面接の日程調整メールはどう返信する?基本マナーと例文をチェック

転職活動をしている人の中には、メールのマナーに自信がない人もいるのではないでしょうか。面接に関するメールの基本マナーから、日程調整などの際のポイントを解説します。マナーをしっかりと押さえて、失礼のないようにしましょう。

面接に関するメールの基本マナー

タイピングをしている男性の手元

(出典) photo-ac.com

面接の調整はメールで行うことが一般的です。そのため、ビジネスメールのマナーを押さえることが大切です。面接に関するメールの基本マナーを解説します。

内容を見たら「すぐ返信」が鉄則

企業からのメールには、すぐに返信することが基本です。早いレスポンスは好印象につながります。プライベートでも、返信が早い人と遅い人では、どちらの印象の方が良いかは想像に難くないでしょう。

基本的には、24時間以内の返信を心がけましょう。もし、すぐに返信ができない場合は、その旨を伝えておくと相手に不安を与えません。

また、返信は午前9時から午後10時までを目安にしましょう。早朝や深夜の連絡は、担当者に「生活リズムが乱れているのではないか」という懸念を与えてしまうこともあります。どうしても日中に返せない場合は、予約返信機能を使うのもおすすめです。

件名には「用件」と「名前」を入れる

メールの件名はさほど気にしない人もいるかもしれませんが、実は重要なポイントです。

面接担当者は、毎日多くのメールを受け取っています。一つ一つのメールをじっくり見ている余裕はないため、『面接について』などの抽象的な件名ではスルーされてしまう可能性があります。件名には用件と自分の名前を入れて、件名を見ただけでどのような連絡かがわかるようにしましょう。

また、企業が件名を入れてメールを送ってきた場合、返信時には件名の末尾に自分の名前を加えるとより丁寧です。

「Re:」は消さない

企業と何通かメールをしていると、件名に『Re:』が入っていることに気づくでしょう。この『Re:』は、基本的には消さないのがマナーです。『Re:』は返信を意味するため、面接担当者が「〇〇さんとのメールの続きだ」と理解しやすくなります。

ただし、メールをしていく中でトピックが変わった場合は、用件に合った件名を新たに設定する方が良いでしょう。話題が移り変わっているのに、件名が古いままでは、見返す際に混乱を招く原因になります。

「返信メール」本文の書き方

メールを打つ男性の手元とスマートフォン

(出典) photo-ac.com

返信メールの本文の書き方を解説します。以下の内容は入社後にも役に立つので、この機会にビジネスメールの書き方をマスターしましょう。

担当者の名前などの「宛名」を記載する

メールの冒頭には、宛名を入れるのが一般的です。書き方は、『会社名→部署名→名前』の順番で書きましょう。具体例は、以下の通りです。

 

株式会社〇〇

人事部

XX様

 

会社名は正式名称で記載します。世間でよく使われている名称とは異なる場合があるので、注意しましょう。なお、宛先が団体のときは『御中』、個人の場合は『様』と記載します。

「あいさつ」は書き出しを間違えないように記載する

宛名の次は、あいさつと自分の名前を名乗ります。あいさつについては、初回の連絡の場合は『お世話になります』、2回目以降の場合は『お世話になっております』と記載します。

あいさつの次に自分の名前を記載しますが、その際はフルネームで記載しましょう。学校に所属している場合は、学校と学部、学科名まで記載するとより丁寧な印象を与えられます。

メインとなる「内容」と「締めの言葉」を記載する

本文を書く際は、まずは相手が返信してくれたことや、日程を調整してくれたことに対して、感謝の言葉を添えましょう。

面接官は毎日多くのメールを受け取っているので、メールの要点(結論)がなかなか出てこないとストレスに感じてしまいます。そのため、結論から述べることが大切です。これは就職後も意識するべきことなので、覚えておきましょう。

締めの言葉には、自分または相手のアクションと、『よろしくお願いいたします』などの言葉を記載しましょう。

自分のアクションとは、提示された面接日程に対して可否の返信、相手のアクションとは送付した書類の確認などが挙げられます。

忘れないよう注意すべき「署名」

意外と忘れがちなのが、メール末尾の署名です。署名は自身の連絡先を相手に知らせる役割を担っており、ビジネスメールにおいては必要でしょう。署名には、以下の情報を記載します。

