれず、ポテンシャル採用へとシフトしている企業もあるようです。

人手が不足している企業は、一刻も早く即戦力となる人材が欲しいと考えています。しかし、求職者側の条件と合わないことから、なかなか応募が来ないケースも珍しくありません。

時間とコストをかけてキャリア採用にこだわるより、ポテンシャル採用で効率的に人材を育成した方がよいと考える企業は、今後も増えていく可能性があるでしょう。

多様性を重視している

既存の考えにとらわれず、多様な人材を歓迎している企業も、ポテンシャル採用への間口が広い傾向にあります。大企業の中にも、ポテンシャル採用を導入し、就職活動を多様化させているところが増えているようです。

例えば、LINEヤフー株式会社では新卒一括採用を廃止し、新卒、既卒、第二新卒など経歴にかかわらず30歳以下であれば応募できるポテンシャル採用を導入しています。

ソフトバンク株式会社は、新卒・既卒・社会人経験者などの経歴を問わず、意欲のある人を対象とした「ユニバーサル採用」をスタートしました。また、サイボウズ株式会社では、募集要項を満たさない人や未経験者にも採用の門戸を開いています。

ポテンシャル採用は経験より意欲を重視

人事のイメージ

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ポテンシャル採用は、経験より仕事への意欲や潜在的な能力を重視した採用方法です。労働力の減少などに伴い、即戦力となる人材の確保が難しくなったために、将来有望な若手を採用して中長期的に育成しようと考える企業が増えています。

求職者にとっても、未経験の業種に転職しやすくなったり、万全な教育体制の中でスキルを身に付けられたりなど、メリットの多い方法です。大きくキャリアチェンジしたい人は挑戦してみてはいかがでしょうか。

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