パティシエになるには資格が必要?求められる素養と専門学校の利点

パティシエとは?

パティシエの女性

(出典) photo-ac.com

パティシエ(pâtissier)は、フランス語で「お菓子を作る職人」のことです。日本では、ケーキやタルト、ゼリーやムース、アイスクリーム、チョコレート、クッキーなどの「洋菓子」を作る人を指します。もともと日本で作られていたものではなくても、日本の洋菓子は味わい、見た目ともにとても水準が高いといわれています。おいしさだけでなく美しく優雅な見た目、食べるときの幸福感のせいか、日本の子どもたち、特に女の子たちの「将来なりたい職業」ランキングでたびたび上位に入る、夢のある仕事です。

そんな優雅なイメージの一方で、パティシエの仕事は、小麦粉や砂糖といった重たい材料を運んだり、大量のクリームを泡立てたりといった「力仕事」の側面が大いにあります。家庭でのお菓子作りとは違って、素材も工程も異なる多様なお菓子を、同時進行でたくさん作ります。しかも、開店時間や提供時間に合わせて、限られた時間で仕上げなければなりません。美しく仕上げるだけでなく、段取りのよさやスピード感が求められます。

職場や状況によっても変わりますが、限られた時間で商品をそろえるために複数のパティシエが同時に作業するのが一般的です。作業や工程を分担することも多く、1人の作業の質や遅れが全体に影響します。求められるレベルの作業をこなしつつ、チームワークを大切にできるかも、重要な能力として問われるでしょう。また、パティシエに限りませんが、食品を扱う職業として高い衛生管理意識が必要です。関連する資格としては、「製菓衛生師」が代表的です。

パティシエの職場や仕事内容は?

ホテルや婚礼会場、レストランやカフェ、洋菓子店(パティスリー)、洋菓子工場などがパティシエの活躍の場です。

ホテルや婚礼会場では、ウエディングケーキやパーティー用の大きなケーキ、引き出物やおみやげ用の焼き菓子を人数分、ビュッフェ用の何種類ものケーキを多数、というように、一度にたくさんの人に同じものを提供する仕事が多いようです。

何カ月も前からの予約に応じて作業することがほとんどとはいえ、大安などお祝い事によいとされる日は、複数のイベントが重なる場合もあります。用意するお菓子の数も種類も非常に多くなるでしょう。

作るだけでも大変な作業ですが、大量のケーキの保冷や、焼き菓子の包装といった作業も発生します。スタッフをマネジメントする立場でない人にも、時間、調理・保冷の機材、人的リソースをいかに合理的に配分し、遅延なく作業を進めるかといった意識が必要でしょう。また、パティシエ自らケーキを切り分けたりビュッフェのケーキを補充したりと、会場でお客様に接する場面もあります。婚礼をはじめ晴れの場も多いため、忌み言葉(ケーキに対して使いがちな「切る」など)を使わないといったマナーを心得ておく必要もあるでしょう。

レストランやカフェでは、食事の後のデザート、または飲み物とのセットという形でお菓子を提供することが多いようです。食事の進み具合や、飲み物が準備できそうかといった状況を把握して、作り始めや仕上げのタイミングを見極めます。そのためには、ホールスタッフや飲み物を担当するスタッフとのコミュニケーションは欠かせません。

提供するのは作っておいたケーキなど、器に盛り付けてデコレーションを施せばよいお菓子だけではないでしょう。オーブンから出したらすぐにしぼんでしまうスフレや、グラスに高く盛り付けられたパフェのように、箱に入れて持ち帰れないものも提供します。その場でしか味わえないものを提供することは、レストランやカフェのパティシエならではの仕事です。

販売専門の洋菓子店では、持ち運びを前提としたお菓子作りをします。ケーキであれば切り分けた後にひとつひとつを透明フィルムで巻くなど、作ったお菓子を「商品」として仕上げるため、注意力も必要です。

また、定番商品だけで何種類ものケーキやお菓子をそろえるほか、旬の食材を使った季節商品や、クリスマスやバレンタインデー、ハロウィンなどイベントごとの限定商品も作ります。大手の洋菓子店では、季節商品や限定商品の社内コンペも行われるようです。開店前や閉店後に試作を重ねることもあります。販売の人手が足りなければ、接客も担当しなければならず、お客様とのコミュニケーションも大切な仕事になるでしょう。

