カメラマン・フォトグラファーになるには?仕事の内容と技術の学び方

カメラマンとフォトグラファーの違い

カメラマンの男性

(出典) photo-ac.com

写真家を指す言葉として「カメラマン」のほかに「フォトグラファー」が使用されることもあります。しかし、カメラマンという職種名は厳密には動画を撮影する職種と写真を撮影する職種の両者が含まれるため、このページでは写真家だけを指す「フォトグラファー」と表記します。

カメラマン/フォトグラファーの仕事内容

フォトグラファーの扱う仕事は、大きく分けて商業写真と、アート写真に分けることができます。商業写真は商品の宣伝などビジネスに利用するための写真のほか、個人のポートレート撮影(人物撮り)などもここに分類してもいいでしょう。一方、アート写真は撮影者の内面を発露させるもので、芸術作品として扱われる写真です。

商業写真

商業写真を扱うフォトグラファーの業務は、撮影した写真を利用するビジネスの性質により異なります。

新聞社や出版社の週刊誌部門には報道写真を専門に撮影するフォトグラファーは、「報道カメラマン」と呼ばれます。事件や事故の現場に急行して、ありのままの状態を切り取ることが重視され、写真に撮影者の個性を反映することは多くありません。

広告代理店やデザイン会社、雑誌編集部などで仕事をするフォトグラファーは、商品などのモノを撮る「物撮り(ぶつどり)」と、モデルなどの人物を撮影する「人物撮り」を担当します。モノと人では適する撮影技術や撮影機材、魅力の引き出し方の勘どころが異なるため、どちらかひとつの得意な方の撮影に特化して仕事をする人も多いでしょう。注文主の要望に沿って制作されるクライアントワークでもあるため、写真の利用目的やクライアントの意図をくみつつ、撮影の専門家としてアイディアを提供して写真の制作を進めます。

結婚式場や観光地、街の写真スタジオで専属フォトグラファーとして働く場合も、「人物撮り」の一種として被写体の魅力を最大限に引き出すべく、日々工夫することになります。

アート写真

アート写真は撮影者の内面を発露させるもので、個性を充分に反映した作品を撮影することができます。

荒々しい自然の風景にメッセージを込めた風景写真などが、アート写真の代表例です。事件や事故、紛争の現場写真でも何らかメッセージ性のある写真であれば、アートの性質を持ちます。

アート写真は商業写真と異なり注文主がいないため、売上が立ちづらいのが難点です。これだけで生活費を稼ぐことができるのは、ごく一部のフォトグラファーに限られます。そのため、本来はアートを手がけたいと考えるフォトグラファーも、生活費を稼ぐために別の仕事をしているケースが少なくありません。

フリーランスとして活躍する人のなかには、普段は収入を得やすい分野の仕事を集中的に受注し、空いた時間で本来撮りたい写真を撮るというような働き方をする人もいます。

カメラマン/フォトグラファーのキャリアパス

フォトグラファーは、写真事務所や会社に勤務している人とフリーランスで活動する人に分かれます。

フリーランスで働く人も、いきなりプロのフォトグラファーとして独立して活動することは多くありません。高名なフォトグラファーの事務所などでカメラアシスタントとして技術を身につけ、実績を積み、ポートフォリオ(作品)を充実させてから満を持して独立するのが普通です。アシスタント時代は「人物撮り」と「物撮り」の両方の技術を学びます。特に物撮りは仕事の件数も多く必須の技術です。

一方、近年はクラウドソーシングが発達したことや、SNSなどを利用して作品を発信する手段が整ったことから、勤務経験や修行経験を積まずフリーランスのフォトグラファーになる人もいます。

2016年にアメリカの著名なグラフ誌「ナショナルジオグラフィック」で日本人初のグランプリを獲得した井上浩輝さんも、その1人です。司法試験挫折後に独学で写真を学び、Facebookを使って作品を拡散することで人気に火がつき、プロのフォトグラファーとしてデビューしました。独学やSNSを利用したマーケティング手法などとあいまって新たな世代の写真家として注目されています。

とはいえ、このようにいきなり独立したケースでの成功例もある一方、間口が広がった分だけ仕事の単価が値下がりしつつあるようです。経験も人脈もない人がいきなりフリーランスになるのは、依然として簡単ではないといえるでしょう。やはり、まずは商業写真を扱うような写真事務所に就職し、プロとして通用する技術を身につけてから独立するのが安全なのではないでしょうか。

カメラマン/フォトグラファーになるには?

