仕事を辞めたいときはどうする?転職を検討するなら考えたいこと

仕事を辞めたいという気持ちは、多くの人が一度は抱くものです。転職に踏み切るべきなのか、今の仕事を続けるべきなのかは事情によっても変わります。どんなときに転職を考えた方がいいのか、転職先の探し方も考えておきましょう。

仕事を辞めたいと思うのは甘え?

ベンチに座る男性

(出典) photo-ac.com

実際に仕事を辞めるとなると、「甘えと認識されるのでは?」と心配になる人も多いでしょう。退職が甘えと判断されるのか、主なパターンを知っておきましょう。

辞めたい理由による

仕事を辞めたいと思う理由は人によって異なり、複数の要因が絡み合うこともあります。甘えなのか正当な原因があるのかは、理由にもよるでしょう。

再就職を考えると、退職理由を周囲に説明することになります。自分が話を聞いたとき、どう考えるかを立ち止まって考えてみましょう。

極端な例で、出勤して1日で辞めてしまったとなると周囲は甘えと判断する可能性が高いはずです。短期間での退職は、『努力や相談もせず辞めてしまった』と捉えられます。

ほかにも、『仕事がつまらなくやる気が出なかった』など、どの会社にいても同じ状況になりえるような言い分は甘えと判断される可能性があるでしょう。しかし、きちんと仕事をした上での判断は、甘えではありません。

決めつけずにしっかり考えよう

仕事を辞めたいと思ったときは、『転職を考えるほどの内容なのか』をよく考えてみましょう。環境の悪い場所で働き続けるよりも、自分に合う雰囲気の会社で働く方がメリットが大きい可能性もあります。

前向きな気持ちで転職するのは決して悪いことではありませんが、すぐに判断するのではなく何が原因なのか考えることが大切です。少し嫌なことがあったからとすぐに仕事を辞めるのは、リスクが大きくなります。どの会社で働いても、いいことも悪いことも起こりえるからです。

自分の気持ちが転職の方向にはっきり固まっているのか、今の会社に大きな問題があるのかじっくり考えましょう。

仕事を辞めたいときに考えること

パソコンを持って悩む男性

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仕事を辞めたいと考えてしまう場合、問題を突き止めることで解決の糸口がつかめることもあります。仕事を辞めて転職するべきか、それとも今の仕事を続けるべきか、順を追って考えていきましょう。

辞めたい理由を明確にする

仕事を辞めたくなったときは、自分が何故そう考えたのかを文章にしてみましょう。ノートなどに書き出していくと、理由がはっきりと見えてくるはずです。

『人間関係がよくない』『待遇が悪い』など、複数の理由が出てくるでしょう。文章にすることで、自分が仕事を辞めたい理由を分析できます。

書き出した内容の中で、何が一番問題なのかを考えてみましょう。漠然としていた『仕事を辞めたい本当の理由』が見つかるかもしれません。

問題を明確にすることで、同じ会社で働いていて解決する問題なのか、転職が必要なのかがはっきりします。

解決できるか・できないかを考える

理由によっては、同じ会社で働いていても解決できる可能性があります。例えば、人間関係がよくない場合、社内の相談窓口を利用して解決することもあるでしょう。

今の仕事が向いていない場合は、異動を検討できるケースもあります。違う部署で自分に合う仕事ができれば、新しい環境に飛び込む必要はありません。

反対に、同じ会社にいると解決しない問題であれば転職を検討しましょう。例えば『仕事が多く残業を強制される』『同僚を含めて給与がまったく上がらない』などは、自分で解決しにくい問題です。問題を上司に訴えても改善が見られない場合、転職を考える余地があります。

退職のリスク・キャリアプランを考える

会社を退職すると、新しい仕事を探さなければいけないというデメリットが生まれます。辞めた後に今までと同じような生活ができるのか、リスク面も把握しておきましょう。

転職後に悩まないためにも、仕事を辞めた後の自分を数年単位で想像し、キャリアプランを考えるのも大切です。理想の自分になるために、必要なことを1つずつクリアしていきましょう。