どの職場でも、開店の数時間前から準備や仕込みが始まり、閉店後も片づけや翌日の仕込みを行うのが一般的です。勤務時間は長くなる傾向にあります。個人で経営している店では、曜日による定休日を作っているケースもありますが、大きな商業施設に出店している店やホテル内のレストラン、工場などでは年中無休という場合も少なくありません。

このような職場ではシフト制の勤務が多く、休日も不規則になりやすいでしょう。また世間的に、クリスマスやバレンタインデー、お正月といったイベント・お祝い事の時期は、洋菓子の需要が高まります。必然的にパティシエにとって多忙な時期になるでしょう。イベントの時期にプライベートで家族や友人とゆっくり過ごすのは、なかなか難しいかもしれません。

活躍している女性パティシエも多くいますが、不規則な勤務時間や体力的な負担の大きさから、女性にとって働きやすい環境とはいいにくいでしょう。それでも情熱を持って仕事を続けるパティシエもいます。今後女性パティシエの数がもっと増えることも予想されます。少しずつ、女性パティシエが働きやすい環境に変えていけるかもしれません。

パティシエになるには?

ケーキを持っているパティシエ

(出典) photo-ac.com

パティシエになるために必要な資格はありません。経験を問わずにパティシエを募集しているお店に応募する方法もあります。「この人の元で修業がしたい」と思うようなパティシエがいれば、直接訪ねて未経験から修業を願い出るのもひとつの方法です。ただし、その場合はいつパティシエの実務に関われるかは不明確です。長期間、清掃や調理器具の手入れ、販売業務などをこなしながら見習いをするケースも考えられます。

近年は、専門学校(製菓学校や料理学校の製菓コース)や短期大学など、学校で基本的な知識や技術を身に付けてから求人を探す人も多いようです。お菓子に限りませんが、調理は、材料の配合、混ぜ合わせる順番やタイミング、加熱の温度や時間など、わずかな条件の違いで仕上がりが全く異なってくるものです。調理を、経験や勘といった「感覚」ではなく、科学的な「理論」として学べるのが、専門学校などの利点でしょう。

また、卒業後に即戦力として就職できるようなカリキュラムを用意している専門学校も多くあります。実際に即戦力になれるかは、就職先や個人の資質によるところが大きいですが、基本的な知識と技術がすでに身に付いている人材を求めて、学校を通じて採用を行うお店や会社は多いでしょう。卒業後の進路についてのサポートがあるのは、学校で学ぶ大きなメリットといえます。

中には学校を卒業した後に、洋菓子の本場フランスをはじめ、海外の料理学校への留学を目指す人も少なくありません。相応の語学力や経済力が必要になるため、誰もが気軽にできる選択ではないでしょう。しかし、何を習得して、パティシエになったときにそれをどう生かすのかが明確であれば、チャレンジする価値はあります。

大学を卒業した後や、社会人になってからパティシエを目指す人もいます。夜間のコースを設けている専門学校もあるので、目指すことは十分に可能です。ただし、力仕事が多く、勤務時間や休日が不規則なことからも、業務に慣れない新人のうちは体力勝負になることが予想されます。

限られた時間で高い品質を追求する現場では、手取り足取り指示してはもらえないでしょう。上司や先輩から厳しい言葉を投げられることも考えられます。そういった環境では、ある程度若い方が周囲も受け入れやすく、本人もやりやすいのは事実です。一方で、年齢を重ねていても、対人スキルや技術を習得する要領など、それまでに積んだ社会人経験を強みにできる人もいます。

資格は必要?

パティシエの業務自体には、資格は必要ありません。調理師免許も不要です。ただし、「製菓衛生師」「菓子製造技能士」は、就職や転職の際に一定の知識や技能の証明となったり、開業する場合に必要になったりと、取得していることが望ましい資格です。

製菓衛生師は国家資格で、お菓子の製造技術や知識のほか、公衆衛生や衛生管理といった「食の安全」に軸を置いています。試験は都道府県によって行われます。受験資格は以下の2つを満たしていることです。

  1. 義務教育を修了している(または学校教育法で同等と見なされている)人
  2. 都道府県知事の指定する製菓衛師養成施設(製菓学校など)で1年以上製菓衛生師とし、必要な知識や技能を習得した人、または、2年以上菓子製造業に従事した人

製菓衛生師の資格を取得していると、食品を取り扱う施設で必ず必要となる「食品衛生責任者」に、講習なしでなることもできます。開業を考えている人は、特に取得しておくと便利な資格です。

菓子製造技能士は技能検定制度による国家資格で、お菓子の製造に必要とされる技能の習得に軸を置いています。試験は都道府県によって行われます。和菓子、洋菓子に分かれていて、それぞれ1級と2級の2つです。学科試験のほか、実技試験が課されます。学歴・訓練歴によりますが、基本的に受験資格は1級で実務経験7年以上、2級は実務経験2年以上です。

英語力は必要?

