「お金がなくて転職活動を始められない」という人は少なくないでしょう。必要な費用の内訳を、転職活動を始める前に知っておくと、対策を立てやすくなります。転職活動にかかるお金の内訳やコストを抑えるコツを確認し、転職活動をスムーズに進めましょう。
転職活動にかかるお金
転職活動をしたくても、お金がないためにできないという人もいます。転職活動には一般的にどのような費用がかかるのか、確認しておきましょう。
応募用の書類を用意するための費用
転職活動で必要になる代表的な書類は、「履歴書」と「職務経歴書」です。履歴書や職務経歴書は、インターネット上からでも無料でダウンロードできますが、書類に貼る写真を撮影するための費用はかかります。
写真撮影には、写真館や証明写真機を利用するのが一般的です。写真館を利用する場合の費用相場は、6,500円以上です。一方、証明写真機であれば、1,000円程度で撮影できます。
なお、スマホで自撮りする方法もありますが、どうしても時間やお金がない場合の最終手段と考えた方がよいでしょう。写真は、書類選考において第一印象を決める、大事な要素の1つであるためです。
面接で着る服装の購入費用
面接で着用する服装を、用意する費用もかかります。応募先の会社から特別な指定がない限り、面接にはスーツを着用するのが基本です。
普段からスーツを着ている人は別途用意する必要はありませんが、持っていない場合は購入する必要があります。
新卒用のリクルートスーツを持っている人も、転職活動の面接ではビジネススーツを着用するようにしましょう。また、靴やビジネスバッグなど、小物についても忘れずに用意しなければなりません。
面接会場までの交通費
交通費の支給に関しては企業によって異なるものの、自己負担となるのが基本です。交通費は、自宅から面接会場までの距離によって、必要な金額が異なります。電車・バスなどの公共交通機関の料金を、事前にチェックしておくとよいでしょう。
UターンやIターンなど、地方への転職で飛行機・新幹線などを使う場合は、一度に数万円かかるケースもあります。宿泊を伴う場合は、宿泊費も必要です。
近場でも、電車・バスが遅延した場合のことを考えて、タクシー代程度のお金を余分に用意しておくと安心でしょう。
退職後の転職活動にかかるお金
退職後に転職活動を始める場合、面接以外にかかる費用についても考えておくことが大切です。どのような費用が必要になるのか、確認しておきましょう。
転職が決まるまでの生活費
まずは、退職してから転職先が決まるまでの生活費がかかります。必要な生活費は、転職活動にかかる期間によって異なりますが、家賃・食費・光熱費は最低限確保しておく必要があるでしょう。
仮に、退職前に1カ月15万円程度の生活費がかかっていた場合、単純に計算しても「15万円×転職活動の期間」分のお金が必要になります。
転職活動が長引くことも考えて、少なくとも半年分の生活費を確保しておくのが無難でしょう。また、病気・けがなど想定外の出費への備えも必要です。
社会保険料・税金
意外に忘れがちなのが、社会保険料や税金です。在職中は給与から天引きされますが、退職すると自分で支払わなければなりません。退職してから支払いが必要になるのは、国民健康保険・国民年金・住民税です。
国民健康保険の保険料の算出方法は、自治体によって異なります。2023年度の新宿区を例に挙げると、給与収入350万円の場合の国民健康保険料の概算は、1納期につき19,870円のようです。
国民年金の保険料は、1カ月当たり一律1万6,520円です(2023年度時点)。住民税は、前年の所得に応じた金額が課されます。
出典:令和4年度 国民健康保険料 概算早見表(給与/年金のみの場合)|新宿区
転職活動のお金がないときの対策
転職活動中には、さまざまな用途でお金が必要になります。経済的な心配をせずに転職活動を進めるために、お金がないときの対策についても知っておきましょう。主な対策を3つ紹介します。
在職中に転職活動を始める
費用面の心配を減らすには、在職中に転職活動を始めるのがおすすめです。転職活動にかかる期間は、人によって異なります。最終的に採用が決まるまで、数カ月かかるケースも珍しくありません。
