パーソナルトレーナーになるには?おすすめの資格と仕事内容を解説

パーソナルトレーナーとは

パーソナルトレーナーの男性

(出典) photo-ac.com

パーソナルトレーナーは、マンツーマンでエクササイズやトレーニングの指導、栄養指導などを行う仕事です。プロのスポーツ選手や俳優、モデルなどがクライアントになるケースが多いものの、近年ではダイエットや健康維持を目的とする一般の人を対象とするパーソナルトレーナーも増えています。

トレーニングや栄養に関する知識はもちろん、トレーナー自身の鍛錬も欠かせません。運動が好きな人や、人をサポートするのが好きな人にはおすすめです。

パーソナルトレーナーになるには

カウンセリングするトレーナー

(出典) photo-ac.com

パーソナルトレーナーになるための公的な資格はありませんが、民間の資格はいくつかあります。保有していると採用の際に有利になるだけでなく、クライアントを獲得するうえでアピールにもなるため、取得する人が多いようです。

資格がなくてもパーソナルトレーナーとして仕事をすることはできますが、トレーニングに関する知識やスキルは不可欠です。そのため、体育大学やスポーツ関連の専門学校などに入学して、運動生理学や機能解剖学、トレーニング科学、栄養学、スポーツ心理学などを学ぶ人が多くいます。各民間資格の取得をサポートする学校もあり、在学中に資格を取得することも可能です。

卒業後は、スポーツジムやフィットネスクラブ、またはスポーツチームなどに所属することが多いでしょう。パーソナルトレーニング専門のジムもありますが、それ以外の場合は、通常のトレーナー業務のほかにフロント業務などもこなしながら、希望する会員向けにパーソナルトレーニングを行うケースが多いようです。

トレーナーとして経験を積んだ後、独立してフィットネスクラブなどと業務委託契約を結んだり、個人でクライアントを獲得してトレーニング指導を行ったりすることもできます。そのほかにも、個人でプライベートジムなどを開業し、パーソナルトレーニングを行う人もいます。

パーソナルトレーナーの資格

パーソナルトレーナーに関する資格には、以下のようなものがあります。

  • 健康運動指導士

主催:公益財団法人健康・体力づくり事業財団
概要:1988年に厚生大臣の認定事業として開始されました。フィットネスクラブや病院、介護施設などで運動プログラムの作成や指導計画の調整などを行います。資格を取得するには、養成講習会を受講するか、大学のスポーツ学科などで養成講座を修了後、認定試験を受けて合格する必要があります。合格後は5年ごとに登録の更新があります。

  • 健康運動実践指導者

主催:公益財団法人 健康・体力づくり事業財団
概要:1989年より養成が開始された資格で、フィットネスクラブや学校などで運動プログラムに基づいて実践指導を行います。求められるのは見本を示すための実技能力や、集団での運動指導ができる技術です。資格を取得するには、講習会を受講するか、大学や専門学校などで養成講座を修了後、認定試験を受けて合格する必要があります。合格後の更新頻度は5年ごとです。

  • NESTA PFT

主催:NESTA(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会)
概要:NESTAのトレーナー規格で、国際的な認知度も高く、採用の際に優遇されることも多いようです。認定試験を受けるには実務経験などさまざまな条件があり、該当しない場合は事前に講座の受講が必要となります。資格有効期間は4年間で、更新には講座の受講などで得られる単位が必要です。

  • NSCA-CPT(NSCA認定パーソナルトレーナー)

主催:特定非営利活動法人NSCAジャパン(日本ストレングス&コンディショニング協会)
概要:NSCA-CPTは米国NSCAの認定資格で、全米資格認定委員会(NCCA)が承認する国際的な信頼性も高い資格です。米国NSCAの国際支部であるNSCAジャパンが、1995年より日本語でのNSCA-CPT試験を始めました。取得にはトレーニング知識以外にも、解剖生理学、栄養学などの知識や指導スキルが必要となります。資格の維持には、セミナーなどの受講で得られる継続教育活動単位を、定められた期間内に取得することが必要です。

  • CSCS(認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)

主催:特定非営利活動法人NSCAジャパン(日本ストレングス&コンディショニング協会)
概要:米国NSCAの認定資格で、全米資格認定委員会の承認を受けており、NSCAジャパンが1999年より日本語での試験を始めました。アスリートやスポーツチームなどを主な指導対象としており、トレーニング指導に関する知識以外にも、施設の管理、運営に関する知識なども問われます。資格の維持には、セミナーなどの受講で得られる継続教育活動単位を、定められた期間内に取得することが必要です。

NSCA-CPTまたはCSCSの資格を取得し、レベルアッププログラム認定の取得など条件を満たしている場合は、実技講習会などで講師を務める認定検定員の試験を受けることができます。

このほか、大手フィットネスクラブなどで活動する場合は、各クラブの公認資格が必要となることもあります。

パーソナルトレーナーの仕事内容

筋トレの補助

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パーソナルトレーナーは、ダイエットやボディメイク、コンディショニング、競技パフォーマンス向上、加圧トレーニングなど、それぞれ専門分野を持って仕事をすることが多いです。一般的な仕事の流れは以下になります。

  1. カウンセリングを行い、クライアントが何を目標にしているかを把握する
  2. カウンセリング内容に基づき、個々のクライアントに合ったトレーニング・プログラムを作成する
  3. 作成したプログラムに沿ってマンツーマンでトレーニング指導、フォームのチェック、サポートなどを行う

