仕事探しや業種の分類を見ていると、「ブルーカラー」「ホワイトカラー」という表現を見かけることがあります。どのような違いがあるのでしょうか?それぞれの意味・由来・特徴を解説します。向いている人や、その他の「カラー」も確認しましょう。
ブルーカラーとホワイトカラーの違い
仕事を分類する概念として、「ブルーカラー」「ホワイトカラー」という表現が使われることがあります。この言葉には、どのような意味が込められているのでしょうか?意味や由来、該当する職業を紹介します。
言葉の意味と由来
「ブルーカラー」と「ホワイトカラー」は、英語で「Blue Collar」「White Collar」と表記されます。「Collar」は襟を意味しますが、ここでは「職種を象徴する色の襟」という意味合いも含まれています。従って、日本語では「青い襟」「白い襟」と訳されることが多いです。
ブルーカラーは、主に工場や建設現場での肉体労働や技術的な仕事に従事する人々を指します。対照的に、ホワイトカラーはデスクワークや頭脳労働を中心とする職業の人々の総称です。
これらの用語は、該当する職種の人々が着用していた白い襟や青い襟の服が由来とされています。アメリカで発祥したこれらの言葉は、ブルーカラーが1920年代から、ホワイトカラーがその後に使われ始めたとされています。
該当する職業
ブルーカラーとホワイトカラーには、それぞれ大まかな定義があります。定義に当てはめて考えると、該当する職業が見えてくるでしょう。
ブルーカラーの代表例としては、工員・建設作業員・ドライバー・電気工事士・漁師などが挙げられます。言葉が生まれた当初は工場で働く人を指していたことから、主に生産工程で働く肉体労働者をブルーカラーに分類するケースが多いようです。
ホワイトカラーの代表例は、会計士・コンサルタント・事務職・医師・研究者・管理職などが挙げられます。頭脳労働を中心とする、オフィスワーカーが分類されている点が特徴です。
現在では頭脳労働の印象は薄れていますが、ホワイトカラーという言葉が広まった経緯から、販売・接客・対人サービスもホワイトカラーに分類されます。
ブルーカラーとホワイトカラーは差別用語?
ブルーカラーとホワイトカラーは、大まかに職業分類をするための言葉であり、差別用語ではありません。
しかし、アメリカでブルーカラーという言葉が生まれた時代には工場で肉体労働をする人の地位が低かったこともあり、かつては偏見があったといわれています。
日本では、オフィスワーカーと工員の違いを示す言葉として浸透しており、差別的な意味合いはほとんどないと考えられるでしょう。
ただし、使い方や受け止める人の感じ方によっては肉体労働者に対する差別的な表現が含まれるケースがあり、使いどころには注意が必要です。
ブルーカラーの特徴
ブルーカラーに共通する特徴とは何なのでしょうか?主に工場や、その他の生産現場などで働く人たちに共通する特徴を紹介します。
専門スキルを習得できる
ブルーカラーは、「肉体労働を特徴とする技術的な作業」に従事します。単純な肉体労働も含まれるものの技術が必要な仕事も多いため、仕事内容によっては専門スキルを身に付けられるでしょう。
例えば、建設現場では建築関連や現場監督の資格が該当します。工場では機械の操作免許や設計のスキルが身に付くはずです。
物流での荷物運搬では、大型トラックの運転免許やフォークリフト免許などが該当するでしょう。企業によっては、入社後に資格・免許の取得サポートが受けられるケースもあります。
オンとオフのメリハリをつけやすい
ブルーカラーには、工場で働く工員が含まれます。メーカーや工場は、お盆や正月休みが長いことでも知られる業界です。
工場では多くの機械を扱います。電源を入れる際に多くの電力を使うため、連続した休みを設けているところが多いでしょう。取引先の休暇で連絡や発送が難しいこともあり、お盆や年末年始には長期休暇が確保しやすいのが特徴です。
また、激しい肉体労働を含む現場では、休憩時間も十分に設定されています。休日や休憩時間の設定上、オンとオフの切り替えがしやすいといえるでしょう。
転職しやすい