カメラを構える手元

(出典) photo-ac.com

プロのフォトグラファーになる方法は、人によって異なります。どのルートが正解ということもありませんが、「学校」「アシスタント」「独学」を経てプロの道に進む人が多いようです。プロのフォトグラファーを目指す人が押さえておきたい選択肢を紹介します。

学校で体系的に学ぶ

プロの写真家として活動する指導者から撮影技術を教われること、芸術論や撮影理論に基づいた体系的な知識を習得できることが、学校で学ぶ最大のメリットです。また、校内の人脈や学校のツテで写真関連の仕事を紹介してもらえる可能性もあります。フォトグラファーとしての仕事を獲得するための場として機能している点も見逃せません。

写真の技術を習得できる学校は、専門学校や大学の美術系学部をはじめ数多く存在します。カルチャースクールや自治体主催の市民講座まで含めれば、間口はかなり広くなるでしょう。フォトグラファーになるための第一歩としては、比較的現実的な手段といえます。

大学や専門学校などで入学試験がある場合でも、必ずしも実技試験やポートフォリオの提出が課されるわけではありません。写真未経験者も、積極的に学校に関する情報収集するとよいでしょう。

アシスタントとして経験を積む

写真家のアシスタントとして働き、プロの仕事に身近に接するなかで技術と人脈を獲得しようという方法です。職人の弟子入りや修行のようなもので、最初は写真に関する雑用をしながらプロから直接技術の指導を受けたり、撮影現場で技を盗んだりして学びます。

ただ、アシスタントになること自体にも低くはないハードルがあり、求人サイトなど一般的な方法で募集されていることは多くはありません。アシスタントとしての仕事を見つけるには、写真関係の学校などで作った人脈を駆使し、卒業後に活躍しているプロフォトグラファーのツテを頼ったり知り合いに紹介してもらったりするなど、能動的に就職口を探す必要があります。

また、アシスタントとして実務をこなす都合上、全くの写真未経験者では採用してもらえない可能性が高いことも覚えておきましょう。

独学でスキルを身につける

教本や動画などで写真の技術を身につけ、さらに仕事の獲得にいたるまで全てを自力で完結しなければならない手段です。学校に通う・アシスタントから始める方法と比べて、独り立ちまでのハードルは高いといえるでしょう。

プロの写真家として必要になる技術を1人で万遍なく身につけるのは難しい上、仕事を獲得するための人脈がゼロの状態からスタートすることになります。

先に紹介したフォトグラファーの井上浩輝さんは、技術を独学で習得した後、作品をPRするためにSNSを活用して人気写真家になりました。独学でフォトグラファーを目指すなら、写真の技術だけでなくマーケティングの手法も同時に学ぶとよいかもしれません。

カメラマン/フォトグラファーに向いている人

パソコンを操作するカメラマン

(出典) photo-ac.com

職業としてフォトグラファーを選択する場合、「写真が好き」「写真スキルがある」だけでは継続が難しいかもしれません。フォトグラファーとして高いレベルで活動できる、「フォトグラファー向きの人」の性質をご紹介します。

コミュニケーションスキルが高い人

フォトグラファーはレンズを通して、被写体と触れ合うのが仕事です。黙って自分の世界に入る人よりも、周囲ときちんとコミュニケーションが取れる人が望ましいでしょう。特に商業カメラマンは、写真にクライアントの意図を反映する必要があります。コミュニケーションを取るのが苦手だと、クライアントを満足させる仕事をするのは困難です。

またフリーのフォトグラファーなら、営業も仕事のひとつです。自分の得意・スキルを適切にアピールしたり、相手のニーズに合わせた提案を行ったりするシーンは必然的に多くなります。「この人に仕事を任せたい」と思ってもらうためには、他者と積極的に関われる人の方が有利です。

集中力・体力のある人

集中力や体力に自信のある人も、フォトグラファーに適しているといえます。

理想の1枚を狙うフォトグラファーなら、頭で描いた理想の瞬間が訪れるまで、じっと待ち続けなければなりません。ここぞという時にシャッターを押せるよう、感性を研ぎ澄ませ、高いレベルで集中力を維持し続ける能力が必要です。

また依頼された内容によっては、悪天候下の屋外や厳しい環境下で撮影に臨む必要があるでしょう。重量のある機材を運んだり、じっとカメラを構え続けたりするためには、それなりの体力が必要です。環境の良し悪しに写真のクオリティが左右されないことも、フォトグラファーとしての評価に大きく関わります。

