レセプショニストになるには?魅力を最大限に生かす資格が必要?

レセプショニストとは

受付係

(出典) photo-ac.com

レセプショニストは、英語で「reception(レセプション=受付)をする人」という意味です。ホテル、レストラン、劇場やホール、美容室や美容サロン、会社、病院などの、いわゆる「フロント(受付)」やロビーでお客様の案内を行います。就業場所によって実務内容は異なりますが、共通するのは「お客様が目的を果たすためのサポートをする」ということです。

お客様は、それぞれ目的を持っています。劇場やホールであれば公演の鑑賞、レストランであれば食事、病院であれば受診が目的です。また、その目的に関連して、「予約したい」「座席に案内してほしい」「時間を変更したい」「質問したい」などの要望があります。レセプショニストは、それらの要望に応え、目的がスムーズに果たされるよう、さまざまなサポートを行います。

レセプショニストがサポートするのは、お客様だけではありません。現場スタッフのサポートも仕事のひとつです。例えば、予約の変更や取り消しなど、現場に影響する連絡が来た場合は、すぐに関係する部署やスタッフに知らせます。現場の担当者でないと明確に答えられない質問が来た場合も同様です。その後はできるだけ早く回答内容を現場スタッフに確認し、お客様に伝える必要があります。

お客様にとっては、レセプショニストが最初に接するスタッフとなる場合が大半です。その応対によって、店や企業が与える印象は大きく変わります。クレームをはじめ、あまりよい内容ではない連絡にも、心のこもった対応が求められるでしょう。

レセプショニスト自身が特別なエンターテインメントを提供するわけではありませんが、お客様の満足度を支える重要な役割といえます。

レセプショニストの仕事内容は

お辞儀する受付女性

(出典) photo-ac.com

レセプショニストが活躍する場所、業種は多様です。一般企業や病院の受付では、規定の営業(診療)時間に合わせた勤務になることが多く、比較的規則正しい勤務時間と休日になりやすいでしょう。サービス業では営業時間が長い傾向があり、シフト勤務も多いため、勤務時間も休日も不規則になりがちです。レセプショニストの実務は、就業場所や業種でかなり異なります。

一般企業

来訪者の用件を聞いて、面会予定の場合は社内の担当者に連絡したり、会議室に案内したりします。ビジネス上の関係として、来訪者が「お客様」の立場であることも、自社が「お客様」の立場であることもあります。来訪者が就職活動中の学生である場合も少なくありません。レセプショニストは、来訪者のビジネス上の立場に関係なく相手を尊重し、丁寧な応対をすることが必須です。

病院

病院のレセプショニストは、患者の症状に対し適切な診療科の案内、診察券や保険証の確認、問診票の管理、電話対応、会計などを行います。体調の悪い人、ケガや病気で痛みを抱えた人、赤ちゃんからお年寄りまであらゆる年齢層の人と接することになるでしょう。相手の状況を思いやる応対が求められます。

ホテル

ホテルにおいて、レセプショニストはチェックイン・チェックアウトや会計、予約の受付・変更、問い合わせへの対応などを行います。また、宿泊客からのさまざまな要望を、内線電話またはフロントで直接受け、対応する部署に連絡・指示をするのも重要な仕事です。ホテルは外国からの来訪者・宿泊客が非常に多い場所なので、英語での対応が可能であることは必須とされます。近年は、中国語での対応が可能だと優遇されることもあるようです。

レストラン

お客様の受付、案内(ホール担当者への引き継ぎ)、会計、予約の受付・変更、問い合わせへの対応などを行うのが、レストランで働くレセプショニストの仕事です。週末や年末年始、クリスマスなど、人が多く集まる時期は、予約・人数や時間の変更など、お客様とのやり取りが非常に多くなるでしょう。

特に人数の増減があると食材の発注量が変わるため、売上に大きく関わってきます。変更は、厨房やホールスタッフとしっかり共有する必要があるでしょう。

また、レストランは、ビジネスやパーティーをはじめとして「晴れの場」として利用されることも多いので、状況に応じたマナーも欠かせません。

劇場・ホール

劇場やホールのレセプショニストは、会場受付、チケットの確認、チケットもぎり、パンフレットの配布、座席への案内、手荷物を預かるクロークなどを担当します。制服があることも多く、身だしなみが非常に重要です。

開場や開演、休憩時間の開始・終了など時間を確認しながら、会場内の適切な場所に移動し、その時点で行うべき業務にあたります。また、開演後に遅れてきたお客様を、適切なタイミングで席に誘導するのも大切な仕事です。

ほかの人に配慮しながら、暗く段差のある会場内を、お客様が転倒しないよう足下を小さなライトで照らしつつ、自分も静かに移動しなければなりません。慎重さが必要な仕事といえるでしょう。

