育休明けでも転職したい!時短勤務など柔軟な働き方を実現するポイントを解説

育休中に子育ての大変さを知り、現職への復帰は難しいと考えて転職を検討する場合もあります。育休明けの転職は可能なのでしょうか。転職で柔軟な働き方を実現するために知っておきたいポイント、育休明けに転職するときの注意点を解説します。

この記事のポイント

育休明けでも転職できる?
法的には可能ですが、保育園や現職との兼ね合いといった難しさがあるので注意が必要です。
育休明けの転職を成功させるには?
転職は子どもの入園・現職への復帰の後とし、客観的にも納得できる理由を用意しておきましょう。子育てと両立しやすい仕事探しや計画性も大切です。
育休明けの転職で注意すべきことは?
入社後すぐには時短勤務制度が使えない企業もあること、現職には誠実な態度を取らないとトラブルになりかねないことです。

育休明けの転職は可能?

履歴書を書く女性

(出典) pixta.jp

子どもが生まれて育休(育児休暇)を取得したけれど、復帰後に子育てと仕事を両立できるか・復帰後も活躍できるか心配になるケースもあるでしょう。育休明けにうまく働けないと思った場合、転職は可能なのでしょうか。

法的な面と現実的な面から、育休明けに転職はできるのかという点について解説します。

法的には問題ない

育休は現職への復帰を前提としている制度ですが、育休明けの退職(転職)について、法律上の制約は特にありません。育休明けに転職するのは、働く側の自由です。

民法では、期間を定めない雇用(正社員など)の場合、2週間前までに申告すれば退職できると規定されています。ただ、就業規則では1カ月前・2カ月前といった、それより前の期間に申告するよう定めている企業が多いでしょう。

就業規則は育休中の社員にも適用されるため、そのルールに従う必要があります。

出典:民法 第627条1項|e-Gov 法令検索

保育園や現職との兼ね合いが難しい

育休明け、特に復帰前や復帰から間を空けず転職したいと考えている場合は、保育園の問題が出てきます。

基準は自治体によって違いますが、育休中に保育園の内定が出ていても、転職すると内定を取り消されたり利用指数が下がったりしてしまうケースが多いようです。

例えば東京都港区の場合、復職前に転職すると内定が取り消されます。東京都世田谷区でも、育児休業中に復職せず転職すると、内定取り消しとなる決まりです。

復帰後の在籍期間が定められている自治体もあるため、確認した上で転職のスケジュールを立てなければなりません。

また、職場は復帰を前提に育休を付与しています。復帰からごく短期間で転職する場合、伝え方に気を付けないとトラブルになりかねません。

育休がブランク扱いされてしまうケースもまれにあり、スムーズに転職しにくいといった難しさもあります。

出典:港区ホームページ/保育園入園のごあんない
PDF「保育園入園のごあんない(令和7年度版)」P.13 (3)②
出典:育児休業中・育児短時間勤務等取得中(予定)の方へ | 世田谷区公式ホームページ

育休明けの転職を成功させるポイント

赤ちゃんを抱きながらパソコン作業をする女性

(出典) pixta.jp

保育園や現職との兼ね合いなど、育休明けの転職には一般的な転職と比べると、独特の難しさがあります。育休明けの転職を成功させるポイントを押さえて、希望の働き方を実現させましょう。

入園・復帰してから転職する

保育園の内定が出たから大丈夫と復帰せず転職してしまうと、内定を取り消される可能性があります。

子どもが入園して自分も一度復帰してからであれば、転職しても保育園に影響が出る可能性は低いでしょう。残日数にもよりますが、現職で残っている有給休暇を活用し、慣らし保育を済ませてから転職することも可能です。

ただし、自治体が定めた復帰後の在籍期間を満たす必要があります。入園月は転職NG・1カ月は転職NGなどさまざまな条件があるため、保育園がある自治体の情報をしっかり確認して、転職の時期を決めましょう。

客観的に納得できる理由を用意する

現職にとっても転職先にとっても、納得できる転職理由を用意すると、育休明けでも転職がうまく進みやすくなります。

理由が明確に伝わらないと、現職に残った方がよいのではと思われてしまうでしょう。育休明けに転職を考える主な理由は、以下の通りです。

  • 復帰後の待遇(部署や仕事内容など)に納得がいかない
  • 育児によって生活環境が変わり、以前と同じ業務量をこなすのが難しい
  • もっと子どもと過ごす時間を増やしたい

ただ、退職の申告や転職先への申し出に当たっては、マイナスの理由をプラスに言い換えることが大切です。

待遇への不満なら「よりやりがいのある業務にチャレンジしたい」、以前と同じように働けないなら「より柔軟な働き方で子育てと仕事を両立したい」といった言い換えをすると、印象が大きく変わります。

子育てと両立しやすい転職先を探す

育休中から育休明けの転職を考えているなら、現職は子育てとの両立が難しいという印象を抱いている場合が多いでしょう。

育休明けに転職しても、子育てと両立できなければ、前の職場に残った方がよかったと後悔する結果になりかねません。

昨今は、働き方の多様性を受け入れる企業が多くなってきました。うまく求人を探せば、転職してよかったと思えるような転職先に出会えるでしょう。

国内最大級の求人情報一括検索サイト「スタンバイ」では、多数の求人を網羅的に検索できます。転職先の選択肢を増やすためにも、ぜひ活用してみてください。

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子育てと仕事を両立しやすい転職先のチェックポイントを、以下に紹介します。

