就活の際によく聞く「ガクチカ」とは、どのような意味を持つ言葉なのでしょうか?概要や、使われる場面について解説します。また、例文や伝え方もチェックしましょう。就活で採用側に重視されている理由や、PRする際のポイントも紹介します。
「ガクチカ」とは何か
就活で情報を探していると、「ガクチカ」という言葉を聞くことがあります。どのような意味を持つ言葉なのでしょうか?概要と、どのようなときに使われる言葉なのかを解説します。
「学生時代に力を入れたこと」を省略したもの
「ガクチカ」は「学生時代に力を入れたこと」を省略した言葉です。「学生(がくせい)」の「ガク」、「力(ちから)」の「チカ」を取って、一般的には片仮名で書かれます。
ガクチカは、主に学生同士の会話や、若い世代で使われることが多い言葉です。省略しただけのため難しい言葉ではありませんが、使うシーンは限られます。
就活の際によく聞かれる質問
「ガクチカ」は、就活の面接・履歴書・エントリーシートでよく聞かれる質問です。これから社会人になろうとする学生に対して質問されるため、バイトや転職の面接で質問されることはほとんどないでしょう。
「学生時代に力を入れたことは何ですか?」「あなたが学生時代に頑張ったことは?」のように質問されます。事前に考えておくことが望ましいため、「ガクチカ」と略され対策されているようです。
質問の細かい文面は企業によって異なりますが、学生時代に努力した経験や頑張ったエピソードは「ガクチカ」に分類されるでしょう。
ガクチカと自己PRに違いはあるのか
「ガクチカ」も「自己PR」も、就活でよく聞かれる質問です。同じような意味合いとして考える人もいますが、回答方法に違いはあるのでしょうか?一般的な違いと、似たような回答になるケースを紹介します。
回答の範囲が異なる
ガクチカと自己PRは、どちらも就活でよくある質問内容です。どちらも自分の経験・エピソードを伝えるため、似たような印象を持つ人も多いでしょう。
異なる点は、回答の範囲です。ガクチカは「自分が学生時代に力を入れていた出来事やプロセス」を中心に回答しますが、自己PRは「経験によって得たスキルや強み」が中心です。
自己PRの「PR」は「Public Relations(パブリックリレーションズ)」の略ですが、英語での意味合いとはやや異なり、和製英語では「広告」「宣伝」と同じような意味を持ちます。
自分を宣伝する「自己PR」は、「学生時代に力を入れたこと」と無関係なエピソードでも成り立つため、違いが生じるのです。自分の長所・強みをアピールできるのであれば、伝える内容はどのようなものでも構いません。
似たような回答になるケースも
自己PRとして、学生時代に力を入れた出来事を回答するケースもあります。ガクチカと自己PRのエピソードが同じ内容になっても、問題はありません。
例えば、研究活動に力を入れていた場合、力を入れたエピソードとして研究について伝え、自己PRとして研究活動で身に付けたスキルや知識をアピールするケースもあるでしょう。
同じエピソードを話す場合は、質問の意図を意識し、ガクチカでは「何に力を入れていたのか」「なぜその活動に力を入れていたのか」「どのように努力したのか」などを説明します。
自己PRでは長所・強みになる部分に触れ、全く同じ内容にならないよう心掛けましょう。
ガクチカが就活で重視されるのはなぜか
就活では、なぜ学生時代に力を入れた経験・エピソードを質問されるのでしょうか?採用側が重視している理由や、定番の質問として活用されている理由を解説します。
応募者の人柄や考え方を理解するため
学生時代に何に力を入れていたのか質問すると、応募者の人柄が採用担当者に伝わります。採用側は応募者がどのような人なのか知りたいと考えているため、ガクチカを質問するケースが多いのです。
応募者がどのような活動を重視し、何を考えているのかが分かりやすいため、定番の質問となっています。エピソードを深掘りすれば、仕事に対する姿勢や考え方も分かるでしょう。
ガクチカを回答するときは、誰にでも当てはまる内容だけでなく、自分らしい考えを盛り込むと人柄が伝わりやすくなるはずです。
自社との相性を確かめるため
ガクチカを質問して応募者の考え方や行動の基準が分かると、企業の社風や求める人材と合っているのかが判断できます。自社との相性を確かめるために、ガクチカを質問していると考えられるでしょう。
