マルチタスクとは?メリット・デメリット、できないときの対策を解説

仕事をしている際に、「マルチタスク」をしなければならない場面はよくあります。よく見聞きする用語ですが、具体的にはどのような状況を指すのでしょうか?意味や定義、シングルタスクとの違いのほか、メリット・デメリットも解説します。

マルチタスクの意味・定義

マルチタスク

(出典) pixta.jp

「マルチタスク」は、ビジネスでもよく使われる言葉です。具体的に、どのような状態をマルチタスクと呼ぶのでしょうか?まずは、言葉の意味・定義を解説します。

複数の作業を同時に進めることを指す

マルチタスクはコンピューター用語で、一度に複数の処理をするコンピューターやシステムを指します。一般用語としても広まっており、複数の作業・仕事を同時進行するときにも使われる言葉です。

主なマルチタスクとしては、「電話をかけながらメールをチェックする」「電話で注文内容を聞きながら、聞き取った内容をパソコンに入力していく」といった、同時進行や瞬時の切り替えを必要とする作業が挙げられます。

2つ以上の作業をほぼ同時にこなす場合、マルチタスクをしているといえるでしょう。

マルチタスクとシングルタスクの違い

デスクワーク

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マルチタスクと似た場面で使われる「シングルタスク」には、どのような意味があるのでしょうか?マルチタスクとの違いや、英語での使い方を解説します。

どちらも元はコンピューター用語

「マルチタスク」も「シングルタスク」も、コンピューター用語です。シングルタスクは、一度に1つの処理を行うコンピューターまたはシステムを指します。

一般用語としては、1つの作業に集中する意味を持つ言葉です。マルチタスクとは、対義語になります。

「シングルタスクは得意だが、マルチタスクは苦手だ」は、「1つの作業に集中するのは得意だが、複数の作業を同時にこなすのは難しい」という意味です。

英語での意味や使い方

英語でも、「multitask」はコンピューター用語で、同時に複数の処理を行うコンピューターやシステムを指します。

日本と同じように一般用語としても広まっていますが、人間が複数の作業を同時に行う場合は「multitasking」を使うケースが多いでしょう。

1つの作業に集中する様子や視野が狭まっている状態を表す場合は、「シングルタスク」ではなく「one-track mind」が一般的です。

和製英語のマルチタスクやシングルタスクを、そのまま使っても通じない可能性があるため、注意しましょう。

マルチタスクが不得意な人の傾向

仕事疲れ

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マルチタスクが不得意な人には、いくつかの傾向があります。該当しやすい特徴や、なぜマルチタスクを不得意としているのか確認しましょう。

1つの作業に集中しすぎる傾向がある

何かに集中していると、他のことが頭に入ってこなくなります。1つの作業に集中する傾向がある人は、さまざまなことに気を配りながら作業を進めるマルチタスクが不得意といえるでしょう。

集中しているときは意識を特定の作業に向けているため、声をかけられても気が付かないケースや、時間を忘れて没頭してしまうケースがあります。

集中力は作業を進める上で欠かせない能力ですが、複数の作業をこなすには適度に気を抜くことも必要です。

次々に興味が移り変わる

複数の作業をしているときに、興味が移り変わってしまう人もマルチタスクが不得意といえます。新しいことに興味が湧き、興味が持てなくなった作業を途中で放り出してしまう傾向です。

自分が対応している作業を整理し、優先順位を設けるのも苦手でしょう。自分が好きなことや、そのとき興味の湧いたことにだけ集中力を発揮し、それ以外を失念してしまうケースもあります。

新しいことへの興味が強く、自分が何の作業に取りかかっているか忘れてしまう人は、1つずつ作業をこなしていく方が無難といえそうです。

全てを完璧にこなそうとする

マルチタスクは集中力が分散するため、完璧を求める人には不向きです。全てを完璧にこなそうとすると、疲労・ストレスがたまる原因にもなります。

中途半端に複数の作業を始めると、今取りかかっていない仕事や完成度が気になり、余計に効率が落ちる可能性もあるでしょう。

何でも完璧にこなしたいと考える場合、1つの作業を徹底して行い、納得できてから次の作業に取りかかる方が向いています。

マルチタスクを行うメリット

業務過多

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同時に複数の作業を進められるマルチタスクには、さまざまなメリットがあります。ビジネスで行う上で得られる、主な利点を見ていきましょう。

