仕事に行きたくない。そんな気持ちと向き合うにはどうすべき?

仕事に行きたくないと思う気持ちに悩んでいる場合は、何が原因なのか考えることが重要です。悩みに向き合い適切な対策を立てれば、現状を好転させやすくなるでしょう。仕事に行きたくないと感じたときに考えるべきことを紹介します。

誰しもが一度は抱く「仕事に行きたくない」という感情

こちらを背に景色を見る男性

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仕事に行きたくない理由は人それぞれ

仕事に行きたくないと感じる気持ちは、誰にでも起こり得るものです。はたから見れば仕事が楽しくてしょうがなさそうな人でも、一度は仕事に行くのが嫌だと思ったことがあるでしょう。

嫌になる理由は人それぞれです。自分に責任があることだけが、理由になるとは限りません。変われない自分を責めないようにしましょう。

一方で、ほとんどの人には仕事をしなければならない理由があります。会社に行きたくないからといって、簡単に辞めるわけにはいきません。自分の感情を受け止めた上で、どうすればよいのか真剣に考える必要があります。

もしかしたら心の危険信号かも

仕事に行きたくない気持ちを放置するのは危険です。原因が分からないまま、感情を無理やり自分の中に押し込めてしまうのはおすすめできません。

そのような状態で仕事を続けていると、業務で発揮できるパフォーマンスが低下し、仕事に支障を来す恐れがあります。自分の感情が周囲にも伝わり、組織にも悪影響を与えかねません。

気が乗らない状態で激務をこなし続けた場合は、最終的に体調を崩してしまう恐れもあります。仕事に行きたくない気持ちは心の危険信号かもしれないことを理解し、無視せずに適切な対処法を試してみることが大切です。

仕事に行きたくないと思う原因とは?

ワイシャツ姿でパソコン操作をする男性

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なんとかしたいと思うなら、まずは原因を探ってみましょう。仕事に行きたくないと思う代表的な原因を紹介します。

仕事が楽しいと思えない

原因の1つに、仕事を楽しいと思えないことが挙げられます。やりがいを感じられずに、業務へのモチベーションが上がらない状態です。

組織の一員として働いている場合、基本的には与えられた業務をこなさなければなりません。好きでもない仕事を回され、単に業務を行うだけの状況になっている人もいるでしょう。

働くことにやりがいを持てなければ、仕事が単にお金を稼ぐためだけの手段になってしまいます。楽しさを感じられない仕事が続いてモチベーションが下がれば、仕事に行きたくない気持ちを抱きやすくなるのです。

職場の人間関係で悩んでいる

職場の同僚や上司に会うのがつらくて仕事に行きたくないと思う人も多いでしょう。人間関係の悩みは、会社に行くのが嫌になる大きな原因の1つです。

組織で働く以上、人との関わりは避けられません。考え方や価値観は人によって異なるため、1人でも自分に合わない人が職場にいれば、ストレスはたまりやすくなってしまいます。

上司によるパワハラも仕事に行きたくない気持ちを抱かせる原因です。近年は、職場でのハラスメント被害が社会問題化しています。立場を利用して嫌がらせや不当な扱いをする人から従業員を守るため、職場のパワハラ防止対策を行うことは事業主の義務となっています。

仕事量が多く拘束時間が長い

人手が足りない場合や自分の能力が業務に追いつかない場合は、仕事量が増えて拘束時間が長くなりがちです。残業や休日出勤が必要になれば、プライベートの時間が少なくなってしまいます。

あまりにも忙しくなると、仕事と睡眠がメインの毎日にもなりかねません。仕事が終わっても帰って寝るだけの生活なら、仕事に行きたくない気持ちにもなるでしょう。

仕事量が多くなる状況は、仕事を与えている会社側にも一定の責任があるのです。しかし、自分の作業スピードが遅いことに責任を感じてしまう人は、ふがいなさからストレスをためやすくなります。

待遇に納得できていない

給料や待遇に不満を感じて仕事が嫌になる人もいるでしょう。自分の能力や実績に見合った評価を受けられなければ、仕事に対するモチベーションは下がりやすくなります。

例えば、どんなに頑張っても昇給やボーナスがないことが分かっている場合、お金には関係ないことを目標にせざるを得ません。仕事に対するやりがいもない状態なら、何のために働いているのか分からなくなることもあるでしょう。

休日や福利厚生などに納得できないケースも、マイナスな気持ちを抱きやすくなります。妥協できるラインを自分で定められなければ、より好待遇の会社に移りたいという考えになってしまうのです。

心身ともに疲れてしまっている

オーバーワークが当たり前の状態になると、心身ともに疲れやすくなります。業務に取り組んでいる間は集中して頑張れても、自宅に戻ると気持ちが切れて仕事に行きたくないと思うこともあるでしょう。

寝不足が続いている状態なら特に注意が必要です。睡眠時間が短い場合や睡眠の質が悪い場合は疲れが取れにくいため、自分でも気付かないうちに心身への負担が大きくなってしまいます。