体づくりにはトレーニング以外に食事も重要な役割を果たします。そのため、パーソナルトレーナーが食事に関するアドバイスを行うことも珍しくありません。また、トレーニング継続のため、身体面だけではなく精神面のケアが必要になることもあります。1対1でトレーニングを行うため、クライアントとコミュニケーションをとり、信頼関係を築くことも重要です。

パーソナルトレーナーは、クライアントに指導するだけではなく、自身が体を鍛え、トレーニング方法やトレーニング器具、栄養に関する新しい知識を取り入れるなど、日々の研鑽も必要になる仕事です。

また、フリーで仕事をしている人は、クライアント獲得のための活動もしなければなりません。ホームページやブログ、SNSなどでのPRを通してセルフブランディングを行うのも大切な仕事です。

パーソナルトレーナーの求人傾向

話すトレーナーとお客

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パーソナルトレーナーの求人は、社員やアルバイト、パートなど、さまざまな勤務形態で募集がありますが、ほかの職種に比べて業務委託の募集も多いことが特徴です。また、近年では女性専用のフィットネスクラブも増えてきたため、女性のパーソナルトレーナーの需要が高まっているのも特徴の一つといえます。

採用においてはトレーナー経験者や資格保有者が優遇されますが、未経験者の募集もあります。パーソナルトレーナーはお客様とマンツーマンでトレーニングを行うという仕事の特性上、コミュニケーション能力が求められます。未経験の人は、接客業や営業の経験があると採用されやすいでしょう。

パーソナルトレーナーの需要と将来性

腹筋をする女性とサポートする女性

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ターゲット層の変遷

日本におけるパーソナルトレーニングは、フィットネス大国であるアメリカのビジネスモデルを手本とし、大企業がマンツーマンのパーソナルトレーニングを始めたことからスタートしています。かつてはほとんど知られていませんでしたが、ここ10年程度で急成長を遂げている業界です。パーソナルトレーナーという仕事自体の認知度が高まってきています。

これまではプロスポーツ選手や芸能人など限られた人がパーソナルトレーナーを利用していました。しかし、近年では一般の人もダイエットや健康維持を目的にパーソナルトレーナーの指導を受けるようになりました。

高齢化も需要アップの追い風に

高齢化が進んでいる日本では予防医学の需要が高まっており、医療の現場を助けられる存在としてパーソナルトレーナーに注目が集まっています。高齢者がパーソナルトレーニングに取り組み、運動や食事に関する適切な指導を受けることで、病院のお世話になる人が減り医療崩壊のリスク軽減も期待されているのです。

病院で検査や治療を受ける高齢者には、生活習慣病により体調を崩した人や、ケガで体が痛む人が多いでしょう。これらの症状が出ていない状態で、日頃からパーソナルトレーナーの指導を受けておけば、病院に行く高齢者を減らせます。

例えば、肩こり、腰痛に悩む人でも、症状の程度によってはパーソナルトレーナーの適切なケアによりトラブルを未然に防げます。これまで通院するしか選択肢がなかった高齢者も、パーソナルトレーニングという選択肢によって、病院に行かずに済む可能性が出てくるのです。

このように、パーソナルトレーニングは健康や医療の分野で大きな注目を集めています。日本社会のニーズに応えられるパーソナルトレーナーは、将来性の高い専門職といえるでしょう。近年はオンラインで指導を行うトレーナーも増えており、高齢者を在宅でケアできる点もポイントです。

平均年収はどのくらい?

ジムで会話する二人の女性

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パーソナルトレーナーの働き方は大きく、正社員、業務委託、フリーランスの3種類に分けられます。それぞれの働き方でどの程度の収入を得られるのか見ていきましょう。

正社員

パーソナルトレーニングジムの正社員として働く場合、給与形態は「固定給」または「固定給+インセンティブ」のいずれかになるでしょう。平均月給は20万~25万円、年収にすると240万~300万円です。経験を積んで管理職になれば、さらなる昇給を望めます。

インセンティブがあるジムでは、プロテイン、サプリメントの売上や指名料がインセンティブに反映されます。高収入を狙いたい場合は、インセンティブの割合が大きい職場を選ぶのもよいでしょう。

業務委託

トレーニングジムと業務委託契約を締結し、個人事業主のパーソナルトレーナーとして働くケースです。固定給をもらうのではなく、一般的には売上の約5割がトレーナーの報酬となります。

1日あたり5セッションの業務を月に20日間こなせれば、月間で100セッション分の報酬を得ることが可能です。1セッションにつき5,000円の報酬をもらえる場合、月給は5,000円×100セッション=50万円となります。年収にすると600万円です。

1セッションに費やす時間は約1時間なので、働く日の約5時間が指導時間となり、残りの時間で集客活動を行うことになるでしょう。実力が収入に反映されやすい働き方だといえます。

フリーランス

フリーランスのパーソナルトレーナーになれば、自宅やレンタルジムでトレーニングを行えます。出張サービスを行うことも可能です。

フリーランスの大きな魅力は自由度の高さです。1セッションの料金を自由に決められるうえ、料金は全て自分の収入にできます。1セッションの料金を1万円に設定し、月間100セッションをこなせれば、月収100万円を稼げることになります。

ただし、正社員や業務委託で働くのと違い、集客を全て自分で行わなければなりません。フリーランスは夢がある働き方ではあるものの、高いビジネスセンスも求められます。

出典:
健康ネット|健康運動指導士 健康運動実践指導者
NESTA PFT|NESTA JAPAN ネスタ(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会
NSCA資格認定試験ハンドブック