終演後には、アンケート用紙を受け取ったり忘れ物を確認したりと、タイミングに応じてさまざまな実務をこなします。

美容室・美容サロン

美容室やサロンでは、レセプショニストが予約の受付、席への案内、会計のほか、スタッフのスケジュール調整や、お客様に案内やアフターフォローのはがきを出す業務もあるようです。

美容室や美容サロンでは、予約サイトやフリーペーパーなど、さまざまな広告媒体を利用していることが多いでしょう。それぞれの媒体にオリジナルプランがあったり割引クーポンがあったり、その適用条件もさまざまです。

お客様と認識が異なっていないか、トラブルが生じないようレセプショニストには丁寧な確認が必要です。お店の雰囲気や客層にもよりますが、ややフレンドリーな応対を好む人もいます。「相手を尊重した応対」という基本は変わりませんが、「きっちりと丁寧」だけが正解ではなく、より1人1人合わせた柔軟な応対が求められます。

レセプショニストになるには

ファイルを持っているビジネスウーマン

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レセプショニストとして仕事をするために必須の資格はありません。業種によって応募条件はさまざまです。「18歳(高卒)以上、学生は不可」と規定されている場合もありますが、条件に合致していて、応募し、採用されればレセプショニストとして就業できます。

ただ、応募のハードルが低い分、条件のよい求人に応募して採用されるにはほかの応募者との差別化が必要です。自分にしかない魅力や語学力など、アピールできる能力が重要になるともいえるでしょう。

取得していることが望ましい資格は、業種によってはあります。病院や診療所など、医療機関なら医療事務の資格があると有利になるかもしれません。ホテルでは、語学力は必須となる場合が多いでしょう。

制服を着用するような職場なら、身だしなみや、女性ではきちんとしたメイクアップも重視されます。お客様はもちろんスタッフにも気を配れることや、改善した方がよいことに気づける視野の広さも重要です。また、どの業種でも予約システムは使うため、パソコンの基本操作は必須とされるケースが大半です。

語学力は

ホテルでレセプショニストとして働くためには、英語は必須条件となるでしょう。問い合わせなどにメールで返答する場合もあるので、ライティング能力も必要です。近年は、英語だけでなく、中国語の対応ができると優遇される傾向にあります。

レストランの場合、レセプショニストを置くタイプのお店であれば、ビジネスで利用されたり、パーティーが行われたりすることが多い傾向にあるため、基本的な英語力は備えているのが望ましいでしょう。

一般企業の受付では、語学力が不要というケースが多いようです。ただし、外資系企業で海外のお客様が多い会社であれば、基本的な英語力は必須です。

求人の給与情報から集計したレセプショニストの年収帯

※スタンバイ掲載中の全求人データ(2017年6月時点)から作成

厚生労働省が調査した「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、レセプショニスト(受付・案内事務員)の「決まって支給する現金給与額(月額)」は以下の通りです。企業規模が変わっても収入は大きく変わりません。

  • 10~99人:21万9,500円
  • 100~999人:22万3,700円
  • 1,000人以上:23万3,700円

年間賞与や特別給与を含めずに考えると、年収(きまって支給する現金給与額×12カ月)は、260万~280万円前後です。令和2年賃金構造基本統計調査による職種別平均賃金時給によると、時給の目安は943円~となっています。

出典:
令和3年賃金構造基本統計調査
令和2年賃金構造基本統計調査による職種別平均賃金(時給換算)

レセプショニストの求人は

受付の様子

(出典) photo-ac.com

レセプショニストの求人は、それぞれの企業や店舗、病院などのオフィシャルサイトのほか、一般的な求人情報サイトでも見つけることができます。アルバイト、派遣社員、契約社員、正社員など雇用形態はさまざまです。

ホテルなど、顧客の満足度が非常に重視される場所では、レセプショニストをアルバイトとして雇用することはまれでしょう。また、英語や中国語などの語学力が必須の条件として挙げられている場合が多い傾向です。

劇場・コンサートホールでは、公演規模によっては人数を多く必要とすることもあり、アルバイトとしての募集が多いのが特徴です。多く設定されている応募条件に、高校卒業以上(18歳以上)であること、土日に勤務可能であることが挙げられます。なお、国立劇場などの公的な劇場でも、外部の会社に運営委託している場合があり、委託された会社のオフィシャルサイトでも求人情報が見られます。

ただ、中には「レセプショニスト」として求人が行われていても、実際には雑務の割合が多い場合もあるようです。雑務も大切な仕事ですが、レセプショニストとしての経験をきちんと積みたい場合は、応募時によく確認しましょう。レセプショニスト業務と雑務のバランスをきちんと取れるよう交渉できるような、積極的な姿勢も必要です。