ガクチカのエピソードには、応募者が持つスキルや仕事に役立つ経験も含まれます。スキルや経験から、自社で活躍できる人材かどうかを判断されるケースも多いでしょう。
例えば、「応募先と同じ職種でバイトをしていた」「インターンシップに参加した」などの経験は、自社に合う人材かを判断する基準になります。
本人の努力や成果を知るため
採用側は、本人の努力や経験によって身に付けたスキルを評価するために、ガクチカについて質問します。力を入れたことを質問すれば、自然と応募者の努力体験が分かり、どのような場面でどのくらい努力したのかを判断するきっかけになるでしょう。
応募者の体験を仕事に置き換えれば、仕事に対してどのように向き合うか、ある程度の想像がつきます。努力した体験や、経験から学んだことをアピールすれば、採用担当者も応募者について深く知ることができるでしょう。
ガクチカを見つけるには
就活で話せるようなガクチカがすぐに思い浮かばないときは、どうすればよいのでしょうか?明確に「力を入れていた」と言える出来事がない場合は、なかなか思いつくものではありません。一般的な見つけ方を紹介します。
過去の経験を振り返る
ガクチカを見つけるには、まず過去の経験を振り返ってみましょう。主に、高校・大学で自分が何をしていたのかが重要です。
全ての出来事を覚えているとは限りませんが、就活で使えるエピソードを見つけるために、できるだけ多くのことを思い出さなければなりません。
情報を整理するために、メモやノートに書き出すとよいでしょう。関連する出来事も一緒に振り返れるように、自分で自分に質問をしながらまとめると効果的です。
就活で話す「力を入れたこと」は、小さな出来事でも構いません。自分の基準で努力したことや、印象に残っていることを全て思い出しましょう。
「成果」を得た経験をピックアップ
できるだけ多くの経験を思い出し、情報を書き出した後は、「ガクチカ」として話せる内容をピックアップしていきます。
基本的には、何らかの成果を得たエピソードが話しやすいでしょう。ガクチカに必要な「成果」は、成功の体験だけではありません。
失敗による気付きや、弱みの克服体験も「自分が得たもの」として話せます。たとえ失敗したとしても、努力した体験もアピールになるでしょう。
結果が振るわなかったとしても問題はなく、「努力をした経験」や「視野が広がった経験」はガクチカの質問回答として使えます。
ガクチカをPRする際のポイント
面接・履歴書・エントリーシートなどでガクチカをPRする際、どのようにまとめればよいのでしょうか?基本的なポイントを解説します。
フレームワークを意識する
ガクチカを伝えるときは、基本のフレームワークを意識しましょう。相手への伝わりやすさを重視する場合、まず結論を伝えるのがおすすめです。
その後に、理由や動機を説明し、具体例や結論につなげます。ガクチカをPRする際は、文字数や時間の制限が設けられるケースが多いため、短くまとめる場合は特に基本のフレームワークが重要になってきます。
制限が緩い場合は、目標を達成するに当たって困難となった出来事や、自分の人柄が伝わるエピソードを盛り込むのもよいでしょう。
独自性のあるエピソードを入れ込む
就活で質問をされた場合は、自分の人柄や考え方が伝わるよう、独自性のあるエピソードを盛り込むのがおすすめです。誰にでもある内容だと、他の応募者と差がつきにくく、採用担当者の印象にも残りにくくなります。
インパクトのある出来事でなくても、問題はありません。採用担当者が見ているのは、結果に至るまでの努力や考え方です。プロセスの部分を重視し、自分が何を考え実行したのか伝えていきましょう。
たとえ、他の人にもあり得るようなエピソードであっても、深く掘り下げていくと自分らしさが伝わるはずです。できるだけ他の応募者にはないエピソードを盛り込み、周囲に印象付けられるよう考えなくてはなりません。
就活での「ガクチカ」例文と伝え方
ガクチカにはさまざまな分野があります。それぞれ、どのように伝えるのがよいのでしょうか?分野別の例文と、伝えるときのポイントを紹介します。
部活・サークル活動に力を入れた
部活やサークルのガクチカは、幅広い場面で使えます。注意点として、昔のエピソードを使う場合は、明確な理由付けが求められます。
基本的には、最終学歴でのエピソードを中心として組み立てましょう。例文を紹介します。
【例文】
私は、中学生の頃から陸上部に所属しています。大学でも継続しており、大会にも出場しました。