希望する業種や企業への転職が難しい場合は、今の会社でスキルを身につけることや資格取得を検討する必要もあります。

今の仕事を続けた方がよいケース

電話をする男性

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辞めたい理由によっては、現状維持の方がよいケースもあります。どのようなときに仕事を続けるべきなのでしょうか?よくあるパターンを紹介します。

環境や待遇には問題がない

人間関係や給与面などの待遇がよい場合、転職先でも同じような環境が維持できるとは限りません。特に新しい会社での人間関係は、想像できない部分も多いでしょう。

大きな不満を抱えていない場合、退職によってリスクが生じるかもしれません。今よりも待遇や環境が悪くなる可能性も考えて、本当に仕事を辞めるべきなのか考えましょう。実際に転職してみると、後悔することもあります。

仕事内容自体に不満があるときは、ほかの仕事への熱意が強いものなのか、転職によって今以上に環境や待遇がよくなるのかを見極めるのが大切です。

人事異動の可能性がある

数年で転勤や人事異動がある場合、新しい環境に変わります。人間関係や仕事内容に不満がある場合、異動を待つのも解決策の一つです。

会社を辞めずとも、しばらく待てば問題が解決するでしょう。会社の方針や状況によっては異動の希望を出せるケースもあります。複数の部署があり常に人員が入れ替わっているような会社では、転職と同様に環境を変えるチャンスがあるのです。

ただし、会社の社風自体が合わない、部署を異動しても給与が変わらないなど、異動で解決しない問題で悩んでいるのでなければ待ってみる価値はあるでしょう。

仕事を面白いと思える余地がある

仕事が好きで楽しいと感じるなら、業務内容が合っていると考えられます。別の仕事に就いたとき、同じように楽しめるかは分かりません。

まったく同じ仕事内容で転職できるなら問題はありませんが、会社が変われば業務内容も多少変わる可能性があります。また、『たまに楽しいと感じる』程度でも短期間で辞めずに続けてみるのは重要です。

仕事を続けていくうちに、向き不向きがはっきりします。人間関係や待遇面に問題があるなど、違う面での不満が大きいケースを除いて、続けてみる余地はあるでしょう。

辞めない決断をしたときに試してほしいこと

頭を抱える男性

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『今の仕事を辞めない』と決めたときは、不満や問題を解消するのが大切です。解決につながりやすい方法を試してみましょう。人間関係や環境による問題なのか、自分の仕事に対する気持ちが冷めているのかによっても試す方法は変わってくるはずです。

まずは身近な人に相談する

今の仕事を辞めない場合、不満点の解消を考えましょう。身近な人への相談が近道です。

人間関係の問題であれば、会社の友人や対応している窓口への相談で解決する可能性があります。間に立ってくれる人がいるだけで、誤解が解けることもあるでしょう。

仕事内容や待遇面の問題は、上司に相談するのが最適です。仕事内容が合わない場合、同部署の別の業務担当への切り替えや他部署への異動がかなうこともあります。

待遇や評価に関して疑問に感じている点があれば、話し合うきっかけになるかもしれません。何らかの理由があり、納得できれば仕事への熱意が戻る可能性もあります。

スキルアップなど仕事へのモチベーションを上げる

仕事がつまらない、やる気が出ないと考えているときは、モチベーションを上げる努力をしてみましょう。うまくスキルアップができると、自然とモチベーションが上がります。

仕事に役立つ資格を取得するなど、形に残るものがおすすめです。重要な資格を持っていると、評価や待遇が上がるきっかけにもなります。

大きな目標よりも、短期間で達成できる小さな目標をいくつも設定するのがおすすめです。達成感や充実感で、自然と仕事に対する意欲が湧いてくるはずです。

転職を考えた方がよいケース

頭を抱える女性

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仕事を辞めたい理由によっては、早めに転職を考えた方がよいケースもあります。解決できない問題を抱えているときは、転職を検討しましょう。どんな問題のときに転職した方がよいのか、主なケースを知っておきましょう。

今の仕事以外でやりたいことがある

はっきりと『この仕事がしたい』と意図を持っている場合、転職を考えてみましょう。熱意や目標があると、新しい業界で活躍できる可能性も高くなります。

強い意志やモチベーションは、仕事をしていく上で重要です。今の会社ではできない業務に興味があるときは、情報収集や必要な資格取得などを目指しながら転職に備えましょう。