プレッシャーが強くなれば仕事でミスをしやすくなり、組織の期待に応えられなくなると仕事が嫌になることもあります。

仕事に行きたくないと感じるなら

パソコン操作をする人と飲み物

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基本的な対処法を紹介します。自分にできることから始めてみれば、悩みの解消につながるでしょう。

行きたくない原因を明確にする

まずは原因を明確にしましょう。会社が嫌になっている原因を把握できれば、問題を解決しやすくなります。

原因は人それぞれであり、解決策も人によって異なります。原因を明確にすれば自分で解決できることとできないことが分かるため、どのように行動すればよいのかも見えてくるでしょう。

原因を明確にする際は、思い付くことを紙に書き出してみるのがおすすめです。やる気が出ない理由を目に見える形で整理すれば、原因が分からずもやもやしていた状態に比べて気持ちが楽になります。

小さな目標を設定する

仕事が楽しいと思えない場合は、やりがいを見いだせる目標を設定しましょう。仕事の目標があれば、目標達成に向けてモチベーションが高まりやすくなります。

目標は達成可能な範囲で小さなものにするのがおすすめです。毎日の目標を決め、少し頑張れば達成できる状態を続けることで、仕事に対する自信も持てるようになります。

チームや会社の目標を意識する必要はありません。あくまでも自分のやる気を高めるための目標であり、自分で納得できる内容なら何でも目標に設定できます。

中長期的な目標を設定したい場合も、いきなり大きなゴールを目指すと挫折しやすくなってしまうでしょう。小さな成功体験を積み重ねた先に、大きな目標を達成できるような形にすることが大切です。

上司や信頼できる人に相談をする

自分1人では解決できそうにない問題があるなら、上司や信頼できる人に相談するとよいでしょう。人間関係が原因で仕事に行きたくない場合におすすめの方法です。

どうしても合わない人が職場にいるなら、上司に相談することで解決に向けて動いてくれるケースがあります。業務量が多過ぎて心身が疲れている場合も、上司に話せば対処してもらえるかもしれません。

悩みを人に話せば気持ちがすっきりすることもポイントです。1人で問題を抱え込んでいると精神的に疲れやすくなりますが、人に相談すれば物事の整理につながり、解決策も浮かびやすくなります。

疲れやストレスで仕事に行きたくないなら

ジョギングをする女性

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原因が疲れやストレスだと思うなら、以下に挙げることを意識してみましょう。気力が回復してモチベーションが上がりやすくなります。

規則正しい生活を心掛ける

生活が不規則になっている人は、疲労が抜けにくくなり仕事に行きたくない感情を抱きやすくなります。十分な睡眠や良質な食事など、規則正しい生活を心掛けましょう。

休日前に夜更かしをしたり、休日のみ睡眠時間を増やしたりすると、不規則な生活になってしまいます。休日も平日と同じようなリズムで生活すれば、心身への負担がかかりにくくなります。

適度な運動で気分転換を図るのもおすすめです。運動する習慣がない人は、ウォーキングやストレッチなど軽い運動から始めてみましょう。マッサージや温泉でリフレッシュする方法も効果的です。

プライベートでの楽しみを見つける

どうしても仕事自体にやりがいを見いだせないなら、プライベートをより充実させる方向にシフトするのも1つの方法です。オフの時間を楽しく過ごせるようになれば、オフを楽しむために仕事を頑張るという意識で毎日を過ごせます。

仕事が終わった後に自分へのちょっとしたご褒美を用意するのも効果的です。なるべくお金をかけずに満足感が得られるものを考えておけば、やる気も出てくるでしょう。

仕事にやりがいを感じられないことや目標を定められないことに対して、自分を責める必要はありません。仕事はお金を稼ぐ手段だと割り切り、プライベートを充実させて人生を豊かにしたいという価値観を持っている人も、世の中には大勢いるのです。

休みを取ってリフレッシュ

疲れやストレスで仕事に行きたくない場合は、思い切って休んでみるのもよいでしょう。仕事から離れてストレスのない状況に身を置けば、心身がリフレッシュされて気力が回復しやすくなります。

半日や1日の休みで回復しそうにないなら、有給休暇を取得して一定期間休むのも1つの方法です。今後の働き方についてじっくりと考えられる時間にもなるでしょう。

ただし、仕事を休んで会社に迷惑がかかることを気にする人は、安易に休みを取っても逆効果になりかねません。従業員には会社を休む権利があるとはいえ、罪悪感を持ってしまうなら休み方も考える必要があります。

憂鬱な仕事の日の朝を乗り切るには?

