ホールスタッフになるには未経験でもOK?求められるルールとは?

ホールスタッフとは

エプロン姿の女性

(出典) photo-ac.com

一口にホールスタッフといっても、働ける業界・業種は多岐にわたります。例えば、カフェ・居酒屋・焼肉屋・ホテル内のレストランなどの飲食店のほか、パチンコ・パチスロ店といった飲食店以外の店舗でもホールスタッフの募集があります。仕事内容としてそれぞれに共通しているのは、接客や給仕などの顧客対応サービス全般業務であるということです。服装やルール、雰囲気などについては、業種や職場ごとにカラーがあります。

未経験でもできる!ホールスタッフの仕事内容

ホールで働く男女

(出典) photo-ac.com

ホールスタッフは、飲食業界を中心に豊富な求人数がある職種です。経験を積めば比較的短期間に戦力として活躍できることが多いため、業界・業種を問わず、未経験歓迎の求人も数多くあります。

しかし、ホールスタッフになるためのハードルが低い分、入れ替わりは激しく、店舗間の人材の奪い合いは熾烈を極めています。そのため、時給や月給が高い職場や、福利厚生に力を入れている職場に人気が集まりがちです。

ただし、職場によって経験できることは大きく異なり、自身に合った職場を見つけるためにも給料や福利厚生だけで判断するのは早計です。

以下に代表的なホールスタッフの仕事内容を紹介します。ご自身が興味のある、経験を積みたい職場を探す参考にしましょう。

例1 ホテル内レストランでのホールスタッフ

ホテルのレストランは、キッチンや洗い場、ホールスタッフなどで構成されていますが、その中でのホールスタッフの役割は、接客と給仕が主な職務となっています。

食器のセッティングやナプキンの畳み方など、覚えるべき基本マナーや求められる礼節のレベルは高く、その分ほかの業種に比べて時給・月給が高い傾向にあるようです。

ホテル内のレストランのホールスタッフは、予約の受付・電話対応といった接客対応のほか、料理や食べ物の配膳業務といった給仕全般を担当します。

ホテル内のレストランの場合、朝・昼はバイキング・ビュッフェ形式(お客様が、テーブルに並べられた料理の中から自由に選べる方式のこと)であるところも多く、その場合はなくなった料理の補充や、お皿のバッシング(テーブルや配膳台の上のお皿を下げること)などを行います。

時間帯に関係なく、お客様の食事の進み方に目を配り、次の料理を準備するタイミングを厨房と調整することも仕事の1つです。飲み物が空になりそうだったら、別の飲み物をおすすめし、スムーズな食事の進行をサポートします。

ホテルのレストランの場合、「親しみやすい接客」というよりも「礼儀正しく、ホスピタリティにあふれた接客」を求められることが多いでしょう。

しっかりした礼節を身に付けながら、質の高いサービスを提供できる人材を目指すなら、ホテル内のレストランはうってつけの職場であるといえます。

例2 居酒屋でのホールスタッフ

主に注文受けと配膳が業務です。場合によっては、ご飯の盛り付けなどキッチン業務の一部を担うこともあります。そのほか、予約電話の対応や、来店客の応対、デシャップと呼ばれる、キッチンとホールスタッフをとりもつ司令塔の役割を担うこともあります。

居酒屋では、いつお客様からオーダーの声がけが入るか分からない上、料理の仕上がりのタイミングにも注意しなければなりません。配膳から調理場へ戻る際に、テーブルやお客様に気を配り、下げ膳も1回の往復で済ませなければならないケースもあります。

また、居酒屋のホールスタッフでの採用の場合、ホールやトイレの清掃も業務に含まれることが多いようです。接客や給仕だけでなく、店舗運営の大部分を任される重要な役割を担っているといえるでしょう。

飲食店の中では最も多い業態の1つで、求人数も多いのが特徴です。ランチ営業を行っているところを除き、夕方以降の時間帯での勤務であることが多いでしょう。

学生やフリーターなどのアルバイトが多い傾向にあり、社員1人がお店全体を見ているようなところもあります。

例3 パチンコ店でのホールスタッフ

パチンコ店の業務は、主にホールスタッフ・カウンタースタッフ・コーヒーワゴンスタッフの3つのポジションに分けられます。

ホールスタッフの場合、お客様が出したパチンコ玉が入った箱(通称ドル箱)の運搬作業(玉運び)をして、最後に玉流し(運んだドル箱の玉を、計数機に流し込む作業)を行います。

ドル箱は結構な重量になり、コツを覚えないと腰を痛めることもあるため注意が必要です。お店によっては、男性スタッフだけが担当します。また近年では、出玉をICカードに記録する方式の店もあり、そのようなところでは玉運び・玉流しの作業はありません。

そのほか、マイクパフォーマンス(来店者のフィーバーを褒めて店内を盛り上げる)や店内清掃、早番であれば開店準備、パチンコ台や店内の清掃を行います。

加えて、お客様の灰皿の交換・クレーム対応・おしぼりの支給・玉づまりの対応・台の当たり確率や遊び方の説明・店外での呼び込みイベント(抽選会や飲食無料提供など)もホールスタッフの仕事に含まれることがほとんどです。

ホールスタッフに求められるものとは?