ブルーカラーの中でも、スキルが身に付くタイプの仕事は転職しやすい点が特徴です。専門的な業務に携わり身に付けた資格・免許・技術は、同じ業界・職種であればそのまま通用します。
キャリアアップや待遇の向上を求めて転職を考える人は、ブルーカラーとして専門技術を身に付けるとよいでしょう。
ホワイトカラーの場合、資格取得には学歴や大学院などで学ぶ専門知識が必要なケースが多くなっています。
対して、ブルーカラーは経験や業務関連の知識を身に付けると、資格取得につながります。条件を問わず、就職・転職に有利といえるでしょう。
ホワイトカラーの特徴
ホワイトカラーの仕事は多岐にわたりますが、仕事内容にはある程度共通点があります。主な特徴を確認しましょう。知識を必要とする仕事は待遇面でも魅力がありますが、メリット・デメリットの双方を把握しておくことが大切です。
頭を使う仕事が多い
ホワイトカラーの特徴として、「頭脳労働」が挙げられます。デスクワークや屋内での仕事が基本で、肉体労働はほとんどありません。
研究者や法務従事者のように、常に新しい研究結果や法務知識を取り入れ、スキルをアップデートし続けなければならない仕事も多いでしょう。
頭脳労働といっても、レベルは業務によって異なります。一般事務や経験を積んで昇進する管理職など、一定の専門知識があれば可能な業務も珍しくありません。
安全に働ける
ホワイトカラーの仕事は、安全性の高い業務が中心となっているところが特徴です。
ブルーカラーの場合、高所での作業や大型機械の操作、刃物類の取り扱いなど危険な業務が含まれます。主にオフィスで働くホワイトカラーは、けがのリスクが低く、安全であるといえるでしょう。
特に、頭脳労働を中心とする業務ではデスクワークが多く、激しく体を動かす作業もありません。体に負担をかけることなく、長く働ける仕事です。
ストレスをためやすい
ホワイトカラーには、経営者・管理職を始め、高度な知識を必要とする仕事が含まれます。経営に近い立場に就くと長時間労働になりやすく、体にも負担がかかってくるでしょう。
長時間デスクに向かい、ずっと頭脳労働を続けると精神的な疲労が重なってきます。体を動かして発散する機会も少なく、頭を使う作業ならではのストレスがたまりやすいでしょう。
会計士や弁護士といった顧客対応を含む業務では、対人関係によるストレスもかかってきます。頭脳労働だけでなく、人に寄り添う気持ちや能力も求められるでしょう。
ブルーカラーに向いている人
肉体労働を中心とするブルーカラーには、どのような人が向いているのでしょうか?主な特徴や、注意点を解説します。特に、ハードな職場では事前の心構えが重要です。
体力に自信がある
ブルーカラーの仕事は肉体労働が特徴であり、主に体力を必要とします。
建設作業員・工事現場作業員・引っ越しスタッフなどは重い荷物を運ぶ作業が多く、体力がないと続きません。工場での単純作業も、同じ作業を繰り返し手早く進める必要があるため、特定の部分に負荷がかかりやすいでしょう。
物流ドライバーは長時間運転を続け、トラックに積み込んだ荷物の上げ下ろしもしなければなりません。体力に自信があり、長時間の立ち仕事や荷物運搬をこなせる人は、ハードな肉体労働を含むブルーカラーに向いています。
「3K」が苦にならない
ブルーカラーの中でも、作業着で行う仕事は「3K」と呼ばれることもあります。3Kとは「きつい」「汚い」「危険」の略です。
身体的にきつい仕事なだけでなく、作業着が汚れるような業務が多く、内容によっては危険が伴います。例えば溶接工は部品の溶接を担う仕事ですが、火花や高温、騒音により防護服を着用して作業を進めなければなりません。
建設現場や工事現場では、土やコンクリートなどの運搬や撤去作業も含まれ、汚れることが多いでしょう。建物の建設時には、足場を使って高所での作業も行います。
集中力が高い
ブルーカラーの業務には、集中力が求められます。例えば工場の仕分けでは、不良品を見抜く業務もあり、同じ品質の製品を作り続けなければなりません。集中力が途切れると、同じようにやっているつもりでも品質が変わるリスクがあります。
高度な技術を必要とする業務でも、集中力は欠かせないスキルです。建設・建築の分野ではわずかな狂いも認められず、正確な作業が求められるでしょう。