  • 氏名
  • 電話番号
  • メールアドレス

毎回、署名をつけるのが面倒な場合は、メールの機能を使って自動的に署名を入れることも可能です。なお、返信の場合は署名を簡略化しても問題はありません。

「返信メール」での日程調整のポイント

キーボードと手帳

(出典) photo-ac.com

企業と日程調整のメールをやり取りする際は、スムーズかつ失礼のない調整をすることが大切です。次に、そのポイントを2つ解説します。

希望日を聞かれた場合は候補日を複数あげる

面接の日程調整は、企業側から候補日を出す場合と、応募者が希望する日程を出す場合の2つのケースがあります。希望日を聞かれた場合は、最低3つ以上の候補日を挙げましょう。

面接官は他の候補者とも面接を行っているので、必ずしもピンポイントで調整できるとは限りません。再調整となった場合は、その分コミュニケーションの手間もかかり、面接日も遅れます。

同じ日でも、調整が可能な時間帯がいくつかある場合は、その旨を記載しておくとスムーズでしょう。

調整が難しい場合は希望日を提案し相談する

企業から候補日を提示された場合、提示されたどの日程も調整が難しい場合があるでしょう。その際は、申し訳ない気持ちを伝えた上で、別の候補日を提案して調整をするのがスマートです。

代替案は、企業が提示した日とできるだけ近い日時や、自身が調整できる最短の日時を提案しましょう。その際、調整が難しい理由を添えると丁寧な印象を与えられます。調整ができないことだけを言うのはNGです。

「状況別」面接の返信メールの例文

カフェでメールを打つ男性

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面接日の調整時に発生しやすい状況を3つピックアップし、それぞれの例文と返信時のポイントを解説します。返信文に迷った場合は、以下を参考にしてみてください。

面接の候補希望日をたずねられた場合

自身から面接の候補日を提出する場合の例文は、以下の通りです。

 

この度は、面接の機会を頂戴し誠にありがとうございます。

調整が可能な日時をお送りしますので、ご検討いただけますと幸いです。

①◯月◯日(◯曜日)◯時~◯時
②◯月◯日(◯曜日)◯時~
③◯月◯日(◯曜日)◯時~◯時

上記の日程でご調整が難しい場合は、お手数ですが候補日をご教示いただけますでしょうか。

お忙しいところ恐れ入りますが、何卒よろしくお願いいたします。

 

本文を書き出す際は、相手のアクションに一言謝意を述べたあと、すぐに結論を述べることが大切です。面接の候補日は、必ず複数提示しましょう。

面接の候補日が指定された場合

企業から候補日を提示された場合は、以下を参考に返信しましょう。

 

お忙しいところ、面接の候補日をご提示いただきありがとうございます。

以下の日時にてご調整をお願いできますでしょうか。

第一希望:◯月◯日(◯曜日)◯時~◯時
第二希望:◯月◯日(◯曜日)◯時〜
第三希望:◯月◯日(◯曜日)◯時~◯時

以上、何卒よろしくお願いいたします。

 

企業から候補日のみを提示された場合は、こちらから希望の時間を伝えましょう。

指定された候補日では調整が難しい場合

企業から提示された候補日での調整が難しい場合は、以下を参考にしてみてください。

面接候補日のご提示、ありがとうございます。

大変申し訳ございませんが、現職の事情により、いただいた日時での調整が難しい状況でございます。

下記の日程であれば調整が可能ですが、ご都合はいかがでしょうか。

  1. ◯月◯日(◯曜日)◯時~◯時
  2. ◯月◯日(◯曜日)◯時~
  3. ◯月◯日(◯曜日)◯時~◯時

お忙しいところ恐れ入りますが、ご検討のほどよろしくお願いいたします。

 

提示された候補日での調整が難しい場合、現職の都合であればその旨を一言記載し、調整ができず申し訳ない気持ちを伝えることも、忘れないようにしましょう。

代替案を提示するときも、いくつか希望日時を提案することで調整がスムーズに進みます。

面接日程が決まった後に変更やキャンセルがある場合

パソコンを操作している男性

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面接日が一度決まった後で、日程の変更やキャンセルが必要になった場合は、どのようにすれば良いのでしょうか。面接日が確定した後のメール対応を、例文とともに解説します。

確定した後で日程を変更したい場合

やむを得ず日程の変更をしたい場合は、以下を参考にしてみてください。

 