製菓に関する用語はフランス語が多いこともあり、日本国内での業務において英語力が必要になる場面は少ないでしょう。ただ、外国人観光客の増加で、レストランやカフェはもちろん、人気のあるケーキ店にも外国人観光客が買い物にくるようになっています。

接客を担当しないパティシエも多いとはいえ、ある程度のコミュニケーションが可能なレベルまで英語力を上げておくと有利です。意思疎通ができれば、素材や商品の魅力を伝えて、商品をより魅力的に見せられるでしょう。

パティシエに向いている人・資質

パティシエの女性

(出典) photo-ac.com

紹介してきた通り、パティシエはさまざまな資質が求められる仕事です。具体的に、どのような人がパティシエに向いているのでしょうか。

創造力が豊かで研究熱心な人

専門学校(製菓学校や料理学校の製菓コース)では、製菓に欠かせない基礎を学びますが、技術や知識を習得した人の全てが優秀なパティシエになれるわけではありません。学んだことをもとに研究や努力を地道に重ねる姿勢がなければ、パティシエとして成功するのは難しいのが現実です。

お菓子は「こんなものを作ってみたい」という作り手の自由な発想によって生み出されます。技術力と同じくらい、創造力の豊かさ(クリエイティビティ)やセンスも重要です。アンテナを張ってトレンドをキャッチしたり、芸術に触れて感性を磨いたりする姿勢も求められるでしょう。

手先の器用さに自信がある人

洋菓子は味のおいしさはもちろん、見た目のよさが重視されます。パティシエの評価はデコレーション技術の高さによって決まるといっても過言ではありません。

パティシエになると、チョコレートや飴に細工をしたり、小さな菓子の上に絵を付けたりする繊細な作業が多くなります。どんなに創造力やセンスがあっても、それを形にできる手先の器用さがなければ、パティシエとして高評価を得るのは難しいでしょう。

洋菓子店に勤務するパティシエの場合、商品の売れ行きを見ながら、次々と菓子を補充していかなければなりません。細かい作業をスピーディーにこなしていく能力も求められます。

体力がある人

パティシエは一見すると華やかな職業に見えますが、実際は体力勝負です。街の洋菓子店に勤務するパティシエの場合、午前中のオープンに合わせて、早朝から仕事が始まります。

仕込みでは、数十キロの小麦粉や砂糖の袋を担いだり、重量のある焼き菓子用の鉄板を洗ったりという作業は日常茶飯事です。基本的に1日中立ちっぱなしなので、足がむくんでパンパンになることも珍しくありません。

閉店後は、翌日の準備と後片付けをしなければならなず、帰宅時間は19時以降になる場合が多いようです。加えて、クリスマスやバレンタインは連日夜遅くまで残業が続くので、精神力と体力がある人でなければ務まらないといえます。

パティシエの求人は?

お菓子職人

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アルバイト採用後に正社員登用の可能性のある求人から、正社員として即戦力を期待する求人までさまざまです。どの求人でも、実務に関われるタイミングや詳しい仕事内容をよく確認することが重要です。

特に学校を出ずに未経験の状態からパティシエを目指す場合、まずはホールなどの仕事を担当することもあるでしょう。どの仕事も大切な経験ではありますが、本来目指しているパティシエの実務になかなか近づけないこともあり得ます。

職場を変えようと思っても、それまでの見習い期間に積んだ経験はパティシエとしての経験とは見なされません。少しでもパティシエとしての実務経験を積みたいという意志を固く持ち、積極的に「実務に携わりたい」という熱意を伝える姿勢も必要でしょう。

学校の座学や実習で基本的なスキルが身に付いている場合は、仕事は比較的探しやすいといえます。企業側が学校を通じて採用活動を行うほか、学校が積極的に就職のサポートを行うことも多いためです。

大手の洋菓子店など毎年採用を行う職場では、同じ学校から卒業生を採用することもあります。就職を検討する職場ですでに先輩が働いているのであれば、実務内容や待遇について確認できて安心でしょう。

求人の給与情報から集計したパティシエの年収帯

電卓とお金とカレンダー

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気になるパティシエの給料・月収・年収は? 全国の求人の給与情報をまとめて集計、パティシエの給与帯・年収帯を独自にグラフ化しました。

