職場でリストラに遭い、やむを得ず転職活動を始める人は、決して少なくありません。リストラ後の転職は難しいとの声もありますが、実際のところはどうなのでしょうか?転職活動に必要な準備や、リストラ後の転職を成功させるポイントを解説します。
リストラ後の転職は難しい?
終身雇用制度が崩壊しつつある日本では、業種・職種にかかわらずリストラに遭う可能性があります。もしリストラに遭ってしまいやむなく転職する場合、自ら会社を変える場合に比べて転職は難しくなるのでしょうか?
会社都合の退職自体は不利にならない
会社都合で退職に至った場合も、自分の意志で会社を変える場合と同じです。リストラの事実が転職に不利に働くことは、基本的にありません。
実際、会社の業績の悪化で退職に至ったり、会社の倒産によって転職を余儀なくされたりする人の中にも、無事に転職を成功させているケースは多くあります。
会社都合での退職はほとんどの場合、転職希望先の企業でも理解してもらえるので、面接では正直に話すとよいでしょう。整理解雇ならば従業員側に責任はないため、退職に至ったとしても自分を責める必要はありません。
自分の勤務態度などに問題があった場合
たとえ会社都合による退職でも、自分の勤務態度に問題がある場合や、能力不足で退職に至った場合などは、転職活動時に不利になる可能性はあります。
転職希望先の採用担当者に、応募者自身の問題で退職したと勘繰られてしまうと、不採用にされる場合もあるでしょう。
自分に責任のない理由で退職した場合は、その旨をしっかりと伝えることが大切です。一方、自分の問題から転職に至った場合には、採用担当者が納得できるように、履歴書や職務経歴書の書き方を工夫する必要があります。
面接では単に会社都合で退職した旨を伝えて、応募先でしっかり活躍できる点を説明するとよいでしょう。ただし、自分なりにリストラに遭った原因を理解し、改善すべき点はきちんと直すことが大切です。
転職活動を始める前の準備
どのような理由であれ、転職をするならば事前にしっかり準備をしておく必要があります。以下の点を意識して、計画的に転職活動を進めましょう。
スケジュールを考える
リストラで退職が決まった場合、早めに転職までのスケジュールを考える必要があります。ただしリストラによって転職活動を余儀なくされた場合、気持ちが動揺して、すぐに動き出せないことも考えられます。
まずは転職先が決まっていなくても、経済的に問題のない期間を明確にしてみましょう。焦って転職を成功させる時期を設定し、それを目標にしてしまうと、結果的に転職先を妥協してしまう可能性もあります。
余裕を持って転職先を選べる期間を明らかにした上で、転職活動のスケジュールを設定することが重要です。
転職の軸・希望する条件を明確にする
リストラのショックから立ち直り、本格的に転職活動を始められるようになったら、転職の軸や希望する条件を明確にしましょう。どのような仕事がしたいのか、希望する労働環境や待遇などを、自分なりに明らかにする必要があります。
基準を明確にした上で、実際に応募する企業を絞り込むことが大事です。
退職する企業と同じ業界ならば、これまでの経験やスキルを生かせる可能性があります。ただし、前職とは異なる仕事や業界に目を向けることで、結果的に自分の強み・特性に合った仕事に就ける場合もあるでしょう。
自分の強みと弱みを把握する
自分に合った企業に転職するためには、自己分析やこれまでのキャリアの棚卸しをし、何ができるのかを明らかにすることが重要です。できる限り自分の強みや弱みを正確に把握しておけば、転職先を決める際の目安になります。
すでに転職したい企業があるならば、事前に情報を収集しておき、どのような人材を求めているのか熟考してみましょう。
その企業が社員に求めている要素の中で、自分に当てはまるものがあれば、面接でアピールすると効果的です。入社までに習得できる知識やスキルがあれば、積極的に身に付けるようにしましょう。
リストラ後の転職を成功させるポイント
リストラ後に転職を成功させるには、面接での退職理由の答え方や自己PRの仕方などを事前に決めておく必要があります。面接が苦手な人は、しっかりと回答の練習もしておきましょう。
退職理由は「会社都合」でOK
リストラによる退職の場合、転職希望先の面接では、会社都合で退職した旨を伝えても問題ありません。
リストラにより退職した事実を隠す必要はないので、正直に理由を話すようにしましょう。無理に隠そうとするとほころびが出てしまい、かえって採用担当者に不審に思われる可能性があります。
会社都合でやむなく退職した応募者の事情に関しては、懲戒解雇によるものでない限り、採用担当者はさほど問題にすることはありません。
自己PR・志望動機はポジティブに
自己PRや志望動機などはポジティブな内容にまとめ、分かりやすく説明できるようにしておきましょう。前職でリストラに遭ったことへの不満を述べるなどネガティブな様子を見せても、採用面接で得になることはありません。
むしろリストラに遭ったことを良い機会と捉えて、逆境を乗り越えた姿を見せることで、採用担当者に好印象を与えられます。困難な状況から学んだことを生かし、転職後にどのように活躍したいかを、前向きに答えるようにしましょう。
実績はしっかりアピール
前職で培った実績は、しっかりとアピールすることが大事です。
応募先で生かせる十分な実績があれば、採用される可能性が高まります。どのような経験を有する人材を求めているかを事前に調査しておき、評価されそうな実績があれば積極的に伝えるようにしましょう。
リストラされたことへの弁解に力を入れるのではなく、実績をはじめ自分の経験やスキルがどのように応募先で役立つのかを説明することが大切です。
リストラ後に転職以外でやるべきこと
リストラに遭ってしまったら、早めに転職活動を始めることも重要ですが、それ以外にもやるべきことがあります。
離職票を発行してもらう
リストラを言い渡されたら、会社から離職票(雇用保険被保険者離職票)を発行してもらいましょう。
これは勤め先の会社を離職したことを証明する書類であり、失業手当の受給に必要です。雇用保険の加入期間や賃金の支払い状況などが記載されているので、きちんと確認しておきましょう。
特に、離職票の退職理由の項目が「会社都合」になっているか、必ずチェックすることが大事です。会社都合とは倒産や解雇などによる退職であり、従業員側の個人的な事情による退職の場合は、離職票に「自己都合」と記載されています。
自己都合による退職では、失業手当の受給開始のタイミングや、給付を受けられる期間などで不利になる可能性があるので、十分注意しましょう。記載内容に間違いがあれば、会社に訂正を求める必要があります。
失業手当(失業保険)の申請
会社から離職票を受け取ったら、失業手当を申請しましょう。転職活動を安心して進めるためにも、できるだけ早く申請することが大事です。会社都合での退職では、申請から7日間の待機期間のみで、失業手当を受給できるようになります。
ただし、実際に手当を受け取れるのは手続きから約1カ月後です。申請が遅れると、それだけ手当を受け取るのが遅くなってしまうので、退職したらすぐにハローワーク(公共職業安定所)に申請する必要があります。
リストラ後の転職も事前準備が大切
リストラに遭うと転職に不利になると考える人もいますが、懲戒解雇による退職でない限り、特に不利になるケースはありません。転職時の面接でも、会社都合により退職した旨を正直に伝えましょう。
転職活動を始める際には、余裕を持ったスケジュールを設定するとともに、自己分析やスキルの棚卸しなどをしておきましょう。自分の強みや特性を明確にした上で、自分に合った企業を探す必要があります。
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