フルワイヤレスイヤホン

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朝起きてから出勤するまでの間は、仕事に行きたくない気持ちを最も感じやすい時間帯です。憂鬱になりがちな朝を乗り切るための方法を紹介します。

気分の上がる音楽を聴く

スポーツ選手が試合に臨む前に音楽を聴いているシーンを見たことがあるでしょう。音楽には人の気持ちを変える効果があるため、憂鬱な朝はテンションを高められる音楽を聴くのがおすすめです。

自分の好きな曲を流しながら朝の準備を進めれば、気分が仕事モードに移りやすくなります。通勤中も音楽を聴き続けることで、ぎりぎりまで高いテンションをキープすることが可能です。

出勤後も休み時間や昼食時に好きな音楽を聴けば、仕事中に嫌なことがあっても気分を変えられます。お気に入りの曲をスマホに入れておき、いつでも聴ける状態にしておきましょう。

仕事前の新しい習慣をつくる

起床後の気分を変えるためには、出勤するまでの時間帯に新しい習慣をつくるのもよいでしょう。いつもと違うことをすれば、前向きになれる可能性があります。

気軽にできる習慣としては、通勤方法を変えたりシャワーを浴びたりするのがおすすめです。電車通勤から徒歩通勤に変えれば、朝の軽い運動にもなります。

起床時間を少し早めて、ジョギングをしたりカフェに立ち寄ったりする習慣も効果的です。早く起きるために早寝を心掛けることで、生活のリズムも整いやすくなるでしょう。

転職を検討したほうがよい場合も

小さな花瓶とパソコン

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状況の改善を見込めない場合は、転職して仕事を変えたほうがよいケースもあります。以下に挙げることに当てはまるなら、無理をして今の職場に留まらずに転職を検討してみましょう。

環境の変化が見込めない

理由が職場環境にある場合、環境の変化を見込めないのなら転職したほうがよいでしょう。社風が自分の価値観と合わないケースや、希望するキャリア形成に見通しが立たないケースでは、早めに職場を変えるのがおすすめです。

環境が合わずに転職を検討する場合は、辞めることで本当に悩みが解決するのか、どのような環境なら満足できるのかを考えておかなければなりません。

退職すること自体を目的としてしまうと、次の職場でも同様の問題で悩む可能性が高くなってしまいます。仕事に行きたくないと思わなくなる環境の職場を、転職活動時にしっかりと見極めることが大切です。

業務内容が自分に合っていない

原因が、自分に合っていない業務をさせられていることなのであれば、希望する業務に携われる会社への転職を検討しましょう。

同じ会社で働き続けていても、そのうち好きな仕事ができるようになるとは限りません。自分に合っていない業務でもそれなりにこなせてしまうと、その業務をいつまでも任されるでしょう。

転職を検討する前に、業務内容について上司へ相談してみるのも1つの方法です。職場を変えたくないのであれば、会社側に相談することで問題の解決につながる可能性もあります。

仕事を辞める前にできること

手帳に記入する女性

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今の会社を辞めて転職すると決めたなら、退職前にいろいろと準備をしておきましょう。転職先で成功するためにおすすめの準備を紹介します。

自分がやりたいことを探す

転職先を探す際は、自分のやりたいことができる会社を見つけましょう。新しい職場でもやりたい仕事ができない場合、仕事に行きたくないと思ってしまう恐れがあります。

自分がやりたいことを決められなければ、転職活動も長引いてしまうでしょう。志望動機があいまいになるため、面接でも熱意のこもったアピールができなくなります。

本当にやりたい仕事が分からない場合は、改めて自己分析を行ってみるのがおすすめです。今まで培ってきたスキルや実績を見直すことで、やりたいことやできることが明確になります。

スキルアップをする

仕事を辞める前にできることには、スキルアップのための勉強も挙げられます。目指している分野のスキルを高めておけば、転職先でも今まで以上の力を発揮できます。

自信を持って業務に取り組めるようになるため、仕事に行きたくないと思うこともなくなるでしょう。希望する会社に就職しやすくなる点もメリットです。

最短でスキルアップしたいなら、資格取得のための学習に取り組むのがおすすめです。結果的に資格も取れれば、転職先の選択肢も増えます。

副業にチャレンジ

転職を目指す場合は、副業にチャレンジするのも効果的です。興味がある分野の副業に取り組めば、実務を通して適性の有無を図れます。

実際に職場の業務を経験することで、ミスマッチのない転職を実現しやすくなる点もメリットです。自分の能力がどこまで通用するのか、市場価値を知る機会にもなるでしょう。

副業を通してさまざまな仕事や価値観に触れれば、自分の考え方に変化が生じて、今の仕事に行きたくない気持ちが収まる可能性もあります。

自分に向き合うことが大切

前で手を組むスーツ姿の男性

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仕事に行きたくない気持ちは誰にでも生じ得るものです。問題を放置せず自分にきちんと向き合えば、悩みを解決できる可能性があります。

会社が嫌になる感情をどうにかしたいなら、原因に合った対処法を試してみることが大切です。どうしても問題を解決できない場合は、転職も検討してみましょう。

大美賀直子
【監修者】All About 公認心理師・産業カウンセラー / ストレスガイド大美賀直子

メンタルケア・コンサルタント。公認心理師、精神保健福祉士、産業カウンセラーの資格を持ち、カウンセラー、作家、セミナー講師として活動する。現代人を悩ませるストレスに関する基礎知識と対処法を解説。ストレスマネジメントやメンタルケアに関する著書・監修多数。
All Aboutプロフィールページ

著書:
どうして会社に行くのが嫌なのか なぜあの人の働き方は「強くて美しい」のか? 大人になっても思春期な女子たち