学ぶ姿勢を維持できる人

プロのフォトグラファーとして活動するためには、その時々の変化に柔軟に対応していくことが必要です。例えば写真技術・機材の情報・編集ソフトの機能は、絶えず進化を続けています。常に新しい知識に対してどん欲な姿勢のある人は、プロのフォトグラファーとして生き残りやすくなるでしょう。

一方クオリティの高い写真を撮る上で必要なセンスや感性は、勉強して身につくものではありません。日常からあらゆる物事にアンテナを張り、感性を高めていくことが必要です。美しい景色を見たり本を読んだりなど、常にインプットを怠らない人は、フォトグラファーに向いています。

持っていると有利な資格

カメラマンの男性

(出典) photo-ac.com

フォトグラファーになるために必須の資格はありません。とはいえ、他のフォトグラファーと差別化を図る上で、取得していると望ましい資格はあります。プロのフォトグラファーを目指す人におすすめの有利な資格を紹介します。

写真技能士

一定レベルのフィルム写真の技能・知識があることを証明する国家資格です。制度所管は厚生労働省ですが、試験の実施は各都道府県の「職業能力開発協会」が行っています。

試験の内容は「営業写真」に特化しており、特に写真館での撮影・作業を行う人に適した資格です。試験では機材の一般知識や安全衛生知識、さらにはデジタル加工の知識などが問われます。

試験に合格すると「写真技能士」と認定され、1級は厚生労働大臣名、2・3級は都道府県知事名の合格証が付与されます。国家資格は信頼性が高く、フォトグラファーとして活動する上で大きな武器となります。特に商業写真のフォトグラファーを目指す人にとって、有利な資格となるでしょう。

フォトマスター検定

文部科学省後援・公益財団法人国際文化カレッジ主催の、写真とカメラの知識を問う検定試験です。試験の種類は、難易度の低い順から3級・2級・準1級・1級・EX(エキスパート)の5種類があります。

試験では、撮影方法から撮影技法、さらにはプリンターやレタッチの知識も問われます。プロのフォトグラファーとして活動していくなら、写真教室の指導者レベルの知識・スキルが求められる1級の取得を目指すのがおすすめです。

EXは、1級合格者のみが受験できるプロ向けの試験です。合格難易度はかなり高く、「EXに合格した」という実績はプロとして活動していく上で大きなアピールポイントとなるでしょう。

Photoshop(R)クリエイター能力認定試験

画像編集ソフト「Photoshop」のスキルレベルを測る試験です。

近年のフォトグラファーの仕事には、撮影後の写真のレタッチや加工も含まれます。編集加工スキルの高さが写真のクオリティに直結するケースもあり、スキルを証明できる資格があると有利です。

Photoshop(R)クリエイター能力認定試験は難易度別に「スタンダード」「エキスパート」に分かれており、いずれも実技試験があります。プロとしてクライアントニーズに沿った作品を提供するためには、DTPやWeb デザインに関する基本的な知識まで求められる、「エキスパート」の取得がおすすめです。

カメラマン/フォトグラファーの求人傾向は?

一眼レフカメラ

(出典) photo-ac.com

フォトグラファーの求人は契約社員としての募集であることも多いのが特徴です。また、意外にも、フォトグラファーとしての実務経験を求める案件ばかりではありません。

全国展開する写真スタジオなど、企業規模が大きく写真をメインの事業に据えている企業では、新人教育プログラムが整備されているケースがあります。場合によっては新卒や未経験者でも応募が可能です。

即戦力を求める傾向にあるのは広告代理店や広告制作会社などで、応募の必須要件にフォトグラファーとしての実務経験を挙げる企業が多い傾向にあります。

出版業界や報道機関では、大手だと写真専攻の学生を新卒採用して育成する企業が多いようです。ただ、中小規模の企業はフリーランスに外注する傾向があり、正社員としてフォトグラファーを募集する案件はなかなか見かけません。

風景写真家などアート系の写真で生計を立てようしている場合は、そもそも求人自体がありません。フォトグラファーとして食べていけるだけの実績を積みながら、自ら個展を開いたり、賞に応募したりして実績も積み上げていく必要があるでしょう。

求人の給与情報から集計したカメラマン/フォトグラファーの年収帯

カメラで撮影する女性

(出典) photo-ac.com

気になるカメラマン・フォトグラファーの年収は? 全国の求人の給与情報をまとめて集計、カメラマン/フォトグラファーの給与帯・年収帯を独自にグラフ化しました。

※スタンバイ掲載中の全求人データ(2017年6月時点)から作成

フォトグラファーの年収は300万円台が約33%と最も多く、次いで400万円台が約26%と続きます。

国内の平均年収が433万円(2021年分の「民間給与実態調査」より)であることを考えると、平均と同じくらいか、やや低めがボリュームゾーンというところでしょうか。年収200万円台も全体の約15%存在しており、フォトグラファーとして生活するのは簡単ではないようです。ただし、この年収200万円台のなかにはアシスタントや見習いといった立場の人たちも含まれているため、一人前のフォトグラファーとして活躍できる技術を身につけるまでの辛抱、ということなのかもしれません。

