ボイコットとは?言葉の意味やストライキ・バイコットとの違いを解説

普段からニュースに接していると、「〇〇ボイコット」と書かれた見出しを目にする機会もあるでしょう。意味を何となく理解している人は多いですが、正確に理解している人は少ないかもしれません。意味や語源、類語について見ていきましょう。

ボイコットとは?

ストップのイメージ

(出典) pixta.jp

主にニュースや労働関連の呼びかけにおいて、「ボイコット」という言葉を目にするケースがあります。使うシーンが幅広いため、正確な意味を理解するのは難しいかもしれません。主な傾向や、語源について解説します。

個人・集団が行う抗議行動の一種

ボイコットは、英語の「boycott」に由来しています。英和辞書によると、「参加を拒否する」「購入を拒否する」「不買運動をする」「(個人や組織を)排斥する」といった意味です。

日本国内のニュースで見かける「ボイコット」は、「何らかの行動や参加を拒否する」という意味で使われているケースが一般的です。学生の授業への参加拒否や、業務の拒否などが該当します。

海外の状況を知らせるニュースでは、強い不満・不承認の意を表すために行われる抗議活動全般が、ボイコットとして認識されています。不買運動や、何らかの活動に対する参加拒否が中心です。

「〇〇製品のボイコット運動」と書かれていれば、特定の製品に対して集団的な不買運動が行われていると読み取れるでしょう。

不買運動をボイコットと書くか、「不買運動」と書くかに、特に決まりはありません。ボイコットは複数の意味が含まれる言葉のため、分かりやすく日本語に置き換えているケースもあります。

ボイコットの語源・由来

「ボイコット」の語源は人名です。1880年、アイルランドで土地を管理していた「チャールズ・ボイコット」が由来とされています。

当時、結成された土地同盟から小作料の軽減を打診されるも拒否したために、抗議運動を起こされる事件が発生し、そこから言葉が広まりました。抗議運動の内容は、主にボイコットが管理する土地での耕作拒否です。

ボイコットは、食糧供給や通信の術を断たれ、孤立した結果、管理していた土地から離れる結末となりました。このことから、ボイコットは拒否・排斥の意味を持つようになったとされています。

ボイコットの類語・対義語

抗議運動

(出典) pixta.jp

ボイコットのように、抗議や要求があるときに使われる類語はいくつかあります。類語のほか、対義語についても見ていきましょう。

【類語】ストライキ

ストライキは、労働者の要求を通すため、抗議の意味で労働の提供を停止することを指します。ボイコットにも「何らかの行動を拒否する」という意味が含まれるため、似た場面で使われるケースも多いでしょう。

しかし、ボイコットには不買・排斥・参加拒否など、多くの意味が含まれています。ストライキには、個人・組織を排斥する意図はなく、何らかの不買を呼びかける訴えでもありません。

ストライキには、食事をしないことで要求や抗議を表す「ハンガーストライキ」もあります。抗議活動の一種である点は同じですが、ボイコットよりも狭い範囲で使われる用語です。

【類語】デモ

デモは、「デモンストレーション」の略です。何らかの抗議・主張を広めようとする行動を指し、集団での行進・集会などを伴うケースが一般的です。

抗議活動である点は、ボイコットとさほど変わりません。しかし、ボイコットは何らかの行動を拒否するという意味を持っています。

デモは、主張を広めるために集まり、結束を周囲に示す行動です。ボイコットには集まって行進するような行動は含まれていないため、使う場面は異なるでしょう。

【対義語】バイコット

バイコットは、英語の「boycott」から派生した新しい言葉です。英語では「buycott」と書きます。

buyには「購入する」という意味があり、海外では特定の企業や国の商品を積極的に購入し、応援するという意味合いを持ちます。

一般的にボイコットとバイコットは、政治的な意味を含む消費活動として注目されており、日本の場合は集団的な不買運動が盛んではないことから、使用する機会はほとんどありません。

バイコットに似た行動としては、産地の応援や被災地応援など、特定の企業・地域の商品を積極的に購入する行動が該当します。

通常は「食べて応援」「被災地応援」などの日本語が当てられており、「バイコット」という表現が使われるケースはまれでしょう。

過去に起こった有名なボイコットは?

タバコ

(出典) pixta.jp

ボイコットは、世界的に行われています。日本では、労働に関する抗議活動や外交に関連するボイコットが主流ですが、世界的に有名なボイコットにはどのようなものがあるのでしょうか?主な例を紹介します。

タバコ・ボイコット運動

1891~1892年にかけて、イランで行われた抗議活動は「タバコ・ボイコット運動」と呼ばれています。海外では「Tobacco Protest」「Tobacco Movement」とも呼ばれる抗議活動です。

イギリスの会社がイランのタバコ利権を得たために、抗議活動が激化しました。当初は、タバコ会社を批判する演説や支店開設に抵抗する動きなど、抗議を訴える活動が中心だったようです。

要求が通らないフラストレーションや、タバコを禁止する教令が発令されたことをきっかけに、「タバコを吸わない」「キセルを破壊する」といったボイコットにも発展しています。最終的に、イギリスの会社は利権を手放し、運動は終息に向かいました。

出典:近代イランにおける宗教と政治

モスクワオリンピック

ソビエト連邦(現ロシア)のモスクワで、1980年に開催されたオリンピックでは、一部の国がボイコットを表明しています。日本語の意味としては、「オリンピックの参加拒否」と判断できるでしょう。

当時、ソビエト連邦はアフガニスタンへの侵攻を行っており、侵攻に反対の意を表明するため、アメリカが各国にボイコットを呼びかけたことがきっかけです。

しかし中には、オリンピック精神にのっとり、文化や国籍の違いを乗り越え、平和への貢献を果たす目的で参加を決めた国もあります。日本は、アメリカからの呼びかけに応じ、ボイコットを表明した国の1つです。

出典:モスクワ1980 夏季オリンピック - アスリート、メダル、結果

言葉の意味を把握して正しく使おう

ボイコットのイメージ

(出典) pixta.jp

ボイコットは、さまざまな抗議活動を含む言葉です。世界的には不買運動を意味する言葉として使われるケースも多いため、日本のニュースで見かけるニュアンスとは異なる印象を受けるかもしれません。

基本的には、「参加の拒否」「行動の拒否」といったニュアンスを持っているため、前後の文章やニュースの全容から含まれている意味を推察しましょう。

ニュースでは、労働や外交のカテゴリで見かける場合が多いため、判断はそれほど難しくありません。