面接は最初の自己紹介で、面接官に好印象を与えることが重要です。基本項目を押さえた上で必要に応じてアピール内容を加えます。面接後に「こんなはずじゃなかった…」と後悔しないために、自己紹介の項目と伝え方についてしっかり確認しておきましょう。
面接で自己紹介が大切な理由
面接では最初の自己紹介が非常に重要です。自己紹介が大切な2つの理由を見てみましょう。しっかりとした自己紹介をするメリットを知れば、項目や伝え方を学ぶモチベーションが上がるはずです。
自分に親しみを持ってもらえる
面接における自己紹介は、初対面の相手に自分の情報を伝えられるチャンスです。氏名や所属のほか、自分の特徴や人柄をしっかりと伝えることで、まずは面接官に親しみを持ってもらう役割があります。
自己紹介に失敗すると、自分に対する印象が悪くなってしまい、マイナスの状態から面接をスタートすることになります。基本事項を伝えた上で面接官に安心感や親しみを覚えてもらえるような自己紹介ができれば、採用に一歩近づくでしょう。
関係構築のきっかけになる
自己紹介は面接の最初に行うものです。自己紹介は自分の情報を面接官に伝える役割を担うだけでなく、その後の関係性を築くきっかけになるという役割もあります。
自己紹介で面接官と打ち解けられれば、スムーズに面接の受け答えへと移り、自然なコミュニケーションがとれるようになるのです。
面接官は好印象を持った相手に対して、意欲的に質問を投げかけてくるでしょう。コミュニケーションが活発化することで、自分のことを伝えるチャンスが増えます。さらに自身も緊張がほぐれ、焦りから的外れな返答をしてしまう恐れがなくなるでしょう。
採用の可能性を上げるためには、自己紹介を単体ではなく、その後の面接につながる『大切な入り口』と捉える心構えが大切です。
自己紹介の基本を知ろう
自己紹介の内容を考える前に、全体の構成を把握しておくことで上手に話を組み立てられるようになります。自己紹介の構成と、必ず伝えておきたい基本項目をチェックしましょう。
基本的な流れ
面接官に自分の情報を分かりやすく伝える上で、自己紹介の構成は重要です。自己紹介の基本的な流れは以下の通りです。
- 最初の挨拶(例:おはようございます)
- 基本項目(例:現在の所属、氏名)
- 追加項目(例:今までの経験、趣味)
- 締めの挨拶(例:本日はよろしくお願いします)
最初に挨拶をしたら、自己紹介でマストとなる基本項目をまず伝えます。続いて人柄が分かるエピソードなど、印象アップにつながる追加項目で自己アピールを行います。最後に締めの挨拶でお辞儀をして完了です。
自己紹介に使える時間の長さに応じて、追加項目を省くケースもありますが、大まかな骨組みは変わりません。自己紹介は面接の最初に自分自身の全体像を掴んでもらうために行うものなので、あまり追加項目で詳細を伝えようとし過ぎて長くなってしまわないように注意しましょう。
必ず伝えたい基本項目
自己紹介に使える時間の長さにかかわらず、転職の場合『氏名』と『現在の所属』は必ず伝えましょう。所属は会社名と部署名で十分です。
自己紹介の時間が短かったり特に指定されていなかったりする場合は、基本項目だけ伝えます。10秒程度で、簡潔かつ分かりやすく伝えることを意識しましょう。
また、同じ企業の面接を受ける人は自分以外にもたくさんいます。ライバルたちと差別化を図るために、面接官が名前を覚えやすくなるような一工夫も大切です。
名前に使われている漢字や名前の由来の説明をする、名前の意外な読み方を紹介するといった工夫により印象に残りやすくなります。
印象アップにつながる追加項目
自己紹介の時間が短いときは基本項目だけ伝えれば十分です。持ち時間が長かったりフリートークのような自己紹介を求められたりしたときは、印象をよりよくする内容も盛り込みましょう。
人柄が分かるエピソード
