映像作家になるにはどんな方法がある?登竜門のコンテストをチェック

映像作家とは

パソコンを見ながら打ち合わせ

(出典) photo-ac.com

映画やテレビ番組、CM、Blu-rayやDVDなどに収録される映像作品など、映像コンテンツを企画、制作する仕事です。映像ディレクターや映像クリエイターなどとよばれることもあります。

映像作品を制作するには、撮影・編集の知識や技術はもちろん、クリエイターとしての資質やヒューマンスキルも求められます。

映像作家の仕事内容

映像作家が制作するコンテンツには、テレビ番組、CM、映画、アニメーション、MV(ミュージックビデオ)、Web動画など、さまざまな種類があります。近年はCG(コンピューターグラフィック)を使った作品なども制作されています。

映像制作には、企画、脚本、演出、音響、照明、美術、撮影、編集など、さまざまな要素や工程が必要です。所属する会社の規模によっても異なりますが、映像作家がそれぞれの専門スタッフに指示を出しながらチームで制作を行う場合が多いでしょう。フリーの映像作家の場合は、1人ですべての役割をこなし、作品を制作することもあります。

他の映像作家の作品を見ることも、映像作品制作において重要です。「映像作家100人+100」(ビー・エヌ・エヌ新社)という書籍が2005年より発行されており、活躍している日本の映像作家と映像プロダクションが紹介されています。

「映像作家100人+100」にはWebサイトもあるため、制作の参考になる情報を得やすいでしょう。

求められるスキル

動画編集

(出典) photo-ac.com

映像作家として働くには、いくつかのスキルが求められます。入社する前に、映像制作に役立つスキルを身に付けておきましょう。自分が持っている資質だけでなく、勉強や意識的な行動によって生まれるスキルもあります。

撮影・動画編集スキル

映像作品を作り上げるには、撮影や動画編集ソフトを扱う能力が必要です。撮影した動画を編集するには、パソコンのソフトウェアを使います。

映像作家を目指すなら、まずは「Adobe Creative Cloud」のようなサブスクリプション型のクリエイター向けツールを使ってみるのもよいでしょう。Adobeでは映画の制作にも使われているような動画編集ソフト「Adobe Premiere Pro」も利用できます。

Adobe Creative Cloudでは、PhotoshopやIllustratorなど画像編集・作成ソフトも使えます。どれが必要なのか分からないときでも、お試し感覚で利用できるでしょう。

映像作品を作る際には、映像をより効果的に見せるため、テキストでのテロップや画像を使うこともあります。基本的な動画編集ソフトの扱いに慣れることで、映像表現の幅が広がるはずです。

アイデアを生み出す力

映像作家は、撮影だけでなく映像作品の企画にも関わります。多くの人の心を動かす作品を作り上げるには、世間のトレンドやニーズを読み、アイデアを出す能力が必要です。

さまざまな映像やクリエイティブな作品に触れることで、アイデアは生まれてきます。映像だけでなく、幅広い分野に対する興味や知識が求められるでしょう。

新しいアイデアを生み出すには、個性や美的センスも大切です。映像作品の魅力を多くの人に伝えるため、日々努力を忘れない姿勢も重要になってきます。

コミュニケーション能力

映像作家として経験を積んでいくと、クリエイターをまとめる「ディレクター」や「プロデューサー」として働くことになります。

上司や責任者として働くにあたって、コミュニケーション能力は欠かせません。クリエイターに指示を出しながら、ひとつの映像作品を作り上げることになります。取引先ともコミュニケーションをとりながら、企画を進めることになるでしょう。

独立した場合は、映像制作と企画進行を1人で担当するケースもあります。人と話をするだけでなく、周囲の希望や意図を察知する能力も求められるでしょう。

映像作家になるには

デスクワーク

(出典) photo-ac.com

映像作家になるために特別な資格は必要ありません。美大や芸大、専門学校の映像学科などを卒業後、テレビ局や番組制作会社、映画会社などに就職する方法が一般的です。人気の業界であることから、採用は高倍率になることが多いです。

入社後は、AD(アシスタントディレクター)として、リサーチや資料集め、ロケや機材の準備、手配などをしながら仕事を覚えていきます。その後ディレクターとして演出を考え、スタッフに指示を出し、制作の指揮をとるようになります。ディレクターとして経験を積んだ後は、プロデューサーにキャリアアップし、総責任者として企画や予算管理などに携わります。ディレクターを経験せず、AP(アシスタントプロデューサー)からプロデューサーになる人もいるようです。

映像制作の一連の業務を経験し、実績を積んだ後は、独立して会社を立ち上げたり、フリーランスの映像作家として映像制作に携わったりできます。 独立後も継続して仕事を受注するには、人脈作りが不可欠です。ディレクターやプロデューサー時代に積極的に人脈を構築しておくことや、俳優や監督など誰と一緒に仕事をしたのか実績も重要です。人脈や実績がない場合は、大きな仕事を依頼されることは少ないでしょう。

近年はデジタル機器の発達により、4Kカメラなどのハイスペックな機材が普及価格帯で買えるようになったり、インターネット回線やストリーミングサービスの普及などにより、個人で動画を撮影し、編集、配信したりすることも可能になりました。独学でも映像作家としての道が開ける可能性があります。

映像作品コンテスト

プロ、アマチュアを問わず、映像作品を発表する場として、コンペティションやコンテスト、映画祭などがあります。

長編映画やテーマを設けたショートムービー、市区町村のPR動画など、さまざまな作品が募集されています。多くの人に自身の名前と作品を知ってもらうことができるため、次の仕事につながるきっかけとなることがあります。

コンテストでの入賞をきっかけに仕事を増やして著名になった人もおり、映像作家の登竜門ともいえるでしょう。数ある映画祭やコンテストのなかから、主な一部を紹介します。

文化庁メディア芸術祭

1997年から開催されており、アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4部門があります。日本だけではなく、海外からも広く作品を募集しています。

映文連アワード

公益社団法人映像文化製作者連盟が主催する短編映像祭です。コーポレート・コミュニケーション部門、ソーシャル・コミュニケーション部門、パーソナル・コミュニケーション部門の3部門で作品を募集しています。

PFFアワード

ぴあフィルムフェスティバルの自主製作映画部門です。一般公募で、入賞作品は、ぴあフィルムフェスティバルで上映されます。過去の受賞者には、現在活躍している著名な映画監督も含まれています。

平均的な年収

給料袋

(出典) photo-ac.com

映像作家の平均年収は、勤務先や業務形態によって変動します。参考として、厚生労働省が発表する「賃金構造基本統計調査(2021年分)」で「他に分類されない専門的職業」とされている職業の平均年収を見てみましょう。

映像作家を含む専門的職業の平均年収は、580万円程度となっています。全職業の平均年収よりも高い水準ですが、「多くの専門的職業が含まれる」「著名な映像作家が含まれる」といった理由で、平均年収の結果が高く出ていることも考えられるでしょう。

映像作家やクリエイターの年収は、中小企業勤務で300万~500万円程度、テレビ局など大企業では600万~1,000万円程度が想定されます。映像作家として多くの人に認められるようになれば、さらに上を目指せるでしょう。

出典:
映像作家100人+100
映像作家100人 JAPANESE MOTION GRAPHIC CREATORS
文化庁メディア芸術祭
公益社団法人映像文化製作者連盟
PPFアワード