そのほか、危険を伴う作業でも集中力は重要です。少しの気の緩みが、大きな事故につながる可能性があります。
ホワイトカラーに向いている人
ホワイトカラーには、どのようなスキルを持つ人が向いているのでしょうか?必要となるスキルや特徴を紹介します。仕事を探す前に、求められる能力について考えておきましょう。
パソコンを使える
ホワイトカラーは、オフィスワークやデスクワークが中心です。パソコンを扱う仕事も多く、問題なく入力・検索ができる程度のタイピングスキルは最低限求められるでしょう。
事務やオフィス内でのデスクワークを担当する場合、オフィスソフトの使用も多くなります。Word・Excelのスキルや、メールソフトの扱い方も覚えておくと便利です。
パソコンを使えることを前提として、計算や文章作成能力といった基礎的なスキルが伴っているかも重要になってくるでしょう。
コミュニケーション能力が高い
ホワイトカラーの仕事は、頭脳労働が多く周囲との連携が求められます。各部署や顧客とのやりとりをスムーズに進めるには、コミュニケーション能力が欠かせません。
また、顧客対応や単純な事務作業などは、AIに代替されやすいともいわれています。良質なコミュニケーションは、AIには難しい分野です。コミュニケーション能力が身に付いている人は、AIに仕事を奪われるリスクが低下します。
コミュニケーション能力が高く、周囲との連携を取れる人材は、高度なスキルを持つホワイトカラーとして活躍できるでしょう。
仕事に応じた専門知識を持っている
研究者や法務関連の業務など、頭脳労働には専門知識が求められるものが多くなっています。仕事に欠かせない資格や学位を取得している人は、ホワイトカラーの業務に就きやすいでしょう。
業務によって、必要なスキルは異なります。経理のエキスパートを目指すのであればパソコンスキルや簿記の資格、会計士を目指すのであれば会計の専門知識が求められるでしょう。
自分がなりたい職業を絞り込み、業務に合わせた専門知識を学んでおくことが大切です。ブルーカラーも資格やスキルを必要としますが、ホワイトカラーは専門的な「知識」を重視しているといえるでしょう。
ブルーカラーとホワイトカラー以外のカラー
世界的に見ると、ブルーカラーとホワイトカラー以外にもさまざまな職業分類が存在します。日本ではブルーカラーとホワイトカラーが主流ですが、ほかにはどのような分類があるのでしょうか?主なものを紹介します。
グリーンカラー
グリーンカラーは、日本語で「緑の襟」という意味です。アメリカで1990年代に使われ始め、「Green Collar Jobs(アラン・テイン・ダーニング著)」という本も執筆されています。
具体的には、環境の改善を目的とする仕事が「グリーン・カラー・ジョブ」です。再生可能エネルギーや廃棄物のリサイクル、太陽光発電などに関わるさまざまな業種が該当します。
ブルーカラー・ホワイトカラーとは異なり、明確な定義で分類できるものではありません。再生可能エネルギーを中心とする仕事は世界的に注目を集めており、2008年には各国の国際機関による「グリーン・ジョブ」と呼ばれる報告書が作成されています。
グレーカラー
グレーカラーは、ブルーカラーとホワイトカラーの特徴を併せ持つ業種を指します。例えば、救急医療に従事するスタッフは、専門的な医療知識(ホワイトカラー的特徴)と緊急時の肉体的対応(ブルーカラー的特徴)を要求されます。
また、警備員やIT技術者も、専門的な技術知識と実地での対応力を兼ね備えていることが求められます。これらの職種は、ブルーカラーとホワイトカラーの境界線があいまいになる現代の職業環境を反映しており、国や業種によってその定義は異なります。
ブルーカラーとホワイトカラーの違いを理解しよう
ブルーカラーとホワイトカラーは、アメリカで生まれた職業分類のための概念です。時代が変わり、判断が難しい部分も出てきていますが、多くの仕事がどちらかに該当します。
現代では、どちらが良い・悪いといった表現が使われることはあまりありません。それぞれの特徴を知り、自分の特性に合った仕事を見つけるよう心掛けましょう。
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