多様な働き方に対応できる制度があるか

育児中に限らず、家庭の事情で時間の制約がある・健康上の問題で長く働けないなど、これまでの正社員のような働き方では活用できない人材が日本には数多くいます。

そのため近年では、短時間勤務制度(育児・介護休業法で定められた制度)だけでなく、フレックスタイム制・在宅勤務制度など、多様な働き方を推進する企業も増えてきました。

求人を探す際には、フレックスタイム制や在宅勤務制度があるか、短時間勤務制度の活用実績があるのかをチェックしましょう。

育児との両立に理解がある環境か

育休明けは、子どもの急な体調不良や保育園へのお迎えなど、自分側の都合で復帰前と同じようには働けない可能性が高いでしょう。

たとえ制度として柔軟な働き方ができるようになっていても、周囲のサポートを得にくい環境だと、休みや早退を言い出しにくくなってしまいます。

周囲の理解とサポートを受けられる体制があるか、選考段階で確認しておくとよいでしょう。育休明けで子どもが小さいことを面接時にしっかり伝え、聞いてみるのがおすすめです。

子育て中の社員が活躍しているか

子育てをしながらでも、キャリアアップしたいと思っている人は多いでしょう。育児と仕事を両立しながらのキャリアアップは、自分のスキルと転職先次第で可能です。

主に子育てを担う傾向にある女性が、管理職やリーダーとして働いている実績があるかを公式ホームページなどで確認すると、判断の目安になるでしょう。

近年では、SNSを通じて情報を発信している企業も増えています。気になる企業が見つかったら、公式アカウントをフォローしておくのがおすすめです。

転職のスケジュールをしっかりと立てる

育休明けの転職は、保育園との兼ね合いもあるので、しっかりしたスケジュールを立てる必要があります。

  • 4月1日入園で1〜2月に内定
  • 入園月中の復職が必須
  • 入園から1カ月は転職NG

例えば上記のような条件の自治体の保育園に入れようと思っている場合、4月末に復職すると5月末から新たな職場で働けます。

復職前から転職を決めている場合は、一例として次のようなスケジュールが考えられます。

  1. 内定が出たら転職活動開始
  2. 4月末に復帰
  3. 復帰後に理由を伝えて退職を申し出る
  4. 5月末までに引き継ぎと有休消化を済ませて退職、転職先に入社

実際は復帰後に転職したい理由が生じる場合もあるため、一概には言えません。ただ、上記のように具体的な時期を書き出して逆算するように計画を立てていくと、スムーズに転職しやすくなります。

育休明けに転職するときの注意点

腕時計を確認する女性

(出典) pixta.jp

育休明けに転職するときは、子育てとの両立・復帰を期待していた現職との兼ね合いなど、考えなければならないことが多くあります。

特に注意したいポイントを紹介するので、円滑な転職活動の参考にしてください。

入社直後から時短勤務ができない職場もある

時短勤務制度(短時間勤務制度)は、育児・介護休業法で定められた制度です。3歳未満の子どもを育てる労働者が対象で、労働者が願い出れば事業主は勤務時間を6時間に短縮しなければなりません。

ただしこの制度は、法律上入社して1年以上たっている労働者が対象となっています。

会社によっては独自に制度を定め、入社してすぐに時短勤務ができるようにしている場合もありますが、法律と同じく入社1年未満だと利用できない企業も多いでしょう。

転職先の企業の求人情報で「時短勤務制度あり」となっていても、利用できるのが1年後からなのか入社してすぐからなのかは、事前の確認が必要です。

出典:育児・介護休業法(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)|e-Gov 法令検索 第23条1項

現職に退職を申し出るときは誠実に

育休明けの転職に法的な制約はありませんが、辞める権利があるのだから当然という態度を取ると、トラブルに発展しかねません。

育休を付与した会社側は、復帰を前提に準備をしてくれている場合がほとんどです。特に復帰してから短期間で辞める場合は、誠実な対応を心がけましょう。退職の申告も、可能な限り早めにするのがマナーです。

育休明けの転職で柔軟な働き方を実現しよう

子どもを保育園に連れていくお母さん

(出典) pixta.jp

育休明けの転職は法律的には問題なく、就業規則に定められた期限までに申し出れば現職を辞められます。ただ、復帰前に転職してしまうと、保育園の内定が取り消される可能性が高いため、一度復帰してからの転職がおすすめです。

とはいえ、復帰してから短期間で辞める場合は、保育園で定められている復帰後の在籍期間を満たすことはもちろん、現職への誠実な対応が必要です。

転職先を探す上でのチェックポイントとして、柔軟な働き方を実現できる制度があるか、周囲のサポートを得られるか、育児中の社員が活躍している実績があるかという点が挙げられます。

具体的な日付を書き出してしっかり計画を立てた上で、子育てと仕事を両立できる転職を目指しましょう。