短時間で効率良く作業が進む

マルチタスクは、ほとんど同時進行で作業を進めていきます。効率を下げずに同時進行ができるのであれば、作業時間は短くなるでしょう。

例えば、電話で注文内容を聞きながら、同時にパソコンに入力ができれば、短時間で仕事が進みます。

電話で話をしながら大まかにメモを取り、電話が終わってからパソコンに入力するよりも、大幅に作業時間の短縮が可能です。

電話をしながら、別の仕事の問い合わせ返信を行うのも、同じような効果が期待できます。

抱えている仕事を把握しやすい

仕事をしていく上で、しなければならない作業は1つとは限りません。複数の作業がある場合、同時進行で進めると全体量が把握しやすくなります。

最終的な仕事の量が把握できれば、自分が対応できる業務がどのくらいなのか、見通しも立てやすくなるでしょう。

また、複数の仕事に関わることで、全体の流れも分かりやすくなります。マルチタスクが可能な人は、広い視野を持ち、さまざまな観点で仕事を進めていけるでしょう。

業務が滞りにくくなる

同時に複数の作業に取りかかると、業務の滞りを防げます。何らかのトラブルや確認で作業が止まっても、他の仕事を進められるため効率化が狙えるでしょう。

また、複数の仕事に関わっていることで全容も分かってきます。他の人から問い合わせがあったときも、複数の仕事を進めていれば回答しやすいでしょう。

完全同時進行で仕事を終わらせるタイプの人は、作業時間も短くなり、次々に仕事を進められます。

マルチタスクによって起きるデメリット

電話を掛けながら腕時計を見る

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複数の作業を同時進行で進めると、デメリットも出てきます。マルチタスクを行う上での注意点や、弊害を知っておきましょう。

生産性が下がる可能性がある

複数の作業を同時進行すると、集中力が途切れてしまう可能性があります。それぞれの仕事に集中できず、どちらも中途半端になるリスクも考えられるでしょう。

人間の脳は、複数の作業の同時進行には向いてないといわれており、無理にタスクを詰め込むとミスを誘発する恐れがあります。時間に余裕があり、それぞれの作業に集中できる環境であれば、無理にマルチタスクを行う必要はないでしょう。

中には、同時進行が必要な業務もありますが、自分で時間配分ができる仕事はシングルタスクが適しています。

例えば、人の話を聞きながら書類整理を進めると、話の一部を聞き逃してしまうケースもあるでしょう。切り替えるたびに手を止めていると作業効率が下がり、生産性の低下にもつながってしまうため、注意が必要です。

スケジュールを管理しにくくなる

マルチタスクは、一度に多くの作業ができるものの、スケジュール管理は難しくなります。抱える仕事の量が多いため、対応できる作業量が把握できていないと見通しが立ちません。

スムーズに対応できている間はよいものの、トラブルによって作業が止まると、少しの時間でも仕事がたまっていきます。

仕事がたまり、さらに急がなければならなくなると、自分が対応できる限界を超えてしまうリスクもあるでしょう。無理に間に合わせようと作業を詰め込むと、ミスが増えてしまう可能性もあります。

マルチタスクができないときの対策方法

チェックリスト

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無理に複数の作業を同時進行すると、デメリットが強く現れてしまいます。マルチタスクが難しいときは、どうすればよいのでしょうか?主な対策方法を紹介します。

ToDoリストでタスク管理を行う

複数の仕事を抱えているとき、「抱えている仕事を忘れる」「締め切りの管理ができない」といった問題が起きる場合は、ToDoリストの活用を検討しましょう。

ToDoリストは、「やるべきこと」「作業の優先順位」などをまとめるためのリストです。メモにやるべきことを書き、終われば消していくだけでもタスクの管理ができます。

ToDoリストを管理できるツールを使うと、さらに効率良く作業が進められます。カレンダーと連携できるツールでは、仕事の締め切りや作業の一覧を簡単にチェックできるでしょう。