ただし、やりたいことが明確になっている場合でも、想像や雰囲気だけで判断するのは禁物です。業界のことを深く知り、自分が活躍できるのかを検討した上で転職を決断しましょう。

適切な評価をされない

業務量や会社への貢献度と比較して適切な評価がされないときは、会社自体に問題がある可能性があります。嫌がらせや、えこひいきで適切な評価を受けられないときは転職を考えた方がよいでしょう。

嫌がらせのようなものではなくても、考え方の相違や社風と合わないなどの理由で評価が得られない可能性もあります。

きちんと評価されているのかは、給与面が一つの判断基準です。同業他社と比べて明らかに給与が低いとなると、転職した方がモチベーションが上がるはずです。

ただし、あくまでも評価は会社の上司や経営陣が下すものです。独り善がりになっていないか考える必要もあります。実際は基準に従って正当な評価がされていた場合、会社が変わっても同じことが繰り返されるでしょう。

自分に合った転職先を探す方法

商談をする男女

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転職することに決めたら、応募先を探します。適切な職場を見つけるには、何をすればよいのでしょうか?転職活動で最初にしておきたいことを紹介します。

まずは自己分析

転職には自己分析が欠かせません。自分がやりたいことだけでなく、必要な能力や適した仕事内容も自己分析から判断できます。自分に向いている仕事を見つけるためにも、性格や得意なことを書き出していきましょう。

『なぜ転職したいのか』をはっきりさせ、転職において重視する点を考えるのも大切です。待遇面の良し悪しなのか、業務内容にこだわるのかは人によって変わります。

本当に実現したいことがかなわない場合、転職しても同じ不満を抱えることになるでしょう。まずは自分自身をよく見つめ直し、転職に求めることを突き止めるのが基本です。

就きたい仕事の軸を決める

自己分析が終わった後は、実際に転職先を探す作業に移ります。やみくもに探すのではなく、一定の基準を決めることで検討しやすくなるでしょう。

まずは待遇面や業種など、自分が求める条件を考えます。複数ある条件の中でも、自分にとって何が一番重要なのかも把握しておきましょう。

例えば、『月収30万円以上の仕事で業種は流通系』などです。ほかにも福利厚生の充実や残業の多さなど、判断基準になる要素はさまざまです。基準を満たす応募先だけに絞ることで、スムーズに仕事探しができるでしょう。

専門家にアドバイスをもらうのもおすすめ

転職活動の際には専門家のアドバイスが役立ちます。転職エージェントやキャリアコンサルタントに相談すると、能力や資質に見合った仕事を案内してもらえるでしょう。

専門家は、これまでに転職をした人の事例を多数知っています。自分では分からなかった分野の魅力を知れたり、適性に気付けたりするチャンスにもなります。

『自己分析をしてみたものの合っているか判断できない』というときも、まず相談から始めてみましょう。

自分だけで転職先を探す場合、『早く仕事を辞めたい』という気持ちが先走ってしまう可能性もあります。客観的な視点を取り入れるためにも、転職エージェントなどを活用してもよいでしょう。

自分にとって一番よい職場を見つけよう

会議をする人たち

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仕事を辞めたいときは、しっかりと原因を突き止めて解決につなげることが重要です。今の会社にいて解決する問題なのか、転職が必要なのか考えましょう。

理由によっては、仕事を辞めない決断もありえます。どうしても転職が必要なときは新しい職場でうまくやっていくために、自己分析や専門家の意見を聞くのがおすすめです。

大美賀直子
【監修者】All About 公認心理師・産業カウンセラー / ストレスガイド大美賀直子

メンタルケア・コンサルタント。公認心理師、精神保健福祉士、産業カウンセラーの資格を持ち、カウンセラー、作家、セミナー講師として活動する。現代人を悩ませるストレスに関する基礎知識と対処法を解説。ストレスマネジメントやメンタルケアに関する著書・監修多数。
All Aboutプロフィールページ

著書:
どうして会社に行くのが嫌なのか なぜあの人の働き方は「強くて美しい」のか? 大人になっても思春期な女子たち