会社が倒産しそうなときの対策は?転職のタイミングや注意点を解説

勤めている会社が倒産しそうだと感じたら、どうすればよいのでしょうか。今すぐ辞めた方がよいのではと考えがちですが、焦って行動を起こさないことが大切です。会社が倒産しそうなときの対策や、有利に転職するためのタイミングなどについて解説します。

倒産しそうな会社に見られる4つの予兆

経理のイメージ

(出典) pixta.jp

倒産しそうな会社にはどのような予兆が見られるのでしょうか。一般的に倒産の前触れとされる4つの予兆について解説します。

経営層や経理部門の社員が相次いで辞めている

社内の経営層や経理部門の社員は、他の社員より会社の経営状態をよく把握している人たちです。これらの人が相次いで辞めていると、会社の経営がかなりシビアな状態になっている恐れがあります。

会社に残っていても良いことがないと判断し、倒産に巻き込まれないよう早々に辞めている可能性があるためです。特に、社歴の長い人が何の前触れもなく辞めてしまったときや、退職する理由がはっきりしない場合は注意した方がよいでしょう。

少額の経費にも厳しくなった

経費削減がシビアになったときも注意が必要です。ある程度の経費削減は、会社の経営にとってよくある対策の1つであるため問題にはなりません。

しかし、今までOKだったものが急に認められなくなったり、わずかな備品も経費で買えなくなったりなど、極端なコスト削減が始まったときは要注意です。経費を使う余裕がないほど、資金繰りが苦しくなっている可能性があります。

コーヒーマシンなどオフィス内の設備が使えなくなったり、恒例だった社内イベントが廃止になったりしたときも、経営状態の悪化が考えられるでしょう。

業務量が激減している

業務量が激減している場合、会社が十分な収益を得られていないかもしれません。

業種や職種によっては、繁忙期と閑散期で業務量が大きく変わることもあるので一概にはいえないものの、明らかに通常より激減している場合は注意した方がよいでしょう。

大口の取引先との契約が終了していることも考えられます。社歴が浅く繁閑の差が判断できないときは、長く勤務している社員に、業務量が減る理由を聞いてみるのもよいでしょう。

給与の減額または支払いの遅延

人件費削減として給与が減額されたり、毎月の支払いが遅延していたりする場合は、倒産の可能性がかなり高いと思われます。基本的に、正当な理由がない場合、給与が減額されることはありません。

しかし、会社が倒産しそうとなれば、給与の減額に対する正当な理由に値します。給与の支払いが遅延している場合は、すでに資金が不足している状態かもしれません。

本来給与とは、支給日に支払わないと遅延損害金が発生するため最優先に支払われるものです。それでも遅延しているということは、支払いたくても原資がないという状態が考えられます。

会社が倒産しそうになったらやっておくこと

履歴書と電卓

(出典) pixta.jp

会社が倒産しそうだと分かっても、慌てず冷静に対処することが大切です。万が一に備え、やっておくべきことを3つ紹介します。

大きな出費は控えて生活費を確保する

本当に会社が倒産してしまった場合に備えて、当面の生活費を確保しておきましょう。今はきちんと支給されていても、突然給与が減額されたり、ボーナスがカットされたりする可能性もあるためです。

倒産を理由に転職するとしても、すぐに再就職先が決まらなければ、収入が途絶えてしまいます。大きな出費になる買い物は控えて、突然倒産しても困らないよう貯金に回しておくことがおすすめです。車や家の購入のためにローンを組むのも、しばらく控えた方がよいでしょう。

転職を検討し始める

転職に向けた準備を始めておきましょう。倒産後の転職活動は、転職先がすぐに決まらず、無収入の期間が長引く可能性もあるためです。会社が倒産した場合、雇用保険制度によって失業等給付を受給できます。

しかし、できるだけ早めに転職活動を始めておけば、それだけ早く収入を安定させられるでしょう。実際にはすぐに退職しなくても、転職先の候補探しのために求人情報をチェックするなど、準備だけでも始めておくのがおすすめです。

有給休暇を消化しておく

有給休暇は倒産前に取得しておくのがおすすめです。有給休暇は倒産した時点で消滅します。倒産する前に退職する場合も、残っている有給休暇を買い取ってもらえる可能性は、ほとんどないと思った方がよいでしょう。

有給休暇の買い取りは原則としてNGですが、退職時には例外的に買い取る会社もあります。しかし、倒産しそうな会社はそもそも資金が不足している状態のため、買い取りは期待できません。有給休暇を残しておきたくない人は、倒産前に消化しておきましょう。

会社が倒産したら未払いの給与はどうなる?

