履歴書は面接のときに持参することもあれば、郵送しなければならないケースもあります。郵送のときには送付状を同封するのが一般的ですが、それはなぜなのでしょうか?送付状を入れる意味や具体的な書き方、注意点について解説します。
送付状(添え状)とは?
そもそも送付状とは、どんな意味を持っているのでしょうか?まずは送付状が持つ意味や、役割を確認しておきましょう。
郵送時の挨拶になる
送付状は履歴書などの書類と一緒に送るもので、「添え状」や「カバーレター」などとも呼ばれています。履歴書に限らず、ビジネスにおいて相手に何かを送るときには、送付状を付けるのが一般的です。
主な目的は郵送時の挨拶です。実際に書類を持って相手先を訪ねた場合は口頭で挨拶できますが、その挨拶代わりとなるのが、郵送における送付状なのです。
ただし送付状は、応募書類の中には含まれておらず、必須とまではいえません。しかし、何の挨拶もなく相手に重要な書類を送るのは、ビジネスマナーに欠けると認識されてしまう可能性もあります。
中身を知らせる役割
また、挨拶以外にも、誰が・何のために・何を・どれだけ送ったかを、送り先に知らせる役割があります。応募書類を受け取る採用担当者は、日々いろいろな郵送物を受け取るものです。企業によっては、応募書類だけでも相当な数になるでしょう。
送付状が付いていれば、担当者が書類を受け取ったとき、何が送られてきたかがすぐに分かります。しかし、送付状がなければ、その都度中身をチェックしなければいけません。採用担当者に対する配慮の意味でも、送付状を忘れないように同封しましょう。
送付状の基本の書き方
送付状には基本的な書き方があるため、ポイントを押さえておく必要があります。特にチェックしておきたい項目は次の4つです。
送付年月日
右上には、送付年月日を入れます。いつ送ったかを示すために書き入れるもので、作成した日付ではなく、投函する日付にしておくのがポイントです。
日付を書く際は、「/」(スラッシュ)などを使って省略せず、「2022年7月1日」「令和4年8月25日」などと書きましょう。数字は基本的にアラビア数字を使用し、全角・半角が混在しないように統一します。
西暦か和暦かで迷ってしまう人もいるかもしれませんが、決まりはありません。ほかの書類で使用している書き方に合わせて、統一するのが一般的です。
送付先・差出人の氏名
送付先は送付年月日よりも少し下の左上に記載します。会社名や部署名は省略せず、正式名称を使いましょう。
担当者名が分かっている場合は、「様」を付けて記載します。担当者名が分からず会社名や部署名が送付先になる場合は、「御中」を付ければOKです。
差出人は、右上に記載した送付年月日の下に記入します。ただし、左上に記載した送付先よりも、下の位置になるように気を付けましょう。基本は住所・氏名を入れればよいですが、電話番号やメールアドレスまで入れておくと好ましいです。
挨拶と送付内容
一目見て何の書類なのかが分かるよう、まずは件名を入れましょう。件名は、「応募書類の送付につきまして」など、長くなりすぎないようにまとめます。
ビジネス書類の挨拶文は、基本的に「拝啓」から始まり、「敬具」で終わります。履歴書を送る際の挨拶文としては、「時下、貴社におかれましてはますますご盛栄のこととお慶び申し上げます。」などの文章が使われるケースが多いでしょう。
次に、書類を送付する旨を記載し「よろしくお願い申し上げます。」と締めくくります。間に入社への熱意などを伝える言葉を、簡単に付け加えても構いません。
記・以上
最後に「記」と「以上」でまとめて、同封する書類を記載します。受け取った人に書類の内容を把握してもらうための欄です。
まずは中央位置に「記」と書き、その下に同封する書類の名前を箇条書きで記載しましょう。「履歴書 1部」「職務経歴書 1部」など、書類名と部数が分かるように書いていきます。漏れや誤りがないよう注意が必要です。
最後に、右下に「以上」と記載して終わりです。これは、文書の終わりを意味しているため、以降は何も書かないように気を付けましょう。
送付状を書く際の注意点
送付状を書く際、押さえておきたいポイントがあります。書くとき・送るときの注意点をチェックしておきましょう。
関係ないことを長々書かない
挨拶と一緒に関係ないことを長々と書くのは避けましょう。応募書類を送るときに、自分の言葉で会社に対する思いを書くのは、決して悪いことではありません。
しかし、送付状の目的はあくまでも送付先への挨拶と、何を送ったかの中身を知らせるものです。目的外の内容が長文で記載されていては、その目的がブレてしまい、かえって担当者に悪い印象を与えてしまう可能性もあります。
会社に伝えたい志望動機や自己PR、希望条件などは、履歴書などの応募書類にしっかりと記載しておきます。送付状に書くのは最低限にとどめ、必要な内容を簡潔に書くように意識しましょう。
送付状と書類を入れる順番
送付状と応募書類を封筒に入れて送るときには、順番に気を付けましょう。送付状は挨拶であり中身を伝える目的があるため、1番上に入れる必要があります。
送付状を1番上にし、履歴書・職務経歴書・その他の書類の順番で入れていきましょう。なお、送付状に記載する箇条書きの順番も、封筒に入れる順序と同じにしておくのがおすすめです。入れる際は上下や裏表が逆にならないよう注意してください。
なお、そのまま封筒に入れるのではなく、必ずクリアファイルを使用しましょう。クリアファイルを使用すれば、郵送中に折れ曲がったり、汚れたりすることを防げます。
送付状に関するQ&A
送付状の書き方は分かりましたが、書き方以外の疑問点がある人も多いのではないでしょうか?送付状についてありがちなQ&Aを紹介します。
送付状は手書きかパソコンか?
手書きでもパソコンでもどちらでも構いません。ただし、手書きなら縦書き、パソコンでは横書きが基本です。どちらの場合も、同封する応募書類と同じ大きさの用紙を使用しましょう。
横書きの場合は紹介した基本の書き方で問題ありませんが、縦書きの場合にはルールが少し変わります。縦書きでは応募書類の名称を箇条書きにせず、「履歴書一部と職務経歴書一部を送付させていただきます。」など、文章にするのが一般的です。
また、縦書きの場合は日付を敬具の後に書き、アラビア数字ではなく漢数字を使用しましょう。手書きには黒のボールペンを使用し、履歴書と同様に消せるボールペンや修正液の使用は避けます。
郵送以外では必要ない
基本的に送付状は必要ありません。面接で応募書類を持参する場合は、クリアファイルにまとめて封筒に入れましょう。手渡しする際に分かりやすいよう、封筒に「応募書類在中」と表書きしておきます。
また、メールで送るときにも送付状は不要です。メールで送る場合は、メールの件名や本文が送付状の代わりになります。メールの件名を応募書類である旨が分かりやすいようにし、本文に挨拶と送る書類の内容を記載しましょう。
最初の一歩からビジネスマナーを実践しよう
履歴書は一般的に、応募先の担当者に最初に届く書類です。採用に関して履歴書の中身が大切なのはもちろんですが、送付状の有無や書き方によって、基本的なビジネスマナーが身に付いているかどうかが伝わります。
応募書類の郵送という最初の一歩で悪い印象を与えないよう、送付状の書き方をしっかり押さえておきましょう。