(グラフ) 

※スタンバイ掲載中の全求人データ(2017年6月時点)から作成

求人のうち300万円台が約32%、400万円台が約28%という順で多く、合計は約60%を占めます。200万円台と500万円台も、約15%ずつ存在しているものの、300万〜400万円台が主流層といえます。

日本人の平均的な年収は400万円台なので、極端に多くも少なくもない職業です。一方、長く不規則な傾向のある勤務時間や、体力的な負担の大きさといった勤務内容に見合っているかは、意見の分かれるところでしょう。

出典:
厚生労働省「製菓衛生師」
厚生労働省「技能検定制度について」
公益社団法人 日本食品衛生協会「食品衛生にかかわる資格」
国税庁「令和2年分 民間給与実態統計調査」

パティシエ経験者の口コミ

パティシエの女性

(出典) photo-ac.com

現役パティシエ、パティシエ経験者にアンケートを実施。パティシエの仕事の口コミ・評判を集めました。

パティシエのやりがいを教えてください

N.D.さん (男性 / 東京都)
パティシエ 勤続年数5年以上 (職業 : 会社員)

同じパティシエでもそれぞれイメージしている未来像には違いがあります。私の場合は作るお菓子の完成度が少しずつ高くなるのが嬉しくて、進歩が形になっていくのがやりがいでした。
また職場の同僚たちが知らない食材やその使い道を自分なりに研究しながらレパートリーを広げていくのが自分なりに意識していた課題でしたので、それもいろんな発見につながってやりがいになっていたと思います。
他にもコンテストに出品することを目標にしている人もいて、私はできませんでしたがそれは大きなやりがいに違いないと思いますし、そんな技術がある人に対してはとても羨ましく感じて見ていました。
やっぱり美しいお菓子を作れるというのは何にも代えられないパティシエの理想だと思います。

S.S.さん (男性 / 大阪府)
パティシエ 勤続年数5年以上 (職業 : 会社員)

まず、自分が作ったものを口にした人から「美味しい」の一言が聞けることが一番のやりがいだと思います。
また、自分が作ったものを口にしてもらうためには、作ったものがお客様の手にわたらなければいけないわけで、お客様に手に取ってもらうためには、作ったものそのものの見た目、パッケージやデコレーション、ディスプレイなどの見た目がとても重要になります。お菓子の見た目と、その見せ方の工夫、それが結果として表れることにも大きなやりがいを感じます。
さらには、その後のリピートも期待しなくては成り立たない職業であるため、リピート率を上げるための、パッケージやディスプレイ、販売する際の説明の方法や内容、販売時の接客方法など、やりがいを感じることがたくさんあります。

M.M.さん (女性 / 愛知県)
パティシエ 勤続年数5年以上 (職業 : 会社員)

大好きなお菓子にかこまれて仕事ができることです。もともとケーキや焼き菓子を作るのが好きなのですが、好きなことを仕事にできる幸せは他にはありません。お店にきたお客さんがみんな幸せそうな顔をする。そんなところを見ることができるのが、やりがいを感じるポイントの1つです。
もう1つは、どんなに同じ材料を同じ量つかって時間や温度を同じようにして作ったつもりでも、その日の気温や湿度やちょっとした作業の違いで完璧に同じお菓子は作れないので、日々向き合って美味しいケーキや焼き菓子を作ることにやりがいを感じます。
四季折々のイベントごとにケーキや焼き菓子を作っていくことはとても大変だけれど、いろんなイベントを経験できるところも楽しいです。
1年ごとに自分が成長するのを感じることができるところも、やっていてよかったなと思うポイントです。

パティシエになるために努力したこと資格が必要な場合、合格するために努力したこと

N.D.さん (男性 / 東京都)
パティシエ 勤続年数5年以上 (職業 : 会社員)

私は結構歳をとってからの転職でしたので製菓学校には縁がありません。ただこの業界はいつも人手が足りないので年中求人は出ていまして、繁忙期になると未経験でも採用されることがあります。
最初はアルバイト採用でしたがそこでしばらく働いたあとに認められてやっと正規の採用でした。自分と他のスタッフを比較してみると、やはり製菓学校卒が最初は有利ですね。基礎知識が違いますし、一通りの作業を経験しているだけで流れが理解しやすいと思います。私はそこが一苦労で、そういったハンデを補うために自宅での練習は毎晩やりました。
また寝るまでの空いた時間、もちろん練習しつつですがわからないことがあるとすぐネットで調べてノートに記録、最低限の知識を身につけるまでかなり時間がかかりました。

