「補填」はビジネスシーンでもよく使われる言葉ですが、同じような言葉に「補充」や「補完」などがあります。正しく使い分けられるように、意味や類語・対義語などを確認しておきましょう。用例もいくつか紹介します。
補填とは?言葉の意味を解説
「補填(ほてん)」とは、不足しているものを補うといった意味を持ちますが、同じような意味で使われる言葉は多くあります。正しい意味や、使い方を押さえておきましょう。
意味は「不足に対する埋め合わせ」
不足しているものを補い、穴埋めすることを「補填」あるいは「補填する」と表現します。本来あるはずのものが足りない場合に、うまく補って本来の役割や機能を果たせるようにすることです。
例えば、社員の病欠や退職・休職などが相次ぎ、業務をスムーズに進められない組織では、一時的に社員を派遣してもらう場合があります。
その際には「人材を補填する」といった表現をするのが一般的です。穴埋めするものは、不足する前と同じものでなくても構いません。
ビジネスシーンでの使い方
ビジネスシーンにおける「補填」は、人員の不足分をカバーしたり、金銭的な不足を補ったりする場面でよく使用されます。
金銭に関しては、主に赤字分を穴埋めする際に「補填する」と表現するのが一般的です。次のように、発生した損失を何らかの形で補い、ビジネスを継続できるように取り計らう際に使われます。
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新しいプロジェクトの収益が予想を大きく下回ったので、運転資金の補填のため、経営陣は追加の融資を受けることを決めた
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新部門の予算をうまく捻出できなかったため、他部門の余剰資金で補填する案が出された
補填の類語・似た言葉
「補填」と同じような意味の言葉も押さえておきましょう。「補充」や「補完」などは、同じような意味や文脈で使われることの多い言葉です。
同じもので不足を満たす「補充」
補填が不足分の一部を補う際に使用される一方、「補充」は不足分を100%満たす際に使われるのが一般的です。
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経理部門の備品が不足してきたので、来週の発注で補充する必要がある
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会議の前に、必ず追加人数分の資料を補充してください
また補填の場合、不足分を必ずしも同じもので補わなくても使用できますが、補充は、基本的に不足している部分と同じものでカバーしなければ使用できない言葉です。
不足分を全て穴埋めする「補完」
「補完(ほかん)」とは、不十分なものを補い、完全な状態にすることを指します。
補充と同様、足りないものを100%穴埋めする点が補填とは異なるので、使い分けに注意しましょう。補充との違いは、穴埋めするものが不足したものと同じでなくても問題ない点です。
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互いの弱点を補完し合うため、2つの開発チームを統合した
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今期から導入されているSFA(営業支援システム)は、既存のシステムを補完し、営業プロセスを最適化するものだ
上記のように、どちらかといえば金銭的な事柄に関してではなく、人の弱点や業務システム、あるいは抽象的なものを補う際に使われる言葉です。
意味は補填とほぼ同じ「填補」
「填補(てんぽ)」も、不足分を補い穴埋めすることを指す言葉で、基本的には補填と同じ意味を持っています。
単に補填と漢字の並びを逆にした言葉ではありますが、次のように、保険事故による損害が発生し、保険会社が保険金を支払う際によく使われています。
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事故による損害の発生を填補するため、保険金の支払いを申請した
一般的には、補填の方がよく使われる言葉です。填補はあくまでも、保険業界における専門用語と考えておくとよいでしょう。
補填の対義語もチェック
補填と反対の意味で使われる言葉も知っておきましょう。「欠損」や「不備」など、主に不足を意味する言葉が対義語に当たります。
欠け・損失を表す「欠損」
「欠損(けっそん)」とは、欠けてなくなることや、金銭的な損失を指す言葉です。物理的に必要な部位が欠けている様子を指す場合もありますが、ビジネスシーンでは次のように、税務上の赤字を指す「欠損金」の用例を目にする機会が多いでしょう。
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欠損金の累積を理由として、経営陣は本格的に収益の改善策を講じる必要があると発表した。
不完全な状態を指す「不備」
「不備(ふび)」とは、必要なものが完全にそろっていない状態を指す言葉です。また、手紙の最後に文意が不十分である意味で、一言添える場合に使われる言葉でもあります。一般的には次のように、前者の意味で使われている例が多いでしょう。
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先週提出いただいた書類に不備がありました。書類をそろえて再度申請をお願いします。
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会計処理に不備を発見したため、訂正すべき部分をメモに残しておいた。
「補填」の言葉に込められた意味を正しく把握しよう
「補填」は不足しているものを補うことで、ビジネスシーンでは人材や金銭的な不足を穴埋めする際によく使われる言葉です。「補充」や「補完」といった類義も多くあるので、違いを理解した上で、きちんと使い分けることが大事です。
また、対義語に当たる「欠損」や「不備」なども、よく使われる言葉です。こちらも意味や使い方を正しく理解しておきましょう。