報連相とはどのような意味を持つ言葉?基本知識から実践のコツを紹介

ビジネスシーンでは「報連相」が必要だと、聞いたことのある人も多いでしょう。日常的に報連相の習慣が付いている人もいますが、言葉は聞いたことがあるものの、よく知らない人もいるでしょう。報連相の基本知識から実践のポイントを解説します。

報連相とは?基本知識をチェック

報連相

(出典) pixta.jp

「報連相」は社会人の基本的なスキルとして知られており、組織で働く上で欠かせないものです。

しかし、これから就職を目指す人や、他者とあまり関わらない仕事をしてきた人などの中には、言葉は聞いたことがあっても、意味をよく知らない人もいるでしょう。まずは報連相の基本から、押さえておきましょう。

「報告」「連絡」「相談」を指す

報連相は「報告」「連絡」「相談」の頭文字を取った言葉です。組織で仕事をする上で欠かせないコミュニケーション手段として知られています。

  • 報告:業務の進捗状況や成果などを、上司や周りの社員に伝えること
  • 連絡:業務に関わる事柄や、スケジュールなどを必要な相手に伝えること
  • 相談:業務に必要な判断や意思決定について、上司や関係者に意見やアドバイスを求めること

いずれも周りと協調して仕事をするのに必要であり、新入社員に研修などで報連相の必要性を伝えている企業も少なくありません。

報連相を行う目的と重要性

ビジネスシーンで報連相を徹底する理由は、適切かつスピーディーに情報の共有をするためです。組織としての目標を達成するためには、社員1人1人が任された役割を全うし、必要な情報をすぐに得られるようにすることが重要です。

正確な情報共有は、社員の生産性の向上に役立つのに加えて、組織全体の意思決定の精度がアップすることにもつながります。

さらに、顧客に良質なサービスを提供する下地にもなり、結果的に売り上げの向上にも寄与するでしょう。情報共有の徹底で組織として機動力を高めれば、市場における競争優位の確立も可能になります。

報連相を行うメリットは?

上司に報告する女性社員

(出典) pixta.jp

報連相を徹底すると、社内コミュニケーションの活性化や業務の効率アップなどが期待できます。社内で報連相を行うメリットを見ていきましょう。

社内コミュニケーションの活性化

報連相を積極的に行うことで、社内のコミュニケーションが活性化します。社員同士が意思疎通をする機会が増えるため、信頼関係の構築につながるのがメリットです。特に新入社員にとっては、人間関係をつくる重要なステップとして役立つでしょう。

日頃、話すことの少ない相手でも、業務報告や連絡を通じて人間関係の構築につながります。普段から1on1を通じて気軽に相談できる仕組みをつくることによって、上司と部下の良好な関係を維持する企業も少なくありません。

業務の効率アップ

情報の共有が円滑になり、社員の業務効率の向上につながるのも、報連相を徹底するメリットです。

管理者は社員1人1人の業務の進捗状況を把握しやすくなり、適宜サポートを行いやすくなります。日頃から情報共有を徹底していれば、業務上のミスの発生も抑えられるでしょう。

また、チーム全体が同じ目標に向かって足並みをそろえやすくなり、業務上の問題・課題も把握できるようになります。社員が自らの課題を認識できるようになり、周りも十分にフォローできる体制を構築すれば、組織全体の生産性も大きく向上するでしょう。

スムーズなトラブル対応が可能になる

報連相を通じて社内の情報共有をスムーズにすれば、迅速なトラブル対応も可能になります。問題を抱えている社員に対しては、管理者のみならず、周りもすぐにフォローできるようになるため、深刻な事態にならずに済むでしょう。

細やかな報連相により、トラブルの元にいち早く気付けるようになり、事前に対策を打てるのもメリットです。必要に応じて業務計画の見直しや変更も可能になるため、リソースの最適化にもつながります。