S.S.さん (男性 / 大阪府)
パティシエ 勤続年数5年以上 (職業 : 会社員)

もともとパティシエを志望していたわけではなかったこともあり、材料の知識、製法の知識や技術を学ぶことにかなりの努力をしました。同じ材料でも扱い方で全く違うものになってしまうことを経験の中でも学び、製法以前に材料の温度管理などについても努力をして学びました。
ある程度のものを作ることができるようになっても、それが売れなければ成り立たないので、売るための知識や技術を習得するのにもかなりの努力が必要でした。デコレーション、ラッピング、ディスプレイ、販売スペース作りなど、見て、読んで、聞いてとかなりの努力が必要です。

個人経営となると、さらに店の経営の視点を学ぶ必要があり、コスト計算や効率などについても努力をして学ぶ必要性があると思います。

M.M.さん (女性 / 愛知県)
パティシエ 勤続年数5年以上 (職業 : 会社員)

資格は特に必要なかったので、なるために努力したことは正直「採用されるために意気込みをつたえたこと」くらいしかありません。
しかし、なってから努力したことはたくさんあります。 私の働いていたお店はそれほど朝は早くなかったのですが、12~13時間労働が普通でした。
なので、ごはんを作るのがおろそかになったり、お金が少ない中でやりくりしたりすることが大変でしたので、そこをなんとかしようと努力しました。
仕事については、まずは体力が何より必要なので重い材料(砂糖や小麦粉は25kgほど)を持てるようにしたり、長時間労働でも集中力が持つように工夫したりしました。
製造の技術やお店を回すのに必要なことは、日々の仕事を積み重ねていくうちに身についていきました。

パティシエの将来性について

N.D.さん (男性 / 東京都)
パティシエ 勤続年数5年以上 (職業 : 会社員)

正直なところパティシエの将来はとても厳しいと思っていて、成功する者とそうでない者の差が大きく出るでしょう。成功するとすれば、起業して事業として成功するか、雇われシェフとして好条件の待遇を手に入れるか、極論だとそのどちらかですね。
ただ一つの考え方として飲食業界全般として捉える視野の広さがあれば成功の道は開けるように思います。職人にこだわるなら日本の場合はやはりコンクールなどの受賞歴がないと箔はつきませんし、となると組織内で出世して、なんとしてもコンクールに出場することを目指す以外ありません。
お菓子だけで利益を出すのはかなり大変で、そういう意味では幅広い知識と商売への感性を養っておくべきですね。今成功している人たちの多くは職人としての腕はもちろんですが、アドバイザーやプロデュース能力があったり商品開発力に長けた人たち、そこまでやるには日々相当な努力が必要であるのは間違い無いでしょう。
言われたものだけこなせる職人ではずっと低収入なままだと思いますが、広いヴィジョンを持てる人にはいろんなチャンスがあると思います。

S.S.さん (男性 / 大阪府)
パティシエ 勤続年数5年以上 (職業 : 会社員)

パティシエは今後もニーズは高まっていくと思います。少子化や高齢化が進む中でも、誕生日や各祝い事などのイベントがなくなることはなく、色々なイベントにはパティシエの作る菓子類へのニーズは今後もなくなることはないと思います。また、スイーツブームはファッションと同様に、今後も色々なメディアが取り上げ盛り上がっていくことが考えられます。
ファッションと同様に、その時々の流行があるのがこの業界です。同じものを作り続けるだけでは、お客様に飽きられてしまいます。トレンドの流れをいち早く察知し、自分の技術力を磨き続ける努力さえ惜しまなければ、これからも高いニーズの中で自分の持つスキルや知識を活かし活躍することができると思います。

M.M.さん (女性 / 愛知県)
パティシエ 勤続年数5年以上 (職業 : 会社員)

将来性は、正直言うとピンきりかなって思います。
職人の世界なので、今の「上に立っている人たち」は弟子入りのような感じで低賃金で重労働が当たり前の世界で生きてきた人が多いと思います。
新しいお店や大きなお店ではそうでないところも増えてきていると思いますが、個人のお店では労働環境が悪いお店が大半なのが現状です。
正直言うと女性は結婚して辞めるといった道がありますが、男性は大きな所で経験や地位を高めるか、自分でお店をやるかしないと厳しいと思います。出会いも少ないですし。
なので、技術的に心が折れる人やお金や将来のことを考えて辞める人が多い分、長く続けている人は評価されます。