日々の練習を学業と両立するのは大変でしたが、毎日少しずつトレーニングをする時間を設け、コツコツ継続する力を身に付けることができました。昨年の夏には、〇〇の大会で〇〇という結果も残せたので、達成する喜びも感じられました。
バイトやインターンシップに力を入れた
バイトやインターンシップに関するガクチカは、経験のアピールにつながります。ただし、応募先に無関係な職種・業種の場合は、マッチ度が下がるリスクも考えられるでしょう。
できる限り、応募先と関連付けた内容を心掛けることが大切です。例文を見てみましょう。
【例文】
私は、高校3年生のときに飲食店でのアルバイトを始め、大学でもずっと継続しています。アルバイトで得た経験を生かしたいと考え、就職も飲食業界を志望しました。
特に、お客さまとコミュニケーションを取る仕事にやりがいがあると感じており、就職後も接客を中心に働きたいと〇〇職を志望しています。
学業に力を入れた
学業を頑張った場合も、アピールができます。仕事とは直接関係がないため、応募先と関連するスキル・知識や、努力の経緯を伝えられると好印象につながるでしょう。
採用側の担当者が専門の仕事をしている状況でない場合は、できる限り専門用語を使わず分かりやすい内容にまとめるのがポイントです。例文を紹介します。
【例文】
私は大学生活の中で、学業に力を入れていました。入学時から大学在学中に〇〇に1年間留学したいと考えており、奨学金を受ける条件に成績が関係していたためです。
上位30%を目指す必要があったため、語学の勉強に加えて、他の教科も上位をキープしなければなりませんでした。毎日空き時間も活用しながら勉強時間を確保した結果、無事成績の基準を達成でき、憧れていた〇〇への留学がかないました。
その他の活動に力を入れた
ガクチカは、学校や仕事に関連のない活動でも問題ありません。趣味やボランティア、資格取得など、さまざまな活動がアピールできます。
就活で採用担当者にアピールする点を踏まえて、趣味を選択する場合は印象の良いものをチョイスしましょう。人によって印象や評価がマイナスになりそうな趣味は、避ける方が無難です。
【例文】
私は学生生活の間、〇〇の資格取得を目指して努力しました。いずれ〇〇業界で働きたいと考えていたため、関連する資格を取っておきたかったからです。
資格試験の1年前から準備を始め、毎日少なくとも1時間は勉強できるようスケジュールを組み、対策を進めました。難易度が高く初回のチャレンジでは失敗してしまったのですが、できなかった部分を対策し、2回目で合格しています。
「ガクチカ」に関するQ&A
ガクチカを考えるとき、伝えられそうな活動がない場合や、複数のガクチカを考えておくべきなのか悩むこともあるでしょう。Q&A方式で疑問点と解決方法を紹介します。
該当する活動がない場合はどうする?
サークル活動やバイトの経験がなく、特別な活動もしていない場合、ガクチカとして何を伝えればよいか戸惑うこともあるでしょう。
自己分析をしてみても思いつかず、伝えられそうな内容がないときは、可能な限りで範囲を広げるのがおすすめです。日常生活や趣味など、学校とは関係のない場所での体験でもアピールになります。
それでも見つからないときは、就活中にチャレンジしてみるのもよいでしょう。短期間であっても、何らかの活動ができればアピールが可能です。
内容は企業ごとに変更するべき?
採用側はガクチカを通して、本人の傾向や考え方を知ろうとしています。学生時代に力を入れた出来事が複数ある場合は、どれを選択しても構いません。企業に合わせて変えるのも、問題ないでしょう。
しかし、明確に力を入れた分野があるにもかかわらず、特に頑張っていないことを選ぶのは避けた方が無難です。伝える内容に説得力がなくなり、アピールがしにくくなります。
自分が努力した分野が、応募先と関連せず評価が下がってしまうケースや、人によって好みが分かれる内容の場合は、変更を検討した方がよいかもしれません。
効果的なガクチカPRで就活を成功させよう
ガクチカは、就活で自分の人柄や身に付けたスキル、努力体験をアピールできる定番の質問です。事前に考えておくと、エントリーシートや面接で質問されたときも戸惑うことはないでしょう。
特別なエピソードを質問されているわけではないので、自分が努力したと思う体験や、応募先に関連しそうな内容をピックアップし見つけておくと、就活の対策ができます。