まずは、自分がやらなければならない仕事を把握し、順番に対応していくことが大切です。

優先順位を明確にする

仕事には、優先順位があります。まずは、納期が早いものから取りかかるのが基本です。急がない仕事を先に進めると、余裕のない時間で優先順位の高い作業をしなければならなくなります。

併せて、周囲の状況も確認しなければなりません。特に複数の人が関わる作業は、返事を待つ間や他の人が作業を進めている間、取りかかれないケースもあります。自分のスケジュールだけでなく、待ち時間も考慮して優先順位を決めましょう。

また、短時間で終わるものと、終了までに長時間が必要なものでも取り扱いは変わってきます。短時間で終わる作業なら、急ぎの作業の合間に進めることも可能です。

時間に余裕を持つ

複数の作業を同時に行うと、一度に進められる作業が多い分、何かがあってストップしてしまったときに大きな影響が出てきます。

同じように1日休むとしても、作業量が2倍あればたまっていく仕事も2倍です。体調不良やトラブルによるストップで大幅な遅れが出ると、挽回できなくなる可能性があります。

作業量が多く、マルチタスクをしなければならない場合は、できる限り時間に余裕を持ったスケジュールを組みましょう。ギリギリのスケジュールを組むと、仕事がたまってしまったときに遅れを取り戻せなくなります。

同じカテゴリーの作業をまとめて進める

全く無関係な作業を同時に進めると、頭が混乱してしまう可能性があります。できる限り早く作業を進めたい場合は、「関連する業務」をまとめて処理するのがおすすめです。

例えば、メールチェックとメールの返信をまとめて行ったり、問い合わせの電話をまとめて折り返したりなど、同じ作業を一度に行うと効率的です。

マルチタスクを行う場合でも、インターネットで関連する調査を行いながらパソコンの入力作業を行うのは、それほど難しくありません。

しかし、作成している資料と無関係な調べものをしようとすれば、どちらに集中すればよいか分からなくなってしまうでしょう。同時に別の作業をしようとせず、混乱しない範囲にとどめるのが適しています。

マルチタスクが苦手でも活躍しやすい職種

デザイナー

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マルチタスクが苦手な人や、作業量が多くマルチタスクをしなければ仕事が間に合わない場合は、どうすればよいのでしょうか?

どうしても対応が難しいときは、転職を検討するのもおすすめです。マルチタスクが苦手でも、活躍しやすい職種を紹介します。

アイデア力が生かせるクリエイティブ職

芸術・広告・デザイン・企画などの制作を担当するクリエイティブ職では、クリエイターとしての能力が必要とされます。

芸術性やアイデア力など、マルチタスク能力とは異なる分野のスキルが生かせるでしょう。集中して作品を作り上げるには、どちらかといえばシングルタスクをこなす能力が求められます。

トレンドを意識し、多くの人が求める作品を作るには、新しいことに対する興味やチャレンジ精神も必要です。

一口にクリエイターといっても、仕事内容は多岐にわたるため、求人サイトや企業ホームページなどで企業研究を進めながら、自分に合っているかを確認しましょう。

集中しやすいものづくり系の職種

工場での作業や建築関連などものづくりに関わる職種は、集中力や決まった作業を繰り返し行う能力が求められます。

製作の過程が決まっている仕事は、1つの作業を順番にこなしていくシングルタスクが多いでしょう。マルチタスクが苦手であっても、対応できる業務は豊富です。

集中力が高い人や完璧主義の人は、特定の作業に対する熟練度を磨く仕事が向いています。何らかのものづくりに興味があれば、検討してみましょう。

マルチタスクには利点も弊害もある

デスクワーク

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マルチタスクは、短時間で多くの作業をこなせるメリットがあるものの、無理な進行によって作業効率の低下・ミスを誘発するデメリットもあります。

マルチタスクが必要な業務にもかかわらず、向いていなかったり、作業が多すぎてマルチタスクで進めるしかなかったりなどの状況の場合、転職によって環境を改善できる可能性が高いでしょう。

自分に向いている職種を見極めるには、さまざまな仕事を知るのがおすすめです。求人サイトを活用して、仕事を探してみましょう。「スタンバイ」でも、さまざまなジャンルの仕事を探せます。

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