◯月◯日(◯曜日)◯時から面接のお約束をさせていただいておりましたが、現職で急な顧客対応をせざるを得なくなり、面接にお伺いすることが難しくなってしまいました。

誠に勝手ではございますが、下記のいずれかの日程にて再度ご調整いただくことは可能でしょうか。

◯月◯日(◯曜日)◯時~◯時
◯月◯日(◯曜日)◯時~◯時

大変失礼なご依頼であることを承知しておりますが、ご検討いただけますと幸いです。

何卒よろしくお願いいたします。

 

 

日程の確定後に変更を依頼することは、面接より他の予定を優先することを意味するので、よほどの理由がない限りは避けた方が賢明です。

そのため、日程変更はやむを得ないことを納得してもらえるように、理由を記載します。また、こちらから日程変更を依頼しているため、『第一希望』などは記載しない方がいいでしょう。

面接日が確定した後にキャンセルしたい場合

他社から内定をもらったり、急に家庭の状況が変わったりして、面接を辞退したい場合もあるかもしれません。その際は、以下を参考にしてみてください。

 

◯月◯日(◯曜日)◯時から面接のお約束をさせていただいておりましたが、一身上の都合により、この度は選考を辞退させていただく、ご連絡いたしました。

お忙しいところご調整いただいたにもかかわらず、大変申し訳ございません。また、メールでのご連絡となったことを併せておわび申し上げます。

最後になりますが、貴社のますますのご繁栄をお祈りしております。

 

 

選考を辞退する場合の理由は、『一身上の都合』などで問題はありません。もし、詳細を聞かれたら相手を不快にさせない表現で伝えるのがベターです。

面接の返信メールで注意すること

タイピングしている男性の手元

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面接の返信メールで注意すべきことを3つ解説します。思わぬところでマイナスな印象を与えないように、しっかりと押さえておきましょう。

在職中の会社アドレスは使わない

在職中に転職活動を行う場合、会社のアドレスを使うのはNGです。また、メールアドレスにビジネスの場にそぐわない言葉が含まれている場合も、相手によっては悪い印象を持たれてしまう可能性があるので、避けたほうが良いでしょう。

転職活動で使うメールアドレスは、フルネームのものを使うのが無難です。

また、携帯キャリアのアドレスは、勝手に迷惑メールフォルダーに入ってしまったり、添付ファイルを開けなかったりします。スムーズなやり取りの妨げとなる可能性があるので、使わないほうが良いでしょう。

メール本文は読みやすさを意識する

丁寧にしようとするあまり、過度にかしこまりすぎるとかえって読みづらい文章となってしまいます。また、『有難う御座います』など漢字を多用することも、読みづらさにつながります。敬語は正しく使い、漢字を多用しすぎないように心がけましょう。

改行がない文章は圧迫感があり、相手の読む気をそいでしまいます。内容が変わる時などは適度に改行したり、一行あけたりするなど読みやすい文章を意識しましょう。

メール本文への装飾は不要

メールの読みやすさは大切ですが、本文の装飾まではする必要がありません。文字色の変更や強調などの装飾をすると、デバイスによっては文字化けをしたり、フォントやサイズがバラバラになったりする可能性があります。

また、明るい性格であることをアピールするために、『★』や『!』などの記号を使うのもNGです。あくまでビジネスの文書であることを忘れないようにしましょう。

ビジネスメールの基本からチェックを

スマートフォンとパソコン

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面接の日程調整メールは、ビジネスメールの1つです。本記事で紹介したメールのマナーは、入社後も役に立つので覚えておきましょう。

転職活動はタイミングも重要な要素です。日程調整が遅れてしまったために、他の候補者に決まってしまう可能性もあります。

面接の日程調整は、素早く、できるだけ少ないやり取りで行うことを心がけましょう。

寿マリコ
【監修者】All About ビジネスマナーガイド寿マリコ

コミュニケーションでまごころを伝える、ビジネスマナーの専門家。池坊短期大学教授。日本女子大学大学院人間社会研究科博士課程修了。勤務校でビジネスマナーやコミュニケーション、就職の面接対策講座を担当。企業や官庁関連機関で就労支援講座を行う。
All Aboutプロフィールページ

著書:
VUCA時代をよりよく生きるためのキャリア形成とコミュニケーションスキル(ナカニシヤ出版)
心地いい人がしている、人づきあいに役立つ習慣術(ぱる出版)
新社会人のためのビジネスマナー講座(ミネルヴァ書房)