面接の堅い雰囲気を和ませる上で、人柄がうかがえるエピソードを伝えるのは非常に良い手段です。面接の場で自分がどんな人間かが伝わるエピソードをすぐに伝えられるように、普段から話のストックをためておきましょう。
また、人は初対面の相手を外見で判断してしまいがちです。外見とのギャップが大きい趣味や特徴を話すことで、面接官の興味を引くことも可能です。まずは自分が外見からどう見られがちなのか把握することから始めるのも手です。
面接官について少しでも情報を得ている状態なら、面接官と共通の話題を取り上げるとよいでしょう。面接官が話しやすいテーマを投げかけることで、人柄が伝わると同時に相互のコミュニケーションも活発化して場が温まります。
過去の経験やアピールポイント
これまでの職歴の中で熱心に取り組んだ経験や成功体験を伝えれば、面接の自己紹介で自らの市場価値をアピールできます。努力を惜しまない性格や実績が分かるエピソードを盛り込むと、面接官に好印象を与えられるでしょう。思わず質問をしたくなるようなエピソードだと、なお理想です。
自分の経験を話すときは、初対面の面接官が話を聞いてスムーズに理解できるようにエピソードを構成しましょう。さらに経験から導き出した『自分が貢献できること』まで伝えると、面接官に入社後の活躍を期待させることも可能です。
面接への意気込み
アピールポイントについて話した後、そのまま締めの挨拶に入ると、話の連続性がなく不自然に感じられるものです。締めの挨拶の直前に、面接への意気込みを伝えるとスムーズな流れになるでしょう。
意気込みを伝えることで、志望の本気度を伝えられるのもメリットです。『転職でその企業を志望した理由』や『面接のために準備した熱量』が伝わるよう、意気込みを伝えましょう。
アピールが不得意なら、単純に緊張している気持ちを伝えるだけでも十分です。面接に対して、真剣な気持ちで臨んでいることが伝わります。さらに言葉にすることで緊張が緩和され、自己紹介後に的確な受け答えができるという効果も見込めるでしょう。
自己紹介のポイント
自己紹介はポイントを押さえて話をすることで、面接官に与える印象をよりよくできます。面接前にポイントを意識した練習を行い、本番では意識しなくても上手に話せるように準備しておきましょう。
明るくハキハキと話す
暗い口調でボソボソと話していては印象が悪くなる上、そもそも名前の読みすら印象づけるのが難しいでしょう。面接で印象アップを狙うには、口調の明るさと話の分かりやすさが重要です。
初対面の人の情報は、面接官であっても記憶にとどめにくいものです。相手の耳にはっきり届くよう、大きな声でゆっくりハキハキと話しましょう。
顔を上げ明るい表情を意識して、いつもよりもワントーン高い声で話します。自然と声も相手に届く大きさになるはずです。アピールの内容も、明るく話すのに適したものになるよう心がけましょう。
話術に自信がなくても、まずは形から入ることを意識するだけで誠意が伝わります。
礼儀正しい態度を意識する
面接中はなるべく顔をしっかり前に向け、相手の目を見ながら会話をしましょう。複数の面接官がいる場合は、順番に目を合わせます。顔を上げるときは、横柄な態度にならないように、顎をしっかり引くことが大切です。
椅子に座るときも正しい姿勢を心がけましょう。背もたれから握りこぶし1個分のスペースを空け、背筋をピンと伸ばして座ります。姿勢が悪いと面接官に態度が悪いと思われて印象が悪くなるほか、ハキハキと明るい声が出せなくなるため採用につながりにくくなります。
要点を絞って簡潔に話す
自己紹介では、ポイントを絞って簡潔に話すことが大切です。伝えたいアピールポイントやキーワードはたくさんあっても、面接の場で全てを伝えることは不可能です。
長々と話をしても、話を聞いている面接官も飽きてしまい、結局要点が分からず何も伝わらなくなってしまいます。
面接では、特に重要だと思うポイントだけを伝えるように意識しましょう。分からないことや深く聞きたいことがあれば、面接官は後で質問をしてくれるものです。まずは基本的な自己紹介を、簡潔に話すよう意識しましょう。