報連相を行う際のポイント

電話をかける男性

(出典) pixta.jp

報連相を行う際には、以下のポイントを意識することが重要です。事実を正確に伝えるのに加えて、報告や相談をするタイミングにも配慮する必要があります。

事実を伝える際に私見を挟まない

「報告」「連絡」「相談」のいずれに関しても、きちんと事実を伝えることが大切です。私見や感情が交ざってしまうと、相手に正しい情報が伝わらない可能性があります。

まずは客観的な事実は何かを把握した上で、何を伝えるべきか考える習慣を付けましょう。感情が高ぶっている場合や、どうしても伝えたい思いなどがある場合は、まずは落ち着いて、事実と分けて伝えるように心掛ける必要があります。

報連相の内容は明確にしておく

報連相の内容は、正確に分かりやすく伝えるようにしましょう。その上で問題やトラブルを抱えている場合や、何か相談事がある場合などは、自分なりに解決策を考えておくことも大事です。

相手への丸投げにならないよう単に報告するのではなく、現状を踏まえてどうしたいのか、どのような解決を図るつもりなのかなどを、きちんと伝える必要があります。

上司に助言やアドバイスを求めることは大切ですが、問題を解決するのは自分自身です。相手の助けが必要ならば、その理由をしっかりと伝えて、自分なりに何ができるかを伝えましょう。

相手の状況も考慮する

報連相を行うタイミングにも配慮が必要です。緊急の対応が求められる場合は別ですが、基本的には相手が対応しやすい時間帯を確認し、報連相を行うようにしましょう。

自分の都合だけで報連相を持ちかけると、相手の迷惑になってしまう恐れがあります。

相手が忙しかったり、立て込んだりしているタイミングでは、適切な指示やアドバイスをもらえないケースもあるでしょう。相手の立場や都合を考慮した上で、なるべく負担をかけないように工夫する必要があります。

緊急性がない情報に関しては、ビジネスチャットなどで伝えれば、相手も都合の良いタイミングで確認できるのでおすすめです。

報連相に準備は必要?

考える男性社員

(出典) pixta.jp

報連相は単に情報を伝えたり、相談を持ちかけたりするのではなく、相談相手の見極めや事前準備も必要です。誰に・何の情報を・どのように伝えるべきかを考えた上で、タイミングを見極めて伝えるようにしましょう。

相談相手を見極める

報告や連絡は、その情報を必要としている相手に伝えるのはもちろん、相談を持ちかける場合には適切な相手を見極めることが大切です。相手の立場や職務範囲を超えた内容の相談をしてしまうと、相手の負担になってしまう恐れがあります。

相手が助言やアドバイスをできる立場にない可能性もあり、適切なフィードバックを得られないケースもあるでしょう。

相談を持ちかける際には、報告・連絡をしていた相手と同じでよいのか、他に適切なアドバイスをもらえる相手がいないかなど、慎重に判断する必要があります。

ただしほとんどの場合、業務上の相談は直属の上司にするのが無難です。適切な相談相手が分からなくても、上司であれば相談すべき相手を紹介してくれる可能性があります。

複雑な内容の場合は文章にしておく

報連相の内容が複雑な場合や、伝えるべき相手が多い場合などは、口頭ではなく文章にしてメールやチャットツールで伝えるのもおすすめです。メールやチャットならば同時に複数人に送信が可能で、後から内容の訂正もしやすくなります。補足すべき情報がある場合には、添付資料にまとめるのもよいでしょう。

ただし、メールやチャットで報連相をする際にも、相手に分かりやすく伝えることが大事です。現状を端的に伝えた上で、どのような対応が必要か、相手に何を求めているか記載しましょう。曖昧な書き方を避け、5W1Hを意識した明瞭な文章を心掛ける必要があります。

ポイントを守ってスムーズな報連相を

上司に報告する

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報連相は社会人の基本的なスキルとして知られており、新入社員の研修でやり方を伝える企業も少なくありません。

社内コミュニケーションの活性化や業務効率化にも役立つので、これまで報連相を意識してこなかった人は、この機会に基本を押さえておきましょう。

報告・連絡・相談のいずれの場合でも、まずは状況を整理した上で、相手に客観的な事実を伝えることが大事です。私見や感情を伝える場合には、事実とは切り分ける必要があります。

また、相手の対応しやすい時間帯を見計らうなど、伝えるべきタイミングにも配慮が求められます。ポイントを意識して、スムーズな報連相を心掛けましょう。