なお、収入の分析対象は、あくまで企業や個人事業主に雇われているフォトグラファーの求人に限られています。フリーランスとして個人で写真事務所を立ち上げ、高額の報酬を受けとっている人は数えられていません。

出典:
公益社団法人 日本写真家協会
公益社団法人 日本広告写真家協会(APA)
中央職業能力開発協会(JAVADA)「技能検定のご案内」
公益社団法人 国際文化カレッジ「フォトマスター 3級〜1級」
資格検定のサーティファイ「Photoshop(R)クリエイター能力認定試験」
国税庁「令和2年分 民間給与実態調査」

フォトグラファー経験者の口コミ

一眼レフカメラ

(出典) photo-ac.com

現役カメラマン・フォトグラファーや経験者にアンケートを実施。カメラマン・フォトグラファーの仕事の口コミ・評判を集めました。

カメラマン/フォトグラファーのやりがいを教えてください

T.F.さん (女性 / 福岡県)
フォトグラファー 勤続年数5年以上 (職業 : 会社員)

雑誌のグラビアやポスター、CDのジャケット写真の撮影などをしていると、とてもやりがいがあります。自分が撮影したものが印刷物になったりして、多くの人の目につくことがとても嬉しいです。女性を撮影するときに、実際よりも美しく撮影できたりすると、とても喜ばれます。そういうような喜びが多くあると、やりがいがあると感じます。

私は主に芸術写真を撮影していますので、その作品を良いと感じてくれる人がいるととても嬉しいです。写真展などに展示されて、何かを感じてもらえると良いなと思いますし、実際に作品が売れると部屋に飾ってもらえるので、とても良いなと思います。作品として認めてもらえる事自体が非常に嬉しい事で、ありがたいと思います。

R.K.さん (男性 / 埼玉県)
フォトグラファー 勤続年数4年 (職業 : 会社員)

フォトグラファーのやりがいは、綺麗な写真を撮って喜んでもらえるということです。私はフォトグラファーでも主に結婚式の写真を撮っています。

結婚式は結婚する二人にとって、人生で一番輝かしい日ですから、その輝いている二人をカメラで撮らせていただいて、その後出来上がった写真が、その二人が想像していた以上の出来で、喜んでいただけたときに、この仕事を選んでよかったと感じます。

またそれに加えて、フォトグラファーとして仕事をしていくにあたり、写真の技術が上がっていくのはとても嬉しいです。光の入り具合や、構図など、最初は悩みながら始めていましたが、今では、素早くその判断をすることが出来て、自分のスキルの向上をはっきりと感じることが出来るのも魅力です。

R.E.さん (男性 / 大阪府)
フォトグラファー 勤続年数5年以上 (職業 : 会社員)

フォトグラファーのやりがいは、まず一つは何と言っても自分の撮った写真がメディアなど、目に見える形に表れた時です。雑誌や新聞などで自分の撮影したものを目にすると、大変だった撮影の苦労が報われるように思えます。単純ではありますが、やはり成果物が目に見える形で出てくるというのはモチベーションにもつながりますし、フォトグラファーとしてのやりがいだと思います。

もう一つは、クライアントの喜ぶ顔、納得した顔が見れた時です。自分ではいい写真が撮れたと思っても、クライアントが納得していなければその写真は真にいい写真とは言えず自己満足でしかありません。自分も納得でき、クライアントも満足した顔を見た時に頑張ってよかったと思えます。

カメラマン/フォトグラファーになるために努力したこと資格が必要な場合、合格するために努力したこと

T.F.さん (女性 / 福岡県)
フォトグラファー 勤続年数5年以上 (職業 : 会社員)

私はニューヨークの美術大学で写真を専攻しました。日本にいたら写真は専攻しなかったと思いますが、ニューヨークでは写真も立派な芸術のひとつだと考えられていて、やりがいがあると思いました。

自分ならではのスタイルを見つけることと、それを身につけることが難しいものです。自分はとにかくすぐにわかるような特別な雰囲気を持っていて、独創性があるような作品を撮影するように努力しました。