避けたい自己紹介の失敗パターン
自己紹介では、話し方や伝え方によっては悪い印象を与えてしまう恐れがあります。失敗を避けるために、自己紹介でよくある失敗パターンについても確認しておくと安心です。
ウケを狙ってしまう
外見とギャップのある話をすれば面接官の興味を引けますが、ウケを狙うこととは違います。
たしかにウケを狙ってうまくいけば、場の空気が和むこともあるかもしれません。しかし、面接官が笑いを期待していなかったり滑ったりすると、その後の面接も気まずくなってしまう可能性があります。面接の最初に行う自己紹介でウケを狙うのは、リスクが高すぎるでしょう。
そもそも面接は基本的に真面目に受け答えをする場なので、ウケを狙った発言が功を奏するケースはまれです。自己紹介の目的は笑いを取ることではありません。自らの情報がしっかりと伝わる、基本の自己紹介が無難でしょう。
自慢話をしてしまう
自己紹介にアピールを盛り込む場合は、自慢話にならないように注意が必要です。『高い買い物をしたこと』や『有名人が知り合いにいること』は、自己アピールではなく単なる自慢話です。
あくまで仕事につながる経験から語れるエピソードを、謙虚な姿勢で伝えるよう努めましょう。
また、エピソード自体に問題がなくても、口調や表情によって自慢話に聞こえてしまう恐れもあります。面接前に家族や友人を相手に練習して、アドバイスをもらっておくと安心です。
ネガティブな発言をする
初対面の面接の場でいきなりネガティブな話をしても、面接官に悪い印象を与えるだけです。苦労話をするときも、あくまでポジティブに捉えて話す工夫をしましょう。『失敗や苦労から学んだ教訓』という切り口であれば、活躍を期待させることが可能です。
内容がネガティブでなくても、口調や語尾に曖昧な表現を使うと悪い印象につながってしまう点にも注意が必要です。「多分」「何となく」といったはっきりしない表現や、「だと思います」「だったはずです」など断定しない語尾を使うのは避けましょう。
「えー」「あー」を多用する
会話の最中に言いよどむと「えー」「あー」「えーと」「あのー」など、つなぎの言葉を使いたくなるかもしれません。しかし、多用しすぎると話が伝わりにくく、印象が悪くなってしまいます。
つなぎの言葉が多いと肝心の内容が面接官の頭に入らなくなったり、準備不足を疑われたりする場合もあるでしょう。
スムーズに自己紹介を進めるためにも、伝えたい内容をあらかじめ整理し、よどみなく言える練習をしておくのがおすすめです。つなぎ言葉を使わずに話すことで、よりハキハキと話している印象を与えられます。
自己紹介の準備をして面接に臨もう
自己紹介は初対面の面接官に対して、自分の基本的な情報を伝える上で重要です。自己紹介はその後の面接の受け答えに影響を与えるため、最初に行う自己紹介で面接官に好印象を残せるような工夫が求められます。
上手な自己紹介をするためには、あらかじめ話す内容の準備をしておくことが大切です。自己紹介では氏名などの基本的な項目に加えて、自分をアピールできる人柄や過去の経験も必要に応じて伝えます。
基本のポイントや陥りがちな失敗例を踏まえ、友人や家族を面接官に見立てて練習してみましょう。
若者の就職支援を専門とするキャリアカウンセラー。アメリカの大学を卒業後、アクセンチュアを経てリクルートに入社し100社以上の新卒・中途採用のコンサルティングを経験。独立後は採用と就職活動の双方を知る「若者就職支援のプロ」として官公庁や人材企業の若年就労支援プロジェクトに携わる。全国の大学で教員やキャリアカウンセラー向けの研修を行うなど、若者支援者の養成にも力を入れている。
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著書:
美文字履歴書の書き方&マナー