転職先が決まる前に仕事を辞めてしまうと、お金がない不安感から、労働条件や待遇面などを妥協して決めてしまう可能性もあるでしょう。
在職中から始めれば、収入が途絶える心配もなく、精神的に余裕を持って転職活動に集中できます。
失業保険・求職者支援制度に申し込む
退職後に転職活動を始める場合は、失業保険を受給するのがおすすめです。
失業保険とは、退職日以前の2年間において、雇用保険の加入期間が通算12カ月以上ある人に対し、給付金を支給するものです。受給期間と金額に上限はあるものの、受給すれば安心して転職活動を行えるでしょう。
また、失業保険を受給できない人は、求職者支援制度を利用する方法もあります。求職者支援制度とは、再就職を目指す人が月10万円の生活支援費の給付を受けながら、無料で職業訓練を受講できる制度です。
どちらも、ハローワークで申し込みの手続きができます。
バイトをする
バイトをしながら、転職活動を進める方法もあります。生活費などを確保できるだけでなく、バイト中の経験を転職活動に生かせる可能性もあるでしょう。異業種への転職を考えている人は、バイトで経験を積んでおくのもおすすめです。
ただし、失業保険の給付を受ける場合、受給資格の認定を受けた日から通算して7日間はバイトができないので注意しましょう。
失業保険の受給中でもバイトはできますが、週20時間以上働くと就職として見なされます。また、週20時間未満の労働でも、ハローワークへの申告が必要です。
お金がないときに転職するには?
お金がないときは、転職活動そのもののやり方を工夫してみるのもおすすめです。主な方法を3つ紹介します。
オンラインで面接できる会社を選ぶ
オンラインで面接できる会社を選ぶのも、1つの方法です。オンラインで面接を受ければ、交通費を抑えられるだけでなく、移動にかかる時間も節約できます。
オンラインで面接を受ける場合は、場所の選び方に注意しましょう。プライバシーや会社に関する情報などが、周りに漏れない場所を選ぶことが大切です。
パソコンがなくても、安定して通信できれば、スマホ・タブレットを使っても構いません。面接本番で慌てないために、事前に通信状況やデバイスの使い方をテストしておくと安心です。
普段着で面接できる会社に応募する
面接時の服装を「普段着OK」としている会社を、選ぶ方法もあります。在職中に転職活動を始める場合、面接用のスーツを着用して出勤するのは気まずい人もいるでしょう。
そのような場合でも、普段着で面接できる会社であれば、周囲に気付かれることなく転職活動を進められます。
ただし、普段着OKといっても、ジャケットを着用したり清潔感のある服装を選んだりと、ビジネスカジュアルを心掛けることが重要です。
また、節約のためとはいえ、「面接の服装」というポイントだけで会社を選ぶのは避けましょう。仕事内容や勤務条件などを、しっかり吟味する意識は欠かせません。
面接の日程をまとめる
交通費を節約するために、複数の会社の面接を1日にまとめる方法もあります。同日に何社かまとめて面接を受けられれば、自宅からの往復の交通費を少しでも節約できるでしょう。
特に、飛行機・新幹線などの利用が必要な遠隔地の場合は、日程をまとめることで効率的に面接を受けられるというメリットもあります。
ただし、面接日を会社から指定されるケースも多く、自分の都合だけでスケジュールを組むことはできません。
また、仮に日程をまとめられる場合も、1日2社までにとどめておくのが無難です。それ以上詰め込むと、モチベーションを維持するのが難しくなるので注意しましょう。
転職活動は計画を立ててから始めよう
転職活動には、思った以上にお金がかかる可能性もあります。お金がないからといって転職活動を諦めるのではなく、あらかじめかかる費用を洗い出して、対策や計画を立ててから始めましょう。
転職活動には、求人数が豊富な「スタンバイ」を利用するのがおすすめです。スマホからでも検索できるので、通勤や休憩などのすきま時間を活用して求人を探せます。
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