4年間写真を勉強しましたが、ニューヨークの大学ではテクニックよりも芸術としての写真を学びましたので、写真は芸術だというような考えを持つことができました。自分の世界を写真で表現するのが大変で努力することの一つになったと思います。

R.K.さん (男性 / 埼玉県)
フォトグラファー 勤続年数4年 (職業 : 会社員)

私は、フォトグラファーになるために、都内の写真学校で勉強しました。その学校では主に、技術面、そしてどうしたら良い写真を撮ることが出来るのかを教えていただきました。このような基礎がなかったら、フォトグラファーにはなれなかったと思います。

しかし、そのような写真を撮る基礎があったとしても、センスは学校で教えていただけません。それで、普段でも写真を撮るように心がけて、その写真を、プロのカメラマンなどに見てもらいアドバイスをしてもらうようにしました。また、プロのカメラマンの写真をよく見て、真似出来るところを探し、自分の写真に組み込むようにしました。その積み重ねがあって、ただ単に上手に撮るだけでなく、人を感動させるような写真を撮れるようになってきました。

R.E.さん (男性 / 大阪府)
フォトグラファー 勤続年数5年以上 (職業 : 会社員)

フォトグラファーになるために資格などは必要ありません。言うならば、「フォトグラファーです」と名乗ってしまえば誰でもなれてしまうものと言えます。ただ、名乗るだけでお金が稼げれば苦労はしません。

私が努力したことは、カメラの知識や技術を磨くことはもちろんですが、とにかく多くの写真を観るということで、今でもやっています。ただ漠然と写真を観るわけではなく、この写真はどうやって撮ったのか、どういったライティング(光の当て方)をしているのか、どんなレンズでどういった設定で撮っているのかなどを考えながら観ています。そして、自分でも実践してそれが正解だったかどうかの答え合わせをします。写真を観る時に大切なことは好き嫌いをせず、多くの写真に触れることです。

カメラマン/フォトグラファーの将来性についてどう思いますか?

T.F.さん (女性 / 福岡県)
フォトグラファー 勤続年数5年以上 (職業 : 会社員)

今ではスマホの普及などで、誰もが写真を撮影できて、発表することができるような時代になりました。特にテクニックなどがなくても、アプリを使って、アート的な写真を簡単に撮影することができるので、1億総写真家というような感じになっていて、特にプロであるには、アマチュアでは表現できないことを表現することができる必要があると思います。そこがとても難しいことだと思います。

フォトグラファーは機材にお金がかかるので、気軽に始めることができないという難点があります。プロのフォトグラファーはそれなりに見事な写真を撮る必要がありますし、それなりの機材を持っている必要があって、何かとお金がかかります。いい機材を使えば、その分だけいい写真が撮れるので、プロのフォトグラファーには必要な出費になります。

R.K.さん (男性 / 埼玉県)
フォトグラファー 勤続年数4年 (職業 : 会社員)

一度、良い写真を撮る技術を持ったなら、その技術は色あせないという点が良い点だと思います。そして、センスを磨いていくなら、いつかは自分が好きな写真を撮って稼ぐことが出来るという夢も広がります。また、顧客などにも、こちらのセンスを理解していただき、よりよいものを仕上げることが出来たときは喜びです。

悪い点は、カメラなどの機材が高額だということです。確かにフォトグラファーとしての技術も必要ですが、良い機材も必要です。その機材をそろえていくのにはお金がかかりますし、科学の進歩に合わせて常に、最新の機材をそろえていくのは、費用がかさみます。また、写真を撮るときに無理な姿勢をしたり、重い機材を運んだりするので腰痛持ちのフォトグラファーが多いのも事実です。

R.E.さん (男性 / 大阪府)
フォトグラファー 勤続年数5年以上 (職業 : 会社員)

フォトグラファーの将来性は、はっきり言って厳しいと言わざるを得ません。というのも、カメラの性能は年々向上し、誰でもある程度綺麗な写真を撮れてしまうようになったからです。街を見渡してみても、多くの観光客が高い一眼レフカメラを持っていることからもわかると思います。さらに、クラウドソーシングなどWeb上での仕事が増えたことにより1件1件の単価も下がっている傾向にあります。

しかし、悪い面ばかりではありません。街中で一眼レフを持った人たちが本当の意味で綺麗な写真(広告の写真などクライアントが本当に求めている写真)を撮れるわけではありません。しっかりとした技術を持っていればいつまでも必要とされるし、そういった人にはしっかりとした報酬が入ってきます。

要は、どれだけの技術を持っているか、フォトグラファーとしてどれだけの引き出しがあるかです。