ワインを出すスタッフ

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ホールスタッフの仕事内容はさまざまですが、いずれも店内での接客業に変わりはありません。共通して求められるスキルには、何があるのでしょうか?特に大切な2つのポイントを紹介します。

コミュニケーションスキル

ホールスタッフになるのに特別な資格は必要ありませんが、「多くのお客様を相手にする接客業である」という点において、コミュニケーションスキルは必須です。

注文を取るときに料理の説明をしたり、お客様の質問に答えたりと、業務全般を通して会話をする機会が多いためです。厨房で調理をするスタッフや、ほかのホールスタッフとのやりとりにおいても、コミュニケーションスキルが求められるでしょう。

コミュニケーションスキルというと「相手に自分の言いたいことをうまく伝えること」が大切だと思われがちですが、「相手の言いたいことを理解すること」「人の話をしっかりと聴くこと」も重要です。

お客様の中には、ホールスタッフとの会話のキャッチボールを楽しみにして来店する人も少なくありません。「ホールスタッフ=お店の顔」といっても過言ではなく、ホールスタッフの態度やコミュニケーションの取り方が、店舗全体の評価を左右することもあります。

臨機応変に対応できる力

ホールスタッフは、常に臨機応変な対応が求められます。例えば、飲食店の場合、注文・料理の提供・会計・料理の引き下げなど、1人でさまざまな業務をこなさなければなりません。

特に、週末の居酒屋やレストランは店内が混雑し、ホールスタッフの業務量が多くなります。予想外のトラブルが発生し、マニュアル通りでは対応し切れなくなるケースもあるでしょう。そんなとき、目の前の状況を見て「今何を優先すべきか」を判断できる力が求められます。

また、状況を判断した上で、「メニュー選びに迷っているお客様にはおすすめを教える」「子連れのお客様がいたら、子ども用の椅子を用意する」「寒い日にはさり気なくひざ掛けを持ってくる」など、細やかな気配りができることも大切です。

ホールスタッフに応募するときのポイント

トレイを渡す男性スタッフ

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服装のルールをチェック

ホールスタッフは、お客様に接する仕事のため、身なりは厳しいところが多い傾向にあります。しかし、業種・企業・店によっては、服装・髪型が自由で、中には染髪でもOKのところもあります。

居酒屋や焼肉店などの場合は、私服のパンツ(ズボン)に店の前掛け、上半身はお店支給のTシャツであるなど、服装の規定が比較的ゆるい傾向にあるようです。

反対に、ホテルや高級レストランのホールスタッフの場合は、制服が準備されている場合がほとんどで、身なりへの指示が厳しく、頭髪の色は黒のみ、といったような規定が厳しく決められていることが多い傾向にあります。

履歴書や志望動機の書き方

ホールスタッフの経験がある業種や担当業務、勤続年数、マネージャー経験の有無などは、必ず履歴書や職務経歴書に書いてアピールしましょう。

志望動機については自分の言葉で語れれば、特に問題ありません。明るくハキハキした人物を求める傾向にあるので、そのような点を意識するとよいでしょう。

ホールスタッフはアルバイト雇用が多いこともあり、入れ替わりが激しい分、求人数は常に多い傾向があります。

また、キャリアのステップとしては、アルバイトで入社した後に正社員となり、実績を積んだ後に本部や地域のマネージャーになるといったケースも少なくありません。努力次第で待遇を上げられるチャンスもあるので、この職種を極めるという選択肢も一考に値するでしょう。

求人の給与情報から集計したホールスタッフの年収帯

※スタンバイ掲載中の全求人データ(2017年6月時点)から作成

厚生労働省がまとめた「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、飲食物給仕従事者の企業規模に応じた「決まって支給する現金給与額(月額)」は以下の通りです。

  • 10~99人:21万6,800円
  • 100~999人:21万8,200円
  • 1,000人以上:23万6,100円

年間賞与や特別給与を含まない場合、年収(決まって支給する現金給与額×12カ月)は、約260万~280万円になる計算です。なお、飲食物給仕従事者には、飲食店以外のホールスタッフは含まれていません。

出典:
一般社団法人 日本フードサービス協会
NPO法人 日本サービスマナー協会「接客サービスマナー検定」
厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」