お札

(出典) pixta.jp

給与が未払いのまま会社が倒産してしまう可能性もあります。未払いの給与の扱いについても知っておきましょう。

資金が残っていれば優先して支払われる

未払いの給与は、会社が倒産した場合の債権の中でも手厚く保護されている債権です。そのため、会社に資金が残っている場合は、他の無担保の借入金や債務に優先して支払われます(破産法第149条1項・2項)。

ただし、未払い賃金の発生時期によって扱いが変わるので注意しましょう。破産手続きの開始前3カ月間に発生した未払い賃金は「財団債権」となり、他の破産債権に先立って支払われます(破産法第151条)。

一方、破産手続きの開始前3カ月間より前に発生した未払い賃金は「優先的破産債権」となり、他の破産負債より優先的に配当を受けられます。

出典:破産法 第149条1項・2項 | e-Gov法令検索

出典:破産法 第151条 | e-Gov法令検索

資金がなければ未払賃金立替払制度を使う

会社に資金が残っていない場合は、「未払賃金立替払制度」によって、未払い分の賃金の一部を立て替えてもらえます。制度を利用するためには、以下の要件を満たしていることが必要です。

  • 労災保険の適用事業で1年以上事業活動を行っていた事業主(法人・個人問わず)に雇用され、会社の倒産に伴って賃金が未払いのまま退職している。
  • 法律上倒産した場合は裁判所への破産手続き開始などの申立日、事実上の倒産の場合は労働基準監督署長に対して事実上の倒産の認定を申請した日の6カ月前の日から2年の間に退職している(ただし、退職後6カ月以内に裁判所への破産手続き開始の申し立てや労働基準監督署長への認定申請がされなかった場合は対象外)。
  • 破産管財人または労働基準監督署長から未払い賃金額などについての証明または確認を受けている。

出典:未払賃金の立替払制度の概要

出典:未払賃金立替払制度の概要と実績 |厚生労働省

会社が倒産しそうならすぐに退職するべき?

退職届

(出典) pixta.jp

会社が倒産しそうとなれば、すぐにでも退職した方がよいのではと思うかもしれません。しかし、退職の時期は慎重に見極めることが大切です。少しでも退職を有利にするためのタイミングについて解説します。

倒産せずに持ち直す可能性もある

会社が倒産しそうだと感じても、慌てて退職するのはやめましょう。予兆があるからといっても、必ずしも倒産するとは限らないためです。

経費削減、金融機関からの融資などによって、経営が回復する可能性もあります。または、他社と合併し、社員もそのまま職場に残れるケースもあるでしょう。

単なるうわさで、実際の経営状況には問題がないことも考えられます。先行きが分からず不安になることはありますが、すぐに退職を考えず、いったん様子を見るのがおすすめです。

退職は倒産後の方が有利な場合もある

会社が倒産してから退職する方が有利な場合もあります。倒産前に辞めると自己都合退職となりますが、倒産後に辞めた場合は会社都合による退職となり、失業等給付を早く受け取れるためです。

自己都合退職の場合、7日間の待機期間後、さらに2カ月間の給付制限期間があります。しかし会社都合で退職した場合は、7日間の待機期間終了後、すぐに失業等給付の受給が可能です。

自己都合退職の場合に比べて給付される期間も長く、落ち着いて転職活動に取り組めるでしょう。また転職活動の際に、退職理由を無理に作り込む必要もありません。

倒産前に辞めるなら転職先を決めておく

どうしても倒産前に辞めたいときは、転職先を決めてから退職することが大切です。倒産前の退職は自己都合になってしまうため、失業等給付をすぐに受け取れません。転職先が決まっていないまま辞めてしまうと、無収入の期間ができてしまいます。

早く生活を安定させようと焦ってしまい、労働条件や仕事内容をよく調べずに転職先を決めてしまう可能性もあるでしょう。転職活動が長引いた場合、ブランクも長くなって、面接での印象が悪くなることも考えられます。

会社が倒産しそうなときの転職活動の注意点

ネクタイを締める

(出典) pixta.jp

会社が倒産しそうなときは、早めに転職の準備を始めておくことが大切です。転職活動を進めるに当たって、どのような点に注意すればよいのでしょうか。主な注意点を2つ紹介します。

転職理由に注意

倒産前の時点では、転職理由を「会社が倒産しそう」と伝えるのは避けましょう。現職の勤務先に関する事情を漏らすと、面接官に与える印象を悪くするだけでなく、今いる会社にとっても悪影響を与えるためです。

仮に倒産しそうだという事実があっても、会社が許可しない限り外部に漏らしてはいけません。実際には倒産を免れたとしても、うわさが広まれば経営に悪影響を及ぼしてしまいます。

倒産後の転職活動でも、会社の倒産だけを理由にするのではなく、仕事への意欲をアピールすることが大切です。

焦らずに転職活動を進める

焦らずに転職活動を進めましょう。会社が倒産するとなれば不安になるのは当然ですが、早く再就職先を見つけようと焦るのは禁物です。焦って転職先を探してしまうと、入社してからのミスマッチにつながってしまいます。

倒産後に退職する場合は、失業等給付金を受給しながら転職活動を進められるので、焦る必要はありません。倒産によって動揺した気持ちをいったんリセットし、落ち着いた状況で転職先を探すことが大切です。

会社が倒産しそうなときは慌てず対処しよう

男性ビジネスパーソン

(出典) pixta.jp

会社が倒産しそうなときは、慌てず冷静に対処することが大切です。倒産しそうな予兆があっても、経営改善の努力によって持ち直すケースもあるため、焦って辞めてしまうのはおすすめできません。

失業等給付の受給などの面でも倒産後の退職の方が有利になる場合もあります。とはいえ、万が一の場合に備えて、転職を考えておくことは大切です。

転職先探しには、求人サイトを活用する方法もあります。スタンバイにはさまざまな企業の求人情報が掲載されているので、自分に合った仕事探しに活用してみてください。

スタンバイ|国内最大級の仕事・求人情報一括検索サイトなら